ちょっとした妄想 #01 デリヘル嬢
月末の金曜の夜、少しだけ贅沢をする。
電話をかけてからもうすぐ十数分が経過する。
指定の部屋で一人待ちわびる。
テレビでもつけるかと思ったその時、部屋の呼び鈴が鳴った。
「遅くなってすみません。早速はじめますね」
申し訳無さそうに入ってきた彼女を見た瞬間、心のなかでガッツポーズ。
上品な白いワンピースに淡い水色のスカーフがとても良く似合っている。
程よい軽さを感じさせる髪の色、薄化粧なのにほころびを見せない肌。
インターネット上で確認できるのは顔以外の全てだが、現実の彼女は想像以上の美形だった。
「いい?」
部屋に入るといきなりディープキス。しばらく見とれていたこちらにとっては完全な不意打ち。
キスだけで気が遠くなるほど何かが満たされてゆく……。
静寂の中で柔らかな唇とミントの香りがする吐息を感じる。
「タバコですか? 私は吸ったことないです。そういうの気にするタイプなんですね。可愛いなぁ……♪」
こちらの質問に対して明瞭に答える彼女。
明らかに年下の女性なのに余裕を感じさせる表情。
軽い劣等感を感じつつ、細い体を抱きしめる。
「抱きしめてくれたお礼に……大事なところを可愛がってあげる」
二度目のキスの余韻を残しつつ、流れるような動作で下半身を露出させられた。
着衣のままの彼女にリードされる展開。
柔らかな髪が少しだけペニスに触れてくすぐったい。
続いて熱く蕩けた口の中に半分ほど包まれた瞬間、
「っ!」
それは思わずこちらが声を上げるほどの技巧だった。
静かに咥えられただけで背筋を快感が駆け上がってくる。
我慢汁は間違いなく彼女の口の中で垂れ流し状態……
激しく顔を前後させることもなく、時々こちらを見上げてくるだけなのに堪らなく心地良い。
ねっとりと時間をかけて先端が小さな口に犯されてゆく。
「ふふ、もうドロドロじゃない。まだまだこれからよ――」
名残惜しさを感じさせながら、魅惑のフェラが中断された。
あっという間に性感を高められ、次は挿入されるのかと覚悟したのだが少し違った。
「手のひらが得意なの、私」
彼女の細い指が肉棒に絡みつく。
こちらを見つめながら棹を包み込み、優しく包皮を引き釣り下ろす。
軽い痛みが走る。
「ごめんね。すぐに忘れさせてあげる」
そう言いつつこちらを魅了するように長い舌を出してみせた。
舌先を動かしながら右手の白い指を二本舐め始める様子が卑猥だ。
「んちゅ……行くよ?」
程なくして人差指と中指に銀色の糸の唾液の糸が垂れ下がる。
クルリと手のひらを天井に向け、二本指の間でカリ首を挟み込まれた。
そしてヒクついている先端には封をするように親指が添えられた。
「ほとんどの男の人は私の親指さんにクリクリされるだけで幸せになるみたいよ?」
少し声を潜めながら彼女は笑った。
鈴口にピタリと吸い付く親指の腹。小刻みに動かされるとピリピリした刺激が伝わってきた。
無意識に腰がモジモジと動き出す。
でもこの程度なら我慢できると思った瞬間、急に摩擦がゼロになった!!
トロリ……
「どう? 私のお口から唾液の関節キス……我慢できるわけ無いよ」
なめらかに滑る指先がむき出しになった亀頭を容赦なく責め立てる。
ほんの少し感じた痛みが消えて、悩ましい快感だけが与えられる。
「……さっきのキスも思い出して?」
快感に耐え切れず顎を跳ね上げた瞬間、ペニスを握っていた彼女の左手が右腕の下を通って背中を抱き寄せてきた。
ベッドに転がって逃げることすら許さない拘束。
その間も股間を這いまわる凶悪な右手は緩慢にペニスを快楽漬けにしてゆく。
「なでなでされてるだけなのにフェラよりも気持ちよくなっちゃうね? フフフ」
いつの間にか俺の右足を抑えつけるように彼女がまたがっていた。
たいして重くもない彼女の体を跳ね除けることができない。
指先が奏でるクチュクチュという小さな音だけが部屋に響き渡る。
「このまま手の中で一度イってからスタートにしましょう? これは私からのサービス」
「!!」
「イった直後にまだ元気だったらそのまま膣内で狂わせてあげる。だから……射精して。早く」
ちらりと部屋の時計を見る。出会ってからわずか数分。
しかしその優しい命令口調に逆らうことはできず、ネトネトにされたペニスは二度三度と大きく脈打ちながら白濁液を放出するのだった。
(ここまで)