密猟 6


『俺』が聖堂騎士団に入ったのは14歳の誕生日をだいぶ過ぎた後だった。
なぜ修道士見習いが騎士団に入ったかって?

その直前にそれは悲しい、おぞましい『事故』があったんだ。

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「そうだ、ククール。上手いぞ。」
兄さんの逞しく立ち上がったそれに僕が舌を、そして指を教えられたとおりに、這わせると、兄さんは満足げに優しく言う。

僕は嬉しくなって、どんどんといろいろなことをする。

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「・・・うぅ・・・んっ・・・!」
僕はすっかり慣れた調子で兄さんを受け入れる。
息を少し吐きながらだと楽だということを、僕は最近になって知った。

兄さんは優しく僕を気遣いながら更に奥へと進む。

あの日以来、兄さんは『僕』を殴ったりしない。

けれども、兄さんはあの日、僕を何発もひっぱたいた後、毎週土曜日の夜は、必ず忘れないように兄さんの部屋に来るようにきつく僕に言い渡した。

僕は怖くて、兄さんに殴られたことが本当にショックで、ただ「はい」と小さな声で呻くように、殴られて痛い頬を押さえながらうなずいた。

だから『必ず忘れないように』、あの日の次の週の金曜日の夜からずっとそわそわしていた。

もう殴られるのはイヤだったから。
僕はおとなしく、促される前に兄さんの部屋に入るとすぐに服を脱ぐ習慣ができてしまった。


「私はお前を愛している。たとえ誰がどう思おうと。だから私はお前とこういうことをする。」

兄さんは服を素直に脱ぐようになった僕にそういう風に何回かいったことがある。

難しいことはよくわからなかった。
僕は『それ』が、あるときは愛情交歓の行為とも、生殖行為とも、もしくは肉欲を満たす行為とも、いろいろな意味を持つ行為とはまだ知らなかったから。

けれども『愛している』と言われて、少なからず嬉しく感じたのも事実で。

お父様もお母様も、もうこの世からいなくなってしまった今、最後に頼れるのは兄さんなだけなのを、僕はこの間の『神父様とのこと』をきっかけに知ったから、その兄さんに『愛している』といわれ、とても安心した。

兄さんと離れたくない。
兄さんに嫌われたくない。

だからそう言ってくれる兄さんの言うとおり、『それ』は兄さん以外の人間としてはいけないんだ、と僕はそれなりに自覚していた。

兄さんに導かれるまま、体を委ねると、それはひどく気持ちがいいことだと、やはり最近になって僕は知った。

神父様に相談したことは、大人の男になる第一歩だということを兄さんは優しく教えてくれた。
そういうことだけではなく、兄さんはどういう風にすれば、兄さんも僕もお互いに気持ちよくなるのかということをたくさん教えてくれた。
最初は恥ずかしいし、なんだか汚いと思ったことも、気持ちよくなるにつれて僕はどうでもよくなった。

「・・・あんっ・・・兄さん・・・!」
兄さんがの動きがどんどん激しさを増す。
ベッドが軋む音も、今ではもう聞きなれた。
与えられるままに、僕は為すがままに快楽を享受して、叫び声を上げる。
頭の芯がぼうっとするような快感に、もう何がなんだかわからない。

そんなふうに、毎週土曜日の夜は何回も過ぎていった・・・

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「うお、すっげ!」

ある日、僕が兄さんのお使いでちょうど騎士団寮を歩いていたとき、部屋の中から数人の騎士の声が漏れ聞こえた。
僕はただ興味を覚えて、覗き込むと、部屋の騎士の一人が僕に気づいて、『お前も見たいのかい?来いよ』と

その時、僕は全速力で逃げればよかったんだ。
そうすれば兄さんに嫌われずにすんだのに。

でもそんなことを僕は知る由もなかったから、その騎士の促すままに、興味を覚えるままに僕は部屋に入った。
騎士たちは、大人向けの本、つまり女性の裸がたくさん載った本を回し読みしていた。

僕はどきどきして、にやにやする騎士の薦めるままにその本を見た。

そこには、僕と兄さんが土曜日の夜にしていることと同じ情景。

知らぬ間に僕は顔が赤くなっていた。
すると騎士の一人がおかしそうに笑って、「お前には刺激が強過ぎたのかもな」と言う。

「この人はこの女の人を愛しているんですか?」

今にしてみれば最上級の、馬鹿げた質問。

その問いに騎士たちは不意を突かれて、全員が狐につままれたような顔をした。
そして、僕の地獄は始まったんだ。




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