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ちょっとした妄想 #10 条件






ここは学園の特別棟。放課後になればほとんどの生徒がよりつかない隠れた聖域。

なおかつそこで使用禁止の、いつもの一室に入った途端に彼女が俺に抱きついてきた。


「あのね……もう貴方のことを縛り付けないよ。道具も使わない」

「えっ……」


俺に抱きついてきた女性、藤巻理穂(ふじまきりほ)がポツリと呟く。

それは信じられない一言だった。

俺と彼女の秘密……それは射精管理という名の調教をする側とされる側。



一週間前、俺は理穂に告白した。

学園一…とは言えないかもしれないけど、入学してから今まで俺は彼女以上に気持ちを引かれる女子には出会っていない。

理穂はおとなしめの性格で、いうなれば図書室が似合う真面目系。

成績は上位に入るらしいが嫌味なところはなく、話しかければいつでも笑顔で返してくれる女の子だった。

決まった彼氏がいるという噂もないので勇気を振り絞って告白してみたのだが…

彼女はあっさりと気持ちを受け入れてくれた。

しかし、ひとつだけ条件があると言い出した。




射精管理。聞きなれない言葉だったがすぐに理解した。要するにオナ禁命令。


その日から10日間、彼女のことを思いながら俺が自分の心と体をコントロールできるのか見せてほしいというものだった。

(少し我慢すれば彼女が俺のものになる…)

意中の女性である理穂を思う気持ちで俺はその条件を飲み込んだ。

しかし……





一日目は両手と両足を拘束され、コックリングと呼ばれる器具の上から気が遠くなるほどの時間を彼女の手のひらだけで弄ばれた。

二日目はキス責め。上半身をむき出しにされた俺は椅子に座らされたまま彼女の柔らかな愛撫を唇だけでなく体に刻まれ必死でこらえた。

三日目はアダルトビデオを視聴しながらの愛撫……俺を背中から抱きしめた彼女の身体を感じながら過ごすひととき。彼女の手は局部には一切触れず、体中を這いまわった。

四日目は制服のリボンで指先を結ばれ、両手を上げさせられたままの足コキ。強すぎる快感に耐え切れず絶叫しすぎたので口の中にパンティをねじ込まれた。

五日目は目隠しされたまま、不規則にペニスを触られたり体を押し付けてささやかれたり。終わる頃には膝がガクガクにされてしまった。

そして昨日は…制服の下に潜む理穂の巨乳に顔を埋め、視界を奪われたまま彼女の太ももで亀頭責めを一時間。



ここまで俺の射精は許されていない。家でも学園でもオナニー禁止。

そんな俺の姿を見て彼女は幸せそうに微笑む。


正直、気が狂いそうだった……目の前で大好きな彼女の顔と身体があるというのに自分からの行為が許されないもどかしさ。

学園ではおとなしくて真面目そうな彼女が、俺の前では冷徹なサディストに豹変する。

物腰は柔らかいのに瞳の奥が冷えきっている。

しかし俺を責めるうちに、暗い瞳の奥に淫らな炎が宿ってゆくのだ。



「でもどうして……?」

おどおどしながら尋ねる俺に向かって彼女が笑いかける。

「だって……もう必要ないから」

「そ、それはどういう意味……?」


「今までの数日間で貴方への調教はもう完了したから」

自信ありげに彼女は言う。しかし俺には理解できない。

たしかに今の俺は性欲のはけ口を塞がれて身悶えしているに違いないのだが、やる気になればいつだって彼女のことを――


「気づいてないの? じゃあ教えてアゲル……」

ドサッ

「あ……っ」

彼女は俺を抱きしめたまま、踊るようにクルリと自分の立ち位置を入れ替えた。

そして俺の体をテーブルの中央に押し倒した。


ファサッ……シュルル……

薄暗い中に響く衣擦れの音。

「ほら見て。貴方の好きなモノだよ……」

テーブルの上に転がる俺を組み伏せるように、両手と両膝をついて四つん這いになった彼女が微笑んでいる。

制服のリボンとブラウスを脱ぎ捨て、あらわになった豊かなバストは重力に任せて俺の目の前で揺れている。

「あ、ああぁぁ…………!」

触りたい! 今すぐむしゃぶりつきたい。いや見てるだけでも構わない。

目の前の美乳を見つめながらペニスをしごくことが出来たなら……

でも……自分から触ったら駄目だ。彼女の許しがない限り俺は――、


「そんなに怯えなくても自分でしごいていいよ……でもイくのは許さない」

「え、いいの……でもイくのは」


「絶対にダメ。許さないからね」

残酷な命令だった。しごくのは構わないけど射精はダメだと言う。

(むっ、無理だろう!)

オナ禁し続けている今の俺が我慢できるわけもない。そんなことは彼女だってわかっているはずなのに!

だが俺の手は既に肉棒を握りしめていた。

彼女から得た「許し」に反応して、一心不乱に張り詰めたものをしごく。

ジワ……

あっという間にあふれだす我慢汁。

無理もない。目の前に揺れてるバストだけでなく、余裕たっぷりで俺を見つめている彼女の顔が魅力的すぎて――、


(あああ、いい……おっぱい、すごくエッチで、こんなの我慢できないよおおおぉぉぉ!!)

甘く切ないうずきが全身に広がってゆく。

生まれてから一番気持ちいい刺激かもしれない。


「クスクスッ、もうすぐイけそうね?」

相変わらず優しげな彼女を見て俺は悟った。

そ、そうか! このままイけということか。

いくら何でも彼女だって鬼ではない。俺の限界を察して、ここで一発抜いていいという温情を……

しかし……


「ふふっ、どうしたのかな。そのままイっちゃうの? イくのは私に禁止されてるでしょう」

「ひいっ、あ、ふ、あ……や、やっぱり……」

たった一言で俺の手の動きが止まった。そう、まるで自分の意志とは無関係に。


「従順なんだね。本当に」

切なく痙攣する俺の体を、そっと片手で撫で始める彼女。

その妖艶な手つきのせいで服の上からでも俺は簡単に喘がされてしまった。

細い指先が顎をくすぐって、首筋をなぞる。

ワイシャツのポケットに指を忍ばせて乳首を転がしたり、汗ばんだ脇の下へそっと人差し指が侵入してきたり……


「手伝ってあげるわ。もっと気持ちよくなれるでしょう?」

シュルル……

「なっ!」

彼女は脱ぎ捨てたブラウスの脇にあったリボンタイを手にした。

さらに俺をバンザイさせてから、両手の指を交差させてそのリボンタイの紐部分を軽く結びつける。


「うあっ、こ、これええええ!」

「道具は使わないって言ったけど……貴方はこうすると興奮しちゃうんでしょ? ふふふふ」

拘束とはいえないレベルの緩い結び目。

だが俺の体は彼女の言うように、さっきよりも興奮してしまった。

「う、ああぁ……!」

「自分から動いちゃダメ。私に体を預けて」

四つん這いになったまま、彼女は上半身をぴたりと俺の体に重ねてきた。

少し硬くなった乳首とスポンジのように弾力のあるバストをハッキリ感じる。

俺と彼女の体にサンドイッチされ、ひしゃげたままフニュフニュと形を変え続ける魅惑の双丘。できれば直接触りたいけど両手が封じ込まれてる。


「私が付けたリボンを解いたらおしまい。それと、自分から両手を下ろしてもゲームは終わりよ?」

冷たくそう言い放つと、彼女は俺に頬ずりし始めた。

花のような香りがする髪を擦り付けられ、俺は恍惚となってしまう。

指先をしっかりと絡めて、耳穴に熱い息を吹き込まれると身体が震えた。


(あああっ、また縛られた……どんどん縛られていく! 今度は、俺の心が…………ぁ)

全身を彼女に犯されている感覚だった。

まだ局部に触れていないのにあっという間に追い込まれてしまう。


(ああああ、イく! イきたいのにいいいいいっ!)

すでに我慢汁でドロドロになっているであろうズボンの内側。

俺は快感を求めて腰を突き上げるが、ほんの少しだけ彼女に届かない。

しっとりと濡れているはずの彼女のあそこに、洋服越しでも触れることができたらその瞬間イけるのに!


最後の最後で何かに阻まれてる。

イきたいのにイけない、身体は解放されたいのに心がロックされたままなんだ……!

彼女の体温を感じて、肌の柔らかさを感じているのに射精できない。


狂ったように身体をよじらせる俺をしばらく眺めてから、彼女が唇の端を上げた。


「いいわよ。イきなさい」

四つん這いの姿勢で膝立ちになっていた脚をゆっくりとスライドさせ、焦らすように腰と腰を密着させてきた。

(も、もうすぐ……ああ、早く! はやくううううううう~~~!!)

お許しは得た。

それなら彼女に包まれたい。彼女と溶け合いたい……彼女と、かのじ……



「そんなに情けない顔しないで? 貴方が待ちわびてる甘い刺激をあげる……」

見えないスカートの中、暖かくて柔らかな感触をズボン越しに感じた瞬間、


「うっ、が、あ、うわあああ、あああ~~~~~、でるううううううぅぅ!!!」


ドビュッ、ピュルルルルルルルル~~~~~~!!


体重をかけられただけで激しくペニスが爆ぜてしまった。

手コキでも足コキでもない、単純すぎる刺激なのに情けないほど従順に俺は彼女の言うとおりの結末を迎えてしまう…


「これでわかったでしょう? もう自分の心が私の『鎖』で縛られていることが」

この時になって俺は自分の大いなる勘違いに気がついた。

10日間我慢すれば彼女が俺になるのではなく、俺が彼女のものになってしまうんだ…

しかも今日はまだ10日目じゃない。残りの日数で理穂に対する俺の思いはさらに深化してしまうだろう。


軽い絶望感に身を浸しながら彼女を見上げる。


「ねえ、私も貴方のこと好きよ……もっと愛してしまいそう。だから壊れないでね?」

未だビクンビクンと下半身を揺らす俺に向けて、理穂はその日一番の魅力的な笑みを浮かべるのだった。




(ここまで)


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