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『何度でも抱きしめて』 第一話
昼休みまであと一時間以上ある。
僕は今日も授業を抜け出して、隣の棟の一番奥へと向かう。
少しふらついた足どりで通路を歩くと、保健室にたどり着いた。
白いドアの前に立つ。
入口の手前のプレートは「在室」表示になっていた。
「あら、こんにちは。たしか……樫谷間蓮(かしやまれん)クンだよね。授業でどこか怪我をしたの? それとも、具合が悪いのかしら」
僕が入室すると、窓の方を向いて座っていた女性が振り返った。
とても優しい笑顔だった。名前まで覚えてくれてたんだ……ちょっと感動する。
この人は、志茂田佳奈(しもだかな)先生という。
ちょうど二学期から赴任してきた保健室の先生であり、すでに何度かお世話になっている。
「すみません、ちょっと授業中に目眩がしちゃって……」
「そう、気分がすぐれないのね。とにかくそこへ座りましょうか」
先生はいつもどおり優しい。僕は促されて椅子に座る。
初めて見た時は、とても地味でおとなしいだけの人だと思っていた。
クラスの皆も概ね同じような印象を持っているらしい。
黒髪のセミロングで、青いメガネをした女性。
でも僕はすぐに気づいた。
佳奈先生の素顔がとても魅力的であることに。
「ゆっくりでいいから、気持ちを落ち着けてね。それから少しお話を聞かせてね」
「はい……」
「くすっ、どうしたの? そんな目で見つめて……」
指摘されてドキッとしたけど、簡単には視線が外せない。
穏やかで優しい年上の女性。
それにいつもトロ~ンとした目をしていて、微笑んでいる。
表情が魅力的なのだ。
僕がしばらく見惚れていると、
「じいいぃぃぃーーーっ……」
「あ、あの……先生!?」
「見つめ返してあげる……なーんてね♪ うふふ、今のは冗談よ」
佳奈先生が頬杖をついて僕を正面から見つめてくれた。
僕にとってその行為は、最初とは違う意味の目眩を引き起こした。
「そう簡単には気分が良くならないとは思うけど、その気になったら教えてね」
「はい、最近眠りが浅いんです。それで昼頃になると胸が苦しくなったりして」」
「うん? そっか、胸が苦しいんだ……どうして?」
まさか先生のせいですなんて言えないので、僕は黙り込む。
「なにか悩み事とかあるよね。そういう年頃だもの。ねえ……もしよかったら、先生に教えてくれる? 相談に乗れるかもしれないから」
「先生はどうしていつも笑顔なんですか?」
「えっ、だって……怒っている顔よりは良いかなと思って」
僕からの質問に対して、先生はキョトンとしている。
「じゃあ、真面目な顔でいたほうが良い? 私はどちらでも良いけど」
「そういう意味では……」
「困らせちゃったね。ふふふ……それで、キミの困りごとはなぁに?」
先生の声が、なぜか弾んでいるように聞こえた。
僕を見つめる視線も、職務に忠実というよりは好奇心旺盛な様子だった。
それでも僕は続ける。
「学園に、気になる人がいて……」
「ふむ、最近……気になる人がいるんだ? それって好きな子、だよね」
「そう、です……からかわないで、ください……」
「真面目に聞いてるよ? 羨ましいなと思いながら、ね」
「えっ……」
「だって、熱い想いを寄せられる女子がいるなんて、普通は羨ましくなるものでしょう」
脚を組み替えた先生の椅子がくるんと回る。
「しかもキミみたいな、真面目そうな男子になら、なおさらね」
「真面目そうですか?」
「少し妬けちゃうなぁ……でも、その人が原因なんだよね? キミがここに来た理由
ねえ、こっそり教えて? キミの好きな女の子のこと……」
「先生、です……」
「えっ、あ、い、今なんて言ったの?」
「今日は僕、先生に会いに来ました。好きだから……」
「えっと、聞き違いかな……ははは好きな女の子って、もしかして……私? ひゃわあああ!」
先生が急に椅子から転げ落ちそうになった。
普段は冷静な先生が慌てている様子を見て僕は少しだけ気持ちに余裕ができた。
「だ、だって、年上だよ? キミよりずいぶん年上で、先生という立場だし」
「関係ないです!」
「そんなの関係ないって言われても、私には大アリなのよ? もう、あんまりドキドキさせないでね。大人をからかうのも大概にしてくれないと……」
「全然からかってないです……」
「あ、あれ? どうしたの、急に立ち上がって……真剣な目、しちゃってる……」
僕は何も言わずに先生の肩に手をおいた。
細くて柔らかい、女性らしい体だと思った。
「やめて、そんな目で見つめられたら、私……困る……お願いよ」
「僕、本気です」
「つまりキミは、本気で私が好きで、立場なんて気にしてほしくないってことだよね?」
そこまで話し終えると、先生はゆっくりと椅子から腰を上げた。
視線の高さがほとんどおなじになる。
「じゃあ逆に聞くけど、私が同じように振る舞ってもいいってことだよね」
「……え?」
「自分の仕事場に紛れ込んできた、かわいくて純真無垢な男子を……好きにしちゃっても、いいのかな? 例えばこんな風に!」
はじめに左の手首を掴まれた。
驚いている間もなく、右手も掴まれ、立ち上がった先生の片足が僕の脚の間に割り込んできて……
あっという間に僕は先生に押し倒されてしまった。
「簡単に抑え込まれちゃったね。男だから力で跳ね返せると思った?」
「え、えっ、なんで……!?」
「それにね、私のほうが、キミよりも少しだけ背が高いんだよ……ふふ、こんなに力を入れて、筋肉が固くなってる……もっとリラックスしないと、女の子が逃げちゃうぞ?」
つううぅぅ……
「く、は、ああぁ!」
「悔しそうな顔してもダ~メ♪ ゆっくり溶かしてあげる」
先生の細い指が胸のあたりを這い回っただけで、僕の口から溜息がこぼれた。
その指が静かに降りてゆく。
「はぁ、はぁああ、そこは!」
「おちんちん、もう完全に勃起しちゃってる。これを上から抑え込んで……
優しく手のひらで、くちゅくちゅくちゅ♪」
「うあっ、あああああああああ!!!」
ビクビク震えているペニスを優しく封じるように、先生の指が怒張を掴み、やがて手のひらが覆い隠す。
それはまさに待ち望んでいた刺激であり、今の僕にとっては猛毒に等しかった。
「んふ、勝手に腰が跳ね上がっちゃうの、不思議だね~
この先っぽを、ゆっくりこね回してあげればぁ……」
くにゅ♪ くにゅ♪ くにゅ♪ くにゅ♪ くにゅ♪ くにゅ♪ くにゅ♪
「せ、先生! あ、ああ、あああっ!」
「んふふ、もう腰がクネクネしちゃってる! かわいい~
悪い子のキミに、先生がすごいことしてあげる。男子が知らないこれを使って、ね」
先生はいつの間にか手にしていた小さな袋の端を破いて、中身を僕に見せてくれた。
「それって……?」
「ふふっ、見たことあるかな? 生理用ナプキン。女の子が使うものよ。
これをおちんちんの先にかぶせて、擦ってあげると……」
「な、なっ、やめ……!」
コシュッ♪
「うあっ!」
「ほらぁ、すぐに吸収されちゃったね。エッチなおつゆで濡れてたところがサラサラになったでしょう」
「嘘だ……こんなのって……」
「これを繰り返してあげる。
しこしこしゅっしゅ♪ ほら、また溢れてきた……」
先生の言葉通り、僕は何度も我慢汁を吐き出してしまう。
巧みな愛撫がそれで止むことはなく、さらに弱点をさらけ出してしまう。
「エッチなジュースがドロドロだよぉ……
しこしこしこしこシュッシュッシュ♪」
「ふあっ、あああ、出る……また、もれちゃうよおぉぉ!」
「いいのよ。これを優しく包んで~……また吸い取っちゃう♪
あはっ、サラサラにされちゃったね……しかも、どんどん敏感になっていくのよ」
「ああああぁぁぁ! もうやめてえええええ!」
男子が知らない女子の道具で弄ばれ、僕は赤面した。
それでも気持ちいい! 触れるか触れないかの先端への刺激に耐えきれず、勝手に腰が跳ねる。
でも逃げた先には先生の指とナプキンがあって、溢れた涙を吸い取られてしまう。
先生は僕の顔を覗き込んで、見惚れてしまうほどいやらしい顔で笑う。
「蓮くん、すごく可愛いお顔になってる。お姉さんに犯されるの、大好きなんだ?」
「ちがいます、僕は!」
「教えてあげる。そういうの、ヘンタイっていうんだよ……
キミは立派なヘンタイくんだよ♪」
「うっ、ううううううううううっ!!!」
「悔しい? でも、ドMな男子には、これもご褒美になっちゃうね~」
歯を食いしばって屈辱に耐えようとするけど、先生の言う通り拒んでも気持ちいいのが続いてる。
体が先生の言葉を待ってる。
先生の手の動きを、求めてる……。
「そろそろラクにしてあげる。
おちんちん、おもいきり喜ばせてあげる」
「えっ……」
「今から10数えたら、キミはもうイっちゃうの。
おちんちんから白くて熱いミルクをびゅーびゅーしちゃうの」
美しい声で紡がれる淫らな言葉の数々に、僕は興奮してしまう。
同時に体が先生からの刺激を待ちわびているかのように、小刻みに震えだす。
「エッチなジュースをいっぱい出してね? 我慢なんてできないよ。
ほらぁ、もうムズムズしてる……10……9……8……7……6……」
「やめて! 先生、それやめてください!!」
「5……4……3……2……1……はい、ゼ~ロ♪ いっちゃえ~~~~!!」
「だめ、だめなのに、うああっ、ああああああああああーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
ビュルル、ビュルンッ! ドピュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~~~~!
考えるより先に、降伏の証である白濁が先生の目の前で弾けた。
カウントダウンに合わせて僕は快楽に屈してしまったんだ……目の前が真っ白になった。
「ふふ、気持ちよすぎて気絶しちゃった?
じゃあここでいつものやつをあげるね……」
「あ、ううぅ、いつも、の……?」
「キミの魂に可愛い首輪をつけてあげる……私の声が染み込んじゃう魅惑の鎖よ……」
細い指先が暴発したペニスの先端を優しく撫でる。
くすぐったい刺激に悩まされながら、僕は先生に抱かれて悶える。
逃げ出すことも許されない、甘い束縛。
顔を背けることすら満足にできず、僕は先生の美しい口元を見つめるのみ。
「ここで起きたことは、全て夢の中の出来事だよ……
それでもキミは私を好きになる、好きになる……好きになる……」
「夢の、中……」
「私の声も、髪も、顔も、手のぬくもりも、感じた全てが体に染み込んじゃうの……」
まるで催眠術のような先生の言葉が心地よくて、抗えない。
「ああぁぁ……染み込んで、もっと好きになっちゃう……」
「告白した記憶は消えちゃうけど、私を好きな気持ちだけは上乗せして継続ね……
またこの部屋へいらっしゃい。
ちゃんと告白できたら、たっぷり搾り取ってあげる♪」
「告白したら、搾られちゃう……気持ちよく、されちゃう……」
うわ言のようにつぶやきながら、僕はこの部屋で今日起きたことを思い出す。
穏やかで静かな時間の流れの中で、先生が僕の心に小さな傷をいくつもつけ、甘い毒を塗り込んでいった。
そしてこれらの行為は今日だけのことではないはずだ。
一休みしたあとは、きっとこの傷はきれいに覆い隠されているのだろう。
薄っすらと笑みを浮かべる端正な顔立ちに見惚れながら、僕はゆっくりと意識を手放してしまうのだった。
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