(更新 2017.09.22)
妖しく蠢く指先と併せて、夢香さんの体が密着している事に気づく。
寝台に添い寝するような状態から少しずつスライドして、今ではお互いに左半身が重なっている。
しっとりと吸い付く肌、それに彼女のバスト、美脚、柔らかな髪……
それら全ては水着越しでもわかるくらい素晴らしく魅力的だった。
「うあっ、ああぁぁ……も、もう、おかしくなる……」
「まだ大丈夫ですわ」
長く続く途切れない快感に、切なさを通り越して苦しげに呻くと彼女は小さく笑った。
そんな私の体に真上からぴったりと彼女の体が重ねられる。
「ひああああっ……!」
彼女の右手は私の左脇の下を潜り、そっと後頭部に添えられた。
左手は私の右肩から肘までの間を抑える様に添えられている。
目の前に彼女の美しい顔がある。
それが徐々に近づいて、鼻先が触れる距離で彼女は呟いた。
「少し黙りましょうか。ん……ちゅ……」
唇同士が触れただけで全身がピリッと痺れた。
彼女は唇を重ね、細かくバイブレーションを加えながら、相変わらずじっとこちらを見ている。
見ているというよりも瞳の奥を覗かれているようで、少しずつ自分という人間の皮が剥かれていくような感覚だった。
それでいて時折小さく鼻を鳴らすように声を漏らす。
おそらく男なら誰でも、思わずドキッとさせられてしまうほど色っぽい仕草だと感じた。
(あああぁ……夢香、綺麗だ……)
出会った時から吸い込まれそうな目をしている、と思ってはいた。
しかし今、本当に自分の心が彼女に吸い込まれてしまった気がする。
長いキスが終わり、唇が解放された。
唾液が細い糸のように繋がったまま彼女は微笑む。
「落ち着きましたか」
穏やかな声。それに対して反射的に首を縦に振る。
彼女の愛撫のおかげで全身が脱力して、気持ちは完全に蕩けきっている。
もう何をされても構わないという気持ちになりかけている……
「では次の段階へ導いてあげますね」
夢香さんは虚ろな目で見上げる私の胸に、両手を置いたまま腰を浮かせた。
そしてもう一度ぺたんと腰を下ろす。
クチュウッ!
ペニスが押さえつけられ、引き締まった弾力のある彼女の体が惜しげなく擦りつけられた。
「うあぁっ……」
汗と、ヌルついた何かが私と彼女の間で弾けた。
次に何が起こるのか、勝手な妄想が頭の中に広がっていく。
(犯される、いや、もう犯されてるッ、あ、ああああぁぁ~~~~~~!!)
ゆっくりと上半身を倒し、すり合わせるように体を揺らす彼女。
快感で身動きの出来ない自分に再び彼女の体がぴったりと重なった。
「あらあら、気持ち良さそう……おまんこじゃないのに」
「えっ、あ、ああああぁっ! ん、んむ、ううぅ~~!」
正体不明の快感に叫ぼうとしたとき、唇が塞がれた。
ビクビクと体を震わせても、全て彼女に吸収されてしまう……そんな気持ちだった。
ズチュ、グチュッ、クチュ、ヌリュッ……
夢香さんがクネクネと下半身だけを左右に動かすと、淫らな音が少しだけ遅れて耳に届く。
そう、これはきっとスマタだ。
でもこんなに気持ちいいなんて反則だ。
「おまんこに入れるのはもう少し後……このまま貴方を包みますね」
「な、なにを……あ、ああっ!」
クチュッ……クニュ、パチュ、パチュンッ!
大の字になったままの腰の上で、彼女の長い脚が閉じた。
同時にペニスが美脚に挟み込まれ、ドルフィンキックのように夢香さんの腰が上下に動き出す。
「ひっ、いい、ああああぁ! こ、これええぇぇ~~」
「ふふ、女の子の膣肉に挟まれて、グラインドされてるだけなのに……男性は皆同じ表情をするのですね」
彼女はそう言うが、もはや擬似挿入というよりも本番そのものと同じレベルの技巧。
挿入とは別次元の快感だった。
(こ、擦られて、しごかれて揉みこまれてるっ、しかも動けないなんてっ!)
規則正しく打ち込まれる腰の動きに、ペニスは一方的に耐えるしかない。
時々彼女の秘所、膣の入り口の感触を感じると興奮が一気に跳ね上がる。
柔らかい肉で擦られ、密着感は高いレベルをキープしたままで何度も皮を剥かれていくのだ……
「その悲鳴、たまらない……さあ、そろそろ頃合かしら。おちんちんを頂きますね。今度こそちゃんと、包んであげます」
トロ~ンとした目で彼女がこちらを見つめてくる。
左手を体の間に滑り込ませ、位置を確かめるように優しくペニスを握り締める。
「い、入れるの?」
「ええ」
当然のように彼女が言う。
そして二度三度と手首を回してペニスの硬さを高めてから、すばやく腰を沈めてきた!
ズチュウウウウウッ!!
「ッ!!!」
その熱い膣内の蠢きに、思わず言葉を失ってしまう。
燃え滾るような膣奥に到達した途端、射精感が頂点に達した。
しかし射精できない!
根元と先端の締め付けが強すぎて、こんなに熱く蕩けているのに射精を許してくれないのだ。
(イきたいっ、イけるのに、イけないっ!
あああ、イかせて! イかせてっ、イかせてええええええええ!!)
自分の下でガクガクと悶え、震える獲物を観察しながら彼女は笑う。
「ゆっくり、優しく、甘やかしながら……きゅううう~~~~ッ♪」
その声に合わせて膣内がざわめく。
膣奥の締め付けがゆっくりと下へ、カリ首まで降りていくような感覚がわかる。
同時に根元の締め付けが緩んで全体が揉みほぐされるように振動して……
「ああああぁ、う、動いてる、気持ちいい、これ気持……ぅああああああああああっ!!」
ビュルルルルッ! ビュクウウウウッ!!
わけのわからない言葉を叫びながら、ペニスが爆ぜる。
無意識に腰を浮かせ、ブリッジするような体勢で濡れた女体を突き上げる。
(だめだ、ホント、に……おかしくなる……ッ)
危険なほどの快楽に、自制できないままもう一度果てる。
高められた性感と、具合の良すぎる膣内のせいで萎える事すらできそうにない。
熱い膣内で何度も精を放つその様子を、余裕たっぷりな表情で彼女は見つめていた。
◆
「お客様、お客様」
聞き覚えのある声に導かれるまま、重いまぶたを上げる。
「随分リラックスされてました。いい夢が見れたようですね」
「夢香さん……」
周囲を見回す。ちゃんと手足も動くし、部屋の中も最初と同じ様子になっている。
(もしかして本当に夢だったのか……)
断じて夢ではない、と体が叫んでいる。
だとしても、そう思い込むことで自分を納得させるしかなかった。
再び大丈夫ですか、と尋ねられて小さくうなづいて見せると、夢香さんは満足そうに微笑んだ。
「それは良かったですわ。またのお越しをお待ちしております」
会釈する彼女に背中を見つめられながら私は店を出る。
別れ際に店の名前が入った名刺を彼女から貰った。
事の真偽は次回また確かめてみよう……そう心に決めて、私は雑居ビルの階段を下りた。
(了)
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