ちょっとした妄想 TOPへ戻る 



ちょっとした妄想 #08 最終取調室






壁から伸びた鎖に繋がれたまま俺は無理やり中腰の姿勢で粗末な椅子に座らされている。

この収容所に来てからおそらく5日目。
疲弊した体の痛みを堪えつつ言葉を噛み殺す。

初日は鞭打ち、ろうそく、睡眠妨害など肉体的な拷問が続いた。
何をされても自分が知っている情報を相手に与えるつもりはない。
俺はひたすら耐え忍んだ。

次の日は担当が変わり、妙に色気のある女性からひたすら尋問が続いた。
色仕掛けも交えて同じような質問を繰り返し問いかけてくる拷問担当。
それらについては全て黙秘した。
もっとも、黙秘したところでサーモグラフィーなどで検閲されていたのだろうけど。

その次の日は最初に戻って自白を共用する原始的な拷問…
日が変われば色仕掛け…
これが繰り返された。


そして今日、目の前にいるのは初めて見かける少女だった。

金色の髪に青い瞳、少女という表現が似合う童顔。

さらに制服の上からでもわかるほど貧乳。

本当にこいつが拷問担当?


「聞いたよ。キミ、何をされても平気なんでしょ? すごいよねぇ」

少女は手に持ったペンをくるくる回しながら俺の目の前で微笑んでいる。

「痛みにも色気にも屈せず、もうどうしようもないってことで今夜からボクが取り調べ担当になったんだよ。よろしくネ」

「……」

「別に何も喋らなくてもいいけどさ。こちらの好きにさせてもらうから」

彼女はそういってからクルリと背を向けた。

そしてかぶっていた帽子と制服のボタンを外し、上着を脱いでテーブルの上に軽く折りたたむ。
下着代わりの黒いタンクトップと白い素肌のコントラストが眩しい。

「一応ヤバイと思った時は壁に書かれてる言葉を口にしてね? 捕虜にも人権はあるんだからさ」

「……」

ちらりと壁を見ると何か紙が貼り付けてある。
この国の言葉で「もうやめてください」という意味の単語だった。


「じゃあ……いくよ……」

拷問担当の少女がこちらへ向き直った。

ふるんっ

予想外に大きめのバストだった。
細い体に似合わず、巨乳と言って差し支えないほどの大きさ。

それが少女の歩幅に合わせて柔らかそうに揺れる……揺れる……そして俺の体にピッタリと吸い付いてきた!

「な……!」

思わず声を出してしまった。少女がつま先立ちになって、俺の顔を抱え込むようにしながら唇を合わせてきたのだ。

ペチュ……チュピ……レル……

優しい舌使いに心が揺らぐ。少女のくちづけは一分近く続いた。


ちゅぷっ……

たっぷりと唾液を俺の口の中に流し込んだ少女が恍惚とした表情で俺から離れた。

年端もゆかぬ小娘と思っていたがとんでもない技巧だった。

昨日までの色っぽい担当の方がまだ我慢出来た。


「うん? どうしたの。意外そうな表情してるけど」

首を傾げた少女にそう言われてドキッとしてしまう。

きっと俺もさっきの彼女と似たような恍惚感あふれる表情をしていたに違いない……


「取調官が捕虜にキスしてはいけないという決まりはないしね。それに…………これは単なる拷問開始の合図だもん」

少女の口調が冷たく変わった。

背後にある眺めの黒いタオル……もしくは帯のようなものを手にとって、空中でパシンパシンと音を鳴らしてみせた。

(あれで俺の顔を叩くつもりだろうか)


その予感はすぐに外れることになる。


「まずはキミから視覚を奪ってあげるよ……」

ヒュッ!

少女がこちらに向かってタオルの端を投げると、俺の左耳から後頭部、右耳へと生き物のように絡みついてきた。

痛みはない。だが何も見えない!

まるでしなやかなムチで手足を封じられたような感覚。俺の両目は黒い布切れによって封鎖された。


「次に味覚……というより言葉を喋れない苦しみをキミにあげる」

コツコツ、という靴の音。そして少女の体温を感じた刹那、


ぎゅううっ!


「んうぐううううっ~~~~~~~~~!?」

何か、酸っぱい味のする布を口の中にねじ込まれた。

「ふふふ、いい姿だね……そそるよキミ。これだけでボクはイっちゃいそうだよ……」

目の前では少女の気配を感じる。呼吸と声、そしてほんのりとした体温。


ぺたっ……

「っ!!」

ふいに俺の左胸に暖かな感触。
おそらく少女の手のひらが当てられた。

「ふふっ、さすがに反応したね。どんどんいくよ」

続いて右の胸にも手のひらが当てられ、それぞれの指がもぞもぞと動き出した。

しっとりとした指先が焦らすように乳首をカリカリとかきむしる。

(ぅく、なんだこれ……くすぐったい……!)

少女は小さな笑みをこぼしながら指先を器用に俺の胸に這わせる。

腕を閉じ、脇をしめてガードしようと試みたが、いつの間にか両方の手首が一定以上動かなくされていた。

「キミの快楽スイッチはまだつぼみのまま閉じてるみたいだね……そのほうがボクもやりがいがあって楽しいよ」

チュプッ……という小さな音を感じた。それが何なのかはわからないが嫌な予感しかしない。

「普通の男の人は性感帯が全部閉じてるからね。一枚一枚ボクが優しく剥いてあげる。感じやすい部分をむき出しにしてキミのことを少しずつ開いてあげる」

ヌトッ……クチュ…

「んふうっ!」

少女の指先が再び俺の体に触れた。ただそれだけなのに、さっきよりも粘着質の刺激がプラスされている。

身をよじる俺の体に合わせて細い指先が妖しく這いまわる。

脇のした、首筋、肋の真上……身悶えするたびに弱くなる箇所を探り当て、少女の指先が俺を確実に弱らせてゆく。

痛みによる疲弊でない分だけたちが悪い……我慢しようと思っても耐え切れない部分を容赦なく彼女は指を這わせてくる。

「淫欲のローション…これも耐えるんだ……でも、少し苦しげな感じ? 別にボクは構わないけど」

「うううっ、んううううう!?」

俺をどうするつもりだ、といいたくても言葉に出来ない。


「ボクの指はもっと素早く動かせるよ…キミをゆっくりと戻れない泥沼に引きずり込んであげるさ」

十本の指が脇腹に添えられた。そしてサワサワとかすかに皮膚をひっかきながら上下に移動を繰り返す!

「んぐっ、んふ、うううあああぁぁ!」

もがいてみてもどうにもならない。
両足は椅子に縛り付けられていてみ動きがとれない。
しかしズボンの下はすでにはちきれんばかりに膨張させられていた。

(こんなくすぐりに……性的な快感を覚えたというのか、俺は!)

頭を振って雑念を取り払おうとしたがそれも無駄……視界を奪われる直前の少女とのキスや、彼女の見事なまでのバストが脳裏に浮かんで俺を狂わせる。

「ふふふふ、そろそろ本格的にいじめてあげようかな。今のボクにはその権利がある」

ゼエゼエと息を乱す俺に絡みついていた少女の指が一旦離れる。

そして代わりに何か……テープのようなものが肩や肘、二の腕や胸、鎖骨付近や乳首、へそ、脇腹……とにかく体中に貼り付けられた。

少女以外にも複数、おそらく二人か三人が入室してきて、手際よく作業を終わらせて部屋の外へと出て行った。


「何をされてるのか見えないのがそんなに不安かい? じゃあ教えてあげる。キミの体の表面には無数の点穴がある。いわゆるツボってやつだね」

(ツボだと……)

途端に不安になる。その予感はすぐに的中することになる。



「そこに細い針を差し込んだ。でも痛くないだろ? 捕虜に苦痛を与えちゃいけないんだ…でもその逆ならOKなんだよ」

そういいつつ、少女がそっと俺の体に触れた途端――、

パリィッ……

「っ!!」

しなやかな指先がそっと触れた部分、その周り直径10センチ程度の箇所が一気に花開いたみたいに甘く痺れ出した。

そしてそれは一瞬で収まった……



「いまので分かったでしょ? キミがこれから受け取るのは快楽だけ。乾電池ひとつぶんにも満たない微弱な電気だけど、体中のツボに直接流してあげる」

(や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!)

俺は戦慄した。目隠しされていても装置の仕組みを理解してしまったのだから。

少女の手には電極が取り付けられている。それが俺に触れた瞬間、さっきみたいな刺激がツボに直接流されるのだ。

もがく俺にはお構いなしで、彼女の指先がゆっくりと体中を這いまわる……


サラサラサラサラ……

ぎゅっぎゅっぎゅ♪


「んぐっ、いぎいいい~~~~~~~!!」

「くすくすっ、乳首を集中責めされた女の子みたいな反応だねぇ! そんなに気持ちいいんだ? 悶絶しちゃうほど感じるんだ?」

恥も外聞もなくジタバタともがき出す俺を見て少女は笑い出した。

左胸と右の脇腹にそっと置かれた彼女の指がゆっくりと……染みこませるような手つきで円を描いただけで腰回りと左半身全てを愛撫されたような感覚に包まれた。

そのまま背中までゆっくりと、抱きしめるような動作で俺に密着する少女。

脊髄の内部に甘い催淫毒を注射をされたみたいに、体中から力が抜け落ちてゆく……

(がああ、うわあああああああああああぁぁ!)

俺に密着した少女の体、おそらく正面から抱きついている状態……ということは、腹のあたりに感じている2つの突起物は彼女の……

「んふふ……ボクのおっぱい、感じてるんだ? 乳首同士をコリコリしてみるぅ? それともヤワヤワと押しつぶして頭の中をおっぱい漬けにしちゃうほうがいい?」

「っ!!」

耳元で甘くささやかれると嫌でも想像してしまう。

少女の形の良い巨乳を自分の肌で、しかも乳首同士を擦り付けるなんて淫らな妄想までオマケでついてくるなんて……

「ほらぁ、しゅっしゅっしゅ♪」

「んっ、んん、んぶうううっ!!」


「全然逃げられないね? 哀れだね、キミ…うふふふふふふふふふふ」

来るとわかっていても抗えない甘美な毒針。

予告通り少女は自らの胸で俺を責めてきた……


「あぁ、本当に最高だよキミ……もっと甘くいじめてあげたい……次はどこを責められるか、もうわかるよね?」

俺に抱きついていた少女の体がすっと離れた。

「次に狂わされちゃうのは男の子の大切な部分だよ。覚悟は良い?」


グチュリ、クチュッ、クチュッ♪



粘液を手のひらになじませるような音が部屋に響いた。

その仕草に隠れて少女のかすかな含み笑いも感じ取れる。

視界は奪われていてもわかる。少女が次に狙ってくるのはペニス。徹底的に快感で俺を骨抜きにしようという魂胆なのだろう。

しかし、やってきたのはそんな生易しい刺激ではなかった。


ニュルッ……

(えっ……!)

グチュ……ニュプッ、プチャ……

(ま、まって……ペニスじゃ、ないいいいっ!)

グチュル、ネチュ、ピチャ、チュクッ……

少女の体がピッタリと俺に絡みついた。
両腕を俺の首に回しているようで、呼吸が感じ取れる位置に彼女の頭がある。

そして俺の全身はローションまみれになっているようにヌルヌルで、その上を滑るように少女の細い体が這いずりまわっているのだ。

(あ、があああぁっ、な、なんでええええ!?)

身体がこすれるたびにさっき味わった微弱な電流が俺の体を通過してゆく。

やがて首に回された腕が一本になり、彼女の指先がゆっくりとズボンの中、トランクスの下にあるペニスを直に握りしめてきた。


「あははははは、ペニスだけじゃなくて体中責めるに決まってるじゃん。首筋も脇の下も、おへその周りも太ももの内側も、全部まとめて快楽漬けにしないと気がすまないでしょ? ボクはとっても優しいんだ」

こすりつけてきた体以上に粘液まみれのペニスをやんわりとしごきながら少女が笑う。

神経を直接すりおろされているような快感が手のひらから伝わってきて、俺は無意識に何度も腰を跳ね上げて情けなく喘いだ。


「実はね、ボクは捕虜に自白させるのそんなにうまくないんだ。確率で言うなら50%くらい……ボクの手にかかった捕虜クンは、自白するか悶え死ぬかどちらかだからね」

「!?」

「脅しでもなんでもないよ? だいたいみんな窒息死するね。人間の体はくすぐられると我慢できないようにできてるんだ」

何気なく恐ろしいことを言い出す少女。
何より怖いのは彼女が獲物をなぶり殺すことにためらいがないことだった。


「できるだけ早く降参することを勧めるよ。そうなるとボクは全然面白くないけど」

そこまで口にすると、少女は俺の目隠しをあっさりと取り払った。

ついでに口の中を支配していた布切れも取り出して俺に見せつけた。しましまのパンティだった……


(俺は確実に今夜殺される……どうする、もうそろそろ潮時かもしれない……自白するふりをして――)


「いい忘れたけど、さっきキスした時に甘い味がしたんじゃない? あれも薬だから。塗られた部分の筋肉が弛緩する薬。まだ口元は動かせる? しゃべるなら今のうちだよ~」


慌てた俺の嗜好を遮る彼女の一言。

(知らないうちに薬を盛られていたのか……俺は!)

試しに口を動かそうとしても呼吸が漏れるだけだった。
何かをしゃべろうとしても上唇が動かない。


「あはは、何言ってるか全然聞こえないや。じゃあ拷問を続けるね?」

今度は見せつけるような手つきで体中を撫でまわしてくる。

よく見ると彼女の手のひらは透明な薄い手袋で覆われていて、それぞれの指に細くて黒い線が取り付けられていた。

その指先が俺の体に貼り付けられたものに触れるたびに小さな電流が断続的に流されてゆく……

「ひゃふっ、ああああぁ、ぅ、んあああ!」

「ふふふふ、身体が汗だく……指の滑りも良くなってきたよ。キミも嬉しいだろ?」

面白そうに俺を責め続ける少女の声に反応できず、ひたすら体中を熱湯に放り込まれたエビのようにはねさせるばかり。

手足の枷は相変わらず俺の自由を奪い、妖しげなローションを塗布された俺の体は快楽の受け皿でしかなかった。

「あれ、こんなところがビクンビクンって……ふふふふ、男の子って皆同じだね。おちんちんくすぐって欲しいんだ? 白いのぶちまけて頭も身体も馬鹿になっちゃいたいんだ?」

少女の指先がピタリと止まって、ペニスだけに狙いを定めてきた。

そっと根本をしごきながら固定して、亀頭を指先で包み込むように撫で始めると……


(あ、ああああぁぁ……いいい、それ、すごく芯に響いてくるううう!)

あまりにも的確な触診。優しく亀頭を撫で続ける少女の技巧に、俺は言葉も出せずに快楽を受け止めるしかなかった。




「知らないからね。ボクのくすぐりテクニックで亀頭をくすぐったら……壊れるよ?」

細い指先がすっと持ち上がる。
人差指と中指がピアノの鍵盤を弾くようにカリ首をひっかきながら何度もクルクルと亀頭を弄ぶ。

「あああぁっ、あひゃ、ああ、ああああ!」

「ほらほら、感じやすい裏筋でしゅよ~? 今から爪の先でカリカリされちゃいますよ~?」

くちゅくちゅくちゅくちゅくちゅくちゅ♪

「筋の一本一本を優しく優しくくすぐってあげましゅからね~? ほらぁ、こちょこちょこちょ~~」

「んふ、ひいい、ぎいいい!」

四本の指を使ってペニスの敏感な部分を絶え間なくかき鳴らす少女のテクニックに対して、せめてもの抵抗として俺は叫び声を上げ……ようとした。

しかし言葉も封じられている!

グチュッ、ジュポッ、グリュリュリュ!

少女が指で輪を作り、そこに亀頭をくぐらせた後に何度もカリ首をめくり上げながら先端を指先二本で交互に舐めるように刺激してくる。

(イグ、イ、イイイ、いっぢゃううううううううううううううううううううう!!!!)


ビュルルルルルルルルル、ビュクッ! ドプッ、ビチュッ!

その責めを繰り返されるともうダメだった。
ほんの数秒後、俺は盛大に射精してしまった……。


ぐったりと動かなくなった俺の体にまとわりつきながら少女は何度も何度も精を抜き取る。

くすぐりという原始的な、それでいて回避不可能な甘い刺激によって……


「んふふ……このままボクに抱かれて狂っちゃえ!」


それが俺が覚えている最期の言葉だった。





(ここまで)



※このサイトに登場するキャラクター、設定等は全て架空の存在です
【無断転載禁止】

Copyright(C) 2007 欲望の塔 All Rights Reserved.