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―――――なんで僕がスタバでお茶なんかしてんだろ・・・・・・ 車を剛にマンションへ置いてきた由岐人は仕方なくタクシーで帰ろうかと思っていたのに、二人の所為で部屋にいられなくなったとごねる剛に押し切られ、何故かスタバで一緒にお茶している。 しかも、その前に映画にもつき合わされたのだ。それも今話題の恋愛映画。 「なにブーたれてんだよ」 ―――――何が悲しくて、こんなガキと恋愛映画なんて・・・・・・ 「んだよ?」 「別に・・・。ただよくあんなくさい話で泣けるなぁと思ってね」 「なんだよ?良かったじゃねーか」 「あんなの定番中の定番でしょう。好きなのにすれ違って、素直になれなくて別れて、何年か後に思い出の場所で再会するなんて話、今時カビが生えてるね」 由岐人は吐き捨てる様に言い捨てた。 由岐人にとっては本当にくだらない映画だったのだ。純愛とも言われているそのストーリーに虫唾が走る。あんな非現実的な話で泣ける人間の気が知れない。現実はもっと単純で打算的で、つまらないものなのだ。 「お前ねぇ・・・」 そんな由岐人の顔を見て、剛はそっとため息を吐いた。 「ちょっとは素直になれよ?」 「は!?」 しみじみと言われるその言葉を、一瞬目を見開いてしまい由岐人は鼻で笑う。そんなバカをみる人種にどうして自分がならなければならないのか、由岐人には理解できなかったのだ。 「じゃぁ、僕はこれで」 映画にもお茶にも付き合った。なんで言われるがままにここまで付き合ってしまったのか、本当に後悔しながら由岐人は席を立った。 「おい、待てよっ」 いきなり立ち上がった由岐人に、剛は慌てて席を立つ。しかし運の悪い事に、剛の後ろの通路を歩いていた人に椅子をぶつけてしまった。 剛が慌てて頭を下げている隙に由岐人は剛を置き去りにしてその身体を店外へと進めようとした、その出入り口。 「・・・ユキ?」 すれ違い様に呼ばれた太い声に聞き覚えを感じて、由岐人は反射的に顔を上げ、そこにある顔を認めて立ち止まってしまった自分を後悔した。 「林様。どうもご無沙汰しております。こんなところでお会いするなんて奇遇ですね」 「まったくだね、君はこういう店には出入りしないものだと思っていたのに」 それはこっちのセリフだと心の中で吐き捨てながらも、由岐人は穏やか笑顔を林に向ける。あまり噂の良くない金融屋の社長が、何故こんな昼日中から不釣合いなこんな場所にいるのか、あまり会いたくもなかった偶然に忌々しい思いが込み上げる。 「店にはいつ行ってもユキがいないから残念に思っていたのに、こんな偶然が待っているとは神に感謝したい気分だね」 ―――――お前に感謝されたい神なんかいるかっ さりげなく腰に回される手を、人を避けるフリをしながらかわす。もちろん営業用の笑顔も忘れない。由岐人がどれだけ嫌っていても、店にとっては上得意でこの社会である程度顔のきく男なのだ。 「これも何かのチャンスだ。是非夕飯を一緒にどうかね?」 由岐人がこの林と顔をあわせないのか、店に来ると自動的に由岐人に連絡が入る由岐人は林がいる間は絶対に店には近づかないからだ。 そんな事、とうに気がついているであろうに林は意に介さない様に由岐人を誘う。 「申し訳ありません、この後は約束があって」 「どうしても外せない約束なのか?このあいだ赤坂に出来たばかりのフレンチレストランを見つけてね。とてもおいしいと評判の店なんだ。是非ユキを連れて行きたいな」 さり気なく押し付けてくる身体に、由岐人は段々に逃げ場を失っていく。中年にしてはよく鍛えられた閉まった体躯、一見にはスマートな中年男性として魅力的にも写るだろうが、どうしてものそのまとわりつくような視線が気持ち悪い。蛇のような視線にさらされて、嫌悪感が込み上げ胃が一層むかむかしてくる。 「申し訳ありません」 それでも由岐人は笑顔を捨て去る事はしなかったのは、さすがというべきか。 「では明日はどうなんだ?」 「すいません、しばらくは約束が詰まってしまていて。細かいスケジュール管理は人に任せてるのでちょっとどの日が空いているのか今僕にもわからなくて――――ああ、すいません、もう行かないと」 どんどん迫ってくる身体の隙間ぎりぎりに由岐人は身体を横に滑らして逃げる。言外に今は何も決めれないと匂わせて、由岐人はここが潮時とばかりに引きとめる間も与えず身を翻した。 今度こそその身体を店外へ運んで。 もしかしたら追いかけてくるかもしれないと、足早に後ろも振り返らずに由岐人は歩いた。残暑の照りつける日差しとともに、嫌な汗がじわりと額に滲んできた時、その腕を捉えられて心臓が大きく跳ねた。 思わず顔も作れずに振り返る。 「ったく、待てよ!」 「・・・・・・っ・・・ああ、剛か・・・」 少しこわばっていた顔が自然と緩む。そのまま背後を見渡しても林の姿もそれらしい姿も捉える事は出来ず、ついては来なかったのだとホッとして、思っていたより自分が強張っていたことを気付かされた。 「んだよ、さっきの客?」 「まぁ―――そんなとこ」 林に気を取られてすっかり剛の存在を忘れていた。 「大丈夫か?」 「え?」 「顔、青いぜ」 「ああ」 確かに、指先も冷たくなっている気がする。 別に何をされたわけでもないのに、どうしても林のあの視線が由岐人は苦手で仕方がなかった。 「よくわかんねーけど、そんなに嫌で困ってるなら俺に助けくらい求めろよな」 「・・・はっ」 思わず由岐人の口から笑いが洩れる。何をどう助けを求めろと言うのだろう。林はただの客だ。自分でだって、この嫌悪してしまう原因もわからないただの客でしかなくて、そして自分は仮にもオーナーの立場なのだ。 その由岐人がただの学生に助けを求めることなどありえない。 いや、由岐人が誰かに助けを求めること自体がありえないのだ。それなのに、子供なのに、なにもわかってもいないこの発想。 「んでそこで笑うかなぁ」 「いや。―――ばかだなぁと思って」 言わなくてもいいとわかっている。 「は!?」 普段なら適当に笑って流してしまえる様な事なのに、由岐人は自分が自分でコントロールできないのか。 「ガキのくせに、何が出来るんだよ」 「―――っ」 突いて出た切りつけるような言葉。冷めた瞳。剛の顔も、思わず歪んで由岐人をねめつけている。 「じゃーね」 由岐人は、いまだに掴んでいる剛の手を振り解くために軽く腕をあげる。その腕が離れて、ここでバイバイ――――そんな、想像は容易にできるのに。由岐人の想像はいとも簡単にハズレて、剛の腕はしっかりと由岐人の腕を掴んだままだ。 「だから待てって。ったく―――――まぁ・・・いいや。なぁ、串揚げ食いに行こうぜ!!」 「はぁ?」 たった今睨みあっていた張り詰めた空気は一体どこへ行ってしまったのか、一瞬で吹き飛んで、緊張感のかけらもない剛の笑顔が由岐人の面前に広がる。 「じゃーんこれ見てくれよ?食べ放題2500円だぜ!」 言うなり剛は財布から割引券を由岐人の前に示した。その紙きれに由岐人は深いため息をもらした。 ―――――・・・2,500円って、ランチの値段だよね? 思わずでかかった言葉は懸命のも飲み込まれ、ムカムカしていた、イライラしていた、そんな気持ちが急速に萎えてしまう。きっとたぶん、呆れた所為だ。 剛はその沈黙を了承だと勝手に受け取って、掴んだままの由岐人の腕をひっぱって目的の店の方向へ勝手に歩き出した。 そしてその腕を、由岐人は振り払うことが出来なかった。 ・・・・・・ 花火大会当日。東京湾で行われるその花火大会は関東では夏1番の大きな物として有名で、それに比例するように多くの人も押し寄せた。 湾を見渡せる堤防には朝早くから人の姿が認められて、その近辺のホテルもほぼ満室という状態で、湾内にあるクルーザーなどにも人が多くみられた。 その湾から少し離れた場所にひっそりと浮かぶ船。 「はぁ・・・ああぁ・・・っ・・・」 大きさはそれほどでもないクルーザーの甲板に見える二つの人影。 長いすに横になっている姿が奇妙に揺れていた。そしてそのすぐ横に、ゆったりと座る人。 「んんっ・・・ふ、もぅ・・・やだぁ・・・・・・」 「反省した?」 ゆったり座る人、咲斗はにこりと笑って腰をくねらす響のわき腹にその指先を滑らす。たったそれだけの刺激で、限界に近い響の身体は大きく跳ねた。 「こんなトコにシミ作って。浴衣が濃い色で良かったよねぇ」 咲斗の指がそのシミの部分を指の腹でくりくりと強く押す。 「ひぃ・・・っ・・・」 響の手はおもわずその意地悪な咲斗の手を掴む。涙が浮かぶ瞳を咲斗に向けて、響は首を横に振る。 もうとうに響は限界だった。午後、家を出るときに入れられた小さめのバイブが、響の中で振動音を上げて続けている。普段は車のくせに、止めるところがないからとタクシーに乗せられ恥ずかしさともどかしい快感に震えて、船に乗せられてからはそのままずっと放置されて。 根元はしっかりと革製の紐で縛られて、イク事も出来ない。 「反省した?」 「うっ・・・・、勝手に、はぁ・・・決めた事はっ、ああ」 咲斗の手がするりと浴衣のあわせから滑り込んでくる。 「しかもバーだなんて」 「ふっ、だって・・・、ちょっとでも・・・知りたっ、ああぁ、くて―――っ、もうやだぁ・・・」 太股を刷り上げてくる咲斗の手の刺激にも耐え切れなくなった響は、とうとう涙をこぼしてしまう。反り返ったモノからはタラタラと雫が零れおち、限界を訴えている。 「はずしてぇ―――もう、イカせて・・・っ」 咲斗の浴衣をぎゅっと握り締めてふるふると首を振って訴える響に、咲斗は息を吐いた。 そもそも辞めると言えばこんな事はしなかった。今だって言えばすぐにでもイカせてあげると言ってるのに、それでも響は辞めるとは言わない。 少しでも咲斗の世界を覗きたい、知りたい。近づきたい。そう思ってくれた事に、言ってくれた事には咲斗に想像もできなかったくらいの喜びを教えてくれたけれど、それでも夜の世界の裏も表も知っているだけに、容易に了承は出来なかった。 それに、ちょっと責めればすぐに折れるんじゃないかと疑う気持ちもあった。その程度の思いじゃないのか、なんて思う気持ちも。 こんなにも意地っぱりだとは思わなかった。強い意思だったなんて――――― 「どうしても、辞めないの?」 「め、ないっ」 限界に全身を震わして耐えても、響は折れなかった。 その姿を咲斗は目を細めて愛でて、快感に苦しめられる響には気付かなかったけれど、咲斗はこの上ない嬉しそうな笑顔を向けていた。 自分の思いが、裏切られた事に。 「イキたい?」 せっかく綺麗に着付けた浴衣のあわせをめくって、反り返ったモノを外気にさらす。そこに指を絡めて撫で上げながら咲斗は聞くと、響は首を縦にガクガクと振った。 「仕方ないからバイトは認めてあげる。でも、もし何か危ないこととかあった時は、その時は辞めてもらうからね」 「・・・っ」 亀頭に少し爪を立てる。 「ひぃっ」 途端に背中が大きく跳ねて、響の手が咲斗の手へ重なっていくる。 「返事は?」 「ああっ!ぅ・・・はぁ、ぁぁぁっ」 胸元にも手をかけて、少し乱暴な仕草で大きく開く。あらわになった左の胸に舌を這わして、突起に歯を立ててやると、縋ったように響の手が咲斗の肩を掴む。 「返事は?」 突起を口に含んだままにしゃべれば、響が身体をくねらせて快感をやり過ごそうとする。しかし、中心を押さえられ、快感の全てを握られている状態で逃げ出す事は困難で。 「・・・っ、はい」 響は不本意ながらも返事を返すしか術がなかった。 もう出したい、イキたいということしか考えられなくなってくる。 不承不承とはいえ返事を返した響に、咲斗は満足したのかゆったりと笑う。 「花火まであと30分くらいかぁ。それまでは響の身体を眺めてようかな」 咲斗は反り返ったものから手を離して、スッと奥へと滑らす。こぼれた先走りが伝って落ちた所為で、後ろもすでに濡れている。昨日剛の家から帰って、散々虐められたソコ。そして今もバイブが入っている入り口をゆっくりその襞を確認するように指を滑らしていく。 「やぁ―――っ!ぁぁぁ、ああっ・・・・・・」 中のバイブを確認するかのように咲斗の指がゆっくりと中へ入り込んでくる。少し入った入り口を味わって、いきなり指を勧めるとすぐに指先がバイブに当った。 「あっ!・・・それ、とってぇ・・・っ」 響は無意識のうちに腰をくねらせて、中のバイブを咲斗の指に押し付ける。 「取って、どうするの?」 「・・・っ」 響は唇をきゅっと噛み締めて咲斗を見上げると、咲斗は意地の悪そうな笑みを浮かべて響を見下ろしていた。 「振動強めようか?今のままじゃゆるすぎてイケないでしょ?」 そう言うと、響の答えも待たずに太股にテープでつけてあったコントローラーを剥がして、スイッチを上げる。 「ひぃぃぃ―――っ、あああああぁぁぁぁ・・・・・・!!」 途端に響の背中が大きくしなって仰け反る。乱れさせた胸を惜しげもなくさらして、胸から喉へかける綺麗な肌を震わせている。 「やっ!とめ――・・・っ、とめてぇ―――っ」 無機質な容赦ない振動に追い上げられ、それでも縛られたソコは解放されない。身体の中で快感の波が行き場をなくして激しく渦巻いて、行っては戻ってくる波に何かがはじけた。 「あああああぁぁぁぁぁ・・・・・・っ」 感覚だけで、響はイってしまう。けれど、その欲望は吐き出されてはいないので、快感は終わりがなく、響は狂ったように腰を回した。 その痴態に満足したのか咲斗が振動を微弱にして。 「響?」 立たせた膝を自分の前に回さして、響の足の間に自分の身体を入れる。けれど、のしかかる事はしないで、座ったまま。 「はあ、もう、やぁっ・・・抜いて・・・」 「抜いて?」 「ちゃんと・・・イキたい」 吐き出されなかった快感は響の背中を今も駆け巡っている。縋るように咲斗の浴衣の端を、響の指先が握り締める。 「どうやって?自分でするの?」 どこまでも意地悪な咲斗に、赤く染まった瞳を向けて睨む響なのだが、色っぽすぎて迫力もなにもない。ただ、誘っているようにしか見えなくて。視線だけど先を促すと、響は小さく口を開いた。 「・・・ぃれて・・・」 「ん?」 聞こえないと咲斗が聞き返すと、涙に濡れた強い視線が返って来る。それでも、もう我慢の限界にきていた響は、はっきりと口を開いた。 「っ!―――っから、・・・そこに、咲斗さんの―――入れて・・・・・・」 真っ赤になって言う響がかわいすぎて、咲斗の顔に笑みが広がる。 咲斗はリモコンを引っ張って、中から勢いよくバイブを引っ張り出すと、そこに自分のモノを押し付け。 「ああああぁぁぁぁぁぁ―――――っ!」 響は、その何度やってもなれない衝撃に響が背中をそらす。 挿れながら咲斗は縛っていた紐を解いてやった瞬間、響の耐えて耐えていたものが一気に噴出して、黒い浴衣に白い白濁が飛び散る。 衝撃でぎゅっと締まったキツさに咲斗は顔をしかめながらも、無理矢理に押し込めていく。多少強引ではあった挿入だが、十分にならされたソコは傷をつくることなく飲み込んでいく。 強い快感の余韻にまだ響が浸って背中をビクビクと震わしているのに、咲斗は腰を大きくスライドさせだした。 中の感じるところをすりあげながら、奥に自身の欲望を叩きつけていく。その衝撃で響の身体がずり上がって、せっかくの浴衣は帯を残して残骸になってしまって。 腕が力なく投げ出されている。 「っ!ああっ!!」 なすがままに揺すられていた響を、咲斗がいきなりその腕を取って向かい合わせに座るような体勢を強いると、響は自分の重みで一気に奥まで貫かれる。そのまま下から突き上げられて、再び立ち上がった先が咲斗の浴衣にすれて、また新しい雫が零れ落ちていく。 「ああ・・・ぃ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「凄い、めちゃくちゃ締まるね」 あらわになった肩に、咲斗は軽く歯を立てると、響の背中が震える。そんな敏感な反応に目を細めて、赤い印をつけていく。 わざと目立つように首筋にも落としていく。 「もう、だめ・・・・・・っ」 普段は届かないような、最奥を激しく突きたてられて、響は快感に咲斗の背中に回した手が、せっかくの浴衣にいくつものしわを残して、爪が立てられる。 快感に首を横に振って、すがり付いてくる響に咲斗は笑みをもらして、腰を回しているタイミングに合わせて、感じる奥をひときわ大きな突き上げた。 「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・っ!!」 「響、愛してる・・・」 勃ちあがったモノに指を這わせ、強く扱きあげ。 「っ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 響は背中をそり返して2度目の精を飛び散らした。それと同時に中咲斗も、響の中にその精を叩きつける。 その感覚に響は背中を震わせながらぐたりと響は身体を咲斗に預けると、咲斗はゆっくり響の中から出ていく。 それと同時に、中に放たれたモノがたらりと垂れてきて、その感触に響が息を詰める。 そんな仕草に目細めて、咲斗はすばやく響と身体の位置を入れ替えて自身が長いすにゆったり座ると、その上に響の身体を抱きかかえた。 「ああああぁぁぁぁ―――・・・・・・っ!」 再び後ろからその身体を貫く。 「もうすぐ花火だから、こうやってれば一緒に見れる」 咲斗はそのまま響を後ろから抱き寄せる。 「だめ、抜いてぇ・・・」 真っ赤になりながら、力の入らない腕でなんとか抗おうとする響を、咲斗は意地悪くしたから腰を揺らした。 「んっ!」 それだけのことで、虐められ続け快感の中に居続けた身体は力を失くして咲斗の腕の中へと堕ちてしまう。 はだけた浴衣がひっかかる程度にあるだけとなった響の身体は裸体に近く、今更ながらに回りに船も人影もいないとはいえ恥ずかしさにいたたまれなくなる。 響はなんとか浴衣をひっぱり前を合わせて身体を隠そうとするのだが、咲斗は今度は響の足に腕を伸ばしてわざわざ膝を立たさせる。 「やだぁっ!」 「だめ」 閉じようとする響を腕で押さえて、その手で内股から足の付け根を愛撫すると、響は唇を噛み締めておとなしくなった。 「ほら」 僅かに起き上がった身体を、後ろから引き倒して咲斗は自分の身体へとしっかり沈めていくと、響は諦めたようにため息をついた。 その時大きな音が鳴り響いて。 「あ・・・綺麗」 夜空に大きな花火が舞い上がった。 1発、2発、と連続されてその美しさに響は見入っていく。連続して大きな華をひらかせて、光の筋を作って流れ落ちる様はとても美しい。 「綺麗だね」 「ん」 色とりどりのものよりも、単色系で大輪を作ったものの方が美しいと響は思った。なんだか、途中子供向けなのか、ドラえもんもどきなものやキティちゃんもどきのものがあるのが、なんとなく興ざめなところもあったのだが、そのなんともいえない変形ぶりは、笑ってしまった。 「来年も一緒に見れるといいなぁ・・・」 ふと頭をよぎった言葉を、響は考えもしないで呟く。 「・・・来年だけ?」 背後から、苦しいくらい強い力で抱き締められて、肩口に押し付けられる唇の感触。 「ううん。ずっとずーっと。おじいちゃんになるまでがいい」 たぶんまた喧嘩もする。泣くこともあるかもしれないし、つらいと思うことがあるかもしれない。けれど、それも全部含めて、乗り越えて、何十年先にも一緒にいたいと思っていた。 その甘い告白に、響の身体を抱く咲斗の腕の力が強くなって―――少し、震えた唇を何度も何度もその首筋から背中へと落とす。 いつしか舌が出てきて、背骨を舐め上げられる頃には、中に入ったものが硬度を持ち出してたまらず響は締め付けてしまう。 自身もゆっくりと勃ちあがって。 むずがゆいようなこしょばいような快感に響が震え出す。 「響・・・」 咲斗の手が、するりと内腿に滑り落ちてきて。 「ぁ・・・っ、んん・・・」 クライマックスに向かって連続して上がる花火の音に、響の甘い喘ぎ声は重なっていった。 |