十数年前、この町に新設された白百合学園は県内でも屈指の進学率を誇るエリート校である。
その学園で数学教師を務める山野タカユキは授業の評判もPTAからの受けもよく、最年少で学年主任に抜擢された。
彼は外見もそれなりに良く、相手に堅苦しさを感じさせない話術や、比較的年齢が近い事などもあって女子生徒の間でも人気が高かった。
「残り後5分か……今日はここまでにしよう」
初夏の昼下がり、その日最後の授業が終わりを告げようとしていた。
「授業でわからないところがある人は申し訳ないけど後で僕のところへ来てください」
そして間もなくチャイムが鳴って生徒たちはノートや教科書を片づけを始めた。
「先生!」
授業の資料を束にした山野が教室を出ようとした瞬間、一人の女子生徒が彼の元へ駆けつけてきた。
立ち止まると、つややかな黒髪がふわりと揺れ、甘い香りが漂った。
身長もそれなりに高く、真面目そうな印象の彼女は藤巻理穂という。
理穂はビー玉みたいに大きな瞳で山野を捉え、うっすらと微笑を浮かべていた。
彼女を初めて見た男性は平静を保つのが難しいだろう、と山野は考える。
彼も赴任してきた当初は女子の比率が高いこの学園ではある種の苦労を強いられた。
しかし数年もすれば慣れてしまうもので、今では生半可な美少女では心が乱れる事はない。
しかしこの藤巻理穂は別格だった。
言い方は良くないが、教師としては思わず目をそらしてしまう女子生徒。いや、そらさなければならない存在。
理穂の醸し出す清楚な雰囲気や可愛らしさ、そして清純な色気は山野でなくとも男の本能に訴えるものがあるからだ。
彼が見てきた中でも、間違いなくここ数年で五指に入る学園の美少女と言えよう。
「先生、ここ教えて欲しいんだけど」
「あっ、ああ……どこを」
クニュウウッ!
「ぅくううぅぅ!」
理穂が広げた教科書を覗き込んだ途端、山野は思わず前かがみになった。
彼女の柔らかな手のひらが、指先が彼の股間をそっと撫で上げたのだ。
(ねえ、ちゃんと我慢できてるの? センセ……)
教科書の下で繰り広げられる淫らな愛撫。
それは他の生徒からは死角になっていることを前提に、理穂が計算づくで仕掛けた悪戯だった。
「ちょっ……あああ!!」
山野の異変に気づいた生徒が不思議そうに彼を見つめている。
「もう、ここですよ……ここ!」
グチュウッ……
今度は理穂の膝での刺激。
山野のペニスはなす術もなくトランクスの中で涙を流した。
「ひあ、ぁあ……それは、だな……」
「先生なんだか苦しそう……大丈夫ですか? 一緒に保健室へ行きましょう」
心配そうな表情で理穂は教室の扉を開け、山野と一緒に廊下へ向かう。
傍目には教師を気遣う優しい生徒に見えるに違いない。
そして理穂は保険委員会に所属していた。
(ほらほら、ちゃんと答えてくれないから周りの友達に気づかれちゃうよ~)
廊下に出た理穂は、山野に寄り添いながら小さく囁く。
彼が悶える様子を見ながら内心彼女はほくそ笑んでいた。
学園内という圧倒的なアドバンテージ。自分が有利なステージで男を翻弄する快感……
「ふ、藤巻……あとで研究室まで来てもらえるかな?」
「わかりました先生」
山野の様子が少し落ち着きを取り戻したのを見計らって、理穂はぺこりとお辞儀をして見せた。
――それから二時間後。
「あっれ~? あたし、研究室に呼び出されたんだけどなぁ」
フカフカのベッドの上で白々しく理穂が口を開いた。そばにいる山野は黙って彼女を見つめていた。
ここは学園から5つほど駅で乗り継いだ場所にあるラブホテル。
「藤巻、この事は……」
「うふっ、何か心配事でもあるの? 先生」
「いや……」
「大丈夫。誰にも言ってないよ」
理穂は彼に抱きついて、長い腕を絡ませながらゆっくりと耳元で言う。
生暖かい吐息と、女子校生の体温を感じながら山野の下半身は徐々に熱を帯びてゆく……。
「横になってよ。早く」
言われるがままにベッドに大の字になる山野。
そして理穂は、料理人が野菜の皮をむくように、手馴れた手つきで彼の下半身をむき出しにしてしまった。
「ねえ、おっきいよ? センセ…」
「うっ、見るなぁ…!」
「あはっ、二人きりになると本当に子供に戻っちゃうんだね先生」
スッ…
細く長い理穂の指がふわりとペニスを包み込む。
人差し指が触れた後、絡みつくように中指が追いついて最後に親指……彼女はいつもこの三本の指で彼を翻弄する。
「今日も可愛がってあげる……先生。いいえ……」
シュル、シュッ、シュッ…
「んはああっ!」
「今の貴方は、十歳以上年下の女子高生に逆らえない情けない男の子だもんね」
透明なマニキュアを施した爪で彼の裏筋を優しくえぐる。
親指を尿道の真上に置いて、蓋をするように円を描く。
人差し指でカリを弾きながらヌルついた粘液を何度も塗り広げてゆく。
決まりきった毎度の愛撫だが、山野はこれに抗う事ができなかった。
「……お姉さんが優しくしてあげるわ」
「っ!!」
無意識にペニスが跳ねる。
その脈動はしっかりと理穂の手の中に伝わり、山野は赤面した。
「こんな言葉だけでも先走っちゃうんだ? ヘンタイすぎ……」
「ちがっ、あ、あああぁぁ……ッ!」
彼の言葉をさえぎるように、理穂の指先がカリカリとペニスの一部を引っかいて見せた。
「本当につけたままなんだ……我慢してるんだ……痛そうだよ先生……こんなに強く締め付けられて可哀想」
彼女が刺激しているのはペニスではなく、ペニスを締め付けているゴムバンドだった。
それは先週末に彼女が交わした約束のしるしだった。
「そんなにあたしとヤリたいんだ? 犯したいんだ、あたしのこと…」
「うっ、くううう!」
一週間射精を我慢すれば言う事を聞く、というのが理穂の出した条件。
そのための補助器具として彼女が選んだのがこのゴムバンド……いわゆる貞操帯だった。
「締め付けられて先っぽがプリプリになってる……そ~~~っと撫でてあげるネ」
理穂の指先が踊る。そっと手のひらで包み込むようにしながら、暖かな手の中でペニスに容赦なく愛撫を加えてゆく。
ゴムバンドの隙間をくすぐるように、何度も感じやすい場所をなぞりながら先端を指先で揉み解す。
「あはあああぁぁっ、あああああ! ふ、藤巻ッ、ふあああ!」
「どうしたの? 苦しいの先生……それともぉ」
人差し指と親指で亀頭を強めに揉みしだくと、山野の体は面白いようにベッドをバウンドさせた。
「お姉さんの指が気持ちいいのかな? もっとしちゃう? シコシコしちゃう? ふふっ」
「んあああ、はあああ~~~~!!」
山野の右手が虚空を掴む。しかし意地悪な美少女の愛撫から逃れることはできない。
「はいこれ。大好きなヤツ」
「えっ…んぶ、うううっ!!」
息を弾ませている彼の口の中に、理穂は手のひら大の何かを無理やり詰め込んだ。
「現役女子校生の生パンツ美味しいでしょ。ほら、何とか言いなさいよ」
「~~~~~っ!」
「ふふっ、全然聞こえないなぁ。何が言いたいの? もっと激しくして欲しいのかな」
必死で首を横に振る山野だが、その意思表示とは裏腹にペニスは先ほど以上に膨れ上がっていた。
その先端を理穂は指先で弄ぶ。透明なしずくが人差し指に付着した。
「ねえ先生の先っぽ、いっぱい涙で濡れちゃって苦しそうだよ。これ、もっとヌルヌルしちゃお?」
理穂は指先を伸ばして彼に手のひらを見せ付けてから、軽く猫の手のように指先を折り曲げた状態で亀頭全体を包み込んだ。
同時に彼の両足を割り広げ、自らも柔軟体操をするように足を広げ、かかとで彼の両肩を押さえ込んだ。
「抵抗できないでしょ。こうすれば両手伸ばせないもんね」
口の中に生パンを詰め込まれ、女子校生に身動きを封じられ、ペニスを手のひらで愛撫される。
既に数日間もオナ禁状態である彼にとって、これ以上刺激に耐える事は不可能に近かった。
自然に腰がせり上がる。快感を求めて、射精を欲してペニスが跳ね上がる。
「このままイっちゃいなよ……自分の顔にかかっちゃうかもしれないけど」
その言葉に彼は必死で首を横に振る。
「それはイヤ? わがままだなぁ……じゃあ……」
理穂は軽く髪をかきあげてから、上体をゆっくりと倒して見せた。
もともと新体操をやっていた理穂は、今でもしなやかな柔軟性を保っていた。
「お姉さんのお口の中でイかせてあげるからね、ボウヤ♪」
「っ!! ん~~~~~~~~~~~~~!!」
突然やってきた暖かさに山野は悶絶した。
(き、気持ちいいいいいぃぃぃ! 理穂の口っ、熱くて、このフェラ気持ちよすぎ、んああ、吸われてるうううぅぅぅ~~~~~!!)
理穂は膝を曲げる事もないまま難なくペニスを口に含むことができた。
しかも口の中で柔らかく舌先を使って、裏筋や尿道を丁寧に刺激しながらゴムバンドまで外してしまったのだ。
その魅惑の動きは男を狂わせるには充分すぎた。
ビクビクビクウウウウッ!!
あまりの快感に、彼の意思とは無関係に体が弾け、口の中に詰め込まれた理穂の下着も外に飛び出した。
そして体中をきしませながら、搾り出すように彼の口から小さな声が漏れ出す。
「っ、出る~~~~~~~~ううぅ! うあっ! あああ! あ~~~~~~~~~~~!」
ビュルッ、ビュクククッ、ドピュウウウウウ!!
数日間、徹底的に焦らされた射精。
通常ではありえない量の精液が吹き出るペニスを、理穂は丁寧にしゃぶりつくした。
「あぁ、まだ、あああ!」
「んっ、んっ、コク……コク、ん、ふふ……おいし……全部飲んであげるよ」
山野にとってその笑顔はまさに天使に見えた。
禁断の果実、教え子との性行為…それを理穂は叶えてくれる。
しかも自分のM性を見抜き、信頼関係の下に優しく弄ってくれる。
彼にとって理穂は、いつまでも一緒にいたいと思える存在だった。
恍惚感あふれる年上男性の姿を見つめながら、理穂も密かに自らの秘所で指先を躍らせていた。
「ねえ先生、ありがとう……ううぅ、本当は……私…」
「えっ、どうしたんだ?」
ホテルを後にして一緒に歩く帰り道、突然理穂が泣き出した。
少し慌てるように、山野は彼女を抱きしめる。
その腕の中で頬ずりしながら理穂がつぶやく…
「だって……こんな自分を受け止めてくれるのは先生だけなんだもん。ヘンタイなのは私のほうだよ」
「藤巻…」
「いつも苦しい事させてごめんなさい、ごめんね……」
何度も謝る彼女の頭を、彼は優しく撫でてやる。
ベッドの上の彼女と、学園の彼女、それに今の彼女。いったいどれが本物だろう。
きっとどれも本物で、山野にとっては全て大切な藤巻理穂なのだ。
「全然気にしてないさ」
ひときわ強く彼女を抱きしめると、今度は理穂のほうから彼の背中に腕を回してきた。
「本当に? じゃあ……今度はもっとハードに責めてあげる……」
「はは、参ったな…」
人気の少ないホテルの通りで、二人は少しの時間恋人気分を味わうのだった。
(了)