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突然耳元で名前を呼ばれた拓也は驚いて我にかえる。
「これから、こういう時は名前で呼んでもいい?」
「えっ? ……別に、いいけど……?」
「それじゃあ」
愛はそこで一度言葉を切ると、ほとんど聞き取れないくらい小さな声で続けた。
「私の事も……名前で呼んでくれる?」
「う……うん」
名前で呼ぶ事にどれほどの意味があるのか、良く解らないまま拓也は愛の頼みを聞き入れる。
「じゃ、早速お願いします」
「うん……めぐみ、さん」
しかしたった三文字の言葉を口にしただけで、拓也の心臓は早鐘のように音を立てはじめた。
(え、どうして……こんなに、ドキドキするんだろう?)
拓也は突然、自分が今している行為がどうしようもなく恥ずかしくなって、慌てて身体を起こそうとする。
しかし、愛も拓也の言葉を聞いた瞬間、嬉しさと気恥ずかしさが心の奥から溢れ出してきて、
拓也の顔を正視出来なくなってしまっていた。
顔を見られまいと必死に伏せる。
「あの、や……愛さん?」
名字で言いかけて、慌てて言いなおすと、口の中でくすぐったい感覚が弾ける。
「……初めて」
「え?」
「お父さんとお母さん以外に名前で呼ばれたの、初めてなの」
「そ、そうだったの」
他に言葉も思いつかず、拓也はあいまいに同意するしかない。
「……という訳で、責任とってね」
「せ、責任って……」
突然の話の飛躍について行けず、拓也の頭の中で「責任」の二文字がぐるぐる回り出してしまった。
深刻そうに考え込む拓也を見て愛は表情を崩す。
「冗談よ、冗談」
心の底からほっとした表情になる拓也。
それを見て愛は微妙な顔をしたが、口に出しては何も言わず身体を起こして腕を引っ張り、
つられて起きあがった拓也の目の前で、ブラウスのボタンを外し始めた。
全てのボタンを外し終わると、わずかに身体の中心が覗いて、
透き通るような肌と、淡い青色の下着が拓也の目に飛び込んでくる。
「拓也君」
「はっ、はいっ」
「服……脱がせて」
「えっ……あの……」
「はい」
返事も待たずに腕を広げて待ちうける愛に、拓也は仕方なく、恐る恐るブラウスの襟を掴んだ。
指先が愛の、ほっそりとした鎖骨に触れて、その感触にどきりとする。
震える手で肩口まで脱がせると、愛は腕を後ろに倒して脱ぎやすくする。
すると自然に胸を突き出す格好になって、ゆるやかな膨らみが拓也の胸に当たった。
拓也はそれに気付いて動きを止めたが、愛は気付いていないのか、
身じろぎもせずに拓也が脱がせるのを待っている。
拓也は自分が生唾を飲み下す音を遠くに聞きながら、
脱がせきってしまうのを惜しむかのようにゆっくりと手首までブラウスを下ろしていった。
と、それまで微動だにしなかった愛が、あっという間に手首からブラウスを抜き取ると、
拓也の背中に腕を回して身体を密着させる。
身体に伝わる愛の、ひんやりとした身体とは逆に、拓也の下半身は燃えそうな位熱く充血していく。
(どうしよう……気付かれちゃうよ……)
どうしたら良いか解らないまま、とにかく必死に心を静めようとする拓也に、愛が油を注いだ。
「拓也君……ブラ、外して」
「! 僕、そんなの外し方知らないよ」
言い訳にも聞こえる拓也の言葉にも愛は構わず、拓也の手を取って背中にあてがう。
「真ん中に………ホックがあるでしょう? それをつまんで、そう……」
パチン、と大きな音を立ててホックが外れると、
かろうじて肩に引っかかっていただけだったストラップが外れて、一気にブラが落ちた。
剥き出しになった背中にうっすらとブラの跡が残っていて、
拓也は魅入られたように指で線を辿る。
「んっ……」
愛の声に拓也は驚いて指を引っ込めてしまった。
「止めなくても良いのに」
しかし、顔だけ上げて愛が言うと、拓也はますます焦って支離滅裂な事を口走ってしまう。
「だって、あの、思わず、きれいだな、って思って」
必死で言い訳をしたつもりが、愛にじっと見つめられると、
いかにも恥ずかしい事を口走った気がして耳まで真っ赤になる。
「…………きれい?」
「う、うん……」
不思議そうに尋ねる愛に、口篭もりながらもうなずく拓也。
「……ありがと」
やや遅れて返事をした愛の顔は、もう少しで泣きそうな笑顔だった。
その表情を見た時、不意に拓也の胸が高鳴る。
さっき愛の名前を初めて呼んだ時よりも、強いときめきが拓也を襲っていた。
「ちょっと待ってて」
愛は机から降りると、残った下着を脱ぎ去ろうと手をかけたが、
突然動きを止めて拓也の方を見た。
「向こう……向いててくれる?」
「うっ、うんっ」
拓也は弾かれたように後ろを向くと、両手で顔を覆った。
微かな音だけが伝わってきて、それが逆に想像を掻き立てて拓也は興奮してしまう。
しばらくして音が止むと、静寂が辺りを包んだ。
拓也は息を殺して愛の気配を感じ取ろうとするが、全く何処にいるか判らない。
しびれを切らした拓也が恐る恐る指の隙間から目を開くと、
いつの間に回りこんだのか、触れそうな位置に愛の顔があった。
「うわぁっ」
驚いた拓也は思わず後ろに倒れこんでしまう。
「嘘つき。見ちゃダメっていったでしょ」
「だ、だって……」
言い訳をしようとする拓也の鼻の頭を指で小突く。
「これはもう、罰ゲームね」
「罰……ゲーム?」
何やら言い様のない不安を感じる拓也。
「そう。すごいの考えてあげるから、楽しみにまっててね」
言いながら、拓也のズボンに手をかける。
「な、何するの?」
「何って、脱がないと、出来ないでしょ?」
「じ、自分で脱ぐよ」
慌ててズボンを降ろす。
それこそが愛の狙いだったのだが、拓也はそこまで気付けるはずもなく、br> 机に腰掛けたまま、ズボンをずり下ろしていく。
露になったパンツは、はっきりと勃起している事形が判るくらいに膨らんでいた。
愛はパンツ越しにペニスを掴むと、ゆっくりと撫でしごく。
「んぁっ……っ………ぁ」
すぐに先端から透明な液が出始めて下着を濡らし、
そのまま染み出してきたそれは愛の指先に湿った感触を伝える。



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