第1話 榊原と海路

1.2:榊原と海路

時は少し戻る
依頼が1日に集中して超勤となり
事務所の周りの電燈も徐々に消え、夜もふけてきた
そうして0:30を過ぎたあたりで
私は空腹を感じ、仕事を切り上げることにした

ふと、買い物へ出ようと外を見ると
窓の外で何かが点滅するのが見えた

私は疲れたかなと一瞬そうおもったが
少し経ってまた光るのを見ると
職業柄か、若しくは好奇心か
その現場を見るため
事務所のドアを空け
外へと駆け出していた

降水確率0%の予想にもかかわらず
光の中心に向かうにしたがって
ぽつり、ぽつりと雨が降り始め
光の近辺にたどり着くと土砂降りであった

(気象予報士石乃屋の天気予報だ、あてにならないな)

と関係ないことを考えつつ
身に付けていた折り畳みの傘をさし
私はついに現地へと到着した
奥に入るには、一足遅かったらしく
すでにそこには虎ロープが張られていた
何とか状況を聞こうと
ロープ付近に待機していた青い制服の老人に尋ねた

「何か事件があったのですか?」

「ああ、ひどいもんさ
これをみてみぃ、」

制服の老人は道路わきの溝を指差した
本来なら雨水が流れるその場所は
赤黒く濁った水が流れていた

「殺人・・・ですか」

私は老人にストレートにきいてみた

「まぁ、ひどいものじゃ
服からみるに2人の男性の後があり、
服から血が湧き出てるのじゃ
そして倒れてた位置からすぐの排水管には まだ大量の血液が流れ出ているから
おまえさんは見ないほうがええ。」

仕事柄かついつい私はメモをとっていた
その様子にをみて老人は

「おまえさん新聞記者か?」

と少し慌てた様子で聴かれたので私は名刺を渡した
-榊原探偵社 榊原 静雫(さかきばら しずく)-

「あぁ、売れっ子の小説家で副業探偵の〜」

私はそれを聞くとがくりときた。

「あの〜、本業は探偵です・・・」

「まぁ、世間では探偵より小説家で通ってるのだからそれでええじゃないか」

と老人は笑っていた

「そうだ、うちの孫が大ファンで
助手として勤めてみたいといっていたがどうかね?」

「探偵助手としてなら承諾しても」

「あぁ〜、それなら平気じゃよ。あの子も探偵の方に興味があるみたいじゃからの
まぁ、明日に名刺の住所に行くようにメールでも」

そういうと老人は綺麗な指裁きでメールを送信した。

「はぁ、まぁまだ採用するかは決まってませんけどね
あ、そろそろ野次馬も済みましたので。
私はこの辺で失礼しますね」

そういうと私は帰路へと足を向けた

「おっ、そうじゃわしの孫は海路はるかっつーこじゃから
よろしくたのむぞ」

空腹もあってか私は
あ〜はいはいといったかんじで半分聞き流しながら
家に着いた頃には時計の針は3:00をさしていた
                   ☆
ドンドンドン!!

「借金鳥に追われるようなことはしてないはずだが・・・」

と榊原はつぶやき、ドアのほうへ向かった

「おっはよございます〜」

元気な少年・少女と呼べるくらいの高い声に
私は寝ぼけ状態からさめ、目を覚ました
目覚ましを見ると朝まだ6:00
まだ私は3時間しか寝ていないのだぞ
とちょっと不機嫌に感じながら
私はは寝巻き姿のままドアを開けた

「おはよーございます!!先生。
海路はるかと申しますがよろしくおねがいします」

と私と海路くんの出会いはこれが始まりであった。
そんなこんなで海路君がうちに来てからというもの
じめっとした探偵事務所が明るい雰囲気に変化していったのであった


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