第1話 榊原と海路

1.4:ネットカフェ

久しぶりに街に出ると
街はずいぶんと都会染みた絵になっていた
万博が北東の愛知県で開かれるとかで
ここもそのお客のおこぼれをいただこうと必死になってるように思えた
1週間のうちに変わってしまった風景をあらかた楽しむと
私はネットカフェへと足を運んだ

「いらっしゃいませ〜」

と元気な声で店員さんが声をかけてくれた
わたしは軽く礼をするとネットカフェのレジの横を素通りして
オーナーこと鈴さんのいる部屋のドアを叩いた
前からだが、ここのオーナ”鈴 花那(リン ファナ)”穣は
どこからともなく情報を仕入れてくれるので
頼もしい姉さんのようにも感じられる
「オーナー、榊原です。」

「ちょっと今手が離せないのよね、鍵は開いてるので
はいってそこに腰掛けてまってて」

ちょうどオーナーは作業中だったらしい
「それでは少し待たせてもらいますね」
と私は椅子に座り本棚の雑誌を手にとってみた

(萌・・・え・・・?)

「シー君?まさか除き見はしてないわよね」

「あぁ・・・」

(昔から多趣味であったがここまで手を出してるとは・・・)

手に取った本を元の場所に戻し、読めそうな本を探してるうちに
オーナーは作業が終わったようであった

「シー君?、待った?」

「いえ、たいした時間ではなかったですし」

「で、事件の方はどう?」

「今日はその件でこちらに来ました」

「んーいつもながら堅いわね
そんな堅いとはるかちゃんに嫌われちゃうぞ、
それはそうと用事は何?」

「調査を進めている間に危ないファイルを見つけてしまって」

「ここで開かせてほしいということね」

「えぇ。何かあったときの保障は、田村にということで」

「相変わらず、田村さんは苦労人ですわね。」

「こちらも奥様の件でも協力差し上げてますので
で、鈴さん。
了解ということでいいかな?」

「まぁね、何かあったら田村さんだし。
それはそうと今度で田村さんの奥様が家出したのは何度目〜?」

「15・6度目だったかな・・・、
奥様自体曰く旅行で1週間あけたくらいで探偵使うなと
私としては、いい仕事になるからいいが」

「さて、雑談もこの辺で。私も仕事中だし」

「鈴さんも小説を?」

「んー、読むものとしてはあってるけど
私のはイラスト。
自費出版のオリジナルの冊子ってトコ
締め切りが近いから気合入れなくっちゃ
そういうわけで悪いわねしー君
あとはセルフサービス」

「ああ、まだ事件は解決してないが、先に御礼言っておくよ」

「まぁ、私としても普通に仕事で提供してるだけだし」

「そういってくれると助かる
とりあえず、何か進展次第奢らせてくれ」

「あぁ。それじゃ、雪華亭の焼肉食べ放題で頼むわ。」

そんな感じで関係ない会話も混ざりつつ
私はオーナの部屋を出て
デスクトップに向かいメールを開いた

Lokiサーバーにメールが届いております

「From:うろつくもの To榊原 静雫先生
貴方の調べてる事件。
についてのSS」

「From:海路はるか To榊原 静雫先生
今日の晩御飯なににいたしますか?」

以上2件が届いております

(仕事中携帯使わないのを海路君に見破られてるな・・・)

とふと2件目のメールを見て即座に返信する

「From:榊原 静雫 To海路はるか君
冷やし中華を頼みたい。」

どうもそっけなくなってしまうが私は簡潔に返信した

(そして、問題のあのメールか・・・)

(うろつくもの・・・、か・・・)

私はドキドキしながらメールの添付ファイルにカーソルを合わせた

fin*rake_love.jpg(512kb)

本当に心当たりすらないファイルであったが
私は思い切って開いてみた

(ひらいてみるがままよ!)

と出てきたのは真っ白い翼の少女の画像であった
その少女は一人であったが色々な角度から撮られていた
そして、画像の下のほうに
こう書かれていた

#挑戦状#
Aliceより
私をさがしてください
貴方が探してる事件の鍵は私。
そして1つ目の鍵”うろつくもの”を貴方に。

とりあえず画像自体は何もなかったが、
メッセージがとても重要に思えて見えた

(とりあえず安心したところで帰るかな)

私はとりあえず再びオーナーに挨拶をして
何事もないことを報告し帰路へついた。

そして帰ってポストをあけると、
人をかたどったキーホルダが2つポストの中に入っていたのであった




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