第1話 榊原と海路

1.3:うろつく者

「・・・い、・・・先生」

私が回想にふけっていたうちに
海路君が戻ってきた。

「お待たせいたしました特製のお茶ですよ」

「そういえば、持ってくるといっていたね」

「仕事忙しいからといって
ちょっと前のことをお忘れになるものどうかとおもいますね」

(あぁ、私としたことが
ちょっとボケてしまったのかな)

私は少し顔を濁し
ほんの少しだけお茶を口にし作業に戻った。
そして作業に入りすこし進み始めると
ピンポーンと
作業を阻害する不快なインターフォンが聞こえてきた

「こんにちは〜、榊原様、日本郵便詩雪音(しゅね)です。書留をお届けに参りました」

「ちょっと手が離せないので海路君出てくれないかね、判子はそこにある」

と私は海路君を呼んだが

「あの〜、恐れ入りますが。本人限定郵便なので・・・」

と結局は私が出ることになった。
ふとサインをしながら私は思い出していた

(そういえば、事件のファイルを七日警の田村に頼んでいたのだったな・・・)

受け取った後、この時期から年賀の申し込み書などを渡されたが
私はいらついていたため中身を見ずにゴミ箱へと捨てた
サインを終えた後で、
海路君が不機嫌な顔ですねといってたので

「作業を邪魔されたからだ」

とぶっきらぼうに答えた
そして私は、気を取り直し作業に入った
郵便屋が朝早く来たのは覚えているが
それから時間がだいぶ過ぎ、昼、夜が過ぎ
ボーン、ボーンと
時計の音が朝2時がきたことを知らせた
そして、それが目印であったかのごとく
私は完成したノートを海路に手渡した

「これを田村に渡してくれないか」

「もしかして何か手がかりが?」

私はノートを再び手に戻し、事件の書かれてるページを開いた

「あぁ、由比ヶ浜の事件とつながりがあるみたいだ」

「由比ヶ浜の事件っていうと神隠しの?」

「うむ、そこに落ちてたトランプが七日市の事件の開始と同じ時期だったからね」

「同じ時期で同じトランプつながりだからですね」

「ていっても事件の推定時刻もぴったしだから複数の犯人の可能性も」

「はぁ・・・」

ピンポーン

「ぉーい、田村だ」

「先生、来ましたよ」

説明途中であったがノートを来訪者に渡すよう海路君に再び手渡した

「こんな真夜中に呼び出してごめんなさい。
田村さんそれでは、これがいつものノートです」

海路君がノートを田村に渡してる間に
私は事件の書類を机の周りを片付け
小説を書くためにノートパソコンを机の引出しから取り出した
電源を入れ、さっとPassとIDをいれると
かに道楽の壁紙が出て
文書ソフトの虎次郎が開かれた
スタートアップに入れていたので
すぐに作業が開始となっていた
そしてふと左下のサーバーメールアイコンが点滅しているのに気付いた。
Lokiサーバーにメールが届いております

「From:うろつくもの To榊原 静雫先生
貴方の調べてる事件
についてのSS」

(添付メールか・・・)

私はウィルス可能性も考え
添付ファイルをネットカフェで開くことにした

(そういえば外出も久しぶりだ。)

私はふと思いながらも外に出ようとした。
そのとき左斜め下から着物の裾をつかむ海路君の姿があった

(私を連れて行ってはくれないのですか?)

とでも言う目で見ていたので
海路君の頭をなでながら

「留守を頼む」

と言った
すると、海路君はぷぅ〜っと頬を膨らませて
怒ってしまった

「まぁ、何かあっても海路君ならお留守番役くとしてもてきにんですし
お土産ちゃんと買ってきますから」

海路君はお土産という言葉に反応して機嫌を直してくれたようでした
そして私は”うろつくもの”のメールを調べるために
ネットカフェへと向かうため事務所を後にした


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