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一度抵抗を止めた葵は、もう拒むつもりはないらしく、
龍麻が舌を絡めるよう求めると控えめながら応じてくる。
学校でキスをしたことがないわけではない。
けれどこんな、前戯のようなキスは初めてだった。
声もなく舌が交わる。
いつもなら微かには聞こえる吐息も、二人とも押し殺しているので聞こえない。
舌が触れ合う時に立てる、粘り気のある音だけが響くのが、ひどくいかがわしかった。
触れる部分が熱い。
ざらざらとした感触がしっかりと感じられ、龍麻の、葵の肩を抱いている手に力が篭っていく。
見つかれば、きっとただでは済まない。
その背徳が、快感を高める。
肩に置いた右手を、背中を伝わせて腰へと下ろし、制服の内側へ滑りこませる。
わき腹から胸へと辿らせつつ、左手はぴったりと閉じ合わされた足の間へと落とした。
葵がスカートの裾を押さえたが、そこにはまだ龍麻は触れるつもりはない。
膝からそのスカートの端まで、見せつけるように動かした手を、そこから再び膝の方へと戻していった。
失敗に気付いた葵が手を動かそうとすると、今度は右手で乳房に触れようとする。
そうして足と手と、交互に牽制して動きを封じた挙句、
遂には両方とも望むところへと到達させてしまった。
かえって寄せられてしまっている魅惑の膨らみの、まず半分ほどを確保した龍麻は、
ブラの稜線に沿って指をなぞらせた。
葵はよほど恥ずかしいのだろう、石化したように固まってしまっている。
しかし指先が触れている部分は沈みこんでしまいそうなくらい柔らかく、
かつしっかり押し戻す弾力も備えている。
無抵抗の葵を一方的に責める、というのがこんなにも愉しいのだと、
危険な悦びに目覚めてしまった龍麻は、強引に手を動かし、遂に掌で乳房を包みこむことに成功した。
手の中にたっぷりと感じる肉感が愛おしい。
もぞもぞと手を動かすと赤いスカーフが揺れるのが、
学校で、授業をサボって、制服でこんなことをしているのだと改めて知らしめてくれ、
龍麻は知らず唇を舐めまわした。
うなじにくちづけを落とし、止めたままの左手を動かし始める。
さすがにそこは抵抗があるのだろう、細い足は固く閉じられ、いかなるものの侵入をも拒んでいる。
しかし、それを愉しめるだけの余裕が今日の龍麻にはあった。
葵の膝の上に置いた手を、そっと滑らせていく。
決して乱暴にではなく、いかなる力も加えずにやわやわと。
葵はスカートを抑えたままだったが、こんなにも弱く撫でられると思っていなかったのだろう、
わずかに動揺がみえた。
ひとたび生まれた動揺を、龍麻は見逃さず少しずつ押し広げていく。
乳房に添えている右手を、左手と同じようにやんわりと動かす。
下着に施された刺繍を感じ取るように微細に掌を滑らせ、下から持ち上げる。
形と重みをはっきりと意識させる動きに、葵は目を閉じ、唇を噛んで拒んだ。
それは龍麻の狙いどおりで、この愛撫を続ける限り、葵はそれ以上は拒まない。
ならばあとは、その境界線上を渡ればよいのだ。
龍麻は一層身体を寄せ、葵に細やかな刺激を与えはじめた。
乳房を持ち上げた状態のまま、形の崩れた柔肉を愛でる。
同時に親指で丘の頂を擦ることももちろん怠らない。
過度の刺激で拒ませず、弱すぎる愛撫で冷めさせず。
何しろ時間はたっぷりとあり、そして時間をかければかけただけとろけると判っているのだから、
焦る必要などどこにもなかった。
長い足を包むストッキングを、梳くように撫でる。
爪は立てず、力さえ込めず、ただ何度も、繰り返し手を滑らせる。
龍麻は自分が必ず勝つことを既に確信していたが、その時は意外に早く訪れた。
かみそりの刃すら入らぬくらいに閉ざされていた足が、遂に開いたのだ。
それでもまだ、強引に隙間をこじ開けたりはせず、龍麻は同じ動きを繰り返す。
ストッキングの質感を愛でるのは愉しかったし、戸惑う葵をいじめるのはもっと愉しかった。
葵は右腕で胸を抑えつつ、左手でスカートの裾を抑え、両方とも止めさせようとしてくる。
しかし、それは結局両方とも中途半端にしかならず、
龍麻は思うがままに葵の肌を優しく撫であげることができた。
今日は何色なのだろうか、と想像しながら、乳房を覆うブラジャーの縁を、頂に向かって辿っていく。
手探りで捉えた葵の弱い部分を、指腹で弱く擦ってやると、少しずつ膨らんできた。
それは葵も良く判るらしく、いよいよ恥ずかしそうにうつむいてしまった。
こぼれた髪の隙間から覗いたうなじは赤く、いかにも美味しそうに色づいている。
誘われるままに口を寄せた龍麻は、後から追いかけさせた親指を合流させ、
抓めるようになった胸の蕾を、二本の指で優しく挟みこんだ。
「……ぁ……」
声が漏れた。
それはごく小さな、発した当人と龍麻以外には聞こえないであろう、
吐息に近い喘ぎだったが、葵は慌てて両手で口を抑える。
それはつまり、他の部分が無防備になったということで、
掣肘せいちゅうを解かれた龍麻は更にねっとりと指を這わせ始めた。
抓んだ乳首を、丁寧に転がす。
背後から腕を回し、こうして愛撫するのは初めてで、
なにかひどくいかがわしいことをしているという気分に龍麻をさせる。
ましてや、葵は声を押し殺し、全校生徒憧れの美貌を苦しげに歪めているのだ。
今まであまりさせて・・・くれなかった反動も手伝って、
龍麻はこの機会を徹底的に利用するつもりだった。
艶やかな髪から漂う甘い香りを存分に吸い、熟れた耳朶に息を吹きかける。
それらの微弱な愛撫に、葵はただ口を抑えるしかない。
目を閉じ、口を抑え、感覚を閉ざして耐え抜こうとしている。
いつまで我慢できるのか、葵が我慢できなくなった時はもろともに破滅なのだと判ってはいるが、
龍麻は徐々に愛撫を強めていくことにした。
足の内側に添えた左手は、長くゆっくりと太腿を撫でている。
その指先に、既に挟みこむ力はほとんどなくなっていた足を、付け根まで不意に辿らせた。
「……!」
指先に熱気が伝わってくる。
龍麻の想像よりもそこは遥かに熱を帯びており、湿り気さえ伝わってくるようだった。
嫌だ、というように首を振る葵を無視し、中指で縦になぞりあげる。
「ふ、っ……!」
葵の身体がくの字に折れた。
手を離してしまわないよう注意しながら、龍麻はうなじに舌を這わせる。
身体を折ってしまった葵には、もう逃げ場はない。
与えられる快感を、限界が訪れるその時まで溜めこむしかないのだ。
重みが増した乳房を掌でしっかりと支え、人差し指を強引にブラの内側に入れる。
爪の甲で硬く張り詰めた乳首を擦り、爪先で引っ掻いた。
「ん……ぅ……」
まだ背中がたわむ。
龍麻はほとんど葵に覆い被さらなければならなくなったが、
もうこれ以上は葵も無理なはずだった。
それを確かめるために、左手の指を立ててみる。
簡単に沈んだ指は、もうその部分を覆う布地が水分を吸いきっていると伝えた。
そして葵は肩を縮め、精一杯快感に耐えようとしているが、
やはり限界なのだろう、身体が時折痙攣していた。
それは特に、パンティの湿っている部分を掃いてやると顕著で、
もしかしたら小さく達してしまっているのかもしれない。
ならば後はすることはひとつで、計り知れない興奮と共に、
そろそろもどかしさをも龍麻は感じ始める。
すると実に都合が良く、
「イク、イッちゃ……う……っ!!」
あられもない声が聞こえてきた。
それは龍麻でさえ赤面するような絶頂の嗚咽で、未だ葵からは聞いたことがないし、
今後もよほどのことがないと聞けるとは思えない淫声だった。
中々進んでるじゃねぇか、と名も知らぬ下級生を褒めつつ、
あとは葵をこんなにも乱れさせてくれた彼らが去ってくれれば良い、
と自分勝手すぎることを考えて、龍麻は、
葵への愛撫を続けながら、ほどなく訪れるだろうその時を待った。
ほどなくして、期待通り小さな足音が聞こえる。
前後するように、学園の生徒に教室に戻るよう告げる予鈴が鳴った。
完全にスイッチの入っている龍麻は、あえて愛撫していた手を離し、わざとらしく制服を直してみせた。
熱い呼吸を繰り返している葵が、顔を上げる。
その瞳はいかにも切なげに潤んでいて、中断した龍麻に非難めいた眼差しを投げかけていた。
「どうする? 予鈴鳴ったけど戻る?」



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