第零話 逃亡

0-1:レヴィーナ<Rv-side>

久々の大地にボクは立っていた

ボク?

ボクはレヴィーナ。

数日、数ヶ月、いや数年かもしれない

とある研究所に連れてこられ

つい数時間前までそこで暮らしていた

数時間前カイジミチアキと名乗るお兄さんに連れてこられて
ボクは地面に降り立った

お兄さんがいなくなると

どこからも無く一気に沸いてきた兵士姿の人たちが

ボクを囲む

訓練はされているかもしれないけど

今のボクにはただスローモーションにしか見えない

たくさんの発砲音が聞こえるが

ボクは一つ一つの弾幕の隙間を潜り抜ける

ボクを中心に超速の空間が出来上がり

銃弾の弾道が変わり、兵士へと還っていく

発砲音が止み弾幕と煙が晴れるとそこは

血に染まる地面

ボクはただその中を歩く

死にそうになりながら声を上げてるのは

地面に倒れる愚かな兵士たち

銃を構え、そして再発砲により自爆する兵士

ボクは悪くない。

ただ、生きたいだけだよ

目の前の障害を取り除くだけ

(銃なんかじゃなく、かかってくればいいのに)

と思うが、

返り血で血まみれの服に触れようとするものはなく
遠くから攻撃し、自爆をするものだけである

攻撃が逆効果であることを悟るとその場から逃げ出す兵士

そして夜があけてくるに従い兵士はあきらめて行き

日が昇り始めると、ほとんどの兵士は撤収していた

入れ替わりに来たのはカメラを持った人々であった。

バシャ、バシャっと私を撮影する人たち

何か露出の高い少女の人形をボクの手に持たせる

「オタの女性が気が狂って銃を乱射している現場です」

まったく、よくわからない音声が飛び交うが

それにしても腕章をつけカメラを持った人々は

ボクを見ても恐れないので

不思議な気分だ

寧ろ研究所で恐れられながら生活していたのがうそのようだ

これが外の世界なのか?

ボクはそう思う。

ふと、マイクがこちらに向いた。

「貴女お名前は?」

そう訊ねられたので

ボクは答えた

「レヴィーナ」と。

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