ちょっとした妄想 TOPへ戻る 



ちょっとした妄想 #02 ナイトメア

Succubus Quest短編EXPANSION —白の史書と色づく魔物— デザイアダンジョン
※参考





俺は戦士。
パーティーの仲間とはぐれて迷宮を彷徨ってるうちに魔物と遭遇しちまった。

「ずいぶん強そうなオトコ……」

目の前で品定めするように俺を見つめているのはおそらくサキュバスの上位種、ナイトメア。

きらめく髪をかきあげ、軽くウインクしてきた。
背中に折りたたんだ黒い翼からは鱗粉のように光を反射する何かをまき散らしている。

あれを吸ったらヤバイ気がするのでさり気なく口元を隠す。

しかも相手は三体……俺を取り囲むようにじわじわと距離を広げてゆく。
同時に跳びかかってこられたらカウンターを取る自信はあるが、何故か俺の間合いに入ってこない。

本能的に危険を察知しているのか、それとも他に目的があるのか。

こいつらは間違いなく敵。それなのにさっきから思考が鈍る瞬間が訪れる。
気を抜いたら人間ではありえないほど淫らに揺れる乳や腰のくびれに目が行ってしまいそうだ。


「せっかくだから一対一で戦ってあげるわ」

顔色を変えずに俺は剣を構え直す。
それは願ってもない申し出だった。
一体ずつならこんな奴らに負ける気はしない。

「いくわよ……」

右側にいたナイトメアが猫のように飛びかかってきた。

(速い!!)

クロスボウから放たれた矢のようなスピード。
だが俺はそれを紙一重で交わしながら柔らかそうな肢体を一気に切り裂いた。

「きゃああああああ!!」

絶叫とともに霧のように消えるナイトメアの肉体。
確実に仕留めた手応えはあった。

だが一息つく暇もなく、次なる殺気に気を配る。


「よくもやってくれたわね!」

すかさず飛び込んできたもう一体のナイトメアには必殺の掌底を叩き込んだ。

相手の腹部にヒットした直後、神速で斬り捨てる。

「つ、強い……っ!!」

二体目の最期の言葉はそれだった。




「残るはお前だけだな」

「それはどうかしら?」

俺の言葉にリーダー格のナイトメアは小さく微笑んだ。

目の前で仲間が秒殺されたというのに顔色一つ変えていない。
相変わらず余裕の表情で俺を見つめている。


「さっきの二人、弱すぎると思わなかった? それとも疑うことを知らないのかしら」

「どういうことだ」


「それはねぇ……」

パチン、とナイトメアが指を鳴らした瞬間、俺の背中と左半身が急に重くなった。

「がああっ!」

短いうめき声をあげた俺を見てナイトメアが目を細める。

自分の体重が二倍以上に感じる違和感。

こいつ、俺に重力魔法でもかけたのか。


「可愛い声で鳴いてくれそうね」

「俺に何をした!」


「貴方の背中と左側に、さっきの二人が絡みついてるわ。よく見えるようにしてあげる」

聞きなれない呪文をナイトメアが唱えると、周囲に桃色の霧が一気に広まった。

そして――


「ハァ~イ♪ クスクスッ……私達の幻術、大成功みたいね」

俺の左耳に艶やかな声が注ぎ込まれた。
慌てて横を向くとさっき倒したはずのナイトメアが!

(いつの間に俺はこいつに体を触れさせていた!?)

ナイトメアは俺の左手に絡みつきながら妖しげに身をくねらせている。


「あはははっ、全然気づかないんですもの。拍子抜けしちゃった」

今度は右側からも違う声が。

「チャオッ♪」

反対側に目をやればもう一体……こいつも倒したはずなのに!!


「うおおおっ、離せ! くそっ、くそおおおおっ!!

必死で振り払おうとするが、何故か俺の体はピクピクと痙攣するだけ。


「パラライズの魔法をかけちゃったからね。しかも密着した状態で何重にも」

ナイトメアは悪びれもせずにそう言った。

俺の体の感覚はあるのに手足が言う事を聞いてくれない。



スゥッ……

ひんやりとした手のひらが俺の頬に添えられた。

「丸裸にしてあげる。ンチュッ♪」

「!!」

ナイトメアに唇を奪われた。

しゅるりと舌先が侵入してきたと思ったら、すぐに俺の舌に絡みついてくる。
そして何度も巻き取られるようなディープキスをされてゆくうちに膝や肘から完全に力が抜け落ちた。

ガシャン……

手に持っていた剣がフロアに落ちて横たわる。


「ふふっ、今のキスでわかっちゃった。魔力は全然感じないけど体力は底が知れないわ、この子」

「じゃあ何発吸い取れるか楽しみね。今度は私からのキス、いかが?」

解放されたのもつかの間、もう一体のナイトメアにキスをされた。

さっきよりも甘く感じる……

俺の股間がドクドクと脈打っていくのを感じた。こいつらに欲情したら終わりだ。

危険なことだとわかっているのに止められない!


こいつらは敵なのに、すごく綺麗で悩ましくて――

正常な思考が蕩けさせられていく……


「そろそろ食べちゃおうよー。最初の精液は美味しいんだよね」

「お口で吸ってあげたほうが優しいかな。それともここには触れないで全身愛撫だけでお漏らしさせちゃう?」


「あはっ、それいいかも! 意識のあるうちに恥ずかしい目に合わせちゃう」


「ふたりとも待って。まずは私の尻尾で味見してからよ……」




うつろになった俺の目の前に、先端から粘液を滴らせたナイトメアの尻尾が揺れていた。










(ここまで)



※このサイトに登場するキャラクター、設定等は全て架空の存在です
【無断転載禁止】

Copyright(C) 2007 欲望の塔 All Rights Reserved.