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通常マリンカリンは魅了というよりはほとんど意識を支配してしまう為、
戦闘の時は便利だが、こういう時は少し具合が悪い。
しかし、イシュタル程の使い手になれば効果を弱めて使うなど簡単に出来る。
今イシュタルの唱えたマリンカリンは心を操る為の物ではなく、
菊理姫の心の中にある怯えを取り払い、彼女の本心を優しく誘い出す為に用いられたのだ。
俺は菊理姫を驚かさないように気を付けながら、
そっと両手で彼女の頬を挟みこんでじっと目を見つめる。
少しずつ顏を近づけると、覚悟を決めたのか、
それとも内心の、自分でも気付かない小さな期待が形になったのか、
濡れたように黒い瞳から光る物を零れ落とし、静かに目を閉じた。
その涙に罪悪感めいたものを感じながらも、軽く唇を合わせると、
手の中で軽く顔が震え、やがて俺を受け入れる。
俺は下唇を動かして少しだけ振動を与えてやると、一旦唇を離した。
「キスも……初めて?」
「あ……はい……」
「あの……嫌…だった?」
目を閉じたまま答える菊理姫に俺は急に不安になって、思わずそんな台詞を口走る。
普段の俺ならこんなことは聞きはしないのだが、純情過ぎる菊理姫に俺も魅了されてしまったようだ。
菊理姫は薄闇に浮かぶ白皙の顔を耳まで赤く染めながら、
ほとんど判らない位小さく首を横に振った。
俺はその顔を優しく撫でると、たった今口付けたばかりの唇に指先で触れる。
「もう一回……するよ」
彼女にはかえって恥ずかしいのかも知れないが、一応そう前置きして、
今度は同じように唇に触れた後、舌先で軽く舐める。
驚きが掌に伝わってきたが、そのまま少し強引に舌を入れた。
怯えたように縮こまる彼女の舌を探し出して、
二、三度つついた後、舌の縁をなぞりあげる。
初めて受ける刺激に菊理姫の舌は更に逃げようとしたが
そんな場所があるはずもなく、やがて諦めたように俺の舌に動きを委ねた。
温かな彼女の口内を隅々まで味わいながら、何度かに分けて少しずつ舌を絡めていく。
「! ……ん……ぅ…………っぁ……」
彼女の舌の新しい場所に触れる度、彼女の形の良い鼻から息が漏れる。
菊理姫は自ら絡めてこそ来なかったが、俺の背中にしがみつく手が嫌がってはいないと伝えていた。
調子に乗った俺は舌腹に唾液を乗せて彼女の中に送り込む。
粘液の質感に驚いたようだったが構わず彼女に初めての快楽を植えつけていくと、
次第に背中の腕から力が抜けていった。
散々菊理姫の唇を堪能した俺は、ゆっくりと唇を離した。
菊理姫の唇の端が、月明かりを受けてほのかに光る。
その妖しい煌きに、俺は再び彼女に唇を寄せ、どちらのものかも判らない唾液を掬い取った。
菊理姫は瞳にうっすらと悦楽を宿しながら俺を目だけで追っていたが、
額に張りついた彼女の黒髪を整えてやると急に口元を手で塞ぐ。
「どうした?」
「あ……いえ……その、主様の……が……私の……」
途中まで言って自分が何を言おうとしているか気がついた菊理姫は
また顔を俯けようとするが、そこで動きを止めてしまった。
「あ……あの……!」
菊理姫と同じく視線を下げた俺は動きを同じく止める。
そこにあるはずの、色鮮やかな紅い着物が無かったからだ。
俺達がキスをしている間に、イシュタルがいつのまにか菊理姫の単を脱がせてしまっていたのだ。
はだけた単の間から現れた意外に大きな双乳に俺は思わず手を伸ばすが、
菊理姫はその前に素早く腕で隠してしまった。
そのまま身体全体を縮こまらせて、少しでも肌の露出を減らそうとする。
良くは判らないが、女は服を脱ぐときにも色々と考えることがあり、
だから脱ぐ行為自体も手順の一つに入っているらしい。
イシュタルは何も着ていないような物だから違うかもしれないが、
とにかく、それをこんな風にすっ飛ばされては動揺するのも当然だろう。
俺は再びどう接していいか判らなくなってイシュタルの顏を見る。
彼女は優しく笑って頷くと、菊理姫をなだめにかかった。
「私……怖い、です……」
「大丈夫よ。ほら、こうすると落ちつくでしょう?」
イシュタルはそう言うと菊理姫の腰に腕を回し、背後から優しく抱きかかえる。
豊かな胸から大地母神の温かさが伝わったのか、
菊理姫は腹にあてがわれた手に自分の手を重ねるとゆっくりと目を閉じる。
「縁を結ぶなら……その後のことも知らないとね」
イシュタルが少しずつ身体を密着させて掌をずらしていっても、もう菊理姫は抵抗しなかった。
手に余る大きさの乳房を、表面をなぞるようにゆっくりと撫でる。
掌の中心が菊理姫の胸にある蕾の位置まで来ると、手全体で押し包むように握った。
「あ、イシュタル……様……んっ……」
イシュタルの手はほとんど力を入れずに何度も弱い刺激を菊理姫に伝え、
細い指が美しい球面を俺に見せつけるように滑っていく。
「イシュタル様……わた……し……」
「気持ちいいでしょう? ここは、生命を育む場所。でも、それだけじゃないの」
淡い桃色の部分を摘み、爪の甲で踊るように刺激する。
「ぅあ、それ……」
イシュタルの指先がもたらす快感に、菊理姫は顎を仰け反らせて甘く息を吐く。
目の前でいやらしく形を変える胸に俺も触ってみたくなって、
空いている方の膨らみにそっと指先を当ててみる。
菊理姫はわずかに身体を震わせたが、それ以上は拒否しなかった。
俺はそれを受諾のサインと採って、触れる面積を広げていく。
手で感じた菊理姫の乳房の大きさはイシュタルと同じくらいだったが、
体つきが菊理姫の方が細い為により大きく見える。
みずみずしい弾力に溢れた乳房を下から持ち上げるように揺らし、
確かな重みを支えるように、掌全体で握りこむ。
「ふっ……ぁ……」
俺は片時も腕を休めず手を動かしながら、
貪欲にイシュタルが愛撫している方の乳房にも指を伸ばした。
イシュタルと俺、二本の手がひとつの乳房を弄ぶ。
二つの指先でしこっている乳首の上下から軽く押してみたり、指腹で転がしてみる。
「お願い……お願いです、そんな……に、しないで……ください……」
俺は菊理姫の頼みに無言のまま、突然左の乳房に吸いついた。
「あっ……! ん……ぁ……」
腫れあがった乳首をねっとりと舐めまわした後、軽く歯で咥える。
その度に表情を変える豊艶な胸を、赤ん坊がするように何度も吸い立てる。
「ふふっ、私も吸っちゃおうかな」
夢中で吸いつづける俺を見て興奮したのか、
イシュタルも俺と肩を並べるともう一つの乳房に吸いついた。
「やっ……やっ……!」
二つの乳首を同時に吸われて、たまらず菊理姫の身体が跳ねる。
処女なのに既に充分なまでに母性を宿している乳房が揺れ、俺とイシュタルの口から逃げ出した。
俺とイシュタルは顔を見合わせると、菊理姫の身に起こったことを察して彼女の顔を覗きこむ。
「ね、今……イっちゃった?」
「ふぁ……わ、解らないです……何だか、背中がぞくぞくして……急に、すごく……」
「気持ち良かった……だろ?」
初めての絶頂を経験した菊理姫は小さく息を吐き出しながら俺達の顔を交互に見つめた後、
ぎゅっと目を閉じて頷いた。
その可愛らしい仕種に俺達は再び好き勝手に彼女の身体をまさぐりはじめる。
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