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第四話 バトルファックの基礎
次の日の朝、俺が教室に入るとミズホが挨拶してきた。
「おはようミナトくん!」
「うっ! おはよう……」
ちょっと気後れする。俺は昨日こいつに助けられた、のか?
あのままミズホがきてくれなかったらどうなっていただろう。
おそらく副部長の手腕に溺れ、快楽の虜になっていたのかもしれない。
そう考えるとお礼を言うべきなのだろうか。
「どしたの?」
「いや、なんというか」
次の言葉に詰まる。
首を傾げて俺を覗き込むミズホは今日も可愛らしくて、サラサラの黒髪が光を反射してる。
そういえば副部長も比較的ショートだったな。
バトルファックをしてる女の子は髪が短いほうが有利なのだろうか。
気を取り直して尋ねる。髪の美しさに見惚れてる場合じゃない。
「……お前はなんともないのか」
「うん?」
「俺と、体を重ねただろ? 意識したりしないのか」
すると彼女がニカッと笑った。
こういう表情はわりと子供っぽい。
「もちろんするよ。でも私からそれを口にしたらミナトくんに余計なストレスを与えちゃうでしょ」
「ストレスなんてことは……ないと思うけど」
「ふぅん? 結構メンタル強いんだね」
ミズホが言うには相手を辱めたい時はそういう話題を選ぶこともあるが今は違うという。
その後も話は続き、ひとつお願いをされた。
今日の放課後に部室に来てほしいと。
「実は俺、テニス部に入部したいんだけど」
「あっ、そうなんだ! いいよ、そっちを優先していいから」
「悪いな。その後でかならず行くから」
俺の言葉を聞いて、ミズホは少しホッとした様子を見せた。
そして放課後、俺は昨日顔を出せなかったテニス部へ挨拶をしにきた。
顧問から季節外れの新入部員を歓迎すると言われ、そのまま腕試しをしようと誘われた。
望むところだ。
顧問に呼ばれた部員二人が俺の前へやってきた。
おそらく下級生。
だからお互いに名前も知らないはずだが――、
「お会いできて光栄です。どうかお手柔らかに」
「俺のことを知っているのか」
「ええ。むしろ知らないほうがおかしいでしょう」
身バレしていたようだ。
堤と名乗る部員がにやりと微笑んだ。
どうやら手加減なしでいいらしい。
小一時間ほど俺たちは打ち合った。
「ふぅ、こんなもんか」
やはり体を動かすのはいい。
特に好きなテニスだからというものあるけれど。
「大井先輩すごいですね!」
「そうかな」
「すごいですよ! だってうちの部のトップ二人と互角なんですから」
コートの反対側では堤ともうひとりは息を弾ませて座り込んでいる。
ちょっとやりすぎたか。
でもあいつらがトップなんだよな。もっと鍛えたほうがいい。
「短い間だけど仲間に入れてもらえたら嬉しいよ」
「「「明日からよろしくおねがいします!」」」
複数の部員たちから頭を下げられた。
どうやらテニス部員として認めてもらえたようだ。
テニス部を後にした俺は、ミズホが待つバトルファック部へと向かう。
少し予定よりも遅れてしまったが大丈夫だろうか。
「あっ、ミナトくん!」
「言われたとおりに来たぞ」
「うんうん、偉いよー! ちゃんと約束守ってくれてありがと」
問題なかったらしい。
そして彼女はコホンと咳をしてから俺をまっすぐ見つめてきた。
「改めまして、バトルファック部の部長をしてます北川ミズホです!」
「新体操部だと聞かされていたんだけどな」
俺がツッコミを入れると慌てたように彼女は両手を目の前で振って弁解した。
細かい仕草が小動物みたいで可愛らしい。
「もちろんメインは新体操だよ! あんまり成績は良くないけど、好きなんだぁ」
「それならどうしてこちらの部長を兼任してるんだ。誰かに任せてしまえばいいだろうに」
「あー、それはねー……」
ミズホが言葉を選んでいる。
どう答えたらよいか迷っているようだ。
その時、俺の背後に人の気配を感じた。
「他に勝てる人がいなかったからですよ」
「リッカ! いや、副部長」
「北川ミズホ部長はバトルファック部の歴史の中でも稀有な存在です。兼任でも強すぎるのです」
フーっとため息を吐きながら副部長は目を伏せる。
呼称に関しては特にお咎めは無しか。
それにしても、ミズホはそこまで強いのか?
失礼だけど全然そんなふうに見えないのだが。
「ええ。バトルファック部にしか所属していない私でも、歯がたたないほど」
再び目を開いたリッカが言葉を続ける。
「他校からも手合わせの依頼が来るのですが部長はいつもお忙しいようで」
「だって新体操の練習があるんだもん!」
「ミズホ、わがまま言うなよ……」
「わ、わがままなんて言ってないもん! 好きなときに活動していいって約束で部長を引き受けてるんだよ」
ミズホは新体操部をメインにしているのでそちら優先ということか。
他校との練習試合は男女混合らしい。
そういう時はしかたなく副部長が相手をしているようだが、他校の連中は彼女に勝てないらしい。
話を聞いた限り、リッカもかなり化け物だな。
「とんでもないところへきちまったなぁ……」
「え、そんなことないと思うよ? よ?」
「大井くん。昨日、わたしがあなたに運がいいと言った理由はそこにあるのです」
ミズホの言葉にかぶせるようにリッカはそう言った。
「どこにあるって?」
「転入先が北川部長のクラスで、しかもすぐに仲良くなれた。
この人、好き嫌いが激しいですからね」
「ちょ、リッカ! そういう情報は伝えなくていいから!!」
「いいじゃないですか別に。今日は部長自ら指導なさるのでしょう?」
そこまで言い放ってから副部長は少し不機嫌そうにポケットから何かを取り出し、こちらに渡してきた。
「というわけで、特別室の鍵です。私は別室でトレーニングしてきますね」
俺とミズホを残して彼女は扉の外へ出ていった。
特別室というのは昨日俺たちが使った部屋のことだ。
思い出すと恥ずかしい。
短い時間とはいえ、俺は失神してしまったのだから。
入室してすぐにベッドの上で正座する。
まだ着衣のままでミズホが頭を下げた。
「じゃあお願いします」
「お、おう」
「もう、ちゃんとお辞儀しないとダメー! まずは礼儀からだよっ」
そしてもう一度、お互いに礼をする。
「うんうん、相手をリスペクトしないとバトルファックにならないからね」
「そういうものなのか」
これからエロいことをするというのに神妙な気持ちになる。
様式美というやつだろうか。
「なんでもそうだけど第一印象って大切だよね。ミナトくん、私のことを最初にどう感じた?」
まっすぐな質問に緊張する。
「その、かわいいなって……」
「ふふふふ♪」
二人きりだからこそ言えた言葉かもしれない。やはり恥ずかしいな。
「ミナトくん、それがバトルの初歩だよ」
「え」
「相手を魅了するの。少しでいいから」
俺が魅了されている? その答えを自分で出す前に、ミズホが俺に体を預けてきた。
ちいさくて柔らかな体を反射的に受け止める。
鼻先に髪の香り……昨日感じたものと同じ、暖かくて優しい気持ちになる。
「これが後々効いてくるんだよ……たとえばほら、ふぅ~~~♪」
「んううっ!」
そっと腕を回し、俺の首を拘束した彼女が耳に吐息を当ててきた。
「お耳も感じやすいんだね。クスッ」
「は、恥ずかしい……」
思わずつぶやいてしまう。そしてまた吐息……気持ちいい。
たしかに俺は魅了されているのかもしれない。
ここには俺たちしかいないのだから恥ずかしがっても仕方ないのだが。
「恥ずかしくないよ? ミナトくん、昨日はとっても可愛かったんだから」
甘い囁きと同時にミズホの手のひらが俺の胸を撫でる。
だめだ、溺れそうになる。
「私に抱っこされて気持ちよかったでしょ」
そう言いながらゆっくりと衣服を脱がされ、地肌に触れられる。
ミズホはムードを高めながら流れるような動作で俺の皮を剥いでいく。
同級生にされてると思うとますますドキドキしてしまう。
「おうちに帰って一人エッチなんてしてないよね?」
ドキッとした。
実は四回も、してしまったのだ。
見透かされているようで、俺は彼女の目を真っ直ぐ見れない。
「あー、もうエッチだなぁ~。でも男の子だもん。いいんじゃない?」
「……軽蔑しないのか」
「しないよ。むしろ嬉しいな」
許してくれるんだ……少しだけ緊張が溶けて、彼女の顔を見ることができた。
相変わらず優しく微笑んでいるミズホ。
そして彼女もいつの間にか上着を脱いで、ブラジャー姿になっていた。
「ふふ、ちょっとドキドキしちゃうね」
下着姿ではにかむ様子がたまらなく可愛くて、俺は無条件で興奮させられてしまった。
すでに股間はいつ暴発してもおかしくない。
ミズホが俺をまたいで膝立ちになる。
昨日は気づかなかったけど、こいつスタイルが凄くいい!!
腰のクビレや肌の綺麗さ、それに胸の大きさや腕の太さ……文句のつけようがない。
俺は呼吸を忘れるほどミズホに見とれていた。
「初めてだから優しくしてあげる。今日は私で卒業して」
「っ!!」
「童貞だよね。でもそれも今日でおしまい」
するするとパンツが降ろされ、ペニスが勢いよく跳ね上がった。
今もしも触られたらそれだけで射精する自信がある。
既に心より先に体が彼女を求めてるようだ。
「い、いいのか?」
「うん。新入部員が童貞クンだった場合はバトルファック部の部長が筆おろししてあげることになってるから」
「そうじゃなくて! 抵抗はないのかと聞いてる」
ミズホがくすくす笑い出す。
「くすっ、ミナトくんこそ大丈夫? 今から私に可愛いお顔にされちゃうんだよ」
その笑顔に背筋がゾクッとした。今まで見せたことのない一面。
好色で、淫らなミズホの笑みを見せつけられ、我慢汁が更に増えた。
(こんな、可愛いだけじゃなくてエッチな顔をされたら……今夜も絶対オナニーしちまう!!)
そんな俺の思いを見抜いたように彼女が身をくねらせる。
その動きだけでも立派な誘惑だ。
股間がドクドクうずき出す。
「おっぱいだけじゃなくて、私のアソコも使って導いてあげる……
すごく気持ちいいと思うよ。
それこそ入れた瞬間にとろけちゃうくらいに」
ミズホは俺の手を取り、指をなめ始めた。
チュポチュポと音を立てるそれは、まるで指をペニスに見立てているかのようだった。
そっと目を閉じて懸命にしゃぶる姿はそれだけでも興奮する。
しかも股間に直接つながってるみたいに指先を舐められるたびに性感が高まっていく。
「ミナトくん、ここまでいっぱい私とおしゃべりしたよね。
今までのが全部バトルファックで言うところの前戯だよ」
「なっ……」
「言葉責めって聞いたことある?
普段は私もエッチな言葉で相手を感じさせちゃうんだけど、
ミナトくんには優しく包むような責めがいいかなと思って」
それでも童貞くんには刺激が強すぎたかな、といたずらっぽく彼女が笑った。
「み、ミズホの……今までのは全て演技だったのか!」
「どうだろうね? うふふふふ♪」
意味深に笑うその表情がエロすぎて、俺の心臓は破裂しそうだった。
幼いとすら感じていたミズホの手の中で踊らされていただけなんて。
そして彼女のほうが俺より経験豊富で、全国屈指のバトルファッカーだなんて。
「確実なのは、今からミナトくんのおちんちんが私の中に収められちゃうことかな」
「うあ、あああぁぁ!」
「その顔、私にあっさり負けちゃう男の子たちと同じだよ。かわいいなぁ♪」
認めたくないのに興奮してしまう。雰囲気に飲み込まれる。
それ以上に、彼女のアソコに弄ばれたい気持ちが膨らんでくる。
「ねえ、初めてが私じゃイヤ?」
「そんなことは……」
「ふふっ、ありがと。何度も私に嬉しい言葉を聞かせてくれて」
わかっているはずの言葉を俺から何度も引き出し、彼女は満足そうに片膝を立てた。
「じゃあ挿入するね」
既に存分にヒクついているペニスに狙いを定め、ミズホが腰を沈めていく。
圧倒的に魅了されている状況で、俺と彼女の性器が触れ合おうとしていた。
(ここまで
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