ちょっとした妄想 #06 お店の中
休日に何気なく立ち寄った新規開店のお店。
看板のデザインが斬新で、外から見ただけでは何のお店なのか判断しかねる。
おそらく飲食店であろうその店舗はアイスクリームショップだった。
入り口はそれほどでもないが店内の奥行きが深く、ゆったりとした空間が広がっていた。
4人席には家族連れなどがおり、空いているのはカウンター席だけだった。
そこに自分のかぶっていた帽子をおいて席取りをする。
オーダーしてからしばらく時間がかかると言われた。
自分の注文を済ませてから席に戻ると、ひとつ間を空けた隣に女の子が座っていた。
その背中に一瞬見とれてしまった。
美容院に行った直後のような柔らかな髪がキラキラ輝いてる。
ちょうど席の正面にある大きなガラス窓から太陽が差し込んでいたこともあり、それだけで十分魅力的に見えたのだが、隣りに座ってみると本当に美しい少女であることがわかった。
白い素肌に薄くまとうような化粧。
丸顔だが太っているようでもなく、品の良い顔立ち。
ゆるくまとめた髪の隙間から見える小ぶりの耳には銀色のピアスが見えた。
服装はシンプルで、大きくキャラクターが描かれた白地のTシャツとフレアのミニスカート。
ほっそりした両足の先、足の爪は綺麗に整えられておりペディキュアが塗られている。
それなりに背は高いはずなのに、少しかかとが高いサンダルを履いているせいで足がとても長く見えた。
受け取った二段のアイスクリームが乗ったワッフルコーンを大事そうに左手で持ち、右手の小さなスプーンですくって少しずつアイスクリームを口に運んでいる。
彼氏との待ち合わせだろうか。でもそれなら一人で店に入るのはルール違反のような気もする。
少女は目の前の景色を眺めつつアイスクリームを食べている。
形の良い唇の少し下に白い雫がついていた。
白い肌にとろりと付着したそれはアイスのミルクに違いないのだが…
(あっ!)
小さな白い点を見つめていた矢先、少女は指先でそっと口元を拭った。
そして控えめに舌を出して指先をぺろりと舐めて見せた。
本当に…非常に小さいものであったが、チュパッ…という音も聞こえた。
いちごみたいに真っ赤な舌先が細い指先に絡みついて甘いモノを舐めとる。ただそれだけの行為にこの上なく興奮してしまう。
少女の美しさ、清楚な色気のせいもあって脳内でその仕草がリピートされる。
男のペニスをアイスに見立てて柔らかい舌先で何度も何度も舐めあげる。
蛇のように細い舌先でカリ首を責められたら……どんなに我慢してもすぐに果ててしまうかもしれない。
指でシコシコとしごくこともなく、小さな唇だけで先端を半分くわえたままチュパチュパと削るように舐められたらどんな男でも屈してしまうに違いない。
この子のフェラは間違いなく気持ちいいはず…
(はっ……!)
指先にひんやりしたものを感じて我に返る。
自分が頼んだアイスクリームが溶け出しているのに気づいて慌てる。もちろん急いで半分ほど食べる。
時間にしてみればおよそ数秒間…いやもう少し経っていたのかもしれない。
淫らな妄想に溺れていた自分を恥じつつ、少女の方をちらりと見る。
幸い彼女は気づいてない。
もっとじっくりと様子をうかがっても良いだろう。
相変わらず少女は正面を見つめている。窓の外の通行人はそれほど多くない。
コト…
右手に持っていたスプーンを少女はカウンターの上にそっと置いた。
そして捧げ持つように大切そうにワッフルコーンを両手で持つ。
ペロ……レロ…ペロ…
うっすらと瞳を閉じながら、場合によっては恥ずかしそうに見える表情で彼女はペロペロとアイスを舐め始めた。
(うそだろ……それをここでやってくれるとは!)
すでに股間は痛いほど張り詰めてる。
そろそろ視線をはずさないと気づかれる。
それなのに少女の口元から目が離せない。
彼女の舌使いがエロすぎて妄想に歯止めがかけられない状態。
さっきまでとは違い、急ぐようなピッチでアイスクリームを舐めとっていく少女。
舌先を硬く尖らせて硬い部分をチョンチョンとつついてから、素早く下から上に舐めあげる。
溶け出した部分を先に吸い取りつつ、全体をしつこく舐め回す様子はリアルよりもエロすぎて思わず見入ってしまう。
ペロ、レロ……
少女の舌使いが少しゆるくなる。そして急に口を大きく開けて、
チュルル…
(ぁひいいいいっ!!)
声が出そうになるのを懸命にこらえる。
舐め溶かされてるアイスクリームを自分に重ねてしまうのは危険だ。
まるで形の良い唇全体を使って亀頭を飲み込み、愛撫するような行動。
アイスクリームの小さくなった部分を唇で包んでしゃぶる。
さらに舌先で転がしている…あんな焦らしプレイみたいに緩急を付けたら、普通の男は間違いなく悶絶射精する。
(あの子エロ過ぎる…あんな舐め方をされたらアイスじゃなくたって彼女の舌で溶かされちゃううううぅぅぅ!)
そろそろ気力を振り絞って立ち上がり「化粧室」に向かわねばならないかもしれない。
もう限界だ。美少女のフェラ妄想で頭の中がパンクしそう。
誰もいなければ少女の姿を見ながら――
「お待たせしました!」
突然声をかけられビクッと体を震わせつつ振り向く。店員さんがニコニコして立っていた。
さっき注文したものをこちらへ届けてくれたようだ。
商品を受け取ると店員さんは軽くお辞儀をして背を向けた。
その声につられた少女が一瞬だけこちらを見て、また正面へと向き直る。
不埒な妄想を打ち切るにはベストなタイミングとも言えた。
(いかん…妄想しすぎた。アイスクリームでも食べて気持ちを落ち着けよう…)
スプーンを握り、となりにいる少女の真似をして正面の大きなガラス窓を見つめた瞬間、心臓が握りつぶされたような思いがした。
新装開店のお店。
そのショーウィンドウとも言えるこのガラス窓は、内側も外側も鏡のように磨きたてられていた。
外は昼間で明るいというのに、目を凝らせば自分の顔はもちろん、周囲の人達の表情までくっきりと写り込んでいる。
そしてガラスの中で、こちらを見つめて微笑む彼女と目があった…
(ここまで)