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そのまま動こうとしない愛を、どうやら照れてしまったらしい、
と気が付いた拓也は自分が言った事を思い出して今更のように赤面する。
「榎木君、あたしにも言ってよ」
「あなたこれからもっといい事してもらうじゃない」
顔を伏せたまま愛が指摘する。
その声は少し上ずっていて、まだ興奮が収まっていない事を示していた。
「だって、そんな事言ってもらえると思わなかったんだもん」
「だめよ、一回は一回なんだから。ね、拓也君」
「う…うん」
同意を求められて拓也は答えに詰まり、適当に相槌を打つ。
「もう…」
しな子はまだ膨れっ面をしていたが、
その顔も拓也がこれから自分にする事を思うと自然に笑みに変わってしまう。
「ね、榎木君…こっち来て」
しな子は拓也の腕を引っ張ると、自分の上に乗せる。
「あの…深谷さん、重たくないの?」
「え? ううん、大丈夫よ。あのね、女の子はこうやって好きな人の重さを感じるのが幸せなの」
「そ、そうなんだ…」
女の子の心理はさっぱり判らなかったが、しな子の表情を見ていると嘘ではないのだろう。
嬉しそうな表情に、拓也も胸の奥が温かくなるのを感じる。
じっと自分を見つめる拓也の視線に気付いたしな子が、
さりげなく腕を背中に回して抱き締めた。
「ね…キスして」
「…うん」
わずか数十センチの距離を果てしなく遠く感じながら、ゆっくりと唇を近づけていく。
「ん…」
柔らかく、湿った感触が伝わった時、そこから小さな吐息が漏れた。
耳に心地よいその声に、拓也はより強く唇を押しつけ、しな子を味わう。
1分ほどもその状態が続いた時、
突然拓也の頭の片隅に以前キスをされた時の事が思い出されて、
その時の快感を追い求めるかのように舌を動かしはじめた。
しな子は唇を触れさせるキスだけでも充分に気持ち良かったが、
舌が伸びてきたのを感じるとすぐに口を開いて受け入れる。
探るように口の中に入って来た拓也の舌を自分の舌先でつついて導くと、
遠慮がちにおずおずと絡めてきた。
拓也の動きは愛のそれとは較べるべくもなかったが、
それでも同じか、あるいはそれ以上の快感がしな子を痺れさせる。
(榎木君…!)
しっかりと拓也にしがみつきながら、しな子はいつしか夢中で舌を差し出していた。
どれほどの時間が流れたのか、動き疲れたのか、拓也の舌がゆっくりと離れていく。
いつのまにか閉じてしまっていた目を開けると、
拓也はまだ目を閉じているのが判って少しおかしさがこみ上げてきた。
「えーのーき君」
声に反応したのか、ゆっくりと目を開けた拓也は、
まだ余韻に浸っているかのようにやや焦点の合わない瞳でしな子を見ている。
「気持ち良かった?」
「…うん」
「えへへ、あたしも。榎木君も、キス上手になってきたね」
「そっ…そうなの? 自分じゃ良くわかんないけど」
照れ隠しなのか、拓也は口の端にこぼれている唾液を手で拭いながら応じるが、
ふと別の視線を感じて顔を横に動かすと、
そこには布団の端から顔だけ覗かせている愛がいた。
「や、槍溝さん…ずっと見てたの?」
「ええ。随分気持ち良さそうだったわね」
複雑な心境を押しこめて、冷やかすように言う。
「あ、あの…」
「あ、気にしないで。さっきも言ったけど、一回は一回だから」
それだけを、そっけない口調で言うと更に顔を布団の中に潜らせて、ほとんど目だけを出す。
「さ、続きをどうぞ」
「う、うん…」
拓也は愛の事が気になったが、
さすがに今それを口にするのはしな子に対して失礼だと思い、
ためらいつつも愛の事は一時的に頭から忘れる事にした。
顔をしな子の方に戻すと、不安そうに見上げる目線とぶつかる。
無言のまま頬を両手で挟まれると、
揺れ動いている自分の心を見透かされたようでどきりとする。
「あ…あの」
何か言おうとした拓也に、しな子は静かに首を振った。
「いいから…触って」
言いながら拓也の手をとると、ゆっくりとパジャマの裾へ導く。
「…うん」
(深谷さんの方から言ってるんだから、いいよね)
まだ心の中にたゆたっている愛に対する罪悪感めいた物に
しな子をだしに言い訳をしながら、
ゆっくりと上着の中へ手を忍ばせて素肌に触れた。
しな子の腹は突然の冷たい手の感触に驚いたように一度引っ込むが、
すぐに戻ってきて掌に肌を合わせる。
しな子の体温を心地よいと感じたものの、
まだ駆引きなど知らない拓也の手はほとんど一直線に胸を目指す。
以前触った時と違い、下着に触れる事無く直接ふくらみまでたどりついた事に
拓也が驚くと、その表情に気付いたしな子が恥ずかしそうに説明した。
「寝る時はね、ブラしないの」
「あ…そ、そうなんだ」
拓也は疑問が顔に出てしまった事を恥ずかしく思いながらも、
胸を撫でまわす手を止める事はできなかった。
頂きを探り当てると、指先でつまんで持ち上げるようにする。
「んっ…」
自分の指の動きに応じてすぐ声をあげるしな子に、拓也は夢中になって色々な動きを試す。
はじめは拓也が積極的に触ってくれる事が快感を強めて心地よかった愛撫も、
まだ発達していないしな子の胸には拓也の途切れる事のない動きは刺激が強すぎて、
しだいに痛みを感じるようになってしまう。
それでもしばらくは我慢していたが、
一向に止める気配のない拓也に遂にしびれを切らして手を握って止めさせた。
「ごめんね…まだずっと触られてると、痛くなっちゃうの」
「あ…ご、ごめんね」
「ううん、怒ってるんじゃないんだけど……?」
途中で言葉を切ったしな子は、視線を足の方に向ける。
視線を追った拓也はその先にある自分の下半身を見て、
いつのまにか硬くなっている事に気付くと慌てて身体を少し離そうとするが、
しな子に腰を掴まれてしまった。
「いいよ……ね、下……脱がせてくれる?」
「う、うん…」
パジャマの端を掴むと、脱がせやすいようにしな子も腰を浮かせて手伝う。
膝の辺りまでおろすと、後はしな子が上手に足だけで片足分だけ脱ぐ。
「榎木君も…脱いで」
求められて拓也も布団の中でズボンを脱ごうとするが、焦ってしまって上手くいかず、
ようやく脱ぎ終えたと思ったら、バランスを崩してしな子の上にもたれかかってしまった。
何も着けていない下半身同士が触れ合い、
しな子のまだ生えていない茂みの辺りに若茎が当たる。



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