これは『女性恐怖症の格闘少年、奮闘する』の二次創作です
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第79話 if (1/3)
(引用ここから ◆まで)
暗闇に包まれた道場の中で、総太郎は目を覚ました。
冴華との決戦から、どれほどの時間が経っただろうか。外は雨が降っており、今は夜中であるということは分かる。
「う……」
まだ眠気は強い。体力の消耗が激しいようだ。
「……あのまま、気絶しちまったのか……くっ……」
体液で汚れていたであろう畳や総太郎の体は、なぜか最低限拭き取られて綺麗にされている。
「体、誰かが拭いてくれたのか。かえでがやってくれたんだろうか。と、とにかく、体を洗ってから部屋で寝ないと……」
体が冷えてしまう。まずは家に戻ってシャワーを浴びるべきだろう。
そう思って重い体を立ち上がらせる総太郎だったが、ふいに、脇に脱ぎ散らかされたままの衣類が目に入る。自分の服に加え、冴華が着ていたタンクトップとスパッツもそこにはあった。
「…………」
なんとはなしにそれらを手に取り、道場を出る。
そして総太郎はシャワーを浴び、パジャマに着替えた。が、そこで気力が尽きてしまい、居間のソファーに腰を落ち着けた。今夜はここで眠ることになりそうである。
やることがなくなって寝るだけとなると、思考が働いてしまう。すると、冴華に惨敗したこと、そして彼女に陵辱されたことが自然と思い出されてきた。
「くっ……くそっ、負けてはいけない勝負に、俺は、また……」
あまりにも情けない醜態を晒してしまったこともあり、総太郎は今さらに恥辱に震える。
そして、そのときに味わわされた快楽が脳裏に蘇ってくると、心臓がどくんと大きな音を立てる。
「うっ」
興奮のせいだった。
なにしろ、冴華とのセックスで味わった快楽は信じられないほどのものだった。春からいろいろな女性と性行為を重ねてきた総太郎だったが、快楽の強さだけなら比肩するものはいままでなかったであろう。
思い出すと鼓動が速まり、股間がむくむくと膨らんできてしまう。
「う、うぅ……」
鼓動と呼吸が速くなり、強い性的興奮が全身を敏感にしてゆくのが分かる。
「だ、だめだ……」
総太郎は性欲の高まりに耐えられず、ズボンを少し脱いでペニスを出す。すると、完全に勃起していた。
持ってきていた冴華のタンクトップを左手に取り、恐る恐る顔を近づけると、女の子の汗の匂いがつんと鼻をつく。それにどきりとして、総太郎はタンクトップの内側の匂いをくんくんと嗅いだ。
「はぁ、はぁ……」
体臭を嗅いだことによって冴華の感触がありありと脳裏に蘇り、興奮がさらに高まってゆく。
そして、総太郎はペニスを自分の手でしごいてゆく。少し擦っただけで快感が走り、相当に興奮していることが分かる。
しゅっ、しゅっ、くちゅ、くちゅっ……
「ううっ……こ、こんなっ……冴華とセックスしたことを思い出して、オナニーするなんてっ……」
快楽と同時に、屈辱感が胸に広がってゆく。あの体験で自慰をするなど、まっぴらだと思う気持ちも強いのだが、あまりに衝撃的な快感だっただけに体が快楽に逆らえない。
「くっ、はぁ、はぁ……な、なんでこんなにっ……!」
冴華の匂い、体の感触、膣肉の強烈な快感、そうした記憶が総太郎の興奮を押し上げ、どんどん射精感を高めてゆく。
そして、左手に持ったタンクトップを舌で舐め、汗の味を味わいながら……総太郎の性感は限界に達する!
「うっ、くうっ!」
びゅくっ、びゅくっ! びゅっ、びゅるっ……
「うあ、ああぁぁっ……! さ、冴華……っ!」
総太郎は、憎い仇敵であるはずの美少女のことを思い浮かべながら絶頂してしまった。
精液が吐き出される瞬間、強烈な快感とともに冴華の勝ち誇った笑顔が脳裏に浮かび、総太郎は悔しさと気持ちよさがないまぜになった感覚に浸りながら体を震わせる。
「……ちくしょう……っ……」
イってしまえば、残るものは快楽の余韻と、そして虚しい絶望感だけであった。
このオナニーそのものが冴華に屈服した証であるような気がして、総太郎は目の端に涙をにじませる。
◆
その時になって、総太郎は部屋の入口に誰かが立っていることに気づく。
壁に背中を預けて自分を見つめている視線に。
「忘れ物を取りに来ただけのつもりだったのに、いいもの見せてくれてありがとうセンパイ」
「冴華……」
「ふふっ、一人でする時もエロい顔するんだね」
総太郎は全身に残る快感の残滓のせいで身動きが取れない。
ニヤニヤしながらゆっくりと冴華が近づいきて、顔を寄せてきた。
「ねえ、今あたしの名前呼んでたよね?」
「ち、違うんだ……今のは!」
「そっかぁ、そんなに気持ちよかったんだぁ……」
総太郎の言い訳などまるで聞きもせず、冴華は顎に手を当てて冷ややかに笑う。
「まさか、全部見ていたいのか……」
「ええ、しっかり見せてもらったわ。タンクトップに残った私のニオイなんかでイっちゃうところもね」
その言葉に総太郎は打ちのめされた。
冴華はそれ以上の言葉をかけることもなくゆっくりと立ち上がる。
「ちょっと方針変えてみようかなぁ……」
冷ややかな視線はそのままに、冴華は総太郎を見下しながら呟いた。
「何をするつもりだ……」
「ううん、なんでもないよ。下着フェチのセンパイ」
「なっ!」
「本当はそれを取りに来たんだけど、返さなくていいよ。プレゼントしてあげる♪」
総太郎が握りしめた赤いタンクトップとスパッツを見ながら、冴華はそのまま部屋を出ていった。
その数日後。
「さ、冴華……くそっ、出る、あ、あうぅ、あ、あああぁぁ!」
びゅる、びゅくっ、びゅううう!
この部屋に冴華が来た時の事を思い出しながら、総太郎はまたしても射精してしまう。
特に暴力を振るわれたわけでもなく、少し会話しただけのはずなのに冴華の顔が頭から離れない。
見られてはいけない部分を全て観察されてしまったことが、恥ずかしくて悔しかった。
その記憶がこの快感に繋がっているとは認めたくなかった。
認めた時こそ本当の敗北なのだろう。
しかし心は拒絶していても、体は抗えなかった。
冴華の残したタンクトップに触れずとも、匂いや声や体温を思い出してしまうのだ。
落ち着きを取り戻し始めた頃、ゆっくりと部屋のドアが軋む音を感じた。
「今日も派手にイっちゃって……うふふ」
「はっ! さ、冴華……」
「途中から見られてたのに気づかなかったんだ?」
今日の冴華はグレーのパーカーとチェックのミニスカート姿だった。
自然と総太郎の視線が、健康的な美脚に向いてしまう。
(く、くそっ! なんで俺はこいつなんかに興奮してしまうんだ……)
彼の葛藤などお構いなしに、冴華は総太郎との距離を詰める。
「てっきり気づいてるものだと思っていたのに」
「来るな! うぅっ……!」
目の前で冴華の美脚と顔を交互に見つめながら、総太郎はゴクリと息を呑む。
顔立ちは文句なしの美少女であり、この脚も非の打ち所がない。
そんな美少女に二度も敗北したという事実が惨めだった。
冴華はニヤニヤしているだけで、じっと総太郎を見つめていた。
「はい、これ」
「なんだよいきなり……あっ……!」
無造作に放り投げられたのは、可愛らしいレースの刺繍が施されている白いショーツだった。
指先に感じたツルツルとしたナイロンの肌触りに、総太郎は突然ドキドキし始めた。
「誰のだと思う? 色々想像してみるといいんじゃないかな」
冴華はそれだけを言い残して、部屋を後にした。
その日から冴華は、一日置きに総太郎の部屋へ訪れるようになった。
「あああぁぁ、冴華ぁ!!」
びゅるる、びゅくううっ!
「クスクスッ、なぁに?」
冴華が現れるのは、決まって総太郎が射精した直後だった。
怯えたように自分を見つめる彼の姿を、冴華は冷ややかに見つめている。
「ま、また……いつからそこに……」
「人の名前を呼んでおいて、そんなに驚くことないじゃない」
総太郎は慌てて右手に持っていた白いショーツを手の中に握り込んで隠す。
冴華が置いていったものは、かつて総太郎が学園内の密室で彼女に敗北した時のものだった。
それに気づいた総太郎は、初めて女性恐怖症になった時の自分を、学園で冴華に蹂躙された記憶を鮮明に思い出した。
当然そこまで計算した上で、冴華は先日この部屋に餌を蒔いていったのだ。
さらに総太郎がショーツを使ってオナニーすることも、冴華の想定内だった。
「ねえ、頭の中でどんな風にあたしに犯されたの?」
「だ、誰が……」
「教えてもらう権利あると思うんだけどなぁ?」
「くっ、そんな権利は、ない……」
自分から顔を背ける総太郎を見下しながら、冴華はゆっくり右足を上げる。
「ふ~ん、言わないんだ。じゃあ、お仕置き」
「な……!」
「えいっ!」
ぎゅいいいいい!!
「あああああああああああぁぁぁ!!」
冴華を前にして収まる様子を見せないペニスに、突然痛みが走る。
ニヤニヤと笑いながら、冴華が総太郎の股間を踏み抜いたのだ。
それは本当に単なる暴力行為だったのに、ソックス越しに伝わる冴華の足の温度に総太郎は降参してしまう。
ビクビクビクッ! びゅううぅぅぅ!!
「ふふふ、痛かった? でも今のあなたにはご褒美になっちゃうかもね」
「あ、がぁ……」
「またね、センパイ♪」
突然やってきた痛みと快感に体中を痙攣させながら、総太郎は冴華の背中を見送るしかなかった。
その次の日も、冴華は部屋に訪れた。
今日はジャージの上下といった服装で露出は少ないようだ。
たまたまその時は総太郎も落ち着きを取り戻しており、醜態を晒すことはないように思えた。
しかし目の前にいる冴華への恐怖心は、日を追うごとに高まっている。
こうして目の前に彼女が居るだけで総太郎は無意識に萎縮し、それと同時に興奮してしまうのだ。
「お、お前はどうしてここに来るんだ……」
「どうしてって、決まっているじゃない」
総太郎の言葉に不思議そうな顔をしつつ、ずかずかと冴華は近づいてゆく。
「来るな! とま……」
「ふふふ……」
両手で冴華を制止しようとする総太郎の手首が、がっしりと握られた。
それだけで総太郎は動けなくなってしまう。
剛力法を使われているわけでもないのに、冴華に勝てる気がしない。
「これも斤木流への復讐だよ」
鼻先でささやかれ、総太郎は完全に硬直した。
強気な瞳に心まで飲み込まれてしまいそうなのを必死で堪える。
だが冴華は冷酷な言葉を彼に突きつけた。
「あなたはもう立ち直れないわ。敗北した相手に与えられる快感を知ってしまったから」
完全に自分を舐めきっている口調で冴華が言う。
ここは怒るべき場面なのだが、それに対して総太郎は何も言い返せない。
怯えたまま言葉を待っているような総太郎に向かって、冴華がふんと鼻を鳴らす。
「この数日、あなたはあたしに負け続けた。
頭の中までたっぷり犯されて、オナニーするところも見られて、醜態を晒し続けた結果……どうなったと思う?」
「そんなの、わからない……」
自分より背の低い相手に手首を掴まれ、見上げられたまま、総太郎は自分の胸がどんどん高鳴るのを感じていた。
手首から伝わる冴華の体温や間近で感じる髪の匂い、冷ややかな視線、呼吸などが原因だった。
目の前に冴華がいるだけで恐怖と同時に体が何かを期待して熱くなる。
できればペニスが勃起し始めていることは、冴華に気づかれたくなかった。
そんな彼に向かって、冴華は少し背伸びをして、左肩に顎を乗せるような態勢になる。
「……もうあたし以外ではイけない体になってるんじゃないの?」
「っ!!」
総太郎の心を見透かすような一言が、耳元でささやかれる。
はっきりと冴華の体温を首筋に感じたことで、総太郎の全身にさらなる興奮が駆け巡る。
(あ、ああああ! さ、冴華の胸が!)
ジャージ越しではあるものの、総太郎の胸に冴華のバストが押し付けられ、はっきりとした柔らかさが伝わってきた。
それはまるで総太郎の心臓を直接胸で包みこむような、魅惑的な愛撫だった。
「お、俺がお前のことなんて、考えるわけないだろう!」
「ふぅ~ん、本当かなぁ?」
気を紛らわせるように強い言葉を口にしても、冴華は決して総太郎から離れようとしなかった。
逃げようとする総太郎を自ら引き寄せ、手首を掴んでいた左手を背中に回すと、ますます密着感が増した。
(くそっ、こいつの胸が当たって……なんて柔らかいんだ!)
意識すればするほど、冴華のことが頭に広がってゆく。
特に押し付けられたおっぱいの感触が凶悪で、総太郎は思考をまとめられなくなっていた。
「他の誰かを想像しても結局あの時の快感を思い出してしまうとか」
「そんなこと……ッ」
「センパイ、あたしのおまんこに搾り取られた快感を覚えてるよね」
「いつも、そんなことを考えてるわけじゃない!」
「へぇ~、じゃあたまには思い出してくれるんだ? ふふふ」
「ちっ、ちが……あああああぁぁぁ!」
冴華の右足が総太郎の股間に割り込み、ゆっくりとペニスを押しつぶす。
左足を軸にして片足立ちするように、右足の太ももがクイクイと総太郎を刺激する。
それだけで総太郎の頭の中は冴華の美脚で占領され、脱力してしまう。
「今はこの足とおっぱいで責められちゃってるけどね」
「や、め、……あ、ああぁぁ!」
「こうやってエロい鳴き声を近くに感じているだけで、あたしも心臓がドキドキしてきちゃう♪」
総太郎は何も言い返せない。
冴華が背伸びしたまま、自分に軽く胸を擦り合わせてくるだけでその感触に酔わされてしまう。
まともな思考があっという間に霧散し、何も考えられなくなってしまう。
下半身に力が入らなくなって、ペニスの感覚だけがどんどん鋭敏になっていく中で、
やがて総太郎はその場にへなへなとしゃがみこんでしまった。
「あーぁ、ついにへたりこんじゃった。私の魅力にメロメロって感じ?」
「そんなはずがない、俺は……俺はお前なんかに屈しない!」
「じゃあ証明して見せてよ」
冴華はニヤニヤと彼を見下しながら、ゆっくりと右足を上げて、足の裏をペニスの先端に置いた。
「今から踏んであげる。痛くはしないから安心して」
「え……っ」
「それでセンパイが我慢できたら勝ち。射精したら負けってことでいいよね」
冴華は右足のかかとを付けたまま、つま先だけで亀頭を押さえている。
それは触れるか触れないかの微妙な刺激だった。
ジワリジワリと広がり始める快感に、総太郎は悶絶した。
(なんだよ、これ……き、きもちいい……ああ、なんで俺は!)
自分に少しだけ触れた冴華の足の裏に媚薬が刷り込まれているように感じていた。
目の前に誰もいなかったらこのままオナニーしてしまいそうだった。
「負けたら俺はどうなるんだ……」
「うふふふ、気になる? 負けたときのことが」
冴華に指摘され、総太郎は恥ずかしさに打ちのめされる。
「もう勝負は見えてるかもね」
総太郎の心が弱っていくことを感じながら、冴華はゆっくりと右足に体重をかけ始めた。
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