手前へ
耐え難いほどの心地よい痺れだけでも厄介なのに、奈緒の言葉で頭の中を犯されたらひとたまりもない。
「よく男たちからは『天使の指使い』なんていわれてるわ。もっと気持ちよくしていいかな?」
「う、うそだろ? お、おい、まっ……んあ、ああああっ!」
とうとう奈緒は片手の全ての指を使い始めた。
手のひらのくぼみで亀頭をクリクリしつつ、棹の部分を刺激する。
しゅるしゅると撫で回した後に今度は手のひらごとストンと棹まで滑らせてくる。
くちゅっ、にちゅにちゅ……ずりゅっ!
体の芯まで響くような淫らな水音。
初めて受ける快感の波状攻撃は加藤の精神を一気に追い詰めた。
「きもちよさそう……♪」
「んあっ、うおぉ……んむー!!!」
彼が必死に快感に抗う表情と、体をよじって逃げようとする様子が奈緒のサディスティックな部分を刺激する。
試合のときに感じた興奮が再び彼女の心と秘所を熱くとろけさせていく……
「もがいても逃がさないよ」
目の前で悶える加藤を見ているだけで奈緒も軽くイキかけていた。
今までも何人もの男を指先だけで屈服させてきた。
どんな相手でも彼女の指先の魔術の虜になり、何度も何度もイかせてくれと懇願してきた。
「それっ」
甘い痺れに慣れさせないように、一瞬だけぴしっと亀頭を指先で弾いた。
その鋭い痛みすら加藤をますます快楽色に染めるための材料だ。
「あああー!!!」
「フフフ……」
奈緒は亀頭にそっと顔を寄せて、数回だけペロペロと優しく舐めあげた。
痛みを与えられた後の柔らかい刺激に、加藤のペニスはドクドクと我慢汁を垂れ流した。
「あっ、はあぁぁぁぁ……」
「こらえていてもどうしようもないほど感じちゃうでしょ?」
しかも今回の相手は童貞確実の加藤だ。
初体験としては激しすぎるセックス……
ひょっとしたら奈緒の愛撫以外では感じない体にしてしまうかもしれない。
(気を抜いたら私もイっちゃいそう……)
正常な男子に性的なトラウマを与えてしまうかもしれない背徳感に奈緒は酔いしれた。
絶対にこらえきれないほどの快楽なのに、それでも加藤は必死で喘ぎ声を抑えようとしている。
健気な彼の姿がますます可愛く思えた。
「ふぁ……あぐっ!あ……」
「苦しい?それとも気持ちいい?」
責める速度を若干緩めながら彼に問いかけた。
両手を重ね、絡み合わせた指先の間に亀頭を滑らせる。
ブルブルと彼の腰が震えているのを感じながらも奈緒は責め急がない。
じんわりとした甘い手つきで彼の体に甘い毒を刷り込む。
すでに加藤の顔色はマグマのように赤く染まっている。
「私の指があなたの男の芯を揉みほぐしてるのよ。」
奈緒は右手の中指と人差し指をそろえると、優しく太い棹をなで上げた。
触れるか触れないかの手つきで何往復かした後に、今度は裏筋から血管に沿っての感じやすい場所をじんわりと押さえ込む。
「こんなに無防備な体勢でここを責められちゃったら、もうおしまい……」
加藤が感じさせられているのは童貞だからという理由だけではない。
先に述べたように奈緒は指先だけで何人もの男を虜にするテクニックを持っている。
その卓越した技術が未だ女の体に触れたこともない男にぶつけられれば……
「今からその強靭な体と心を……崩してあげる」
いよいよ彼女は両手でペニスを握り締めた。
右手は亀頭をすっぽりと覆い、左手で棹を根本からしっかりと掴んだ。
加藤はどちらかというと巨根である。奈緒にとっては握りやすいサイズともいえる。
奈緒は試しに力を込めて棹を思いっきりしごいてみた!
クシュクシュクシュクシュクシュ!!
突然の強烈な刺激に体をこわばらせる加藤。
だが、こういった責めは耐えやすいことを奈緒も知っている。
「くそっ……そんな簡単に屈しない……いっ、ああぁ……」
加藤が歯を食いしばりながら敵意をむき出しにした瞬間、奈緒は責めを一変させた。
柔らかく羽毛が舞い降りてくるような指使いで再び加藤の動きを封じる。
「じゃあ頑張って見せて?」
彼の強がりを聞いて、奈緒は薄く微笑んだ。
この男はあと何秒でイかせてあげようか……少しだけ思案したが、結論はすぐに出た。
チュクチュクチュクチュク……
奈緒の右手がゆっくりと動き出した。
人差し指から小指までを軽く丸めて、亀頭全体にかぶせながらの回転。
いわゆる猫の手という技だ。
「ん……」
その指の間に奈緒は自らの唾液をトロリと垂らした!
「なっ、すべるっ、んあ、ああぁぁ!!!!!」
一気にすべりを増した指先の動きはあっさりと加藤の快感許容量をオーバーした。
何人もの美しい女性に囲まれて全身の敏感な部分だけを優しくくすぐられたような錯覚。
今までこらえていた加藤の下半身の震えが一気に全身に広がる。
「くおおぉぉ……んはぁぁ!!ぎっ、があぁ」
それでも必死に耐えようとする加藤のペニスの根本をやんわりと奈緒の左手が包み込んだ。
ビキビキと音を立てそうなくらい張り詰めた根本を優しくなで上げる。
すでにイく直前といった様子だ。
「クスッ、こうなったらもう無理ね。耐えさせないわ。」
硬くしこった目の前のペニスを楽しむかのように、奈緒は左手を上下させはじめる。
確かめるようにペニスに走る血管をクイっと押してみると心地よい弾力が跳ね返ってきた。
(もう爆発しちゃうわね……)
勝利を確信しながらも奈緒は攻め手を緩めない。
ゆっくりとしたリズムで更なる快感を与え、加藤をジワジワと追い詰める!
(この手が……俺の体を犯し……てる……ぁ……)
必死に身をくねらせる加藤の股間にピタリと吸い付くような手つき。
一秒ごとに確実に加藤の抵抗力をそぎ落とし、弱らせながら快楽の沼に沈めようとしてくる。
いよいよ仕上げとばかりに奈緒は微笑んだ。
「そろそろイっちゃいなさい……童貞クン♪」
奈緒はゆっくりと上体を彼に密着させた。
柔らかい女の体と、甘酸っぱい汗の香りに包まれて加藤の理性は一瞬で崩壊した!
さらにほんの少しだけ奈緒は彼に唇を重ねてきた!!
チュウッ……
「んん!……んああああぁぁぁ!!!」
どぷどぷどぷどぴゅぴゅぴゅぴゅ~~~~~~~
奈緒の優しいバードキスによって最後の抵抗力を奪われた加藤のペニスから大量の精液が発射された。
その勢いは亀頭にかぶせた奈緒の手のひらを一瞬持上げるほどに強く、あふれ出た精液で加藤のペニス付近は真っ白に染まった。
「はぁっ、はぁ、ぁはぁはぁ……」
まるで1000mダッシュをし終わったときのように息が元に戻らない。
股間を中心に広がる甘い痺れが治まらない。
どんな厳しいトレーニングにも耐えてきた加藤だったが、今回だけはあまりの疲労にガックリとうなだれてしまった。
そんな彼を涼しげな瞳で奈緒は見つめていた。
「まずはダウン……1回目だね」
射精を終えて少しクールダウンした加藤は自分が奈緒に見下されていることに気付いた。
そして時間差でやってきたのはなんともいえない敗北感……
「くそっ……まだ負けたわけじゃない……!」
気力を振り絞って奈緒を睨み返すも、どこか恥ずかしさが頭から消えない。
それどころか奈緒に与えられた快感を思い出してしまい股間がうずく。
一方的に奈緒に性的に嬲られたことで、加藤の中で何かが芽生え始めていた。
「……倒されてもすぐに立ち上がってくるところはさすがね」
「あっ……」
奈緒は彼の股間を指差していた。
つられて加藤も自らの股間に目をやると、先ほどまでと同じく隆々とペニスが屹立しかかっていた。
「うくっ」
奈緒は無造作に彼のペニスを掴んだ。
射精後の倦怠感が過ぎて敏感になった亀頭を奈緒に弄ばれ、体が自然に前かがみになる。
「中に残っているあなたの雫を今から搾っちゃう」
クスッと笑ってから奈緒は激しく棹をしごき始めた!
親指に力を込めて、グリグリと根本を揉み解される。
体の芯をこじられたように加藤は悶絶してしまう。
「ほらほら、腰が震えてるよ?止めてみてよ?」
加藤は必死で腰に力を入れるが、美しい奈緒の指先は容赦なくジワジワと彼を追い詰める。
(だめ……止まらない!! ああっ)
自分の意識と体が完全に切り離される。
ガクガクと震える下半身をどうすることも出来ない加藤は悔しさに涙を浮かべた。
その彼の顔を見ながら、奈緒は軽いエクスタシーを覚えた。
(なんてステキな表情……)
思わず亀頭を愛撫する奈緒の指先がつるんっと滑った。
その拍子に爪の先でパンパンに張り詰めた裏筋を軽く引っかいてしまった。
「ひゃああぁっ!」
その少し強めに与えられた刺激が加藤にとってはトドメとなった。
先ほど達したのよりも早く、再び加藤に至福のときが訪れた。
ぷぴゅっ……
一発目で大量に抜き取られたせいもあって、とろとろと滲むような射精。
だが人生初の連続射精は加藤の体にはっきりと疲労の色を刻みつけた。
手の中で確実に脈打ちをするペニスを優しくしごきながら、奈緒はクールに言い放つ。
「これでもう二回目のダウン……早いのね。まだ立てる?」
奈緒は先程よりはいくらか優しい目で、快感に悶える彼を見つめるのだった。
『控室にて』(了)