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葵の下腹部がゆらめく。
聞こえた小さな水音は、すぐにはっきり聞こえるようになり、
同時にアンモニアの臭いが亜里沙の鼻腔をついた。
「い、嫌、藤咲さん、見ないで……!」
みすぼらしい音は丘を支配し、砂漠に染みていく。
真神學園の純白のスカートはみるみる汚れ、葵の素足を幾筋もの水流が伝っていった。
「あ、ああ……嫌っ……!」
拷問に等しい恥辱は、しかし容易には終わらない。
どれほど我慢していたのか、葵の小便は亜里沙が一時の狂熱から正気に返ってもなお続き、
喧騒が存在しないこの世界で排泄音だけが支配者として君臨していた。
亜里沙もさすがに動けず、葵の下腹が黒く塗られていくのを見守るだけだ。
しかし、その瞳は爛々と輝いている。
十字に括られた少女が為す術もなく生理現象を垂れ流し、
造物主にひいきされたとしか思えない肢体を己の体液で汚していくさまを、
まばたきも忘れて魅入っていた。
放尿は三十秒以上も続いてようやく終わった。
水音が止み、足の内側の輝きが薄れていく。
だが、スカートは汚れたままで、臭気も色濃く漂っていて、
これが悪夢の中で、さらに酷い悪夢であったことをはっきり示していた。
こういった時、時間が経つほど惨めさが増していくことを亜里沙は知っている。
だから静寂が訪れてから、たっぷり一分ほど置いてから葵に語りかけた。
「まさか……真神の聖女がお漏らしするなんてね」
亜里沙は葵のスカートをたくしあげ、裾を腹のところに挟んだ。
ステージの緞帳のように持ちあげられたスカートの内側から、
内側がきらめいている肉感的な太腿と、いかにも彼女らしい純白の、
股布がおびただしく汚れている下着が露になった。
「う……うう……」
漏らしたという衝撃から立ち直っていないのか、
ここまで辱められても葵はうめき声を漏らすばかりだ。
亜里沙は目を細め、股から膝にかけての逆三角形を見やった。
下着に溜まった汚水が、未だ滑らかな肌を伝っている。
親指の先にまで垂れた小便は、指の下にある砂に小さな染みを作りだしていた。
磔にされ、鎖で縛られた上に小便まで漏らし、しかもそれを拭くことさえ許されない惨めな姿。
とても生きていけないような辱めを受けた葵に、亜里沙はたまらなく欲情していた。
「ごめんねえ、間に合わなくって」
生気を失い、別人と成りはてた葵の顎を掴み、無理やり目を合わせさせる。
うろうろと彷徨った目は、力なく下方へ逃げだしたが、
亜里沙は容赦なく目が合うまで彼女の顔を上げさせた。
「い……痛、い……」
すでに滲んでいた涙が、葵の頬を伝っていく。
それは宝石に匹敵する美しさだったが、亜里沙は騙されない。
同じ彼女から発生した、汚い水滴の源に手を突っこんだ。
下着を下から押しあげると、水分が滲みでる。
亜里沙は二本の指を濡らし、葵の口へと運んだ。
「アンタのせいで汚れたんだ。綺麗にしてくれるわよね?」
「い……いや、藤咲さん、止めて……」
限界まで見開かれた葵の目から、新たな涙が落ちる。
その美しさに寸時心を奪われた亜里沙は、彼女の目を見据えて恫喝した。
「舐めるんだよッ!」
至近距離で怒鳴られたことなど皆無なのだろう。
葵の顔一面に怯えが、逃げだした鼠の群れのように広がっていった。
それでも、自分の小便を舐めさせられるとあって、口はなお開かない。
「綺麗にしてくれないとさ、あたし機嫌が悪くなってアンタがションベン漏らしたこと、
みんなに言いふらしちゃうかもよ?」
実際には夢の世界の記憶は目を覚ませば忘れてしまい、
漠然と悪い夢だとか良い夢だとかを見たとしか記憶には残らない。
夢の世界を築いた者と、彼の許しを得て起きたまま夢を見る者だけが、
現実と夢との記憶を共有できるのだ。
その辺りの事情は葵も知っているはずだが、気が動転しているのか、
青からさらに白へと顔色を変じさせ、絶望を浮かべる。
「ね? ちょっと指を綺麗にしてくれればいいんだからさ」
一転して優しげに説得する亜里沙に、ついに葵の唇が緩んだ。
開いたとまでは言えない口を、爪の甲でこじ開ける。
「ふっ……ぐ……」
泣きはじめた葵に、亜里沙は小便を味わわせようとことさら時間をかけて指を挿れていった。
舌の上に乗せ、指腹をなすりつける。
舌は逃げまどうそぶりをみせたが、亜里沙が睨みつけると観念したのか動きを止めた。
亜里沙は中程まで咥えさせた指の先端を、まずは左右に振る。
ざらざらとした味蕾の感触が情欲をかき立てた。
「舌先を動かしてみな」
緩慢ではあったが葵は命令に従った。
「う、ふ……」
「丁寧に……そう、隅々まで綺麗にするんだよ」
亜里沙はさらに前後にも指を往復させる。
小さくすぼまった口に中指を押しこむとき、亜里沙の心には得も言われぬ快感が押し寄せた。
「唾を舌に乗せて、ふふッ、音を立てて吸ってみな」
葵に奉仕させるだけでなく、口の中を愛撫してもやる。
「ん、中々上手じゃない……ほら、人差し指も舐めて」
指を二本に増やし、葵の口内をまさぐる。
歯列や上顎、頬肉に至るまで、歯科技師の精密さで触れていくうち、葵の息遣いが変わっていく。
「んふぅ……ふ、ふ、んぅ……」
ねばついた、媚を含んだ鼻息に、亜里沙は失笑した。
「あんたさ、気分出し過ぎじゃない?」
恥じいる葵にも舐めるのは止めさせない。
むしろより扇情的に指を操り、舌の操り方を教えこんだ。
「そうそう、下から持ちあげるみたいにして……ふふッ、さすがに物覚えがいいのねえ」
葵の頭を撫で、そのまま手を身体に這わせていく。
「んん……ん……む……」
これほど酷い目に遭わされているというのに、
葵は愛撫に身を委ねるように呼吸を穏やかにしていった。
指を無心に吸い、うっとりとしている葵は赤子のようで、
亜里沙もどこかしら母親のような気分になる。
しかし、葵の安らぎに満ちた顔を見ると、心の奥底から炎が噴きあがってしまうのだ。
葵は磔にされたまま、すっかり指をしゃぶるのに夢中になっている。
その状態で亜里沙は、腰に手をやった。
そこには愛用している鞭がある。
いつから有ったか、などと亜里沙は気にしない。
それよりも獲物をいたぶれる興奮に酔いしれていた。
指を抜き、口淫を止めさせる。
薄く開いた葵の眼は、名残惜しいようにも見えた。
その顔がこれから一変するのだと思うと、亜里沙は身震いしてしまう。
長い間指フェラに没頭していたせいでぼんやりとしている葵に、艶やかな笑みを向けた。
「さ、次はお漏らしした罰をあげないとね」
距離を開け、二、三度鞭を振るってみる。
手首だけで打った、大して威力のない振り方だったが、
葵にはインパクト充分だったらしく、恐怖に見開かれた目には再び涙が溜まっていた。
「許、して……」
「あたしだってこんなことしたくないんだけどさ」
亜里沙はいかにも同情的な口調を作った。
「犬だって躾をすればトイレを覚えるんだ。こんな場所で漏らすアンタにも、躾が必要でしょ」
言い終えると同時に初撃を見舞った。
「きゃあッ!!」
狙いは違わず、鞭は葵のスカートに命中する。
亜里沙は間髪入れず、二打目を腹部に、今度は逆側から当てた。
「あうぅッ! お、お願い、お願いだから許して藤咲さんッ」
悲痛な叫びは風を切る鞭の音にかき消される。
十字架の周りに漂っていた温い熱は、厳しい炎熱となって吹きすさび、中心にいる二人を灼いた。
「ひうっ、痛い、許して、許してぇっ」
鎖は巻きついたままで、鞭のダメージはそれほどないはずだ。
しかし柔肌に鎖が当たれば痛いに決まっているし、跡も残るだろう。
「あぁッ、ど、どうして……ひッ、あ、酷いッ……!」
それでも亜里沙は手を止められなかった。
悲鳴が苦痛に追いつかなくなり、壊れた笛のような声しか葵が出せなくなっても、鞭を当てつづけた。
嫉妬ではない、と思いつつも、制服の裂け目から露になった肢体は、
亜里沙の目を奪うほど美しい。
縦長のへそに、しなやかな曲線を描く腰のくびれに、豊かに張りだした乳房に、
亜里沙は見惚れ、その場所に赤い跡を刻みつけることに無上の悦びを覚えた。
「ひッ……かっ、は……あ、うぅ……」
閉じる暇も与えられない葵の口から涎が伝う。
そこだけがスローになったかのように、時間をかけて垂れていった透明の液体は、
小便と同じ場所に落ちて、消えていった。
蜘蛛の糸にも似た、顎から胸の辺りまで垂れる涎を断ち切るように亜里沙は鞭を振るう。
柔らかな肌に鞭が当たる時の手応えは、軽いエクスタシーに彼女を導いた。
「あははッ、ほらッ、謝んなさいよッ」
「きゃあぁッ! ご、ごめんなさい……んあぁッ、あうッ」
「もっとちゃんとよッ!」
「あ、あぁ、わ、私……藤咲さんの前でお漏らしした、わ、悪い子です……
もうしませんから、許してぇっ」
過酷な痛みのせいか、葵はやや幼児退行している。
たとえ夢の中の出来事で、目覚めれば全て忘れてしまうとしても、
葵を屈服させたという快感に亜里沙は酔いしれた。
そこからさらに五発当て、ようやく鞭を収める。
「いいッ、その言葉忘れんじゃないよッ。今度漏らしたら許さないからねッ」
「は、はい……」
身動きもできずに二十発以上も鞭を受けた葵は、見るも無惨な有様だった。
真神の制服はずたずたに破れ、もはや服としての用をなさなくなっている。
露出した肌に赤く腫れていない箇所はなく、
血が出ていないのが不思議なほど、むごたらしく葵を飾りたてていた。
ぼろぼろになった葵を、まだ興奮が残る瞳で睨みつけた亜里沙は、
かろうじて葵の肉体にすがりつくことで生きながらえている、
剥きだしとなったブラジャーを力任せに剥ぎ取った。
「……っ……」
葵がかすかに呻いたのは、鎖が腫れた肉体に触れたからに過ぎない。
もう恥ずかしがることさえできないほど、葵の気力は底をついていた。
傷だらけの身体にあって、乳首だけは泥濘に咲く蓮の花のように美しい。
亜里沙は鞭を当てる場所に気を遣った覚えはないのだが、どうしたわけか、
ここは被害を免れたようだった。
ブラジャーを失っても張りのある乳房は形を保ったままだ。
鞭を右手に持ったまま、左手で亜里沙は葵の右の乳房を握った。
掌は乳房に汗をまとわせ、乳房は熱を掌に伝える。
そこから亜里沙はゆっくりと、手に力を加えていった。
「う……うぅ……」
意識を取り戻した葵が頭を振るが、声は出せないようだ。
亜里沙は手の動きを変え、乳頭を指腹で転がしはじめた。
「あ……っ……」
これほどの傷を負っていても、乳首は愛撫に反応し、姿を変えていく。
硬くしこり立った丘の頂を、亜里沙は優しく撫で続けた。
「や……止め、て……」
「アンタさ、本当の変態だね」
亜里沙の顔にはどぎつい嘲笑が浮かんでいる。
「こんだけ鞭で打たれて小便まで漏らしてんのにさ、なんで感じてるわけ?」
葵は唇をわななかせただけで、力なく首を振るばかりだ。
どぎつさに極彩色を加えた表情とは対照的に、亜里沙の指先は恋人に触れるように繊細だ。
真神の聖女と称される美里葵ですら性の呪縛から逃れることは叶わず、呼吸が荒くなっていく。
「ねえ、教えてよ。どうやったらそんな恥知らずになれるの?
毎晩オナニーでもしてんじゃないの?」
答えない葵に、亜里沙は一転して乳首を抓った。
「あぅッッ……! い、痛い……」
「あたしが訊いてんだからさ、答えなさいよ」
二度、息を吸ったが、葵はなおも答えない。
苛立った亜里沙は、今度は二本の指で思いきり乳首を潰した。
「あぁぁッ……! し、してない、してないわ……」
「へえ、じゃあ生まれつきなんだ。虫も殺さないような顔して、とんだ淫乱だったってわけね」
「違うわ……」
弱々しく、しかしきっぱりと否定する葵に、再び亜里沙の中で何かが爆ぜた。
未だ手をつけていなかった下腹部に手を伸ばした亜里沙は、葵のパンティを引きちぎる。
鞭と小便でぐずぐずになっていた下着はたやすく破れ、
臭気と共にひそやかな場所が白日の下にさらされた。
股ぐらに手を入れ、亜里沙は性器を刺激する。
秘裂をなぞり、淫核を探り当て、ごく微弱な愛撫を与えた。
「あ……あ、ん……」
葵の反応は愉快なほどで、亜里沙が指を滑らせるだけで切なげな吐息を何重にも重ねて漏らした。
「ずいぶん色っぽい声出すじゃないの」
指摘された葵は慌てて口をつぐむ。
追い詰められたその表情に欲情を高めつつ、亜里沙はさらに中指を踊らせた。
湖に浸した指で、淫らな珠を磨きあげる。
息を殺し、葵の反応を見ながら、決して強すぎない刺激を絶え間なく与え続けた。
「ん、ふ、っん、っ、ふ……ぅ」
こぼれる喘ぎを無理にせきとめる葵の口からは、下手な蛙の鳴き声にも似た音がする。
哀れに唇を震わせる姿に、亜里沙の嗜虐はどこまでも高まっていった。
「凄い濡れ方よねえ、しょっちゅうイジってなきゃこんな敏感にはならないと思うけど」
「……」
葵は頑なに認めない。
だが、どんな理由があったとしても、亜里沙の指で過剰に感じているのは事実で、
拒みながらも痙攣を起こしたように震える身体が惨めを誘った。
「オナニーしてますって認めるのがそんなに恥ずかしいかしらねえ、
人前で小便漏らすよりはマシだと思うんだけどさ」
身体を嬲り、心を嬲り、亜里沙は徹底的に葵を辱める。
肉体はすでに疲弊しきっており、精神も、ほとんど限界に達しているはずだ。
にも関わらず、亜里沙は手加減をする気に全くなれなかった。
亜里沙と葵の関係は、加害者と被害者だ。
葵は許しはしたものの、麗司が彼を虐めた者たちに復讐したのとは違い、
純粋な欲望から葵を拐かしたのであって、行為に斟酌の要素はひとかけらもない。
それは亜里沙も解っているのだが、どうしたわけか、この夢世界の砂漠で彼女と出会ってからは、
異常ともいえる加虐心に取り憑かれていた。
「ん、っく……う、ん、んんぅ」
肉芽をねっとりと弄ばれて、葵は声を抑えきれなくなっている。
亜里沙は彼女の感度を高めていきながら、ひとつの坂を登りきる寸前で愛撫を止めた。
「……あ、ぁ……?」
葵の呼吸が整うのを待って、再び刺激を与える。
これまでよりもさらにゆっくりと、絶妙な加減で。
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