『パフューム』
ほろ苦くてかすかに甘い、僕の知らない香り。
温かな腕のなか、その香りに包み込まれて、どこまでも深く沈んでいくような感じ。
多分、黒いスーツの布地に染み込んでいるんだろうけど、
いつもそれを身につけている彼の肌にも移ってしまっているみたい。
顔をそっと押し当てて感じる、…君の匂い。
僕の中を、どこまでもいっぱいにしていく。
いつものように髪の中に指を差し込み、くしゃりとかき混ぜた。
ふわりとやわらかく舞う髪の一本一本が午後の光にきらめく。
そっと額に唇を寄せて、かるく触れるだけのくちづけ。
くすぐったそうに笑う少年から香るのは、永遠の春のように、甘い若草の匂い。
健全そのままにのびやかに育ってゆく、光のなかのこども。
自分とは真逆の世界を生きていて、けれど、この世で一番側に置きたいと望む存在。
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おともだちのウキちゃんのところのお題につられて、発作的に書いてしまった一品。
…嗅覚ってだいじですよね?
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