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淫猥な熱気が、心を焦がす。
龍麻が告げた、妖魔を狩ることを正義と信じて疑わない連中のことを、もちろんマリアは知っている。
地球上で慎ましく暮らしていた同胞を、無惨に狩りたて、虐殺していった連中。
彼らに対する憎しみが、マリアを日本に連れてきたと言っても良いくらいであるが、
まだ彼らに自分がここに居ることを知られてはならなかった。
──目の前の『力』を手に入れるまでは。
龍麻の手が、尻へと落ちる。
彼の『力』が、具体的にどう役立つのか、マリアはまだ知らない。
ただ文献で読んだ、この世界を征するほどの『力』という手がかりだけを信じて、
マリアは聖杯探索の旅に赴いたのだ。
そして今、その聖杯に脅されている──これほど滑稽な事態も、そうあるものではなかった。
スカートを捲くり上げた手は、下着をなぞる。
憎むべき人間として彼の愚行を止めるか、誇り高き妖魔として彼に従うか。
下着のラインに沿って一度腰の方へと遠ざかった指は、
そこで指先を下着の中にくぐらせ、再び戻って来る。
尻たぶの弾力を愉しむように撫で擦りながら、刻まれた秘溝へと。
あと少し。もう少し。
「──ッ!!」
唇が奪われる。
指先の感触に夢中になって、全く無防備になっていたのが敗北の証だった。
入ってきた舌にたちまち口内を蹂躙されながら、マリアは龍麻を突き放そうとはしなかった。
否、この淫欲が支配する空間に足を踏み入れた時から、
もうマリアはこうなることを予感していたのかもしれなかった。
尻を掴む龍麻の手が、身体を引き寄せる。
下腹に触れる生殖器は、スカートの上からでさえその熱を伝え、牝を求めている。
布地など今にも突き破って自分を犯しそうなその器官に、
マリアは抱き寄せられるふりをして自ら腰を押し付けていた。
「ふッ、んんッ──」
荒々しくも巧みなキスに、マリアは口内を彼に委ねる。
力強く舌を絡め取られて掻き回されると、息苦しさにむせびながらも、
気がつけば彼の舌のざらざらとした部分がねぶるのを待ち構えてしまうのだ。
髪を掴み、陵辱するように舌をねじ込んでくる龍麻に、マリアの身体は徐々に意思を失っていく。
それでも、彼の身体を掴まなかったのは、彼女の最後の意地だった。
「う……んうぅっ」
尻の谷間から更に下へと、龍麻の指が落ちていく。
彼に捧げた秘唇は、既に湿り気を帯びていた。
龍麻によってそれを気づかされたマリアは、羞恥に理性を回復させ、激しく暴れる。
しかし龍麻の両腕は閂のように身体を閉ざして離さず、遂に抵抗を諦めざるを得なくなってしまった。
唇が解放され、悔しげに龍麻を睨みつけるマリアだが、龍麻は澄ました顔で微笑むだけだった。
「大丈夫ですよ。マリア先生を売ったりはしません。
例え先生を狙う奴らが来たって、俺が護ってあげますよ」
この異常な状況にあって、龍麻の言葉は奇妙なほどの安らぎをマリアにもたらす。
耳元で囁いた龍麻と真っ向から瞳をぶつけたマリアは、
数瞬の空白の後、その長い睫毛をわずかに震わせ、瞼を閉じた。
薄く笑った龍麻は、出来の良い犬を褒めるように彼女の頭を撫で、
深紅に塗られた唇に、うってかわった甘い口付けを与える。
まだ二十歳にも満たない少年は、恐るべき手練手管で心の隙に忍び込み、
年上の女性を陥落させることに成功してしまったのだった。
屈したとは言ってもやはり恥ずかしいのだろう、マリアは目を閉じたままだ。
処女のように硬くなっている彼女は年齢を感じさせない可愛らしさがあったが、
そのままでは面白くないので、龍麻はこの場にいるもう一人も饗宴に参加させることにした。
「葵」
龍麻が短く命じただけで、葵は意思もたぬ者のように彼に従う。
「美里さんッ、止めなさい、アナタはもういいのッ」
龍麻の思惑通り、葵に対してはまだ理性が勝っているのだろう、我に返ったマリアは
スカートに手をかける教え子を両手で制止する。
しかしそれは龍麻を自由にさせてしまうことでもあり、彼女がどちらを止めるか迷っている間に、
龍麻は葵と協力してスカートも衣服も脱がせてしまった。
教室で下着姿になるなどという、教師としての自分を冒涜される行為に、
マリアは目も眩むような恥辱を抱いているらしく、
白雪のような肌は見るも鮮やかに赤らんでいる。
それは龍麻ならずとも、欲望を刺激されて止まない姿だった。
「やっぱり先生くらいになると、下着も結構いいの着けてるんですね」
若い、直線的な欲望を隠そうともせず、龍麻は彼女の胸にある大きな丘に手を伸ばす。
淡い紫の下着に包まれた乳房は、同年代の中では紛れもなく最上級である葵のそれよりも
なお大きく、弾けんばかりのものだった。
下から持ち上げるように手を添えた龍麻は、ふくらみに沿って掌を滑らせる。
ほのかな熱と、軽くなぞっただけで形を変えるほど柔らかな、
たまらない質感を以って応える柔肉は、たちまち龍麻を虜にした。
カップの上から揉みしだき、跳ね返して来る弾力を愉しむ。
上質なシルクの布地は指に快く、何度も捏ね、弄んでいたが、
やがてそれにも飽きると、強引に下着をずらし、豊満な膨らみを露出させてしまった。
こぼれ出た白い乳房が重々しげに震える。
それは手荒な扱いを受けて抗議しているようにも、
下着の束縛から解き放たれて喜んでいるようにも見えるものだった。
上半身を裸にされ、マリアはなんとか手で覆い、隠そうとする。
龍麻はそれを無理に引き剥がそうとせず、隠しきれない他の部分から責めたて始めた。
彼女の身体を離し、両手で胸を隠し、肩幅に足を開いたマリアをじっくりと鑑賞する。
さすがに感じているからではないだろうが、陽を受けて輝く金色の頭髪を乱れさせ、
唇をわずかに開いた、昂ぶった表情でこちらを見る彼女は、
それだけで欲情をそそられずにはいられない。
しかも、その開かされた足の間には全裸の美少女が跪いており、
桃色の舌先をチロチロと覗かせながらマリアを愛撫しているのだ。
マリアも龍麻の手は振り払えても、葵を足蹴にすることはさすがに出来ないらしく、
小さく身体をよじるのが精一杯のようだ。
それがまた彼女の、成熟しきった女の曲線を余す所なく見せつけることとなり、
愛撫によって少しずつではあるが着実に高まっている、
匂い立つような官能を龍麻に向けて発散するのだった。
真神学園内において、生徒の一番人気は間違い無く葵であるが、
教師も含めるとマリアと葵が甲乙付け難くなる。
その二人が肢体を晒し、淫靡に絡めていることに、龍麻は我知らず唇を舐めた。
見ているだけでは我慢出来なくなり、マリアの腕に触れる。
太っているのとは全く異なる、絶妙な加減の肉付きは、触れるだけで快感を覚えるものだった。
肩から肘先へと指腹をなぞらせ、そこから胸を隠す彼女の手先へと渡らせる。
力ずくで剥がされるのだと思ったのか、マリアは指先に力を込めたが、
龍麻はむしろ重ねるように指の間をなぞった。
「……っ」
微弱な愛撫に虚を突かれ、マリアの心が緩む。
それを彼女の薄く開いた唇から漏れた、悩ましい声で知った龍麻は、
もう一方の手を彼女の背中に回した。
「ぁ……ッ」
浮き出ている背骨に沿って、掃くように手を滑らせる。
背中から腰へと下ろした手を、反応を見ながら往復させる。
「や……め……」
両手は胸を抑えているために、哀願するしかマリアには出来ない。
しかしそれを龍麻が聞きいれることは決してなく、
首筋から胸元へと、弱いキスを交えて生白い肌を舌で味わっていくのだった。
図らずも寄せあげられ、それでなくても深く刻まれている谷間が、更にその深さを増している。
柔らかな圧力によって閉ざされているそこを、龍麻は舌をこじ入れて縦に割っていった。
「……ん……っ」
乳房の肉を吸いたてる龍麻に、マリアは自分から胸を差し出したような錯覚に陥ってしまう。
それはマリアの心を更に緩め、龍麻の指先が少しずつ手を絡めていくのにも、
彼女はいつしか抵抗しなくなっていた。
龍麻の指が、マリアの手と胸の間に滑りこむ。
男の硬質の感触は不快なものではなく、指の付け根をくすぐる感触は快いものだった。
だからマリアは、左手を彼に明け渡してしまう。
遂に左手と、それが隠していた右胸を得た龍麻は、早速その広大な丘稜の検分を始めた。
「っ、は……ぁ」
騎士が女性に忠誠を尽くすような、恭しいキス。
それを乳房の上半分に隙間無く浴びせられ、マリアは陶然となってしまう。
思考が熱を帯び、このまま流されても良いのではないか、と思いかけ、
慌ててその危険な考えを打ち払う始末だ。
しかし龍麻はどこで学んだのか、女性の身体を操る術をそら恐ろしいほど心得ており、
熱はいよいよ高まるばかりだった。
もはや龍麻を拒絶することは出来ないと感じたマリアは、
せめて刺激をひとつでも減らそうと股下の葵に向かって呼びかける。
「お願い美里さん、目を覚まして」
その叫びに動きを止めたのは、葵ではなく龍麻の方だった。
愉快そうにマリアの瞳を覗きこみ、殊更声に出して笑ってみせる。
「先生、こいつは別に俺に弱みを握られてるとか、変な力で言いなりにされてるとかじゃないですよ。
葵はね、こういうのが本当に好きなんですよ」
「そん……な……」
絶句するマリアに、葵はその言葉が嘘でないことを示すかのように下着の上から舌を這わせた。
尻に顔を押し付け、鼻先を谷間に埋めながら、下着の湿っている部分を何度も往復させる。
弱い刺激ではあるものの、それが教室で教え子によって行われているという背徳感が、
ひどくマリアを酔わせた。
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