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 ――――・・・っ、喉渇いたぁ・・・
 響は喉の渇きを覚えて目を覚ました。室内には、カーテンの僅かな隙間から日差しが洩れ入っていた。
 響は喉は渇いたもののまだ全身がだるくて、すぐに動く気になれずぼうっ・・・とする頭で見覚えのある天井を眺めていた。
 ―――――あれ?・・・ここ、寝室だ・・・・・・
 少し頭がすっきりしてきて周りをよく見ると、響はこの1週間ずっといたベッドの上に寝かされていた。後ろから、咲斗の抱きすくめられるようにして。
 それは、この1週間ですっかり慣れてきたいる腕の重み。
 ―――――ああ、咲斗さん、いつの間に帰ってきたんだろ?全然覚えてねぇ・・・
 響は昨夜自分がいつ眠りについたかすらもあんまり覚えていない。入れられたバイブの所為もあって1日中惰眠をむさぼってごろごろして過ごしたから。
 ―――――やっぱし、喉渇いた。
 響は我慢出来ずにそぉーっと咲斗の腕の中から這い出し、咲斗が起きていない事を確かめて、そっと部屋を出た。その時足の鎖が外されていることには気づいていなかった。
 キッチンに入り、当初の目的である水分補給の為に冷蔵庫を開けると、中には食材がぎっしり詰まっている。
「すっご、なんでもあるじゃん」
 肉、魚、野菜、乳製品に冷凍食品などなど、本当にまさになんでもある状態だ。それを見た途端、響のお腹が盛大に自己主張してきた。あまりに素直を反応に思わず笑ってしまう。
 ―――――そういえば、昨日の朝から何も食べてないんだ・・・
 昨日咲斗は出かけに響の中にバイブを入れて出て行った。入れられたそれは、少しでも動けば存在をリアルに主張し、響は1日苦しめられた。それでなくても快感に慣らされ、敏感になってしまっている状態ではトイレに立つ時もちょっと寝返りをうつときも、その存在と違和感を身体の奥に感じて。
 正直、その刺激に勃ってしまってイクにイケず身悶えてさえいたのだ。
 そうなってはもう動く事も億劫で、当然食事の用意などする気にもなれず、トイレ以外はソファで寝て過ごしてい たのだ。
 今はそのバイブも抜かれていたが、空腹の前にはそういうことに気づく思考回路がどこかへいってしまうらしい。
 ―――――あ、お米もちゃんとある。やった!
 響は基本的に和食派で朝もお米を食べたい人なのだ。パンなんて食べた気がしない。
 響はまず冷蔵庫のポカリをぐっと飲み、キッチン横にある風呂のスイッチを入れ、お風呂が沸くまでの間朝ごはんの準備をする事にした。
 ―――――あっと、その前に服、服。
 今、響は全裸だったのだ。この部屋に来た時は制服のままだったが、それを脱がされてからは服を着るような暇がなかったのだ。
 とりあえず響は咲斗の部屋のドアを開けたが、残念ながら自分の荷物は見当たらない。他の部屋も覗いてみたが何もない部屋が1室あっただけ。仕方がないので咲斗のクローゼットの中から無地の黒のTシャツを1枚拝借する事にした。
 ―――――さすがに、パンツは借りれないしなぁ・・・
 それでも諦めきれず、未使用の買い置きがないかと探してみるのだが見つからない。その上スエットパンツなど部屋着代わりになるような物もない。響はしぶしぶ諦めてTシャツ1枚で過ごす事にした。もっと探したかったのだが、今はこの盛大に鳴っている腹をなんとかする方が重大だったし、あんまり勝っ手に触っては怒られるのではないかとも思ったからだ。
 後で聞いて、無いなら買って貰おう。
 買ってもらおうと堂々と思っている辺りがなんとも神経が太いと思わざる得ない。
 そんな響はいそいそとTシャツを着てキッチンに戻り、早速米をとぎ炊飯器にセットする。次に冷蔵庫の中から、カレイの一夜干しを2枚と、きゅうりを取り出した。
 ―――――そういえば、咲斗さんって和食派なのかなぁ・・・朝はパンって感じなんだけど・・・ま、いいか、俺は和食が食べたいんだし。
 この1週間は咲斗が食事を用意していたのだが、和食洋食は半々だったような気がする。ま、自分の身体の事で手一杯で響はあまり覚えてないのが。
 響はカレイが冷凍状態だったので、とりあえず常温解凍するために取り出し、きゅうりは輪切りにしてわかめと合わせて酢の物にして、冷蔵庫へ入れておく。さらに豆腐とうす揚げの味噌汁を作ったところで、先にお風呂に入る事にした。
 昨夜は風呂に入れなかったし。
 朝入ったとはいえ、1日たてばやはり汗はかく。響はかなり浮かれた気分で、初めての一人という入浴をゆっくりまったりと楽しんだ。
 お気に入りのシャンプーとボディーソープもたっぷり使って身体と頭を洗い、顔もばしゃばしゃと洗顔料で洗った。湯船も広くて、手足を思いっきり伸ばして入った。
 それはもう本当に気持ちの良い朝風呂だった。
 ――――― 一人って最高っ!!
「ふわぁ―、気持ちよかったっ」
 風呂から上がった響は、すっきりさっぱりして気分も良く、いたく満足で鼻歌まじりに身体をふいていた、その時。
「うわぁっ!!」
 ガチャっと音がしたかと思ったら、振り返る間もなくいきなり後ろから抱きしめられた。
「えっ!?咲斗さん!?」
 鏡に映るのは、咲斗に抱きしめられた自分の姿。
「ここにいたのか」
 咲斗が腕に力を込めてくる。
「あ、うん・・・ってか痛い」
 強すぎる力に響が抗議の声を上げてみたのだが、綺麗さっぱり無視され腕の力は一向に弱まらない。それどころか、咲斗は無言で響を抱きしめ続けていた。
 咲斗は目を覚ましたら腕の中にいたはずの響はいなくて、慌てて飛び起きたのだ。一瞬、逃げたのかと思った。
 しかしキッチンはどう見ても朝ごはんの用意の途中状態。それならばと響の名を何度も呼んでみるのに、返事はない。一体どこにいるんだ!と、苛立ちを込めて奥のドアを開けたら、ご機嫌な鼻歌が聞こえた。
「ちょっ、咲斗さん、苦しいって!」
「・・・一緒に入ろうと思っていたのに」
「え、お風呂?」
「そう。まったく、これからは俺の目の前から勝手にいなくなるんじゃない。いいね?」
 ―――――本当に、一瞬心臓が止まるかと思った。
「だって、咲斗さん寝てたじゃん」
 ―――――逃げる気ならそこらにある服を着て、室内を探して金を取って逃げ出せた。
「起こせば良い」
 ―――――逃げたって、絶対捕まえるけど。
「えー」
「何?」
 その言葉に、響は途端に不満の声を上げる。
「俺、喉渇いて目が覚めて、なんか飲もうと思って起きただけだよ?まぁそれで冷蔵庫開けたら、お腹も減って来てご飯の用意もしたけど。あ、お風呂も入ったけど、それは昨夜入れなかったからさ。それだけなのに、いちいち起こすの?それに昨日帰ってくるの遅かったんだろ?したら、朝は起こさないように静かにしとくってもんでしょ?」
 この状況でいたく真っ当なことを主張ている響は、案外大物なのかもしれない。
「ありがとう、気を使ってくれるのはうれしいよ。優しいね響は」
 咲斗は嬉しそうに言うと、そのまま響の身体を反転させてその唇におはようのキスをする。
「ん・・・っ」
「でも、起こしてからにして。朝起きて、いきなり腕の中にいたはずの響がいないのはびっくりするから。いいね?もし、今度俺に断らないで俺の目の前からいなくなったら、お仕置きするから」
「はっ!?なんだよ、お仕置きって!!」
「じゃぁ、寝てる間中ベッドに縛り付けられてる方がいい?」
 にっこりと笑顔で聞かれる言葉は、絶対朝の清々しさには似つかわしくない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった」
 響はその会話に、とてとても不満そうな顔をして渋々頷いた。
 納得したわけじゃない。けど、咲斗はやるといえば絶対やるしだろうし、寝ている間中縛られるなんて最悪だ。それはどうしたって避けたいし、お仕置きも絶対されたくない。何をされるかわかったもんじゃない。
 ならばここは一回自分が折れるしかない。
 ―――――って、最初もそう思って納得した振りしたはずなのに・・・こんな状況だし、どうだろ俺・・・
 もうちょっと考えた方がいいかもしれないと思って、響は軽く気持ちが凹んでしまう。
「あ・・・それと、Tシャツ借りた。俺、服ないし」
「裸でいいのに」
「は!?絶対嫌!!俺は露出狂じゃねーの!!これでも目一杯妥協してるんだからな!それと、パンツとスエットの下でいいから部屋着になるようなもん、なんか買って」
「それはダメ」
 即答の、それも予想外の返事に響が目を剥く。
「なんで!!」
「目一杯妥協したらそれでいられるんでしょ?だったらそれでいいじゃない。脱がす手間もかからないし、それに中々色っぽい格好だしね」
 咲斗はにやっと笑う。
「っ!何オヤジみたいな事言ってるんだよ、そんなの絶対嫌だ!服くれ!!」
「じゃぁ、裸でいる?俺はどっちでもいいよ?」
「・・・・・・・・・・っ、卑怯者!!」
 響は真っ赤になって怒鳴り、自分を抱きしめていた腕を振り払い、代わりに手に持っていたバスタオルを咲斗の顔面めがけて思いっきり投げつけて出て行った。Tシャツを持っていく事も忘れずに。
「・・・かわいいなぁ」
 そのぷりぷり怒った様子に、咲斗は思わずにやけた顔で呟いた。あんな風に真っ赤になってすぐ怒って、でもまた笑う。表情がころころ変わる。
 あんなかわいい生き物を知らないと、咲斗は思う。あんなにかわいいのだと、知らなかった。あの時は、笑ったりしなかったから。
 偶然にも見つける事が出来て、手に入れた大切なもの。
 たとえ、自分が彼にとって忘れられてしまうくらいの存在でしかなかったとしても、欲しかった。
 由岐人には怒られたけど、あれが他の者に汚されるなんて我慢できるはずもない。新店オープンの為の8000万だったけど、そんなものは何も惜しくなかった。金ならまた溜めればいい。
 そんなものより響が欲しかった。8000万なんて安すぎると、腹さえ立った。
 憎まれても、嫌われても、好きと言って抱きしめあえなくても、愛してると言ってもらえなくても。自分には、必要な人だったから。

 愛されない関係しか築けなくても、きっと後悔はしない。





・・・・・





 それから数分後、響はやっと朝食にありついていた。目の前にはまさに和食の朝ごはん、カレイの一夜干しに味噌汁、酢の物に海苔、白いお米が湯気を立てている。
「和食で良かった?」
「うん。俺も和食好きだよ。自分で作るのは面倒で、いつもパンとかで済ませちゃうけど」
「なら良かった」
 響がホッとして笑う。
 ―――――って、別にホッとする必要ないよな。嫌なら食べなきゃいいんだし。
 そう思ってみるけれど、せっかくだし楽しく食べた方が良いかとも思う。どうにも置かれている状況にしては、響からは緊張感が欠けている。
「響は料理上手だね。てっきり何も出来ないと思ってたけど」
 咲斗はサラッと失礼な事を口にするが、確かに18やそこらの男の子が魚を焼けるだけでも驚きに値するのかもしれない。
「まぁ・・・、必要に迫られて、かな」
「必要に迫られてって、だって実家でしょ?お母さんが作ってくれないの?」
「普段は作ってくれるけど・・・・」
「けど?」
「ん・・・あの、俺はさ母さんの連れ子なんだよね。弟は二人の間の子だけど。だからさ、なんていうの、俺は部外者だったわけよ。あっちは3人家族のつもりだったから。だから、普段家族で外食するとか遊び行くとか旅行とか、俺は行けなかったのね。そういう時は自力でなんか作んないと、俺も腹減るし」
 響の言葉に咲斗の目が僅かに見開かれた。響が連れ子で父親と血が繋がっていないのは知っていたが、詳しくは身辺調査をしていなかったのだ。
 していなかったというか、時間がなくてそこまでまだ出来ていなかったというのが本当なのだが。
「・・・一緒には、行こうとはならないの?」
「まぁ・・・ね。でも、ほらそのおかげで、こういう時困らない」
 ね、と響が無理して笑うから、咲斗もそれ以上は聞かず、そうだねと笑い返した。
 本当は、咲斗はもう少し詳しく聞きたかったけど、それを響に無理強いしようとは思わなかった。言いたくない事を無理に聞きだして嫌な思いをさせるのは、本意ではない。
 調べさせせればすむ事。
「あ、洗濯とかも出来るし、なんかあったら出しといてよ」
「ありがと。でも無理しなくてもいいよ?身体、まだしんどいんじゃない?」
「っ・・・昨日、一日ごろごろしたから、平気」
 響はこういう話題をふられると、途端に顔が赤くなる。そこがかわいくて、ついつい咲斗は話題をふってしまうのだが、その事にまったく響は気付いてない。
「そう?でもまだ腰とか・・・」
「出勤時間っ、いいの?」
 さらに言い募ろうとする咲斗の言葉を、赤くなった響が口を挟む。
「あっ!そうだった。今朝はのんびりしてられないんだった」
「忙しいの?」
 とにかく会話を変えようと思って言ってみただけの言葉に、思わぬ反応が返って来て今度は響が驚いた。
「うん、まぁ1週間休んだツケがね溜まった。後1時間もしたら由岐人が迎えに来るんだ」
 すっかり忘れていたらしく慌てて言うと、咲斗は残っていた朝食を平らげて席を立った。
「由岐人って?」
「弟。ごめん、先シャワー浴びてくるっ」
 咲斗はそう言うと、そのまま走って浴室に駆け込んでいく。
「あ・・・」
 返事をする暇もない。
 ―――――なんかああいうの、ちょっとかわいい。・・・かわいいとか言うと怒られそうだけど。
 続いて、響も食事を終え、使ったお皿や調理器などを洗いにかかった。
 ―――――咲斗さんの弟って、どんな人なんだろ?
 やっぱりホストなんだろうなぁ、とは思うものの、響にはまだまだ咲斗自体がどんな人なのかも、あまりわかっていなかった。連れて来られたこの部屋も、マンションのワンフロア分で豪華な物だし、家具類もセンスの良いものが揃っている。着ている服やアクセもセンスが良くて、響が普段目にしてた安物とは全然違う事がわかる。
 それに、響を買うために8000万も出したのだ。
 ―――――ホストクラブ経営ってそんなに儲かるのかな?
 弟と共同経営とかってやつだろうかと考えて、ふと思いがいたる。考えたくないしそれは嫌だけれど、咲斗はセックスの相手のために自分を買ったのだ。という事は――――・・・・・・もしや・・・・・・
「どうしたのっ!?」
「えっ、咲斗さん!何、もう出てきたの?」
「何、赤くなってるの?」
 咲斗は、あんまり響を一人にしときたくなくて慌てて出てきたのだが、出てきてみたら何故か響は何故か赤くなっている。
「え!?あ、赤くなんか・・・っ」
「なってる。なんで?」
 慌てたように首を横に振って誤魔化そうとする姿は間違いなく怪しくて。咲斗は、食器を洗っている響の身体を反転させ、流し台に押し付けた。逃げられないようにしながら、片足を響の足の間に割り込ませる。
「ちょっ・・」
 その腰に手を回し、膝を立てて軽く股間をこすりあげる。
「んっ・・・や!やだ、なにっ」
「響、赤くなってた理由を言いなさい」
「なってないっ!」
 素直に口にしない響に、咲斗はさらに響の腰を揺すりあげる。
「あぁっ!・・・だめっ・・・!」
「響、昨日つらくなかった?また、今日も同じ事されたいの?」
 響の耳元で、息を吹きかけるように囁く。
「いやっ」
「じゃぁ、言いなさい。それとも、俺には言えない様な事考えてたの?」
 言えない様な事じゃないけど、言いたくない。言いたくないけど、言わないと・・・・・・
 響はそっと上目使いで咲斗を盗み見ると、まっすぐに自分を見下ろす冷たい瞳とぶつかった。さっきまでの、優しい瞳じゃない、冷めた瞳。脅し文句よりも何よりも、その瞳の色が響は嫌で、しぶしぶ口を開く。
「・・・その、咲斗さんの弟ってどんな人、かな、って・・・んっ・・考え、て」
 自分の腿に響のモノをこすり付け、さらに背中に手を入れなで上げる。
「それで?弟の事考えて赤くなってたの?弟にもシテ欲しいの?」
「なっ!!違う、なんでそんな話になんだよっ」
「じゃあなんで赤くなってたの?」
 咲斗はいらいらして、さらにもう一方の手を後ろの蕾付近に進め、その入り口をゆっくりさする。途端に響の背中がビクっと震えた。
「ひぃっ・・・そのっ由岐人さん、にも、いっ・・・僕みたいな人、いるのかなって、おもっ・・・ああ・・・んっ、その、人とも・・・ふぅ、いやぁ、指入れないで・・・あぁ、だめぇ・・・・・・」
「それで?」
 咲斗の舌が首筋をなめて、新しい印を刻んでいく。
「はぁっ、もうやめて・・・っ」
「響」
 咲斗は、響が最後まで言うまで許す気はなかった。本気で弟との浮気を疑ったわけではないけど、自分以外のことに思考を巡らせて、顔を赤くさせるのが許せないのだ。自分以外の事なんて、考えられなくさせたい。考えなくていいとさえ思う。
 そうじゃなければ、嫉妬でどうにかなってしまいそうだった。
「っから、その、人とも。んんっ・・・はぁん・・・ふぅ・・・・・・あんな事とか、も、してるっ、の・・・かなぁ・・・って、思っ、いぃっ――・・・っなんか、思い、出して・・ああぁぁ――・・・・・・っ」
 響は、切れ切れに告白した。昼日中の台所で、自分の痴態と快感を思い出していた事を。それに顔を赤らめていたのだと。
「っ・・・も、いいだろっ・・・・・・・っ!」
 こんな事を告白させられるのは死ぬほど恥ずかしい。赤くなっていたって知らん顔してくれたらいいのに、こんな事して言わすなんて――――最低だと思った。
「なんだ、そうなんだ。てっきり弟とのHでも想像してたのかと」
「するかっ!!第一どんな奴かも知らないのに、どうやって何を想像するんだよっ」
「え、だって、」
「もうっ、離せ!!」
「・・・兄さん」
 台所で揉めている二人の後ろに、ふいに第3者の声が混じった。
「由岐人」
 キッチンに通じる廊下に、男が立っていた。
 でも、その顔が、そこにあったのは、咲斗と同じ顔だった。
「え、――――――双子!?」






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