第39話



荒野に駆ける9体のPF。

ネギ達の機体だ。

その前に立ちはだかるヌエの軍団。

まず、ネギのGウィザードが仕掛ける。

「ブチかましてやれ! 兄貴!!」

「闇夜切り裂く 一条の光 我が手に宿りて 敵を喰らえ 白き雷!!!」

白き雷を軍団の中央に打ち込み、数十対を吹き飛ばす。

爆煙の納まらぬうちに残ったヌエは散開する。

ネギ達も散開し、各個に迎え撃つ。


Gヴァルキューレ………神楽坂明日菜。

「こんのぉーーーー!!」

振り下ろされたヌエのブレードをハマノツルギで弾き飛ばし、カウンターで蹴りを叩き込む。

よろけたヌエに連撃を加え、吹き飛ばす。

そして、上に跳ぶと、両足のコンバーターからエネルギーを放射して飛び蹴りを放つ。

「いくわよ!! シャイニングフォール!!」

必殺の飛び蹴りでヌエを撃破する。

「よっしゃーー!!」


Gウイング………桜咲刹那と近衛木乃香。

「神鳴流………斬空閃!!」

やや離れていた敵を斬空閃で斬り捨てる。

「せっちゃん!! 上や!!」

後部座席の補佐担当のこのかが上空からの敵の接近を知らせる。

「了解!!」

すぐさま反応し、飛び上がるGウイング。

「アデアット!!」

アーティファクトの小太刀を呼び出し、上空から迫ってきていたヌエを腹部から真っ二つにする。

ヌエの残骸は地面に落下すると爆発した。

「キャーーー!! せっちゃん、すごーーーい!!」

後部座席から身を乗り出して刹那に抱きつくこのか。

「うわぁ!! い、い、い、いけません!! お嬢様!!」

さっきまでの冷静さは何処へ行ったのやら………思いっきりパニくる刹那。


Gカンフー………古菲。

「ホワッターーー!!」

気合の掛け声と共に接近してきたヌエに得意の拳法をお見舞いする。

粉々になって吹き飛ぶヌエ。

そこへ別の方向から新たなヌエが接近する。

「むむっ!!」

クーはGカンフーの右腕の布を解くと、布槍術で新たなヌエの胸を貫く。

貫かれてヌエは少し間を空けて爆散した。

「甘いアルよ」


Gニンジャ………長瀬楓。

「ニンニンニン!!」

自慢の分身で多数のヌエを相手にするGニンジャ。

小刀で血祀を決めたり、背中の大型手裏剣を分身させて投げつけ、あるいはそれを手に持って手首を回転させてそのまま切り裂いたり、左腕に内蔵されたクナイを飛ばしたり、右腕に内臓された鉤縄で縛りつけてから止めを刺したなど、多彩な戦法を見せる。

「ど〜〜れ、次はあの技をやってみるでござるか………」

右手に気を集中させ、球体を作り出し回転させる。

そして、肉薄したヌエにそれをぶつける。

「螺○丸!!」

ぶつけられたヌエは激しく回転しながら部品を撒き散らし、粉々になった。

「やったでござる!!」

嬉しいそうに言う楓。

………アンタ、本当は甲賀忍者じゃなくて、木の葉忍者じゃないの?


Gガンナー………龍宮真名。

「シュツルム・アングリフ!!」

トロンベを装着し、相変わらずの高速銃撃戦でヌエを撃破していく真名。

そして、周りにいたヌエを撃破すると今度は後ろ腰からケルベロスを抜き、素早くパーツ交換してライフルモードにすると、遠くにある岩山の頂上に向けて発射した。

そこで、対PFライフルを構えて狙いを定めていたヌエが撃ち抜かれて落下した。

地面に到達すると爆散するヌエ。

「………この私に狙撃しようなんて無謀なことだ」

コックピット内で不敵な笑みを浮かべる真名。

Gガンナーに装着されたトロンベの黒マントが風に靡いていた。


Gバンパイア………エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。

「来たれ氷精 闇の精!!  闇を従え 吹雪け 常夜の氷雪 闇の吹雪!!!」

魔法攻撃で次々と遠距離にいるヌエを撃破するGバンパイア。

近寄ってきた敵には合気鉄扇と糸で迎撃する。

さらに上空からの敵は、Gジェット………絡繰茶々丸が迎撃する。

[敵機確認………攻撃開始!!]

両手のレールハンドガンでヌエを撃ち落していく。

と、ミサイルランチャーを持ったヌエがGジェットに照準をロックし発射する。

Gジェットは回避行動を取るが、ミサイルはその後ろを追尾してくる。

[そうきますか………でしたら、トランスフォーム!!]

Gジェットが腰から折り畳まれるように変形し、戦闘機へと姿を変える。

そして、後部から迫ってきたミサイルをバレルロールでかわすと、上部のロングバレルキャノンで撃墜する。

[ミサイル迎撃………これより戦闘に戻ります]


「驚いたな………まさか2週間でここまでできるようになるとは………」

作戦室でネギ達のシミュレーションのようすを映したモニターを見ながら呟く機龍。

「彼女達のスペックの高さですかね………ザジ君に至っては1週間ですからね」

ジンがそう言ったと同時に最後のヌエがザジの機体………道化師のようなデザインのGマジシャンの投げナイフで撃破された。

モニターにネギの姿が映る。

「機龍さん、これで今日のシミュレーションを終わります」

「御苦労、作戦室まで戻ってくれ。反省会をする」

「「「「了解!!」」」」

全員の返事がした後、モニターが切れる。

「オペレーター班、シミュレーションの結果は?」

オペレーター席の方に視線を向ける機龍。

「え〜〜〜と………この情報はこっちに回して………」

「ああ、違う、違う! さよちゃん!! それはそっちじゃなくてこっちに!!」

「あうぅ〜〜〜!? 変な表示がでました〜〜!?」

「わあぁーーー!! のどか!! 折角まとめたデータが消えてます!!」

「ほえ〜〜〜!! みんな落ち着いて〜〜〜!!」

そこではオペレーター4人(さよ、和美、のどか、夕映)とサクラがデータまとめに悪戦苦闘していた。

「……………ハァ、またか」

その光景にタメ息を吐く機龍。

そこへ、ネギ達が入ってくる。

「ただいま戻りました。機龍さん、反省会は?」

「あ〜、後はデータ待ちなんだが………」

そう言って再びオペレーター席に視線を向ける。

ネギもそこへ視線を向け、展開されている光景を見て納得した顔になる。

「また………ですか?」

「ああ………まただ………」

結局、データがまとまったのはそれから1時間後だった。


「やはりコンピューターの扱いに長けた人材が欲しいな」

「最低でも1人いればデータ整理などの作業の指示、時間の短縮はできますからね」

反省会の後、頭を悩ませる機龍達。

着実に成果を上げている戦闘班に対し、オペレーター班はやや遅れているところがあった。

しかし、3週間前まで一般人だった人間ばかりなので、サクラ1人での教育にも限界があった。

効率を考えると、電子機器の扱いに長けた者があと1人は欲しいところだ。

と、

「あの〜〜………そういう人でしたら………僕、1人、心当たりがありますけど………」

ネギが怖ず怖ずと手を上げて言った。

「「「「「誰!?」」」」

その言葉に全員が注目した。

「その〜………実は………」


「おハロー!! ちうだぴょん!!」

今日もコスプレ衣装に身を包み、ホームページを更新するちうこと長谷川千雨。

普段は目立たぬ女子中学生!

だがその裏の素顔は!

インターネット界を牛耳るスーパーハッカーにしてNo1ネットアイドル!!

表の世界では目立たず騒がず危険を冒さず、リスクの少ない裏の世界でトップを取る!

それが私のスタンス。(本人談)

と、情報収集のため覘いていた掲示板サイトで千雨はとあるものを目にする。

『麻帆良の守り神!? 鋼鉄の巨人』

そこには、ピンボケした写真に巨大な人型のものが写っていた。

「………またこの話か」

最初にネットに噂があがったのが大停電の日。

羽を生やしたロボットが大橋付近で別のロボットの大軍と戦っていたという噂が流れた。

しかし、写真はなく、戦闘が行なわれていたという大橋付近にはロボットの部品どころか争った形跡すらなかった。

そのため一旦、噂は静まったものの、京都のシネマ村に現れたヌエとJフェニックスの画像が挙がり、再び再燃した。

そして、ここ数週間に相次いで麻帆良にてのロボットを目撃したという証言が多数挙がった。

だが、東西の協会による情報操作により、その信憑性は限りなく低くされ、現在のところ、ネット上の噂に止まっていた。

「………ロボットねー………」

以前の千雨なら鼻で笑うとこだが、今の千雨はやけにその情報を気にしていた。

そう、なぜなら京都のシネマ村の件に関しては千雨はその場に居合わせていたのだ。

他の3−A生徒は特撮の撮影だと思い込んでいたが、(自称)理解ある常識人の千雨は疑問を感じていた。

「まっ、私が気にしてもしょうがねーけどな………」

そう言ってパソコンの電源を落とすと、眠りに就く千雨。


彼女はまだ知らなかった………

自分の運命が………世間一般から懸け離れることになるとは………


次の日の日曜日。

千雨はコスプレ衣装を数着と撮影用具一式を鞄に入れ、外を歩いていた。

室内撮影ばかりでは味気ないと思い、野外撮影を試みようとしていた。

人気の無い場所までくると、コスプレ衣装(BL○ACHの死神装束・斬魄刀付き)に着替えて自己撮影を始める。

「卍解!! だぴょ〜ん!!」

様々なポーズを決める。

と、その様子を影から覗く男が数人いた。

「さ〜て、次のコスプレはっと………」

千雨が次のコスプレ衣装に着替えようとした時、男達は物陰から飛び出すと千雨を拘束する。

「ちょ、なっ、何だよテメェ等ーーー!!」

拘束を振りほどこうと暴れる千雨の口元に男の1人が布のような物を押し付ける。

「う!! うう!! う〜〜………」

薬品が染み込まされていたのか、千雨の意識は闇に沈んでいった。

気絶した千雨を男達はいそいそと運び去る。

後には、衝撃で倒れたデジカメが横たわっていた。


その頃、女子寮にて。

千雨の部屋を訪ねるネギ(+カモ)と機龍。

ノックをするが返事はなく、ドアの鍵は掛かったままだった。

「千雨さん………いないみたいですね」

「そのようだな」

ネギは電子機器の扱いに長けた人物と聞いて、千雨のことを推薦した。

やはり生徒を巻き込むことには懐疑的だった機龍とネギだが、他に心当たりの無いこの状況では仕方がないと思うしかなかった。

「どうします? 帰って来るまで待ちますか?」

「いや、探しにいきましょう。何か………嫌な予感がするんですよね」

「いやですね………機龍さんの嫌な予感はよく当たりますから………」

「まったくっスよ………」

一抹の不安を抱えながら千雨を探しに出る2人(+1匹)。


街へと繰り出し、千雨を探す2人(+1匹)。

そして、千雨が連れ去られた現場にて、倒れて横たわるデジカメを発見する。

「これは!?」

「これ、千雨さんのです!!」

「何かあったな、こりゃ………」

慌てて周りを調べる2人(+1匹)だが、有力な手がかりはなかった。

「ダメだ! 何もねえっスよ!」

「千雨さん………あなたに一体何があったんですか………」

「クソ〜〜〜、手がかりさえあれば………そうだ!! このデジカメ!!」

機龍はデジカメのデータを調べる。

「!! これは!?」

「何ですか!?」

最後のデータに何者か達に連れ去られる千雨の姿が写っていた。

恐らく倒れた拍子にシャッターが切られたのだろう。

「こ、これって、誘拐ですよ!!」

「くっ!! ガイアセイバーズ基地、応答せよ!!」

腕時計から基地に通信を飛ばす機龍。

「こちら、ガイアセイバーズ基地。どうしたんですか? 機龍先生………じゃない、隊長」

のどかがそれに応える。

「長谷川千雨くんが何者か達に拉致、誘拐された!! 直ちに警察と協力体制を取り、全員で捜索に当たれ!!」

「は、はいーー!! 分かりました!!」

慌てたのどかの声を聞いて、通信機を切る機龍。

「ネギくん! 俺達も捜索に!!」

「はい!!」


街では連絡を受けた隊員達、そして警察が彼方此方に巡回して情報を集めていた。

機龍とネギも、街で情報収集に掛かる。

「スミマセン!! こういう女の子を連れた連中を見かけませんでしたか!?」

商店街で通行人に千雨の写真を見せて聞く機龍。

「さあ〜〜………見てないわね」

「そうですか………もし見かけたら、警察の方へ連絡してください!」

写真をしまうと別の通行人に聞くが、やはり情報は得られなかった。

「機龍さ〜〜ん!!」

分かれていたネギ(+カモ)が合流する。

「ネギくん! どうでした!?」

「ダメです………全然情報がありません」

「くっ!! こうしてる間にも千雨には危険が迫っている………」

「何とかしないと………」

「せめて奴等の仲間の1人でも見つかりゃ………」

と、その時………

「それにしても、ちょろい仕事だな」

「ああ、ネットアイドルを蹴落とすための陰謀なんかで1人10万も貰えるんだからな」

「おい、お前等! 声が大きいぞ!」

ガラの悪い男達がそんなことを言いながら、機龍達の横を通り過ぎていた。

「ネット………?」

「アイドル………?」

一瞬、機龍とネギは顔を見合わせたが、すぐさまにその男達の後を追うと、路地裏に引きずり込む。

「な、何しやが………」

「知っていることを全部吐け!! その方が身のためだぞ!!」

捲くし立てる機龍。

「ああん!? 何言ってやがるだテメェー!!」

白を切る男達3人のうち、2人を片手ネック・ハンキングツリーで持ち上げる。

「ぐおっ!!」

「あががっ!!」

「………言え!!」

「な、何しやがる!? コノヤロー!!」

残った1人が機龍に殴りかかろうとしたが、ネギがカットする。

「うおっ!?」

「OL○P!!」

そして、そのままOL○Pを掛ける。

「ぐぎゃーーー!!」

「………話してもらえますか」

生徒を誘拐された手前か、ネギも鋭い声で言う。

その後、3人を速やかに拷問………ゴホッ、ゴホッ………尋問し、居場所を吐かせた。

どうやら、裏山の廃校舎に千雨はいるらしい。

各員と警察に連絡すると、機龍とネギも急ぎ裏山へと向かった。


そして、その廃校舎3階の教室の一角では………

「う、うう………」

千雨は意識を取り戻すと、自分が椅子に縄で縛り付けられていることに気づく。

「!! う、ううう〜〜〜〜!! (な、何だよコレ〜〜〜!!)」

声を挙げようにも口をガムテープで塞がれ、呻き声だけが漏れる。

「あら? お目覚め?」

拘束された千雨の前に1人の女が立っていた。

「うう、う!? (お前は!?)」

千雨はその女に見覚えがあった。

彼女は千雨と毎回トップを競っているネットアイドルだった。

「長谷川千雨………いや!! ネットアイドルちう!! アンタのおかげで、私はいつもネットアイドル界では2番手!! ふざけるんじゃないわよ!! 私こそがナンバー1に相応しいはずよ!!」

どうやら、ネットアイドル間での抗争での逆恨みらしい。

「そこで思いついたのよ!! アンタを蹴落とせば、自動的に私がナンバー1の座に就ける!! こんな簡単なことはないじゃない!!」

いかにも小悪党の考えそうな考えだ。

「ううう、うう〜〜う!! (何言ってんだ、ふざけんな!!)」

喚く千雨を椅子ごと蹴り飛ばす女。

「ううっ!!」

「うるさいわよ!! 今日という今日は思い知らせてやるわ!!」

女がパチンッと指を鳴らすと、数人の男達が教室に入ってくる。

「へへへ、待ってました」

「可愛がってやるぜ〜、ちうちゃん」

「そして、その画像をネットに挙げればアンタのネットアイドル生命も終わりってわけ………」

「!! ううう!! うううう!!」

逃げようと身を捩るが、拘束する縄はビクともしない。

それを知ってか、じわりじわりと迫る男達。

(い、いやだ!! ちょ、誰か助けろよ!! 頼む!! 助けてくれ!!)

恐怖に押しつぶされそうになる千雨。

目に涙が溢れる。

(お願い………誰か………助けて!!)


その時!!


激しい振動が廃校舎を襲った。

「キャアァーーーー!!」

「な、何だ!?」

続いてメキメキと音がして、屋根が引っぺがされた。

空いた穴から赤いロボット………Jフェニックスが姿を見せる。

「「「なっ!!」」」

驚く千雨と女と男達。

そしてそのロボットから2つの影が飛び降りてきて、千雨に駆け寄る。

「大丈夫ですか!? 千雨さん!!」

「しっかりしろ!! もう安心だ!!」

機龍とネギだった。

機龍が縄を刀で斬り、ネギが口を塞いでいるガムテープを剥がす。

「プハッ!! せ、先生達!! どうしてここに!?」

「それは、ちょっと、話すと長いんだが………」

「テ、テメー等!! 何者だ!?」

今だ驚きの抜ききれていない男の1人が言った。

機龍とネギは女と男達に向き直り、敵意を出しながら言った。

「「悪党に名乗る名は無い!!」」

「「「う、うおぉぉぉーーーー!!」」」

敵意を宛てられ、本能的に機龍とネギに向かって行く男達。

「チェストォォォォォォーーーーー!!」

それを峰打ちで気絶………というか、ぶっ飛ばす機龍。

「あたたたたーーーー!!」

ネギは杖を床に突き刺して、マト○ックス・リローデッドのワンシーンを再現している。

「「「どわーーーー!!」」」

大の男が木の葉のように宙を舞った。

「「ヒィ!!」」

最後に残った男とネットアイドルの女が逃走を試みる。

「「逃がさん(しません)!!」」

ネギが男に、機龍が女を掴んで、窓を破って飛び降りた。

「なっ!! ここは3階だぞ!!」

慌てて窓の下を覗き込む千雨。

落下しながら、ネギはタワー・ブ○ッジ、機龍はキ○肉ドライバーの体制をとる。

そして、ネギが機龍に肩車するように合体する!!

「「マッスル・タワー!!」」

ツープラトン攻撃が見事に決まる!!

「「ぐはっ!!」」

完全にノックアウトされる男と女。

「生憎だな………悪党に対しては、俺はフェミニストじゃない………」

「僕も………英国紳士じゃありません………」

「アイツ等………どこの正義超人だよ………」

と、呆然と見ていた千雨のだったが、寄り掛かっていた窓枠が痛んでいたらしく、ボロッと崩れて落下した。

「え!? う、うわわぁぁぁーーーー!!」

が、ネギが素早く落下地点に移動し、千雨をキャッチした。

「おっとと、危なかったですね、千雨さん」

「あっ………」

思わずネギの顔を見つめる千雨。

「怖かったろ………スマンな、遅れてしまって」

機龍はそう言って、千雨の頭に手を置く。

「べ、別に、怖くなんてなかったよ!! 先生達の助けなんかなくても………あれ?」

強がる千雨の目には涙が溢れていた。

「あ、あれ? おい、何でだよ?………何で………こんな………」

次第に声も震えていく。

「いいです………怖かった時は………泣いても」

「遠慮することはない………すぐ忘れてやる」

それが、引き金になったか、声を押し殺しながらも千雨は涙した。

「うう………ヒック………ううう〜………ヒック………」

ネギはそんな千雨を優しく抱きしめ、機龍は少し離れて、千雨の声が聞こえないように仲間達と警察に事件解決の知らせを送り、人払いをした。


その日、ガイアセイバーズに、また新たなメンバーが加わった。

ちょっと乱暴で、人見知りだけど、本当はただ照れ屋でとっても頼りになる子………長谷川千雨。

口では、平和な日常がよかったと愚痴っていたが、仕事は誰よりも進んでやってくれるのであった。


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