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「あ……ぁ、龍麻……」
 葵の声から力が失われていく。
快楽に流され、身も心も委ねてしまおうという一歩手前だ。
ここでようやく乳房への愛撫をやめた龍麻は、
身体を起こすといきなりパンストに手をかけ、力任せに引きちぎった。
「嫌っ……!」
 反射的に伸びる葵の手を逆に掴み、足も固定してしまう。
恥ずかしい部分を隠す術がなくなった葵は、
羞恥のあまりか固く目を閉じてさかんに首を振っていた。
「凄いな、びしょ濡れじゃないか」
「見ないで……!」
 漏らしたように大きな範囲で変色している下着をあざけりながら、
龍麻の目は四方に忙しく動いている。
 乱れた制服と恥ずかしさに悶える葵の表情が、
本当に襲っているような錯覚をもたらし、パンストの千切れた部分の濃さと、
そこから覗く白い肌が織りなす淫靡なコントラストは尋常ではなく、
もうとっくに限界まで勃起している男根になお血が集まって痛いほどだ。
溜めに溜めた欲望を解き放たんと、葵の下着をずらした龍麻は、
何の躊躇もせずに膣穴に挿入した。
「――ッッ!」
 あまりに濡れていたためか、いきなり奥まで入ってきた肉の塊に、
葵の悲鳴は声にならなかった。
形の良い顎が跳ねあがり、紅潮した頬を大きな涙が伝う。
 葵を泣かせてしまい、沸騰寸前だった龍麻の心は一気に冷却された。
古風な考えを持つこの男は、どんな理由があっても泣かせたら
男が悪いと決めてかかるのだ。
それが心を許した女性ならなおさらで、とんでもないことを
してしまったと氷嵐が暴走する欲望を吹き抜けた。
 だが、それは一瞬のことでしかなかった。
瞬間的によみがえった理性は、葵の乱れた泣き顔にたちまち砕けちった。
本能が命じるままに足を抱え、抽送を始める。
「ひっ……嫌、止めてっ……」
 力のない啜り泣きなど催促にしか聞こえない。
媚肉のうねりがもたらす快楽に、全身を甘い痺れで満たしながら
龍麻は肉柱を突きいれ、引き抜いた。
「うっ……うぅ……」
 葵が涙を溜めたままの目で恨めしげに見る。
眼球を貫通し、心に刺さる破壊力を持つ眼光だが、
腰の動きに合わせて上下すると、もはや哀れでしかなかった。
 葵の体内をイメージして龍麻は屹立を操る。
細い肉路のどこを掻けば良いのかはすっかり熟知していたから、
葵の反応を見つつ緩急をつけて抽送を続けた。
「あっ……あ、あっ……は、あ、んっ」
 要所を押さえた動きに、泣き声が変質していく。
掴んでいたはずの手はいつのまにか掴みかえされ、
もっと強くとでもいうように力が籠もっていた。
 淫計を思いついた龍麻はピッチを速める。
「あ、はぁ、あ、あ、あぁ……!」
 葵が快さげにさえずり、声がうわずってきたところで急に動きを止め、
さらにはペニスを抜いてしまった。
「あ……」
 葵がさっきと同じ、けれど意味はまったく異なる恨み顔をする。
ぞくぞくするような色気に龍麻はすっかり酔いしれた。
「どうした?」
「意地悪……」
 敗北を認めた葵に、悪人口調で言い放つ。
「後ろ向けよ」
「……! そんなの……恥ずかしい、わ……」
「向かないとしてやらないぞ」
 小さく喘いだ葵は、目をつぶってのろのろと身体の向きを変えた。
心の中で快哉を叫びながら龍麻はさらに命じる。
「ほら、尻上げろよ」
 焦らされて判断が働かないのか、
自分から秘唇を晒すような格好でさえ葵は進んで取った。
ボリュームたっぷりの尻を掴み、龍麻は現出した奇観に眺めいった。
突きだされたことで強調される丸みは見事という他はなく、

いつかこの尻に押しつぶされてみたいという、
世界を支配する可能性すら秘めた『力』を持つにしては余りに情けない願望を、
しかし確固として胸中に宿し、とりあえず龍麻は手をいっぱいに広げ、
指先に力を入れて掴んだ。
「な……に……?」
 戸惑う葵を無視して両手で、パンストの内側に指をくぐらせて両の尻たぶを保持する。
掌に感じる尻の熱さ、それに体液でぐちゃぐちゃにまみれたヴァギナの猥雑さは、
天にも昇る気持ちに龍麻をさせた。
「い……嫌……」
 尻が左右に揺れる。
だが、湧きでる愛蜜がとろりと滴る光景を直視している龍麻には、
恥ずかしがっているようになど微塵も見えない。
「嫌って、見られるのが嫌なのか? それとも、挿れてもらえないからか?」
 秘裂に沿って親指をなぞらせ、肉柱を軽く添えてみると、葵はたやすく屈した。
「挿れ……て……早、く……お願い……もう……」
 言い終えると同時に新たな雫がつう、と内股を伝う。
ひどくゆっくりと白と黒の境界線を越えるのをはっきりと捉えた龍麻は、
ペニスを使って掬うように腿に押しつけた。
「あ、う……ん……ッ……!」
 辛抱たまらないとばかりに巨尻が振られ、捲れたスカートが扇情的に揺れる。
これ以上焦らすと自分の方がまいってしまいそうで、
龍麻は濃桃の肉の洞に切っ先をあてがった。
「あ……」
 葵の噛み殺した声を裏切るように、尻の孔がひくつく。
尻たぶをしっかりとくつろげたまま、龍麻は体重をかけ、
己の分身を葵の体内に埋めていった。
「あ、あッ……あ……!」
 潤滑でともすればひとりでに沈んでいきそうな屹立を、
時間をかけて埋没させていく。
葵の身体が切なげにわなないているのは、
もどかしすぎる快楽に肉体が悲鳴を上げているのだろう。
龍麻も柔らかく、しかし根元から先端に至るまでみっちりと絡みつく媚肉に
果ててしまいそうだったが、どうにか耐えると軽く、
腰だけの動きで屹立を抜き、突いた。
「ふ……う、ン……」
 聖女とはとても思えない喘ぎを、枕に向けて葵は放つ。
制服と下着、それに素肌とパンストの全てを一同に眺める龍麻は、
完璧ともいえるくらいのプロポーションに散りばめられたそれらを
余すところなく堪能しながら、今度は身を乗りだし、体重をかけて自身を押しこんだ。
「あぁぁ……!」
 感極まった声が快く響く。
それが偽りでないのは勃起にまとわりつく媚肉の具合からもあきらかで、
固体とも液体ともつかないほどにぬかるんだ膣内は、
何もしなくても果ててしまいそうに気持ちが良かった。
もちろんそんなわけには断じていかず、龍麻は葵に覆い被さって本格的に抽送を始めた。
「あッ……あ、たつ、まぁ……んっ……!」
 名を呼びながら腰をふわつかせてしまう葵に愛しさを覚えながら、
意地悪くささやく。
「俺の名前もちゃんと呼べないくらい感じてるのか?」
「ち、違……んっ、ち、がっ……う、のっ……」
「何が違う?」
「わ、わたし……っ、龍麻が、龍麻のっ」
「俺がどうしたんだよ」
 ろれつも怪しくなっている葵の乳房を揉みしだきながら、
龍麻はなお抽送を止めない。
喋ろうとするたびに突かれて口を閉じさせてもらえない葵は、
それでもけなげに答えようとする。
「ふ、あ、たつまっ……龍麻、龍麻ぁ……っ」
 だが、結局快楽の波に押し流されてしまったのか、
意味のない、ただ龍麻の名前を呼ぶだけに終わってしまった。
それは龍麻にとって喜ばしい結果であり、首筋まで赤くして官能に酔う葵の、
ずっしりと重い右の乳を弄びつつ、さらに責めたてる。
「前からと声が全然違うもんな。後ろからの方が好きなんだろ?」
「そ、んな……」
「違うのか? それじゃ止めるか?」
 言うなり龍麻は動きを止めてしまった。
さらに腰を密着させたまま微弱な動きで葵の官能を焦らす。
葵はたちまち音を上げ、つっぷしたまま絞りだすように叫んだ。
「ち、違わない……わ……」
「ん?」
「……後ろから犯されるのが、好き……なの……だから……」
 あとはもう言葉にならない、とばかりに尻を振る葵に、
龍麻の興奮も最高潮に達した。
膣内で我慢を強いられて脈動するペニスを、強い力で打ちつける。
いみじくも葵が言ったように、犯すつもりで。
「あぅっ、あ、あ、ん、はっ、……ぁ、うぅ……ッ」
 枕に顔を埋め、葵が哭き叫ぶ。
パンストと腹との境目を掴み、龍麻は肉路の最も奥へと屹立を侵入させた。
「んッ、ふ、あふッ、あ、あ、あ、あんッ――」
 トーンとピッチが急速に高まり、悲鳴に近づいていく。
龍麻は迫りくる射精感に耐えながら、強烈な一突きを見舞った。
「あぁ――ッ!!」
 急所を撃ちぬいたという手応えと同時に、葵の肢体が大きく震える。
媚肉も葵という女性からはとても想像できない強さで収縮を始め、
龍麻は、逆らわず溜めに溜めた迸りを彼女の膣内に注ぎこんだ。
「あぁ……」
 絶頂の余韻もさめやらぬところに熱い精液を放たれて、
葵は精も根も尽き果てたような吐息を漏らして伏してしまった。
その隣に龍麻も、ほとんど倒れるように横になる。
お互いの存在を至近に感じながら、二人は顔を動かす体力もなく、
かろうじて指を触れあわせるのがやっとの状態だった。
 多幸感に浸された頭の中で、葵は考えていた。
優しい龍麻ももちろん好きだけれど、激しい龍麻もいい。
これまで誰にもこんな風に扱われることなどなかったから、
この乱暴さは病みつきになってしまいそうだった。
次は叩かれてみるのも悪くないかもしれない。
それに、目隠しや縛ったりされるのも。
次々に湧く妄想に頬を熱くしつつ、このままでは制服が皺になってしまうのも忘れ、
龍麻の胸に愛おしげに手を這わせる葵だった。
 眠気に思考をゆだねながら、龍麻は思った。
あの絶妙な寸止めは、葵にしかできないと。
気が狂いそうになってそのまま滾りをぶつけてしまったが、
次はもっと焦らして焦らして、できれば顔の上にも乗ってもらって、
惨めに扱って欲しいと。
あるいは、徹底的に言葉でなぶられるのもいいかもしれない。
葵ならきっと、想像もつかない語彙で冷たく貶めてくれるだろう。
 二人は期せずして見つめあう。
自分を真摯に見る瞳に、自分の考えていたことがあまりに恥ずかしくて
同時に目をそらした。
けれども、一度知ってしまった果実の味を忘れてしまうことなどできはしない。
理性と羞恥にほんの少し目を閉じてもらえれば、
禁断の快楽は思いのままに貪れるだろう。
 龍麻と葵はまだ手も握ったことのない恋人同士のようにちらりと視線を交わし、
そして同時に言った。
「あの」



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