『あたしが応援してあげるッ -LOVE TRIANGLE-』









「ただいまぁ……」

「あっ、兄貴帰ってきたぁ!」


「おう……今日はもう
 何も言わずにそっとしといてく……」

「あのね、あたし……告白され、たんだ…」



「なにいいいいいいいいいいい!」



「でもね、相手が誰だかわからないの」

「驚かすなよ。脳内ラブレターかよ!」

柚子が俺に一通の手紙を差し出した。



「嘘だろ……ギャグじゃねえのか。でもなんだこのペンネームは……赤い腕輪ってなんだよ!!」




「それだけじゃないんだ……
 ラブレターの差出人、女の子なんだよ……」


「ほう! 最上級に哀れだな。男には全く見向きもされず、モテないまま女の子同士の世界に突入し……」


ドゴオオッ!

「ぎゃうううあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」




「どうしていいかわからなくって!
 だから昨日、兄貴に相談しようと思ったんだぁ」


「そ、そうか……でもな、反射的に股間を蹴るのは良くないと思うぞ…てか、金輪際やめてくれやがれです」


「ねえ、どうすればいいかなぁ……」


「う~~~ん……」

これは全く考えてなかった。最近俺自身の事しか考えてなかったから、たまには柚子の力になってやりたい気もするんだが……

(あっ!)

ぱっと思いついた妙案があるにはあるんだけど、頭を冷やして一晩考えてみたい。少し考える時間が欲しい。


「柚子、その話は一晩預からせてくれ。明日の夜にまた話そう」




俺の提案に柚子は素直に同意してくれた。







――次の日。



今日は寝坊せずに起きる事ができた。
朝食を済ませて用意を整えた頃、ちょうど花鈴ちゃんが俺を迎えに来てくれた。




「花鈴ちゃん、あのさ……相談があるんだけど」

「えっ、なんですかセンパイ……
 そんな深刻な表情で……」


不安そうな表情で聞き返してくる花鈴ちゃん。でも今の俺にとって、柚子以外で客観的なアドバイスをくれるのは彼女しかいない気がする。


「俺、最近悩んでることがあって…」

よし! ここはひとつ、思い切って彼女に相談してみよう。





「その……恋愛についてなんだけどさ。ちょっと応援してほしい」



「応援、ですか……あ、それってセンパイの恋を応援するってことですよね!」


「あ、うん。そうなるような、そうでもないような……
 結果的には俺のためにはなるとは思う」





「もちろん協力します! 私でよければッ」


(ちょっと勘違いされてる気がするけど……)

何はともあれ花鈴ちゃんは味方になってくれそうだ。

ここ数日間のことを頭のなかで整理しながら、俺は目の前の彼女に相談することを決めた。


(了)




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