<<話選択へ
<<前のページへ 次のページへ>>

(2/3ページ)

「脱がせてやるよ」
耳朶に舌を伸ばし、一度舐めてから囁く。
「い……いいわよ、自分で脱ぐわよ」
口調に何かを感じたのか、杏子の声が強張る。
しかし龍麻はもう聞いておらず、強引とも言える強さで彼女の唇を奪った。
「ふッ……んんうっ」
荒い息遣いを押さえこみ、唇をこじ開ける。
怯えて逃げ惑う舌を探り当て、思うがままにねぶっていると、やがて力が抜けていった。
「うん……うぅっ、あ……ん……」
機関銃のように言葉を撃ち出す口からは、途切れた吐息しか漏れない。
しかもその音色は甘く、耳に快いものだ。
龍麻は彼女の口腔一杯に舌をねじ込み、まさぐった。
「……ぅ……」
次第に声は小さくなり、代わりに舌がおずおずと伸びてくる。
ぬめる卑猥な感触をぶつけ合いながら、再び尻に触れてみると、もう拒まれはしなかった。
下着の縁に指をかけ、指先だけを内側に潜りこませてなぞる。
何が嫌なのか腰をくねらせる杏子の舌を吸い上げてやると、可愛らしい鼻息が漏れた。
「ん、ふっ……!」
手全体を下着の内側へと沈ませた龍麻は、もう一度球面に沿って掌を這わせる。
右から左へ、その勢いに乗じて下着を強引にずり下ろす。
「あ……」
杏子の身体の中からそのまま湧き上がった熱気が、彼女の口腔にある龍麻の舌を灼く。
すっかりおとなしくなった杏子に、龍麻が一度顔を離すと、
まなじりを下げた彼女の顔はそのまままとわりついてきた。
険が消え、しきりに頬擦りしてくる杏子を離し、龍麻は身体をずらしていく。
首筋から鎖骨へ、そして胸を包む布地へ。
唇を押し当て、時には舌でくすぐりながら、少しずつ彼女の身体を愛しむ。
しかしまだブラは脱がせず、その形に沿って下を這わせただけで、
膨らみには一切触れることなく素通りしてしまった。
龍麻にその気がないのを知った杏子の手が、何かを訴えるように頭に乗せられるが、
龍麻は何も言わず彼女の肢体に細やかな刺激を与えるだけだ。
淡い水色の下着を過ぎ、程よく脂肪の乗った腹部に唇を這わせた辺りで、
初めて開いた龍麻の口調は、ずいぶんと意地悪なものだった。
「膝曲げるなよ」
「やだ、嘘でしょ、こんな格好……」
杏子の言う通り、今、龍麻の頭は彼女の臍と繊毛の間にある。
そこから身動きを禁じられるということは、全てをじっくりと見られてしまうということで、
杏子が抗うのも無理はない話だった。
しかし龍麻は二度は言わない、とばかりに再び動き始める。
臍から真下に、舌で道筋をつけ、覆われた叢の端へと進ませ、そこで再び止まった。
「……っん!」
一度強く口を押し当てた龍麻は、そこから横へと顔を移動させ、彼女の背後に回る。
自分からは見えない位置に龍麻が動いたことで、杏子の肌に緊張が走った。
その緊張を和らげてやるべく、龍麻は下から尻を持ち上げるように手を添え、掌で揉みしだく。
自分で言う通り大き目の臀部は、心地良い弾力を返してきた。
「ね……やだ……やだってば」
気付いているかどうか、律儀に膝を伸ばしたまま、杏子は小さく身体を震わせる。
彼女自身は嫌がっているのだろうが、龍麻には誘っているようにしか思えないので、
緊張のせいか細かく震えている丘に後ろから唇を吸いつかせた。
「やっ……! や、ぁ……」
音を立てて吸い、跡を残す。
柔らかな肉の質感に酔い、龍麻は幾度も同じ愛撫を繰り返した。
「だッ、め……だって、言って……ッ」
鼻先を埋め、一杯に伸ばした舌で思い切り舐めあげる。
それだけで杏子の声は、しゃっくりを起こしたように途切れ途切れになってしまうのだった。
舌の腹で滲んだ唾液を塗り広げ、薄い塗膜を施す。
偏執的とも言える行為だったが、杏子はすっかり受け入れてしまっていたから、
龍麻は思いきり能動的な快感の中に浸ることが出来たのだった。
たっぷりと、大きな丸みの大部分を侵食し終えた龍麻は、
ようやく下着に手をかけ、下ろす。
慎重にずり下げていくと、下着の中心と彼女身体の中心とに、透明な滴が細く糸を引いていた。
それは何にも増して興奮をそそる光景で、龍麻は悪趣味を露呈してじっくりと視姦する。
変なところで止まった下着に、意図に気付いた杏子の抗議が上から降り注いだ。
「やだ、止めて……恥ずか……し……」
龍麻の目の前で、新たな蜜が零れる。
ゆっくりと落ちていくその遅さが彼女の羞恥を表しているようで、
龍麻は息を呑まずにはいられなかった。
杏子の呼吸に合わせ、秘唇が静かに息づいている。
我知らずそこに顔を近づけた龍麻は、そっと息を吹きかけた。
「ひっ……!」
敏感な部分に刺激を受けて、杏子は危うくバランスを崩しそうになる。
彼女を支えてやった龍麻は、先に下着を脱がせてしまうことにした。
「足抜けよ」
背後から下着を、足首まで下ろし、そこから片足ずつ持ち上げて脱がせる。
それは何やらとてつもない興奮を龍麻にもたらし、
既に大きくなり始めている屹立を限界まで勃起させた。
「あ、ぁ……っ」
杏子も同じ感覚を抱いているのか、身体の横で伸ばされている掌がせわしなく開閉している。
その両方の手を搦め取った龍麻は、まだ直立したままの杏子の下半身を下から見上げていった。
いつも走りまわっているからか、足についている肉には余分な部分があまりなく、
脚線美と呼んで差し支えないほどのものだ。
そして下から見れば確かに大きく見える二つの丸みは、
しかし好みから外れるかというと全然そんなことはなく、
いつまでも触っていたい心地を提供してくれる、必要不可欠な大きさだというのが龍麻の感想だ。
出来ればもう一度くらいは撫で回しておきたいところであったが、
握ってしまった手はしっかりと搦みついて当分離れそうになかったので、顔だけを動かした。
「ひッ……!」
膝の裏から、今度は身体を上へと舌を這わせていく。
偏執を通り越して変態とも言える愛撫に、
しかし両手を握られている杏子は為す術なく身を委ねるしかなく、
だから龍麻は思いきり張り詰めた肌の感触を味わうことが出来るのだった。
オーバーハングを越え、腰へと辿りつく。
そこからは背骨に沿い、胸の辺りまで上ったところで、
芳しい香りを漂わせる髪がその先を塞いでいたので、顔を離し、一度立ち上がった。
「……っと」
背後から抱き締めようとした龍麻は、
まだ彼女が纏っているものが二つあることを思いだし、そのうちの一つを外す。
小さな音を立てて外れたホックを支点に、何かを塗るような動きでブラを脱がせ、
そのまま露になった乳房を掌で包みこんだ。
手の中で小さく揺らした後、じんわりと抑えつける。
どこまでも握りつぶせてしまいそうな柔らかさを両の掌で感じていると、杏子が口を開いた。
「ね、ねぇ」
「ん」
「……なんでもないわ」
結局それだけしか言わなかった杏子は、それが嘘であると言うように、身体をもたれさせる。
自然と傾く彼女の身体に、龍麻も顔を傾け、くちづけを交わそうとすると、思わぬものが邪魔をした。
「……っと」
苦笑いした龍麻は顔の角度を変えようとして、慌ててそれを止める。
せっかくのチャンスを、台無しにしてしまうところだったのだ。



<<話選択へ
<<前のページへ 次のページへ>>