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第6話





 ミズホに筆おろしされてから一週間が経過した。

 放課後はテニス部へ顔を出して、それからバトルファック部へ向かうことにしている。
 必修科目みたいな扱いだからテニス部側も考慮してくれる。

 今日はバトルファック部でリッカから指導を受けていた。
 以前のように特別室を使うことなく、一般的なリングの上で。

 リングとは約3メートル四方の畳敷きの空間を指す。
 そこに時計とティッシュなどが必要最低限の備品が置かれているだけ。

 特別等の約半分を利用した部室内には同じサイズのリングがいくつも存在する。
 修練場は第一から第十二まであって、学年を問わず当番制でそれらの清掃管理を行っていた。
 バトルファックに清潔感は大切だと思う。

「大井くん、やっぱりあなたは筋がいい」
「そりゃどうも」

 鼻先がふれあいそうな距離。長い足を俺の腰に回して拘束しながらリッカは続ける。

「最初の二週間はわたしと部長を中心にレクチャーを続けるわ」

 涼し気な表情で彼女が言う。今日は練習着という名の黒のタンクトップとスパッツ姿だ。
 リッカの肌はしっとりしていてなめらかで、触れ合っているだけでも最初はドキドキが止まらなかった。
 初日のようなプレッシャーを感じないのは俺が強くなった証なのだろう。

(こうしているだけでもすごい色気を感じるけど、気を引き締めねば!)

 今は少しだけ慣れてきたようで俺も冷静さを保っていられるが、
 他の相手……下級生の女子や実力上位者などと比較すると彼女たちは別格だった。

 まずミズホやリッカの場合、組み合っただけで確実に勃起してしまう。
 容姿が整っているだけじゃなく自分を見せることがうまいのだ。
 簡単に相手の心を握って性感を高めてしまう。
 それを抑えるところからのスタートだった。

「キリッとした表情の男子は見ていて気持ちいいね」
「そういうものですか?」
「あなただって発情してアヘってる女性よりも、
 清潔だったりおしとやかな女性のほうが魅力を感じるんじゃないの?」
「……」

 思っていることを口に出したら軽蔑される気がする。
 副部長は時々こういった質問をしてくる。試されているようで答えづらい。

 このバトルファック部はだいたい2日に一度のペースで部活が行われていることがわかった。
 今日は肌を合わせながらの実技を中心とした守備レッスンだ。

「一般的に男子は女子の誘惑に強くない。色気に弱いとも言ってもいいでしょう」

 たしかにリッカの言うとおりだ。
 目の前にいる彼女だって非常に魅力的な女子だから、変に意識してしまえばそれだけでアウトになる。

「だから誘惑に慣れて、肉体的な刺激にも慣れて、心と体に防御膜を張るの」

 心技体の全てがバランスよく必要だという。まるで武道みたいだな。

「ミズホに勝つためにもこの強さが必要なのか」
「部長に勝つ? あなたが?」
「そのつもりだ」
「それは長い道のりになるとおもうけど……
 なにより私と対戦しておきながら他の女の名前を出してくるとは」
「ん?」

 リッカはため息をついて落ち込んでいるようだ。何故だろうか。

「北川部長の強さの秘密は無自覚な誘い受けにあると思う」
「誘い受けってなんですか」
「そこから説明が必要!?」

 呆れたように彼女は言うけど、つい先日まで童貞だったから許して欲しいところだ。
 知らないことは都度尋ねて自分の知識にしていきたい。

「ええっとね……たとえばだけど、肌を合わせたあなたならイメージできると思うけど、
 一週間前くらいに部長とバトルした時の流れを思い出せる?」

 リッカに言われたことを頭に浮かべてみる。
 瞬時に股間がうずく。
 ペニスにまとわりつく膣内の具合の良さと甘いキスの味……やばい、欲情してしまう。
 でもそれ以上に、

「思い出せますけど、ただ……なんていうか……」
「普通だったでしょ」

 それだ。

「普通というか自然に、いつの間にか終わってるの。公式戦でもそう」

 バトルファックというよりも、甘い恋人同士の時間だった。
 雰囲気に飲まれていたと言い換えてもいい。

(思い返してみれば、あれがミズホのバトルファックの手順なのでは?)

 快感を刻まれながら丁寧に手順を教わったような感覚。

「誘惑、魅了、刷り込み……そして開放、ですか」
「大井くん、どこでそれを?」
「いえ、なんとなく体が覚えているといいますか」
「素人だったあなたにそれを教え込むなんて、やっぱり天賦の才だわ……」

 リッカは感心したように何度も頷いている。

 俺は筆おろしという名目でミズホにリードされ、翻弄されながらレクチャーを受けていたのだ。
 彼女だって快楽目当てで俺と肌を合わせたわけではあるまい。

「ところであなた、どうやってこの状況を切り抜けるつもり?」
「えっ」

 リッカに言われて気がついた。
 いつの間にか彼女の両手が俺の背中に回っており、腰と腰がぴったりと密着した状態。

 しかも会話を通じて俺はしっかり興奮していて、固くなったペニスの先が彼女の腹筋にフィットしている。

「あ、ああああっ!」
「もういいわ。このまま一度イきなさい」

 ギュッと抱きしめられますます密着する。
 逃げられない。
 ニヤリと笑ったリッカの腰が妖しげにゆらめく。

「ちょうどいい機会だから密着技の解説をしてあげますわ。
 まずは合わせ腰……」

 リッカは上半身をさらに強く抱きしめた。
 結果、俺は引き締まった彼女の体をさらに深く味わうことになる。

(抱かれてる、気持ちいい……背中を触られて、しかもペニスがギュウギュウに押しつぶされてるッ)

 くねりくねりと腰を左右に揺らされて俺は悶える。

「ああああああああああああっ!!」
「体を合わせた相手の鼓動に合わせて呼吸を整える技術」

 不思議なことにリッカは平然としていた。
 膣内に挿入されていないからなのか、それとも興奮を抑える別の技術なのか。

「く、くそっ!」
「ふふっ、あなたのリズムは覚えたわ?」

 もがこうとした俺をあっさり抱き直すリッカ。
 それでも全力で抗う俺を見て、彼女がわずかに腰を浮かせる。

(隙間ができたぞ。チャンスだ!)

 俺はリッカの膣口めがめて全力で腰を前に突き出した。

「そしてこれは迎え腰。
 反撃したくなった相手を追い詰めるカウンター技」

 次の瞬間、リッカは腹筋を使ってイルカみたいな腰使いを見せる。
 瞬時に俺のペニスを膣内に招き入れ、締め付けながら打ち据えた。

ぱぁんっ!

「あああああぁぁっ!」
「ふふ、わざと攻撃させてあげたの。わかるかしら?」

 リッカの腰の動きが止まらない!
 密着したまま強制的にピストンさせられている状態だ。

 でも何故、こいつは平然としているんだ?

 少なからず彼女にもダメージが有るはずなのに!

「あなたの腰使いはなかなか強力。でもね」

 リッカは俺の肩を掴み、腰を深く差し込んだまま動かなくなった。
 しかし膣内ではペニスが咀嚼され続けている!

「うああっ、ああああ!! なんだよこれえええ」
「こうしちゃえば動けないでしょう。そしてあなただけ一方的に感じちゃうことに」

 抑え込まれながら俺はビクンビクンと反応してしまう。
 リッカは下半身の力で俺を制圧し、そのまま自分の胸で俺を包み込んできた。

「さらにこれが包み腰。
 相手の技を全部受けきって覚えるための技」

 深く挿入したままでの顔面パイズリ。
 女子の魅力が詰まったバストに数秒間囚われただけで行動不能になる男だっている。
 しかも膣内にペニスが閉じ込められているのだからまさに脱出不可能だ。

 これが基本技だというのか? 何が何でも脱出してや――、

「さっきも言ったけどあなたのリズムは覚えたわ。
 だからわたしには次の動きが読める」

 深くつながった更に奥を亀頭で刺激してやる。
 そう思って渾身の力で腰を突き上げる。

 が、動きに合わせて彼女も腰を持ち上げた。
 その結果、俺の空振りに終わる。

 さらにリッカから追撃のピストンが襲いかかる。

「んうっ、あがっ!」
「もちろん効くわよね」

 二度、三度、四度、ショートストロークでペニスが膣内でいたぶられた。

「うあっ、ああああ、抜け出せない!?」
「こうなってしまえばあとは秒読みね。 5,4,3,2……」
「うううっ、これはイくっ、出ちまうっ!」
「ダメよ。できるだけ我慢してご覧なさい。イキ癖がつくと厄介だから」

 何度かゆったりと彼女の腰の動きを感じた後で、俺はあっさり射精してしまうのだった。




(ここまで)



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