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『淫魔の闘技場』



ようやくダンジョンの深層部に到達した俺は、統治者であるサキュバスが待つ部屋のドアを開け放った。
その途端、妖しげな香りが漂い始め、桃色の霧となって俺の視界を曇らせた。

(何だこの部屋は……)

道中とは違って血のように真っ赤なじゅうたんが敷き詰められた部屋。
豪華な照明、漂う甘い香り…俺は自然と身構える。

体中の神経が警鐘を鳴らす。一秒たりとも油断はできない、と。
すると目の前の霧がひとつに集まり、美しい淫魔の姿を形どる。

「ようこそ私の部屋へ」

「お前が…!」

サキュバスが現れた! にわかに剣を握る手に力がこもる。

このクエストは俺が所属する冒険者ギルドで唯一手が付けられていなかったものだ。

正確には数年間この依頼を受けるものが居なかった。
ただ一人を除いて。

他にも報酬額が大きな依頼は幾つもあるので仕方ないことかもしれないが、ギルドマスターによると難易度の高さ故に敬遠するものも多いのだという。

しかし俺はこのダンジョンに挑む理由があった。
先に述べた「ただ一人」の依頼を受けた者……俺と同じく冒険者として活躍していた親友がここにいるはずなのだ。

「問答無用だ! 喰らえ!!」

先手必勝。考えるより先に俺は全力の一撃を目の前に浮かぶ妖艶な淫魔に浴びせようとしたのだが……








「ハァ、ハァ、くそっ、なんだこれは……!」

俺の目の前に浮かんでいるのは5体のサキュバスだった。
部屋に入って一歩踏み出した瞬間、赤い絨毯に展開された魔法陣。

さらに初めに現れた本体を取り囲むようにサキュバスの分身体が生まれた。
彼女たちはそれぞれが赤、蒼、緑、薄茶色のオーラをまとっている。

そいつらが連携して俺に攻撃を仕掛けてくる。
隙を見計らって本体である淫魔に剣を振り下ろしても虚しくすり抜けるだけ。

どうやら分身を全て倒さないとダメージが与えられないらしい。


「いきなり斬りかかってきたくせに無様ね、あなた…」

「っ!!」

涼しげな目でサキュバスは言う。


「なぁにその顔…もっと簡単に倒せると思ってたの? うふふふふ」

余裕たっぷりの表情が癪に障る。
本体を取り囲む分身たちもクスクス笑っている。


「私が思っていたよりもずっと強かったわ、あなた。絶え間なく魅了魔法をかけているのに全部弾いてくるんですもの」

(知らないうちにそんなことをされていたとは……)

分身に攻撃させている合間に本体は魔法攻撃をしていたらしいが、残念ながら俺には通用しない。
対サキュバス用に今回は防具をコーディネートしている。アクセサリー関係は魔法防御に徹している。
また道中で炎を使う魔術師がいるという話もあったので盾には炎の精を宿しているのだ。


「だからチャンスをあげる。私のしもべになりなさい。そうすれば助けてあげる」

「なんだと……ふざけるな! 死んでも貴様の軍門などに下るものか」


「そう…残念ね。うふふふふ……♪」

俺の言葉を聞いた途端、好色気味だったサキュバスの眼に憎しみが浮かび上がった。
そして分身たちもフワリと宙に浮いたまま前傾姿勢になる。

(この殺気……ヤバイ、本気の一撃が来るッ!)

本能的に察した俺は防御態勢を整える。
そう簡単にやられはしない。
この分身たちも一体ずつ処分してやるのみ。


「あなたの力を全部吸いだしてあげる。燃え尽きなさいギガフレア!」

本体のサキュバスの言葉に反応したように、赤いオーラを纏った分身が片方の手のひらを天にかざした。
巨大な火の玉が手のひらの上で見る見るうちに膨れ上がってゆく!

「くうううっ!!」

次にやってくるであろう衝撃と熱気に備えて俺は盾を前方に突き出した。
かなりの熱量だがあの程度なら防げるはず。
しかし――、


トンッ…

「ふ~ん、いい盾ね。手に入れるの大変だったでしょう?」

「なっ、なにを!」

ぶつかってきたのは巨大な火の玉ではなくサキュバスそのものだった。

(あの詠唱魔法は囮だったのか……!)

サキュバスは宙に浮かんだまま、ほんのりと赤く光る身体全部で炎の力を宿した盾を優しく抱きしめてきた。

「はっ、離れろ! このっ、このおおお!」

慌てて左手に持つ盾を激しく振ってみても、まとわりつくようにサキュバスは離れない。


「あんっ! これでおしまいよ……」

「なっ、これは…」

赤いサキュバスはペロリと舌なめずりをしてみせた。

精霊を宿した盾の輝きが鈍くなった。
しかも心なしか盾が軽くなったような気がする。


「くそっ、おのれ! これならどうだ!!」

俺は右手に握りしめた剣でサキュバスを薙ぎ払おうとした。

この剣「氷の刃」には水の精霊が宿っている。
炎の力を持つであろうこいつを一撃で消し去ることだって――


バシッ!

「はい、そこまでよ♪」

「な、なにっ!?」

気づかぬうちに青いオーラを纏ったサキュバスが接近して、俺の右手に絡みついてきた!


「これもいい剣ね。とても丁寧に磨きこまれてる…」

「は、離せ! このおおおっ……痛ぅっ!」

無造作に刀身を両手で掴むと、サキュバスはその切っ先に軽くキスをしてみせた。


「あなたごと抱きしめてあげる」

そして本当に俺の右半身を抱きしめるようにサキュバスが絡みついてきた瞬間、


「あああああっ!」

右手の感覚が一気に麻痺した。
痛みを感じるほどの冷気が右手から全身に伝わってきた。

反射的に手を離そうとしたが、それも叶わない。手首と剣を同時に氷漬けにされてしまったのだから…

「これが精霊の力を暴走させるアイスバーストよ……それとごちそうさま♪」

青いオーラを纏うサキュバスの分身も、先ほどの赤い分身と同じく舌なめずりをしてみせた。

(まさか……!)

凍傷で麻痺した右手に意識を集中する。
剣からは鉄の重みしか感じない。

「バカな…こんなことが!」

「これでもうあなたの身を守れるものはその鎧と兜だけ……」

どうやらこの分身たちは精霊が宿る武具を無力化することができるらしい。

そうなると次は……


「ぼんやりしちゃ駄目だよ?」

緑と薄茶色の分身が俺の前後に降り立つ。

「はっ!」

「うふっ、そのまま私に身を任せなさい?」

チュッ♪

俺を正面から抱きしめてきたのは緑の分身だった。
細長い両手を首に回し、軽く触れる程度のキスを何度もまぶしてくる……

チュチュッ、ピチュ……

「んっ、あ、ああああ!」

「キスで叫んじゃうの? 恥ずかしい……」

チュッチュッチュ♪

氷漬けにされた右手には力が入らず、一旦は退けたはずの赤い分身に左手をしっかりと掴まれたまま俺は仁王立ちになっている。
緑のサキュバスは容赦なく何度もキスを求め、その都度ほんのりと身体を光らせているように見えた。

(吸い取られてる……キスの度に、何かがこいつらに流れこんで……!)

そして背後を取った薄茶色の分身は俺の腰から下、両足をスリスリと撫で回し始めた。


「この防具達、大地と風の力を感じる」

「こんなに身を固めていたのね。責め難いわけだわ。でも……」

四体の分身が同時に何かの呪文を詠唱する。
俺の身体がほの暗い闇に染まった瞬間――、

「うわあああああああああああっ!!」

俺の身体を電撃が駆け抜けた……気がした。
深刻なダメージはない。

しかし、さっきまではわずかに残っていた精霊たちの声が全く聞こえなくなった!
同時に俺に絡みついていた四体のサキュバスたちも本体の元へと戻る。

さらに全身を激しい疲労感に襲われた俺は、ガックリとその場に膝をついてしまった。


「聖なる加護を受けた聖なるアイテムもこれで『普通の防具』になってしまったわね。うふふふふ」

疲れきった俺を見下しながら本体のサキュバスが楽しそうにせせら笑う。


(なんてことだ……サキュバスとはここまで強かったのか!)

正直、ここに来るまで侮っていた。
しょせんは下級種族であるサキュバスに自分が負けるはずなど無い、と。

まさか奴らが分身を使って、しかも高度な戦術を駆使してくるなんて思っても見なかった。


「ふん……まだ反撃する気力はあるのかしら?」

「っ!!」

数メートル前にいたサキュバスが瞬間移動してきた!
今や圧倒的優位に立った彼女は品定めをするように俺の顔色を覗きこんでいる…。



「へぇ……まだ一番厄介な力が残ってるみたいね」

(なんのことだ……?)


本体であるサキュバスはふわりと宙に浮かぶと、分身である四体を呼び寄せて自分の体に取り込んだ。




「じゃあジワジワいじめるのは終わりにしてあげる……光栄に思って」

グイイッ!

「うあああっ!?」

再び距離を詰めてきたサキュバスが、正面から抱きかかえるようにして無理矢理俺を立たせた!

妖しく輝く真っ赤な瞳の中に俺の姿が吸い込まれていくようだ……



「今から私が直接全てを吸いだしてあげる……これが最後のチャンスになるわ。あなた、私のしもべにならない?」

彼女の目が穏やかな青に染まる。
これはテンプテーションアイ……魅了の魔法だ!

淫魔に屈してしまうなど末代までの笑いものだ。俺は気力を振り絞って誘惑を弾こうとした。


「この期に及んで誰が貴様などに心を売り渡すものか!」

強がる俺の答えに彼女は穏やかな微笑みを見せた。


「ふふっ、最後まで美しかったわ……その気高い魂、根こそぎ奪ってあげる!」

そして俺から少し距離をとった後、サキュバスが指をパチンと鳴らした……

ゴオオオオオオオオオオオオッ!!

「ああああああああぁぁぁぁ~~~!!」

フレイムサークルの呪文。
俺の身体を囲むように炎が立ち上り、このままでは蒸し焼きにされてしまう!


「どうかしら? 分身の時よりも強力でしょ」

「なんだこれ、くそっ、炎が絡まってくる!」


「踊りなさい。ほらほらぁ……♪」

動きが鈍くなった全身に力を込めて、炎をかき消そうと剣を振る。
だが精霊の加護の無くなった武器や防具では魔力のこもった炎を完全に消すことなど出来ない。

髪の先が焦げ、熱を帯びた防具が俺の邪魔をする。

「くっ、こ、このおおおおっ!! あっ……」

次の瞬間、目の前の炎が嘘のように消えた。
しかし、


「背中が隙だらけよ……熱かったでしょ? 今度は冷やしてあげる」

あっさりとサキュバスに背後を取られた。
両脇に腕を通され、宙に浮かんだまま抱きかかえるように俺は地面から数センチだけ浮かび上がる。

豊かなバストが押し当てられ、耳元で甘く囁かれた俺を彼女は強く抱きしめる。

「あぁっ……」

「ふふふ、えいっ!」

キイイイィィィィィイン!!

俺が次に耳にしたのは空気が凍りつく音だった。
サキュバスに抱きかかえられた背中から全身へ一気に冷気が襲い掛かる。

「ぐわああああああああああっ!!

体温をすべて奪われたような感覚。
まるでサキュバスと俺の皮膚が一体化して、氷の結晶になってしまったように……ついに俺は右手に握りしめていた剣を落としてしまった。


「あ、あううううぅぅぅ……」

「これでもう手足は動かないでしょう。でも目だけは未だ諦めてない。セクシーな顔になってきたわね…」

がっくりとうなだれる俺を正面から見つけてくるサキュバス。
俺は彼女の美しい顔を宙に浮かんだまま大の字で……

宙に浮かんだまま!?


「なっ!? なんだこれ」

俺の手足を見ると緑色の光る輪が風の渦を巻いていた。

サキュバスが俺から奪った風の力を用いてこんなことを……!


「操ってあげる。そのまま後ろに倒れなさい」

「がふううっ!!」

彼女が指さした先、柔らかそうなじゅうたんの上に俺の身体が投げ出される。
しかも手首と足首の光の輪は残ったままだ……

「その邪魔な服はもういらないでしょう?」

バシュバシュッ!!

彼女の声と同時に俺の衣服が、装備が全て切り裂かれた…

そしてサキュバスも全裸となり、ゆっくりと俺に覆いかぶさってくる。


「さあ、お楽しみの時間よ。あなたの体の中にある光の力……真っ黒にしてあげる」

柔らかそうな長い髪をサキュバスがかきあげた。
甘くとろけるような香りが周囲に広がり、最初に感じた桃色の霧に全身を包み込まれた。

「無防備なあなたをあらためて魅了してあげる……」

キイイィィィン

「あ……」

視線が逸らせない。
淫らに染まったサキュバスの瞳に俺の意識が絡みつかれたまま溶かされていくようだった。

サラサラの髪が俺の胸に触れ、気が遠くなるほど甘い吐息が鼻先をくすぐる。

彼女は視線を合わせたままゆっくりと顔を近づけてきた……

魅せつけるように真っ赤な舌先を出して、半開きになった俺の口にそっと差しこみ――、

チュプッ…


「んふうっ!?」

甘い蜜が、彼女の唾液が流し込まれた。
俺は無意識に、懸命にそれをすすりとろうとする。

(美味しい、これ、すごい、サキュバスのこれ、すごいいいい!)

サキュバスはそのリクエストを拒むことなく、蕩けきった甘い蜜を何度も俺に与えてくれた。
同様に彼女を求める俺の舌先が念入りにしゃぶられているのもわかる……

「うふふふ……とてもピュアな味ね。あなたのキス……さあ闇の力を注いであげる」

一瞬だけ彼女の身体が紫色に輝いた気がした。
そして優しかったキスが激しく、貪るような愛撫に変化する。

ジュプッ、チュブ、チュ、チュ、チュブッ!

「あ、あぶ、い、んふ、あああ!」

気持ちいい! 気持ちいイイ!! キモチイイイイイイ!!

キスだけなのに徹底的に侵されて、犯されて、狂わされていく。

サキュバスの容赦無いキスはそれだけで魔性の快楽だった。
手足の動きが魔法で封じられていなければ自分でペニスをしごいてしまうほどに俺は一気に追い詰められる。

「まだよ……まだまだ焦らすの…」

キスを継続しながらサキュバスはほっそりとした指先で俺の胸元から肩、腕全体を愛撫し始める。

(イかせて、いかせて、イカセテエエエエエエエエ!!)

ねだるように自然に腰がガクガクと震えだす。
ペニスはすでに限界まで膨れ上がり、発射の時を待ちわびているのに一向に愛撫されないのだ。

「おかひ、おか、くなっちゃウウウウウウウウ!」

このままだと破裂する! 発狂する!


「可愛い……じゃあそろそろ抜き取ってあげないとね。その前に時間操作の魔法をかけるわ」

ギュウウウウウッ!

「あふうあああああああ!」

「あははは! 良い反応ね」


サキュバスがペニスの根本を思い切り握りしめた。
同時に素早く呪文を詠唱し始めると、直前まで高められた射精欲求はそのままに下半身が言うことをきかなくなった。

「こ、これはああああああ!?」

「私の手が触れた場所、ペニスの周りだけ時間の流れをほとんどゼロにしたのよ。気持ちいいでしょう? 今からあなたの大事なところを頂くわ。見てなさい…」

彼女の背後にそっと何かが浮き上がる。
紫色で先が少しだけ開いたそれは尻尾だった。

(今からあれに包まれ、挿入されちゃうのなんて、あ、あああああああ!)

チュル…

魅惑の尻尾の先が亀頭に触れた。
それは生温かくて柔らかくて、少しだけヌルついていた…

「んああああっ、イけない! イきたいのに、いいいい!」

おねだりするようにサキュバスを見つめても無駄だった。
心臓もペニスもドクドクと脈を打っているのに射精だけは出来ない!


クププ…

「ゆっくりとかぶせてあげる。じれったくなって狂わないでね?」

尻尾の先がもう少しだけ広がって、亀頭の半分くらいを覆い尽くす。
さっきキスされた時みたいな甘い感触でペニスが徐々に埋没してゆく……

(はやくっ、はやく、はやくううう!)

わざと時間をかけ、魅せつけるようにねじ込みながらペニスが包み込まれてゆく。

ジュプウウウウウ…

本当ならこれだけでも射精してしまうはずなのに、魔法で止められた時間がそれを許してくれない。

「尻尾の内部はトロトロになっているの。あなた自身を瞬殺できるくらい気持ちいいんだよ? でもね、今はもうちょっと我慢しようね?」

「いっ、いやだああああああああああああああああ!!」

「クスッ、そんなに壊されたいのかしら?」

サキュバスはさらに俺を焦らすように尻尾の様子を見せつけた。


「ほらぁ、もうすぐ根本まで全部飲み込まれちゃうよ? 体を揺さぶってもサキュバスの尻尾からは逃げられないからね…」

「あああ、あああああ!」

「根本まで入った…もう少し余裕があるから全部包んであげる。生命の種を生み出すあなたのタマタマも全部…」
彼女が言う通り、ペニス全体が一体化してしまった。
サキュバスの紫色のつぼみに全て覆い尽くされ、その内部ではグニュグニュに揉みしだかれ射精の時を待ちかねているというのに、来るべきはずの快感が来ない!


「あが、ああああぁぁぁ!」

「くすっ、いかが? これでもう私と離れられないわ」

もはや狂いかけている俺を観察しながら彼女は続ける。


「私の可愛い尻尾の中で叫んでる……もうイきたいのね? クスクスッ」

そしてぱちんと指を鳴らした瞬間、ゆっくりとペニス周辺の時が流れだす……


「あ、あああ、だんだん気持ちよくなってく、ああっ! これ、すごいのくる、あ、うあ、はぁあ、ああああ!」

しかし俺は未だ射精しない。
時間停止が解除され、だんだんと快感が上乗せされてゆくというのに。

自然に腰が跳ね上がり、最後の時を迎えようとしている。
一度精を放ってしまえばおそらく後戻りできない…

サキュバスの軍門に降ってしまうことになる…その思いが射精をギリギリでこらえさせている。

「……さあ、出しなさい。もしかしたら私を倒せるかもよ?」

「えっ!?」

「あなたの精は光の力が凝縮されたものでしょう? だから闇の力を持つ私にとっては猛毒と同じ」

(じゃ、じゃあ、それなら射精しても……!)

そのサキュバスの一言は、俺の中で射精を思いとどまらせている思いを打ち砕いた。

もはや我慢できなくなった衝動を叩きつけるように、俺はついに精を放った!



どぴゅうううううううううううっ!

びゅくんっ、びゅくっ、びゅるるるるるるるるる~~~~~~~~!!


解き放たれた射精は一度では収まらず、数回に分けて大量のミルクをサキュバスに注ぎ込んだ。


「あんっ、イイ……あなたの精液美味しい、すごくいいわ…♪」

余裕の表情を維持しながらも、彼女は心の底から嬉しそうな声を上げた。

(ど、どうだ!)

俺の精液が光の力が凝縮されたものであるならば、サキュバスにとって猛毒……という彼女の言葉を信じていた。しかし一向に変化が現れない。


「うん? あんなの嘘に決まってるじゃない。悪魔の言うことなんて信じちゃダメよ? あははははははははっ!」

じっと様子をうかがう俺の気持ちを見透かしたサキュバスが楽しそうに笑い出す。

「なっ! 騙したのか……ん、ぐ、んんんぅ、ん~~~!!」

ピチャ…

愕然とする俺の唇に、再び彼女のキスが襲い掛かる。

チュル、レロ、レチュッ、ピチュウウ…

トロ、レロ、チュプププ……

(あああぁぁ、この舌の動きが……ぁぁぁあぁああ!)

口の中を犯され、頭の中をグルグルとかき混ぜられると再びペニスが硬さを取り戻し始める。

尻尾の中で精を放った肉棒が内部で何度も甘咬みされ、特に亀頭周辺を揉み込まれると俺はため息を吐いて快感を受け入れるしかなかった。


「んふ……もっと犯していいでしょう? あなたの唇も私を求めているわ…」

ズリュ、プチュ、チュッチュッチュッチュッチュ……


「…あなたの光の力、射精する度に少しずつ溶けだしてゆくの。今みたいに私のキスで闇の力を注がれて、無理矢理身体から追い出された光の力が私の尻尾に吸い取られて、また口から闇を注がれて射精で抜き取られて……これを繰り返すとどうなるかしら?」

チュプ……

「あああぁぁぁぁ……」


何度も繰り返される甘いキスによって絶え間なく射精に追い込まれる。
尻尾に包み込まれたペニスはサキュバスの与える刺激に抗うことは出来なかった。

「しもべにしてあげる。あなたの意志に関係なく、忠実な部下として可愛がってあげるわ…」



――そして数時間後。


尻尾による搾精だけでなく、俺はサキュバスと直接つながっていた。

何度も精を吐き出し、その度に闇の力を注がれ……わずかに残った光の力も闇に洗い流されてしまった。

そしてついに――、

ビュクウウウッ!

「これでおしまい。魂が浄化された気分はいかが?」

数時間前までは光の力に満ち溢れていた俺の身体は、すっかり彼女の色に染められてしまった。


「ぐ……ぎ、あ、ああぁぁ…」

「クス、まだ少し意識が残ってるんだ? うふふふふ…」



「本当は全部わかっていたの。あなたが私に勝てるレベルじゃないことも、心から屈服しそうにないことも」

「な、にいぃぃ……」


「先にここへやって来た彼が全部話してくれたわ。その壁に埋まってる彼が…ね?」

「っ!!」

サキュバスが指をさす方へ目をやると、そこには見慣れた親友の顔が幸せそうな表情で壁面と一体化していた。


「怖がらなくていいわ。あなたも埋めてあげる。その穢れなき魂を私の中に、永遠にね♪」



俺のクエストは……失敗に終わった…



(了)




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