『遊びのつもりで』





大学の後期試験が終わると長い休みに入る。
試験結果が出てからしばらく経つけど気分は晴れない。
一つだけ言えるのは、僕は来年も去年と同じ学年……ということだ。
父からは「気にするな」と言われているものの、両親に対して学費の面で心苦しい。


「はぁ……」

ベッドの上で天井を見つめながら溜息を付いたその時だった。


バンッ――!


「おにーちゃーん、あーそーぼっ!」




「わっわっ、ゆ、優美ちゃん! いつの間にきたの!?」

勢い良く扉が開いて狼狽する僕の目の前で、髪の毛を二つ括りにした可愛い子が微笑んでいる。

彼女は僕の親戚で優美(ゆみ)ちゃんと言う。
父親の弟に当たるおじさんの、奥さんの妹の子供さんだ。
血のつながりは皆無なのに、数年前からずっと春と夏にはうちに遊びに来る。

知り合ったきっかけは父方の祖母のお通夜だったと思う。
ほとんどが大人で埋め尽くされた葬儀の席で、退屈そうにしてた彼女の相手をしてあげてから僕になついてくれるようになった。

あの頃はまだ幼稚園だったはずだけど、今ではすっかり大きくなったもんだ。
……とは言え、僕から見ればまだまだお子様だけど。


「えへへ……さっき着いたばかりだヨ」

「そっか。驚いた。昨日のうちにメールしてくれればよかったのに」


「えへへへへ♪ 優美に会えて嬉しい? おにーちゃん」

くったくのない笑顔が眩しい。
この子はまだ受験とか、留年とか考えなくていいんだもんなぁ。

僕がそんなつまらないことに感心していると、急に優美ちゃんがズイッと距離を詰めてきた。


「ねーねーねーってば!」

「ん、どうしたのかな?」

距離にすれば30センチ以内。真っ黒でツヤツヤの髪の毛が部屋の蛍光灯の明かりを反射している。

グリグリした大きな目が僕を見つめている。とっても不満そうに……ん、不満?

でも何故――。


「背が大きくなったんだよ! なんで気付いてくれないの……」

「そ、そうなんだ。気付いてあげられなくてごめんね」

僕の言葉に優美ちゃんはプイッと横を向いた。
その数秒後、クスっと小さく笑ってから僕の方へと向き直る。


「少しおねーさんになったでしょ? あたし」

そう言いながら片手で前髪をさらっと流してみせた。
いわゆる成長期ってやつか。
前は確かにちっちゃかったけど、今はもう僕の肩のあたりに頭のてっぺんがある。


「そうだね。可愛い可愛い」

優美ちゃんの頭に手を伸ばす。ほんのりと暖かな感触。


「なでなでしちゃダメー! なんでお子様扱いするのッ」

「だって優美ちゃん相変わらずお子様なんだも……ぶふぉっ!」

ちっちゃな拳が僕のみぞおちを捉えた。
見事な正拳突きだった。

(そういえばこの子、空手を習ってると言ってたような……)

去年あった時の記憶を掘り起こす。しかもずっと続けていたみたいだ。


「ごほっ! ぅぐ……さすがに腹パンは痛いぞ……」

「べーーーっだ! じゃあ痛くない遊びしよーよ」


「遊びってなんだい?」

「うん。くすぐりごっこ♪」


「へぇ……確かにそれなら痛くないよね」

「でしょでしょー?」

今にも飛び跳ねそうな彼女を見て僕は笑った。
やっぱりお子様だな。手足が多少伸びても、中身はまだまだ成熟してない。
たまには無邪気なお嬢さんと遊んであげるのも悪くないかな。


「まあ、別にいいけど」

「やったー♪」

僕の言葉に優美ちゃんは嬉しそうにバンザイをしてみせた。







「ルールはね、相手に『参った』って言わせたら勝ち」

「それじゃあ僕がすぐに勝っちゃうじゃないか」

彼女からのルール説明に口を挟むと、優美ちゃんは困ったような、それでいて少し怒ったような表情を返してきた。


「ちがうよー! んっとね、時間制限じゃなくて、時限爆弾じゃなくて……こういうのなんて言えばいいのかなぁ!?」

身振り手振りを交えて一生懸命説明しようとしてる姿が可愛い。

僕は彼女を落ち着かせながら、言いたいことを整理してみせた。


「こういうことかな? 先攻と後攻を決めて……制限時間は10分くらい? それで相手より長く我慢できればいいんだ。タイマーつきの時計が必要だね?」

「そゆことー! おにーちゃんって頭いいね!!」


「ははは、ありがとう……」

言えない。留年が確定したばかりだなんて優美ちゃんには言えない!

できるだけ目を合わせないようにしながら準備を整える……と言ってもタイマーをセットするだけだが。


「じゃあはじめ~!」

彼女の小さな指先がタイマーのボタンを押した。

液晶画面がカウントダウンを始め、「9:59」に変化した。




「お好きな様にどーぞ♪」

僕のベッドの上に三角座りになる優美ちゃんの肩をそのまま押して横たえる。
軽い手応えとともに彼女の体がコロンと転がった。

「きゃはっ、うふふふ、おにーちゃぁん……」

「うっ……!」

スカートから伸びる脚を見て一瞬動きが止まる。その細さと白さが、この年令特有の健全な色気をまき散らしている。

(ダメだ……優美ちゃんに欲情したら犯罪者の仲間入りだぞ)

我ながら深く考え過ぎだと反省する。
優美ちゃんは単に「くすぐりっこ」がしたいだけなんだ。
軽く脇腹をこすってあげれば、それで降参するに違いない。

おそるおそる指を伸ばして、柔らかな生地のシャツの上から優美ちゃんの肋骨のあたりをくすぐってみた。

「そんなとこ、はひゃ、だ、ダメだよおおぉぉ~!!」

「あ、ごご、ごめんッ!」

その声に、伸ばした指先を思わず引っ込めてしまった。

でもやっぱり感じやすいみたいだ……僕はドキドキしつつも、彼女の体を優しくさわさわとくすぐり続けた。

暫くの間は我慢していた優美ちゃんだったけど、何度も同じ所を擦ってあげると思わず顔が緩んでしまうようだ。

そして――、

「参った! もうやめて~~」

ピッ!

彼女が降参したと同時にタイマーのボタンを押した。





「……一分三十二秒。けっこう頑張ったね?」

「おにーちゃん、同じ所ばっかりくすぐるんだもん。ずるいよぉ~?


少しだけ乱れた髪型を直しながら、優美ちゃんが僕の手からタイマーを奪い取った。


「じゃあ今度はあたしの番だね」

タイマーをいじりながら、彼女が僕をチラッと見つめてきた。

(うっ……!)

いたずらっ子というか、いじめっ子というか……瞳の奥に妖しげな光を感じる。
そんな彼女の表情に、得体の知れない悪寒が背筋を駆け抜ける。







「おにーちゃん、横になって~」

数秒後、口を開いた優美ちゃんはいつもと同じ様子だった。
さっきの悪寒はきっと僕の気のせいだったんだ……。

「え!? ね、寝るの……? なんとなくイヤだなぁ……」

「おにーちゃん、もう負けちゃう宣言しちゃうんだ」


「そう言う意味じゃないけど!」

「じゃあそれくらいはいいでしょ~? 早く寝て。それからバンザイして~」

仕方なく彼女の言うとおりにする。両手をあげるとなんとも無防備になった気持ちになる。

「よいしょっと……」

続いて優美ちゃんがベッドに上がって、僕の体をまたいできた。
馬乗りになってくすぐられるのか……これはちょっときついな、と覚悟を決めようとした時、
僕を見つめていた彼女がくるりと背を向けた。

(えっ……?)

スカートの中のお尻が、しましまのパンツが目の前に迫って――!


「え、ちょ……んうううぅぅぅ!!」

僕の目の前が完全に真っ暗になった。
そしてなんとも言えぬ感触と、甘酸っぱい少女の香りを顔で受け止める。


「ふっふ~ん、じゃあスタート!」

「ち、ちょっ……んぶうっ、うう!!」

抗議する僕を、小さなお尻が押しつぶす。
優美ちゃんはフリフリと腰から下だけを動かしながら、抵抗する動きを封じてきた。

そしてもがいている僕の両手をふとももと脛で押さえ込みながら、十本の指を僕のお腹に這わせてきたああああぁぁぁ!!

「じゃあまずはお腹の辺りをこちょこちょ~」

「ひぐっ! ぐう、ふぐううううぅぅぅぅ!」

途端に呼吸困難になる。
優美ちゃんの細い指が体に少し食い込むと、触れられた場所だけでなく全身が泡立つようにくすぐったくなってきた!





こちょこちょ♪ さわさわ、こちょこちょ~~

「んあっ、あふううぅぅぅ!」

こちょこちょ……こちょ、クリクリクリ♪

「いひっ、ああ、おへそ、ああああああ――!」

真っ暗闇の空間で、一方的に少女に嫐られる。
細い指先が僕のおへそをほじりだすと、さすがに我慢できなくなって声を上げてしまう。

それなのに僕の叫び声は柔らかくてちっちゃな優美ちゃんのおしりに全部封じ込まれてしまう!


「あれ? 思ったより平気なんだ……じゃあ今度はお腹の脇をツンツンツンツン♪」

「(全然平気じゃない!)……くふっ、あ、うああああああああっ!!」

お腹の上を這いまわっていた指がピタリとやんで、今度は左右を責め出した。

少女の細指が僕の体に食い込んだまま、ゆっくりと円を描いたり引っ掻いたりしてくる。


「ひ、あっ、がああぁぁ、そ、こお、うおおおお!」

自分でも驚くほど抵抗することが出来なかった。
いざとなったら彼女を跳ね飛ばすくらいの力は残しているはずだったのに、全然力が入らない!

それどころか優美ちゃんの指に僕の体力が吸い取られていくみたいに、くすぐられる度に体が弱くなっていく気がする。


「おにーちゃんて敏感なんだぁ♪」

ツツツ……クニュッ!

「ふぁぐっ!」

指先から受ける刺激が急に変化した。

今までは爪を立てながら僕をくすぐっていた指が、今度は指の腹でくすぐったいポイントを何度も擦ってくる。


「あ、ああぁぁ……!」

単純に刺すような刺激ではなく、体全体に痺れが広がっていくようだった。
しかもその効果がさっきよりもずっと持続する。

くすぐったさが抜け切らないうちにどんどん上書きされていくような、生殺しのようなくすぐり。
僕が気づかないうちに、ズボンの下のペニスは張り裂けんほどに膨張していた。


「んふっ、さすがに効くでしょ。次はもっとくすぐったいところ行くよ~」

上半身の抵抗力が失せ、腰から下をモジモジし始めた僕を見てクスクスと笑いながら、優美ちゃんが軽く腰をひねった。

「ひゅぶっ!」

一瞬だけ彼女の腰が浮いて、また押し付けられた時に生温かくてプニプニした感触が鼻先を包み込んだ。

これってまさか優美ちゃんのおま……


「もー、いちいちヘンな声出しちゃダメー!」

「だ、だって、そ、あ、ひゃ、あああぁぁっ、あははは、はあああああああああ!」

僕の顔に座り直した優美ちゃんがくすぐりを再開した。

今度はさっきよりも手前……乳首と胸の周りを中心に指が這い回るうううううぅぅぅ!!


「参ったしない限り続けるからね~」

しかもいつの間にか地肌に指先が触れてる! シャツの袖や隙間から少女の柔らかな指が侵入してきた。

そして指先で乳首をつまみながらクニュクニュと回してきたり、五本指を立てて胸からお腹、脇腹までをなぞったりしてくる。


「ほらほらほらぁ、おにーちゃん♪」

「あふ、いいいぃぃぃ!」

すっかり呼吸を乱され、空気を吸い込もうとしてもうまく出来なくなってきた僕は
恥を捨ててギブアップを試みるのだが……


「まま、まい……んはああぁっ、ああ、ひいいぃぃ!!」

「ホント、我慢強いね。おにーちゃん♪」

悶える僕の上で、優美ちゃんが小さく笑うだけだった。

参ったが言えない! もはや口元がうまく回らなくなってる。


「んー、なんかヘンな匂い……あー、おにーちゃんお漏らし!?」

「!!」

いつの間にか僕のズボンの下で悶えてるペニスから大量の我慢汁がにじみ出ていた。
彼女の指がとまる。そして恥ずかしさで理性を取り戻した僕は、思わず叫んだ。


「まひ、まい……参ったぁぁぁ!」

部屋だけでなく、家中に響いてもいいくらいに叫んだつもりだったけど僕の声はかすれきっていた。

「や~ん、あたしの負けだあー! おにーちゃん強いなぁ!!」

優美ちゃんがタイマーを僕に見せた。
こんなにくすぐられて一分三十秒!? 

「馬鹿な……数時間くすぐられ続けた気分だぞ……」

でも、とにかく助かった。
あの悪魔の様なくすぐり責めから解放されたのだ。

「ぅぐ……」

ベッドから降りようとしたが、うまく力が入らない。
仕方なく両手と両膝をベッドについて、僕は体力の回復を待つことにした。



しかし――、




「あれ? おにーちゃん、お馬さんになってくれるの?」

四つん這いになって息を切らせてる僕を見て、優美ちゃんがスルスルと近づいてきた。
こちらを覗きこむように首を傾げているものの、その目の中にはいたずらする気満々の炎が宿っている!

「ち、が……ぁ、ぁぁっっ!」

否定するより前に彼女が僕の背中に跨ってきた。
そしてさらに、

「えいっ!」

右腕を僕の首に絡ませ、左手で締め上げるこれはスリーパーホールド!
しかも四つん這いの僕をベッドから引き剥がすように後方へと体重をかけている。

「ぐ……が……ぁ!」

じわじわと両手がベッドから剥がされ、膝立ちにされる。

「疲れちゃった? あれだけくすぐられたらしばらく動けないでしょー」

さらに優美ちゃんが体重を後ろへかける。
今度は両膝が浮いて……僕は彼女に背中を抱かれる形で仰向けにされてしまった。

「ぁが……くるじぃ……!」

細い右腕は相変わらずしっかりと喉に食い込んだままだ。
僕が何度か彼女の手をタップすると、意外なほどあっけなく解放してくれた。

しかし今の絞め技のお陰で、本当にスタミナが底をついたようだ。
指一本動かすのもめんどくさい……そんな僕の耳元で、可愛らしい声がした。

(おにーちゃんのこと、もう一度くすぐっちゃうね?)

こちょこちょこちょこちょ~~~♪

「あひゃっ、ああああぁ、やめれえええ! ゆ、ゆみひぃいぃ」

全く抵抗できなくなった僕の体を責め嬲る優美ちゃんの細い指。

脇の下をくぐった手のひらが胸元を撫で、指先が乳首をコリコリと転がしたりえぐったり、縦横無尽に動き回る。


こちょこちょ……スリスリスリスリ♪

「ほらぁ、今度はこっちよぉ~」

カリッ!

「あっ、あ、まっ、ダメ、そこ、うあああぁぁ~~~!!

優美ちゃんの五本指が順番に肋骨の間をなぞってゆくと、僕はもう我慢しきれずにジタバタともがき始めた。

それでも体力を奪われた僕の抵抗など、彼女にとっては無関係なレベル。


「うあっ、ふ、うう、あああぁぁ……」

「おにーちゃんって可愛い声で泣いちゃうんだね?」

呼吸も途切れ途切れとなった僕を憐れむような優美ちゃんの声にハッとする。
僕は彼女に抱かれながら、顔をくしゃくしゃにしてくすぐりの終わりを待ちわびている。

男としてあまりにも情けない、年上の威厳なんてもはや全く……


「ほらぁ、こしょこしょこしょ~~~♪」

「ひゃはっ、あはははっ、やへ、はふっ!」

気の抜けかけた僕の体に容赦なく再開されるくすぐりの嵐。

「はい、あーんして?」

「んっ……!!」

チュプウウゥゥッ

口の中に優美ちゃんの人差し指が差し込まれた。
しかも今度は片方の乳首を集中的にえぐられながら、口の中までくすぐられて……

ちゅぽん……

「ぁ……」

無慈悲なほどあっさりと優美ちゃんが口の中の指を引き抜く。


「あはっ、残念そうね? おにーちゃん。お口の中そんなにくすぐられたかった?」

無邪気な問いかけに思わず赤面してしまった。
優美ちゃんの言葉に他意はない……はずなのに、なぜか言葉責めされている気分になってしまう。

こんな年下の彼女に、まるで抑えこまれるみたいにくすぐられて、恥ずかしい声をあげさせられてる。


「ハァ、ハァ、優美ちゃん、も、もうそろそろ――」

「こっちのほうをくすぐって欲しいの? いいよ~」

優美ちゃんが背中からそ~~~っと右足を伸ばして、モジモジしている僕の腰の中心……ペニスの真上辺りにかかとをおろした。
そしてゆっくりと体重をかけるように張り詰めたテントの頂点をノックし始める。

クリクリクリクリ♪


「ち、違うん……ああああ、はああぁぁぁっ!」

「良い反応♪ それとおっぱいの周りってくしゅぐったいよねぇ~~?」

更に今度は両手の人差し指で乳首を転がし始めたああああぁぁぁ!


クニュクニュ、クリクリ……キュッキュッキュ♪


「あひゃひいいいい! ひいい、ふぁ、あい、ふぁあああ!」

人差し指で転がされ、弾かれた乳首を今度は中指も使って挟み込む。
そしてクルクルと回しながら股間もくすぐるように責めてくる……


「んふふ、おにーちゃーん♪」

ペロッ!


「ああ~~~っ!」

彼女の小さな舌先で、首筋をひと舐めされたせいで体中の抵抗力がとろけてしまった。
優美ちゃんを止めようとしても、僕の声は簡単にくすぐりで潰されてしまう。


「ここ、すっごくコリコリしてて気持ちいい~~! もっと触っちゃお……んふふふふふ~」

かかとで転がしていたペニスを、今度は逆の足でいじりはじめる優美ちゃん。
その甘い刺激に耐え切れず僕は思いきり腰を跳ね上げた。

「ひゃめ、あ、も、ん~、あああぁぁ!!」

「なぁに、おにーちゃん? ちゃんと言ってくれないとわかんないよ~」

もはや言葉にならない。このままだと彼女の足でイかされてしまう!
羽交い締めにされたままどうすることも出来ない状態で焦燥だけが募る……



ピピピピピピピピピピッ!


突然、けたたましい音を立ててアラームが鳴り響いた。

さっき止め忘れたタイマーがカウントダウンをやめたのだ。


そして僕の体を締め付けていた優美ちゃんの体がパッと離れた。


「あー、おもしろかった。また遊んでね! おにーちゃん」




クタクタになった僕に軽く微笑んでから、彼女はベッドからピョンと飛び降りた。



――パタンッ!

扉が勢い良く締まる。
そして何事もなかったかのように、部屋の中が静かになった。


(何も考えられない――)

まるで時間が止まったかのように、僕は身動きが取れなかった。

時間にするとほんの十分程度。それなのに体中が動かせない。

(しかも気を抜いたらさっきのくすぐりを思い出してしまいそうで……)

自分でも信じられない。今でも下半身がうずいてる。

僕は年下の優美ちゃんのくすぐりに性的な快感を覚えてしまった。

そして確かに、優美ちゃんに頭の中を真っ白にされてしまったのだから。





つづく