2009/1/6
2009/1/11

稲嶺次男


「雪ーッ!!」

ハルちゃんは玄関を飛び出してウサギみたいにピョンピョン跳ねた。

「ハルちゃん、待って待って!」

白い雪の中に大事な弟が消えていきそうに見えて慌てて追いかける。
2009/1/27

有働


土の匂いとか

スパイクで踏みしめた地面の感触とか

タックルを避けて走った風景とか

キックしたボールがゴールに向かって落ちていく放物線とか
  2009/2/13

稲嶺


教授に中途半端なチョコレートを渡す勇気のある女子はおらんと思う。
机の上に溢れんばかりに置いてあるチョコレートは
どれも高級そうなんばっかりや。

「オレ、甘いのが嫌いなんで、全然羨ましくないです」
ちょっと冗談っぽく言うと
「そう、それはいいことを聞いた」
教授はニッコリ笑ってオレの顔を抱え込み
「ムグッ?!!!」
無理やり高級なチョコレートを口にねじ込んできた。
「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!!」
「おいしい?」
教授は楽しそうに聞いて、オレの耳たぶを吸うた。

なんで教授はこんなイジワルなんや〜〜〜ッッッ!!

この件でさらにオレの「甘いもの嫌い」に拍車がかかる。
  2009/2/17

有働


後半20分の段階で102−3。

オレらの圧勝やった。
K校とは実力差がありすぎる。
ラグビーは実力がモロ点数に表れるんや。

オレらのジャージは全然汚れてへんのに
相手チームはドロドロで、負傷者も大勢。

その姿が可哀想に思えて、ちょっと力を抜きかけたとき、
ウイングの藤堂がオレのところに走ってきて囁いた。

「K校に失礼や。力を抜くな」
「………」

目からウロコってこういうことを言うんかな。

確かにそうやった。
一瞬でも力を抜いたオレは、100点ゲームになっても諦めずに
ガムシャラにタックルに来る選手に対して失礼やった。


藤堂にはいつも教えられる。
同じトシやのに、断然大人や。

世間では三年になったらオレが主将やろうって言われているけど、
多分、高橋は藤堂を選ぶと思う。

そしてオレも藤堂が主将になってほしい。
オレが最も尊敬するチームメイトやから。




2009/2/18


藤堂


追ってきた。

そして、いつも背中のエイトを見てる。
強い部分も弱い部分も全部。

走れて、強く逞しく、ハンドリングの巧みな
フォワードはヤツ以外おらへん。
弱い部分は優しさだけや。


パスをまわす瞬間に、「頼む!」と念じ
言葉にせんでも「任せとけ!」っていうのが視線で伝わる。
そして、それは確実にビックゲインに繋がるんや。


憧れてる。



悔しいけど


どうしようもなく


憧れてる。
  2009/3/1

有働


あらゆる試合の価値は等しい
  2009/3/26

ひろくん


やっとあるきだしたハルちゃんが、
ずっとぼくのあとをついてくるから
いじわるして、たかいところにのぼってみた。

ハルちゃんはみあげて、ヨロヨロのぼろうとする。
ぜったいむりやのに。

「ハルちゃん、にいちゃんのこと、そんなにすき?」

とびおりて、ハルちゃんをだっこした。
  2009/4/8

稲嶺智章


リクエスト「コックさん」
  2009/4/17

稲嶺


オレの恋人は爽やかに卑猥や。

裸もぜ〜んぶ知ってるのに、
つい横目で盗み見てしまう…!
  2009/4/20

稲嶺


寮で、三人兄弟の末っ子の菊池(ラガーマンは三人兄弟がなぜか多い)
は食べるスピードが尋常やないらしい。
噛まずに飲んでるんやないかってぐらい、とにかく早い。
生まれてから毎食、野生の動物のように食べ物の争奪戦を繰り広げてるからや。
自分の皿に確保しようが何しようが、絶対兄たちに奪われるから、
基本「箸をつけたらそのまま口に」。

その点、有働は女ばっかりの中の末っ子やから、
めちゃくちゃ食べるわりに、食べ方はお上品や。
ちゃんと手を合わせて「いただきます」「ごちそうさま」、
飼い犬みたいにきちんと躾されてる。

そんな有働やから、はじめ寮での食べ物争奪戦についていけず
のろのろしてると、その三人兄弟の菊池に口の中の肉まで食われたらしい…。
菊池も口の中の肉を兄たちに奪われてきたからや。

「口の中に入れても安心できひんなんて、三人兄弟って凄まじいで!」

その菊池のおかげで大食いだけやなく、早食いも身につけた、日々、成長の有働くんや。


(元ネタは元ラガーマンの方からいただきました)
  2009/5/3

藤堂


「才能には限界はあるけど、努力には限界はない」
ってよく言うけど、ほんならオレは泥臭くても
努力ではあいつに負けたくない!
  2009/5/19

こやぎはるちゃん
  2009/5/21

「ははのひがあるから、おねえちゃんのひもあるの?」
  2009/6/15

稲嶺


ラグビーって元々選手とファン(観客)の距離が近い。
どんなスター選手でも、手の届かへん存在っていう印象は薄く…
さらに最近はラグビー協会の方針からか、選手自らやたらサービスしてくれるんや。

花園での試合が終わって、選手がロッカールームに引いてからも
「有働選手のサインくださ〜い!」
と小学生の男の子たちがグラウンドの係員に叫んだ。
とくに子供には優しく、係員はわざわざロッカールームに呼びに行ってくれる。
学生とはいえ人気者の有働は大変やな、と思って見てたら、
なんと有働、シャワーを浴びてる途中やったみたいで
裸にタオルを腰に巻いてグラウンドに出てきやがった!!!
髪もカラダもベッタベタやんか!

出待ちの女の子らは嬌声をあげ、写メ攻撃の中
有働は差し出されたラグビーボールに名前を書いてる。

ラグビー特有の「羞恥心の欠如」にオレは呆れながらも
このときほど携帯やデジカメを持ってへんアナログな
自分を悔いたことはない。