「黙ってついてきてよ。」

その言葉も雲雀は無視をして、ただ、手を引く。
そしてどんどんと、裏路地を歩いて
たどり着いたのは廃屋。奥の奥の奥の奥に位置するような。

「大丈夫って保証はないけどね…。」

あんなとこで話すより…このまますぐに戻るより…よっぽど、ましだと。


「確かになぁ…。」
「で。貴方どういうつもりなの?」

ディーノが助けたこと、無駄にするつもり?
そういうのは僕は好きじゃないよ。
そこまで死にたいなら僕が咬み殺してあげる。

もとより雲雀だって、死にたいなんて思っていないことくらいわかった上だ。
ただ、危険を冒して助けて、今抜け出したところでその事実はかわらない。
関係ないと言ったところでどうにもならない。
だから言うことくらい聞け、と言いたかっただけで。

中学生に説教される大人もいかがなものか。


「それは、遠慮する、ぞぉ…。」
「そう、つまらないな。まぁ今の貴方とやり合ったって、ね。」
手負いの動物なんて、面倒なだけ。また今度、とニヤリ。


「わかってる、俺が浅はかだってくらいなぁ…。」
ただ、自分が情けなかったのと

「これ以上、世話かけるわけには、と思って、なぁ…。」

う゛お゛ぉい、といつもの口癖を静かな呟きで。



「いいんだよ、あの人お節介だから。」

まぁあんまり長く付き合ってるわけじゃないけどね。
と続けながら、雲雀は珍しく苦笑した…ように、見えた。
実際表情は変わっていない。ただため息一つ。

「僕に必要ないところまで絡んでくるし。」
「鬱陶しいことこの上ないくらい。」

それでもその声音は、怒っているわけでもなく。
今ではそれほど気になっていないことを表していた。
ただもう諦めただけかも知れないけれども。


「かわんねぇなぁ!本当によぉ…!」

スクアーロは堪えきれずに笑って(少し、痛そうにしながら)


「だから、迷惑かけるくらいでちょうどいいんだよ。」
「…そうなのかもなぁ。」
「あの人、ずっと貴方のこと気にしてた。」

「…知ってる。」

「貴方が思う以上にだよ。」

絶対ね。

そういって、雲雀はもう、話さない。
きっとそのことは、本当なのだろう。
はっきりと雲雀に言うことはなかったにしろ。
スクアーロの選んだ道、と割り切っていても。
やはり。







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