冬の空の下で  3




 一瞬、薫の息が詰まる。
「そんな事、想像できないけどなぁ」
 綾乃はとっさに声を挟んだ。
「わかんないぜ」
「そんな事」
「透ってどんな子が好みなのかしら。あの子、ガールフレンドとか連れてきたこと無いし、そういう話しないのよねぇ」
 翔が、じっと薫を見る。
「僕も、よく、わからないです」
「バレンタインも全然貰って来ないし」
「それはっ」
 貰うなら全部貰わなきゃいけないし、1回貰ったらずっと断れないし面倒だと以前透が話していたのを、3人とも知っている。そのことを綾乃が言いかける。
「そーだけど。本命も無いって変じゃない?」
「そうなのよねぇ。翔ならまだしもねぇ」
「俺は関係無いだろう」
 薫はどんどん喉が渇いていくのを感じた。
 やっぱり、何か――――そう、思えてしまう。
「薫も兄さんに習って、受け取らないし」
 怖い。
「あら、そうなの?」
「はい。お返しとか考えるの面倒ですし、透さんも、そうだと思います」
「3人で女の子の話とかしないの?」
「そーいえば・・・しないな俺らって」
「あら。じゃあどんな子が良いとか、ちょっとエッチな本とか読まないの?」
「っ、それは」
 綾乃が思わず顔を赤らめて困った顔をした。
「母さん」
「あなた達くらいの年頃なら普通でしょう?もちろん、お付き合いには慎重になった方が良いとは思うけどね・・・透、もしかして内緒の彼女がいたりするのかしら?」
 母が少し心配そうな声で言う。
「そういう事は、聞いたこと無いですけど」
 綾乃は、冷静に冷静にと思いながら、そっと翔と薫の顔を見比べた。
「俺も知らない」
「そうなの・・・まぁ、あの子は間違いない生き方してくれそうだから、そんなに心配はしてないんだけど。問題は翔、あなたよ!」
「俺?」
「そうよ。内部って言っても受験はあるのよ」
 どうやら振り出しに戻ったらしい会話に、翔がげんなりとした表情を浮かべて、前を向き直った。
 綾乃がそっと薫の顔を見ると、薫は詰めていた息を吐き出して、ぎこちなく笑みを綾乃に向けた。
 その顔が、白く見えたのは、きっと気のせいなんかじゃない。
 綾乃は、大丈夫という気持ちを込めて、小さく頷くことしか出来なかった。






 綾乃はその後結局薫と会うことは無く、3学期を迎えていた。
 電話はしたけれど、今は話したがらない様子の薫から無理に話を聞きだすわけにもいかないし、家では雪人の宿題の残りを見たり、予習やら用事やらで残りに日々はすぐに終わってしまった。
 翔には電話は出来なかった。したら、余計なことをしゃべってしまいそうで怖くて。
 自分には何も出来ないみたいで、綾乃はなんだか苦しい気持ちを抱えてしまっていて、始業式の日は、少し心配しながら行ったけれど、薫も翔もいつも通りで、綾乃は良かったとほっと胸を撫で下ろしていた。
 一応は無難に滑り出した3学期。
 始まって、ちょうど10日が過ぎた日。新学期早々にあった学年一斉学力テストの答案用紙が、再び一斉に戻って来た。
 廊下には、学年50位までが張り出されている。綾乃はその前を通ってチラっと自分の順位を確認して生徒会室にやって来た。そこにはすでに翔が来ていて、机に向ってなにやら熱心に・・・・・・。
「・・・翔?」
「んー」
「まさかそれ、答案用紙じゃないよね?」
 飛行機を折っている翔に、綾乃は嫌な予感とともに声をかける。だって、なんだか赤い丸とかバツとかが見えている。
「ああ。答案用紙だぜ」
「ちょっ、マズいってば」
 綾乃が慌てて翔を止めさせようとすると、翔は上目遣いにチラっと綾乃を見た。その視線がなんとなく、恨めしいように感じて綾乃の手が宙で手が止まった。
「――――綾乃、学年で何位だった?」
「あ、っと。18番、目」
「ふ〜ん」
 珍しく不貞腐れた様子に綾乃は翔がそんなに悪かったのだろうかと思った。大体いつも学年半分くらいよりちょっと後ろの場所―――180番あたりにいるのに。
 翔の手が再び飛行機を折り始める。
「翔、は?」
「122」
「え!?あ、良かったじゃん。なんだ、どうしたの?」
 言ったその一言がまずかったのか、翔の嫉妬に含んだ瞳で見られた。
 珍しく、翔の横顔に影が差す。
「よくねーよ!」
「――――っ」
 大きな声にビックリして綾乃が言葉を飲み込んでしまうと、翔ははっとして、バツの悪そうな顔を浮かべて立ち上がった。
 バン!!!
 椅子が倒れた、大きな音をたてて。その音になのか、行為なのかに綾乃がビクっと肩を揺らして半歩下がる。
 翔は椅子を倒すつもりは無かったのだろう。ただ椅子の足が少し床にひっかかって思い切り倒れてしまっただけ。綾乃もわかっているけど、条件反射的に一瞬身体を竦ませたてしまった。
 見合わせた視線。綾乃にも気まずい表情が浮かぶ。翔は、唇を噛んで言葉を飲み込むようにそのまま外へと飛び出して行った。
「翔っ!?」
 しまった、と思う。けれど、本当に条件反射で。
 扉が音を立てて閉まる。
 ドアがまるで、拒絶を告げる。
 ―――――どうしよう・・・
 こんなはずじゃなかったのに。
 追いかけたほうがいいのだろうか、それともそっとしておいた方がいいのか綾乃にはわからなくて。すくんだままに、立ち尽くして動かない足をゆっくりと動かして扉に視線を向ける。
 でも、追いかけてどうしたらいいのだろう。
 綾乃には何がなんだかよくわからない。
 テストがいつもより良かったから、良かったねって言っただけだし、綾乃の順位もほぼいつも通りだった。いつもの翔なら、"まぁなぁ〜"とか言って、上がった順位に少し得意気に笑うだろうに。
 一体今の会話の中の何がまずかったのだうかと綾乃は腑に落ちない気持ちを抱え、どうしたものかと視線をさ迷わせた。
 ―――――なんか、苛立つような事でもあったのかな?  でも、飛び出していったのは翔にきまづい思いをさせてしまった自分の態度だ。
 ―――――やっぱり、追いかけよう。追いかけなきゃ。
 荒くなりそうな息を整えて踏み出そうをした足が、きゅっと床を鳴らして止まった。ドアが開いて薫が入ってきたのだ。
「お待たせー・・・、あれ一人?」
「あ・・・薫」
「なに?え、なにかあった?」
「・・・、なんか、翔出てっちゃって。怒ってる?っぽくて。僕の所為もあるんだけど」
「え?なんで?今出て行ったの?」
 綾乃の返答に眼を丸くした薫は、手にした鞄を椅子の上に置いて話の先を促した。その視線に甘えるように、綾乃は踏み出すはずだった足を止めて、今あった出来事をそのまま話した。
 すると、薫もやはり腑に落ちない顔で首を傾げた。そんな事で唐突に怒るような翔では無いのに、と。
「あー・・・でも」
「え?」
「うん、翔今回はちょっと頑張るみたいなこと言ってたから、順位がショックだったのかも」
「そうなんだ!?全然知らなかった・・・」
 綾乃は知らなかったことと、知らされてなかったことに少なからずショックを受けた。当然だけれど、翔とは学校でも毎日会うし話もするのに、薫は知っていて綾乃は知らなかった。
 言ってくれれば一緒に勉強とかしたのに。
 ―――――なんで、言ってくれなかったんだろう。
 少し落ち込んだ様子の綾乃に、薫はなんとも言いがたい顔をしてから軽く息を吐いた。
「ちょっと翔と話してくる」
「うん」
「綾乃が心配することじゃないと思うよ。ほら――――翔のところも、色々やっぱりあるみたいだし」
「家のこと?」
 綾乃が言うと、薫は小さく笑みを浮かべ曖昧に頷くと、生徒会室から出て行った。
 ―――――家のこととか、やっぱりあるんだ。
 それはきっと、自分にはわからない世界の事なのだろう。だから翔も何も言ってくれなかったのだろうか。
 取り残された綾乃は、そのままペタンと椅子に座り込んだ。
 大きな声で、翔に拒絶された様で少し心臓がドキドキした。
 本当は足も少し、ガクガクしていた。そうじゃないって、わかっているのに。
「大丈夫」
 翔は自分を無視して拒絶した彼らとは、違う。これは些細なきっと、喧嘩にもならないくらいの事に違いない、そう思う。思ってるのに、わかってるのに、翔の顔がいつもよりずっと怖くて。
 それに驚いて。
 大きな音にびっくりしてしまって、一瞬で蘇る記憶。どうして、そういう事は忘れてしまえないのだろう。そしたら、翔も飛び出していくほどの事にならなくて、自分もすぐに追いかけていけたのに。
 どうして、忘れてしまえないんだろう。
 ドキドキして、指先が少し震えてしまう自分が。
「なんで。」
 綾乃は手のひらをぎゅっと握って、机を思いっきり叩いた。
 大丈夫。
 わかってる。
 翔は友達だって。ずっと桐乃華に来て傍にいて、味方で友達でいてくれた人だって。
「――――」
 なのに。
 条件反射で怖がってしまった自分の心が。
 強くならなきゃ。
 強くなりたい。




 その頃薫は、たぶん屋上だろうとあたりをつけて上がると、やはり翔の姿があった。
 少し強めに吹いている風に、髪が乱されている。
「翔!」
「んーだよ」
 フェンスに背中を預けるように座り込んで空を見上げていた。空は、少しだけ雲っていた。両足投げ出したその格好に、不貞腐れた心情が窺える気がした。
「なに?どうしたのさ」
 薫も同じように座って、空を見た。
 曇っているけれど、雨は降りそうにはない。
「綾乃、18番だって」
「そうなんだ」
「お前は1番だろ」
「うん」
 チェっと翔の口から小さく漏れて、フェンスがガチャンと音をたてた。
「ちょっとは上がったんだろ?継続していけば上がっていくと思うよ」
 翔は何も言わず、ずっと空を見ている。
 空に鳥が2羽、飛んでいた。
「薫はさぁ―――――やっぱ外部?」
「まぁそのつもり。法科だからね」
「留学とかすんの?」
 一瞬心臓がドキっとしたけれど、薫はそんなこともおくびにも出さなかった。
「わかんないなぁ。興味はあるけど」
「親は?勧めてんじゃないの」
「まぁね。見聞を広めるのにいいだろうしって。ただ、まだ1年あるし、直ぐにどうこうって事は考えて無いよ。とりあえず日本の大学に入るつもり」
 そう言いながらも、行く事になるだろうなぁと薫はわかっていた。自分でも、それが自分にとってプラスになると分かっていたからだ。
 興味もあったし。
 でも、そうしたら透とは、もっとすれ違って行くんじゃないだろうかという、不安もある。
 もし失くしてしまったら。
「綾乃はどーすんだろうな」
 薫は翔の横顔をチラっと見た。
 翔が何を気にしているのか、少しはわかっているつもりだったけれど、それだけでは説明しきれないものも感じる。
 でも、薫のも言えない事があって、不安があって。
「どうなのかな。本人は大学に行く事を自体を迷ってるみたいだから、どこかなんて考えても無いんじゃないかな」
「なんで?行けばいいじゃん。頭もいいんだし」
 絡むような拗ねたような言い方に薫は眉を寄せた。
 翔らしくない。
「結局、綾乃はこのまま上なんじゃないかな」
 理事長が外部に行かせるとは思わないし、綾乃がそれを選択するとも思えなかったから。
「言っても、綾乃はやっぱり難しい立場なところもあるしさ」
 薫の言葉に、翔のぐっと言葉を飲み込んだ。
 何も考えずに、拗ねたり我侭を言ったりできない事は、知っているから。そして今の自分は、たぶん無条件に拗ねているんだと思える。それは、心のどこかで、親に甘えている気持ちも無いではない。
 親に甘えることを知っている、無条件で。
 綾乃はそうじゃない。
 生まれ今まで育ってきた環境は変えられないし、2年やそこらでは、どうしようもない事もあるから。
 翔は、さっき声を上げたときの綾乃の顔を思い出して、唇を噛んだ。
 くそっ、と小さく口の中でつぶやいて、頭を強くフェンスにぶつけると、ガシャンと大きな音が鳴る。
「なんか、あった?」
「別にそんなんじゃねーけど―――――俺はたぶんこのまま上がるし」
「そっか。ご両親と話したんだ?」
「別に、そうじゃねーけど。他の三流行ってもなんだし、――――期待もされてねーし」
「翔?」
 本当に、らしくない。
 確かに、透に寄せるような期待はされていないかもしれないけれど、でも両親は翔も透も同じくらい愛していると思うのに。
 翔もそれは、わかっていると思っていたのに。
 薫は眉を寄せて翔を見た。その視線を避けるかのように、翔は立ち上がった。
 つられて薫も立ち上がる。
「違う」
「何が?」
「薫や綾乃はさ――――――」
 言葉が途切れて、翔が先に歩き出す。
「翔?」
 振り返った翔が逆光の中振り返った。
「俺らって、友達だよな」
「もちろん」
 ギシっと薫の心臓が鳴る。
 眩しくて目を細めた薫からは、黒いシルエットにしか見えない。
「じゃあ、さ」
「ん?」
 沈黙が、怖い。
「―――――薫は、俺に」
「え?」
 グラウンドから、練習するサッカー部の大きな声が上がって、語尾が聞き取れなかった。
「なに!?聞こえなかった」
 心臓の音がうるさすぎて、聞こえない。
「っ――――なんもねーよ!」
 翔は叫んで、薫に背を向けた。
「翔!」
 薫の声は、ばたんと閉まる扉の音に掻き消された。
 はっとして、足が一歩出たのに。
 どうして、その背を追いかけられないのだろう、追いかけなきゃいけないとわかっているのに。
 翔の心のうちに抱えている苛立ちや焦りに気づいているのに、言え無い事があって、聞かれたくない事があって薫は一歩が踏み出せなかった。
 気づいてるの?それが聞けない。
 そんな自分に腹が立って悔しくて不甲斐なくて。
 拳を思いっきりフェンスにぶつけた。
 ガシャン!!という嫌な金属音は誰にも届かず、空しく消えた。
 ―――――ねぇ、翔。
 僕は翔のお兄さんと付き合ってます。
 大好きです。
 愛してる。
 誰よりも、何よりも、大切なんです。
 ―――――そう言ったら、認めてくれる?
 翔を傷つけない?幻滅させない?嫌われない?
 味方になってくれる?
「僕は」
 ずるい。
 最低だ。
 ―――――ご両親には、黙っててくれる?
 最低だ。




・・・・・・




 その夜は金曜日の夜。夕飯の後という事もあって雪人はおなかいっぱいで、全然やる気は出ないらしくふぁ〜と大きな欠伸をした。
「雪人?」
「ごめ・・・っ」
 途端に綾乃に怖い顔をされて雪人は手で口を押さえた。
 接待で遅くなるらしい雅人はまだ帰宅していなくて、せっかく羽を伸ばして綾乃と遊ぼうと思っていた雪人なのだが、残念ながら綾乃の考えは違ったらしい。
「明日は道場行って、ヤスくんと遊ぶんでしょ?」
「うん」
「だったらちゃんと宿題しておかないと」
「日曜日もあるしぃ」
「今日終わらせておいたら日曜日も気兼ねなく遊べるよ」
 宿題残ってても気兼ねなく遊ぶのにぃー・・・と、もごもご口の中言ってみる雪人だが、綾乃には聞こえなかったのか黙殺されたのか。
 目線で先を促す様は、口うるさいお兄ちゃんそのもの。
 雪人はちぇーっと心の中で呟きながら、視線を再びノートに戻した。
 算数はホントに嫌いなのだ。でも、5ページ先まで予習して問題を解いておかなければならない。土日のお休みの宿題を出すなんて、全然お休みじゃない。理不尽だ、と雪人は思ってみる。
 全然進まない雪人の横で、カツカツと音を立てながらシャーペンを滑らかに滑らしていく綾乃がちょっぴり恨めしくて、はぁーあと心の中でため息をつきながら、もう1度問題を読み返した。
 それから何分もたっていない時、不意に綾乃の携帯が鳴った。
「あ・・・、ちょっとごめんね」
「ううん!」
 目一杯嬉しそうに言う雪人に綾乃は少し眉を釣り上げたが、小言を言う前に電話に出なくては。
「もしもし?翔?」
『よう。――――今、いいか?』
「もちろん」
 電話越しの翔の声はいつも通りに感じられたし、綾乃も明るい声で答えた。
 翔はあの後、"怒鳴ってごめん"と言ってくれて、"ううん、こっちこそごめん"と謝って、一応普通に戻っていた。
 横目で雪人を見ると、シャーペンを置いて伸びをしている。
『あのさ、明日って時間ある?』
「えっ、あーと・・・、特に予定が無かったから道場でも行こうかなぁとか思ってたけど」
『そうか』
「うん。雪人の付き添いでね。でも全然時間作れるよ」
 その言葉に雪人がちょっと反応したけれど、前みたいに拗ねた顔は作らなかった。大人になったからなのか、新しい友人が出来たからなのかわからないけれど。
『じゃあ、俺も道場に顔出そうかな』
「ホント?みんな喜ぶよ。翔人気者だもん」
『――――そうでもないだろ』
 変な、間が空いた。
 ―――――なんだろう、この感じ・・・・・・
「何言ってんの。合宿の時凄いなつかれてたくせに。僕はお昼までには行く予定だけど翔は何時ごろくる?」
『そうだなぁ。稽古もあるんだっけ?』
「うん。稽古して、午後は遊ぶらしいよ」
『じゃあ、俺も早めに行く。その方が話も出来るだろうしな』
「わかった。じゃあ待ってる」
『おう。じゃあな』
 "あっ、"と声を発しそうになったけれど、その前に電話が切れてしまった。何の話があるのか、問い返そうとしたのに。
 ―――――なんだろう・・・・・・
 今日の午後の事?
 やっぱり言いたいこととかがあったのだろうか。翔はいつもと違っていた気がしたし。薫の言っていた、家の事?勉強の事・・・
 綾乃の脳裏に一瞬薫の顔が浮かぶ。
 もしかして、その事?
 本当に翔は何かに気づいているのだろうか。
 もしそうなら、僕はどうしたらいいのだろう。
 心臓が、ドクンと鳴った。
 そう思えば翔の声が少しばかり硬かったような気がしたのは気のせいだろうかと、綾乃はしばらく電話を見つめていると。
「綾ちゃん?」
「ん?あ、ごめん。――――なに?どっかわかんないとこあった?」
 誤魔化すように話を振ると、今度は雪人の顔が膨れた。












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