第1話 2つの意志

1-1:Akira1

1. AD2XXX・7・14 深夜・道内某所

「ドア閉まります〜」
車掌の声がほぼ無人の駅にただ響いていた
ゆっくりとガタンという音と共にその電車は動き始めた
深夜の上り電車というのもあってか車内には数名しかのってはいなかった

―――――ボクはなぜココに―――――
そして、ボクは誰?―――――

普段考えもしないようなことがうかび
そして意識を確かめる為次の駅で降りようとボクは試みた
ウゴカナイ・・・
金縛り?
でも風景は見えてる・・・
夢?
そう思い、力強く握った手からは
かすかに血がにじみ出ていた
ボクはこの異常な車内から降りようと
非常スイッチに手を伸ばしてみた・・・

スイッチ自体は軽く押せた筈であった・・・
しかしドアの反応は無く
まったく動きを見せなかった
その間にもただ周りの景色が速度を上げて進んでいく・・・

「わぁ”!!〜〜〜〜がぁ”!!!〜〜〜〜%&$!!」

ボクは周りに聞こえすぎるような大声で叫んだ
しかし、声はかき消されただけであった

そしてボクはそのばに腰が抜けてすわりこんでいた。。。

―――五月蝿い。。。

どこからともなく”声”が聞こえてきた
声の主を見上げると
其処には紅い目の少女がいた。
ぱっと見て気づかなかったが
その少女は妹のシノにかすかに似ていた
少女の手はボクの胸に伸び
ボクのカラダに触れるか触れないかのトコで
魂を抜き取るかのような動作をした、
その動作につられたのか
ボクは浮いた感覚を覚え
そこで意識を失ってしまった・・・

2. AD2XXX・7・15 朝・港川家

チュン、チュッチュン
すずめの声が聞こえる
ボクは悪夢の所為かハァハァと息遣いをし
汗ぐっしょりの状態で起きあがった
「はぁはぁうるさいぞ〜!こっの馬鹿兄〜」
ベッドから起きあがった其処にはハリセンが・・・
ばたんきゅぅ〜
僕は再び眠りへと・・

「つくな〜」

バシッ!!
倒れようとしたそこにまたハリセン

「なにしやが・・」

っと其処にはオニが立っていた

「誰がオニですって〜(怒)」

全部聞こえていたらしい というより僕は正直だから全て口に出てしまうらしい

「で、紫乃。いきなりはいってきてはりせんはないだろ・・・」

「だっておきないんですもの」

何気ない日常の会話。
そう、これが普通なのだ
昨日のは夢。
そう 夢なのだ
そう心に言い聞かせていた

「ぉい。。。
兄〜
いきてるか〜」

調子に乗りすぎたとばかり紫乃はボクをわずかに気遣う
ただボクはボーっとしていただけなのに

「あ、あぁ・・・」

「まったく、昨日の地震で起こされてねむねむなのはわかりますが
このしのたんの声で起きないのは犯罪ですよ〜」

「地震?そんなゆれてたべか?」

「なーにボケてるのぉ、朝早くに道南の方で震度6+、ここ新永山でも震度3
札幌なんかが大変になってたってHNTのニュースでやってたでしょ
首都圏の地下鉄なんてタイヤ外れて朝から動かないとか
まぁ震度3の地震だし兄ぃならねてられるかもね
それじゃ、私は学校あるから。
とっととおきて兄ぃもいってきぃ。」

「あぁ・・・」

おっとメガネメガネ。
僕はやる気のない返事で階下へ降りラップされたごはんを急いで平らげ
そのまま外へと出かけた。
午前8時・・・
紫乃の学校はとうきび畑を越えてすぐのとこだが、
僕の学校は自転車で1h、30km先の庁境にあるので
この時間でも30分遅刻だった
自主休校も考えたが、部活のPC研に出てみるのも悪くないし
渋々自転車に乗った。
そうそう、僕の名前は港川明(みなとがわあきら)
北鉄高校3年生
両親は海外の研究所に夫婦そろって出かけている
何でも、紫乃がしっかりしてるから問題ないとかって
兄妹二人をおいてまったくといった感じだ
で、先ほど起こしてくれてたのが妹の紫乃
学校が最近の出来事(さっきの地震のはなしとかで)
紫乃の方が休みなので家事を任せてる感じ
といってもボクも何もしないわけではないけど
気づいたらそうなってしまってたって感じ
まぁ、そんな感じな日常のなか
遅刻常習犯のボクが学校に着いた頃には
予想以上の記録
まぁ夏休み近くで2時間道内の時計が進んでいたのに
気づか無かったのが一因ですけど
2h30の遅刻・・・。
こっぴどく担任の熊先生に怒られたのでした

「おーい港川」

いつものように前半の睡眠学習を終え、食事休憩に入ろうとしたトコで呼びかけられた

「なんだ沙加太か。」

眠い頭をうごかしゆっくりと後ろを振り向くとそこにはいつものがいた

―沙加太康平―

ボクと同じ北鉄高校3年
一言でいうとオタ。
フィギアからコミックからまぁコスプレまでありの変人
もちろん札幌付近のメイドカフェやらに出没しそうな感じである
実質チラシをこの前ボクの机に持ってきてたが・・・
まぁ、悪いやつじゃないが周りを気にしなさすぎってトコもある。

「どうせ地震の話題だろ、僕は寝てたから分からないけどな」

「だー、かって決めつけるなー。空族船隊レインボ・・」

バシッ。
ボクだけが知らない地震の話に辟易していたので
あまり聴こうとせず
沙加太を邪険に扱っていたのだが
それ以上にしょうも無い話・・・
そう来るとは思ってもいなかったが所詮沙加太。
また場違いな話を持ってくるなとばかり
ボクは言い終わらないうちに沙加太の頭に教科書をぶつけた

(まぁ、地震の話されても教科書ぶつけるけど)

「だ・か・ら、僕は戦隊物は分からんっていってるじゃろが!」

昔、自由研究でうちにこいつが遊びにきたとき、たまたまついてたTVが戦隊物で
それ以来こいつに戦隊物好きの同士と呼ばれるようになっていたのだ

「またまた〜、そんなこといって。実は神風グリーンのフィギアとがぁ」

「だ・か・ら、おまえと同じにするな」

こいつは、あくまでこっちの方向に連れてこようとするのか・・・
まぁ、オタって以外は害のない奴だとおもう(タブン・・・)
ついでにコイツに釣られて
僕もある程度の本を買出しに連れ出されたりだけどね
おーい、沙加太。図書室の本冊数合わないぞ〜
それと港川、沙加太じゃ仕事遅いからおまえもこいな。

前言撤回。

やっぱりこいつはろくなものを連れてこない・・・
と貴重な食事休憩の時間が沙加太と本の整理で終わってしまった。
そして再び睡眠学習へと・・・
バシッ。(しかもそれ僕の教科書)
入るな〜といわんばかりの突込みが後ろから来た
ただでさえ沙加太に貴重な時間を潰されたと思ったら今度は委員長か・・・

「出てけ・・・」

「ぇ?」

「着替えられんだろが(怒」

「あぁ、ご自由に。」

「馬鹿アキラ!!」

バシッ。(しかもそれまた僕の教科書)
そしてそのまま首根っこをつかまれ
教室の外に追い出された
まぁ、こうして僕の寝場所が屋上へと追いやられた。

−放課後・生徒会室−
「おはよ〜」
僕はのーんびりと生徒会室に顔を出した
と生徒会室に入ろうとしたとき
グラッ!と軽い地震の揺れが来た
急いで生徒会室のTVに全員が集まった
朝に続いてのニュース。
今度はボクでも地震ネタについていけるさ
とそんな余裕な感じでもなかった
ここよりかなり南でかなりの地震のようだった
札幌のTV局もデスクのある部屋にひびが入り
天井のものが全て落ちて
TVの前からでも惨状を知ることができた

「先月内地で発生した地震は、
関東から九州沖縄にかけ、全ての地域で観測されました
現在、道より南の内地は危険区域になっており、
ここ札幌もたったいま危険区域に指定されました
付近の住民は、速やかに道央より北への移動をお願いします。」

見ているこちらもゾッとするようだった
実際日本だけでは無く
欧州の流行病、アメリカの全区域テロ、中国の軍事暴走
など先週から世界中が崩壊していたようだった

―港川君!

いつのまにか呼ばれたことに気づく
ふと見るとそこには生徒会長の湯朝 健二がたっていた

「ここは君の担当ではないか!」

そうであった、ボーっとしてたが
僕がテレビに魅入ってる間に会議は進んでいた
僕は何気に生徒会副会長だったので
ここにいるのであった
で、次の予算は〜
こう読み上げながらも朝からの悪夢でいまいち頭が冴えない
ここだけ読み上げると
僕はその場に倒れこんだ

湯朝会長と隣の三浦副会長が駆けつけ
僕を保健室に運ぶ

原因は”貧血”らしい

ただ、貧血ということすらはじめてで
起き上がった後も僕には実感がない

会長達に言われ
生徒会の仕事の途中にもかかわらず
僕は帰路へとついた

いつもなら

「馬鹿100%の沙加太組みでもへばることがあるんだな」

とでもいわれるとこではあるが
今日は心配そうな顔で
大事をとれと言ってくれたのであった

そんな調子であるから
沙加太が楽しみにして待ってるPC研は欠席した

そして学校をでて家まではもう疲れてどんなことがあったかは覚えてない
ただ疲労で、意識の飛ぶまま布団へともぐった。




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