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胸の大小などどうでも良いことと思ってはいたが、
確かに小蒔のサイズでは手に余ってしまい、手全体で大きく揉む、というのは出来なかった。
少し窮屈そうに手を動かす龍麻に、小蒔が申し訳なさそうに声を上げる。
「やっぱりさ、胸……大きい方がいいよね」
「いや、別に……お前の胸だったら大きさなんて関係ねぇよ」
「あ、そ、そう? ……えヘヘッ、ありがと」
小蒔はその答えを半ば予期していたように小さく笑ったが、龍麻は、本当にそう思っている、
その思いの全てを伝えきれているかどうかもどかしくなり、身体ごと抱き寄せる。
「な……なに?」
「あったかくて……気持ちいいな」
「…………うん。ひーちゃんも」
突然変なことを言う龍麻に戸惑いながらも、龍麻の大きな身体は確かに気持ち良くて、
小蒔もしっかりとしがみついた。
いつも皆から頼りにされている龍麻を、今は一人占めにしている。
そう考えると嬉しさがこみ上げてきて、小蒔は頬を龍麻の胸板に子犬のように擦りつけた。
「な……なんだよ」
「もうちょっと、こうしててもいい?」
「……ん」
龍麻は頷いたが、それは小蒔がこうしててもいいか、と言う問いに頷いただけで、
自分が何もしない、と言う意味で頷いた訳ではなかった。
小蒔の肩を抱いていた手を、掌全てを肌に密着させたまま降ろしていく。
浮き出た背骨からくびれた腰を通り、更にその下へ。
へその下辺りまで来たところで、どこを目指しているのか気付いた小蒔に手首を掴まれてしまった。
「へッ、ヘンなトコ……触んないでよ……」
「んなこと言われてもよ」
「うー……」
不承不承大人しくなった小蒔を尻目に、指先はとうとう秘密の入り口を探しあてる。
手探りで触ってみると、確かに割れ目……というか筋のようなものがあって、妙に感動してしまった。
劣情の赴くまま指先を少し押しこんでみると、大した抵抗もなく沈み込み、
何か濡れた感触が伝わってくる。
「やら、し……ん……っ」
熱く潤った秘唇が、訪問者を迎え入れようと閉ざされた門を開いていく。
その中を、さしたる抵抗も無いまま指が入っていった。
吸いこまれ、吸いつかれる指から、たまらない快楽が上って来る。
ほとんど本能的に、龍麻は根元近くまで埋まった指を動かしはじめた。
「はぁ……ッ、ひ……ちゃ…………ん……」
ほんのわずかな指先の動きを敏感に感じ取り、万華鏡のようにいくつもの艶やかな表情を見せる小蒔に、
龍麻はその場所を直接見ようと身体を動かす。
龍麻の愛撫を夢心地で受け入れていた小蒔だったが、
その動きを察知して、慌てて両手で龍麻を押さえた。
「だッ、だめッ、見るのは絶対ダメ」
「そ……そっか」
そこは男にとって永遠に気になる場所で、龍麻もぜひ直接見たいと思ったのだが、
小蒔の断固とした調子に断念せざるを得なかった。
おまけにそのまま指だけは触りつづけるのもおかしくて中途半端に引っ込めたために、
小さなベッドの上に気まずい空気が漂いはじめる。
ボ、ボクのせいだし、なんとかしなくちゃ。
そう考えた小蒔は、焦ってまたとんでもない行動に出てしまった。
「ひ、ひーちゃんのも……触るね」
「あ……あぁ」
指先が触れた途端びくりと跳ねたそれに、驚いて手を引っ込めてしまう。
「な、なにコレ……なんか、動いてるよ……熱いし……平気なの?」
「あぁ、……多分」
小蒔は今更ながらにまるでメカニズムの違う男女の身体にいたく感銘を受けたらしく、
いつまでたっても手を離そうとしない。
そのうち、他人の刺激を受けることに慣れていない屹立は、限界が近いことを所有者に知らせた。
「ちょ、ちょっと待て。それ以上されたら出ちまう」
「出ちまう……って、出たらダメなの?」
「ダメってことはないけど、次に出来るようになるまで少し時間がかかる」
「ふーん……良くわかんないや」
ぶつぶつ言いながらも小蒔が手を放してくれたので、龍麻は急いで避妊具を着ける。
妙に手際良く着けられたそれに、小蒔はうさんくさそうな表情をした。
「もしかして……前から準備してあった?」
「いっ! ま、まあそれなりに……」
「いつから?」
「い、いいだろ」
「いつから?」
「……二ヶ月くらい前かな」
指折り数えて逆算した小蒔は、その日時に思いきり呆れてしまう。
「……それって、付き合いはじめてすぐじゃない?
あっきれた、やっぱ男の子ってやらしーことばっかり考えてるんだね」
一語一語が無形の矢となって突き刺さり、龍麻はぐうの音も出ずうつむいてしまう。
そのしょげかえりようがおかしくて、小蒔は龍麻の髪に手櫛を入れると、頬に唇を押し当てた。
「でも……いいよ。今日は許したげる」
「うん……んじゃ……い、いくぞ」
「…………うん」
龍麻は威勢良くそう言ったものの、どこに入れればいいか良く判らないらしい。
かと言って自分が教えてやることも出来ずにいると、
ようやくそれらしい場所を探り当てたのか、大きく一度息を吸う音が聞こえた。
間を置かず、押し広げられる痛覚が下腹を襲う。
「い、た……っ!」
顎が跳ね上がり、身体ごと大きく仰け反る。
頭の中で覚悟はしていたつもりでも、そんなものでは到底足りなかった。
身体を引き裂かれる恐怖が痛みを倍化させ、息を吐き出すことさえ辛い。
「おい……大丈夫か?」
今更に気遣わしげな龍麻の声も遥か遠くから聞こえてきて、何の慰めにもならない。
それでも、滲んだ視界の向こうに不安そうな顔が映ると、無理して笑みを作った。
「エヘヘッ……ひーちゃ、んと……ひと、つ、に……なって、る、ん、だよ……ね……」
話すのもやっとで、息継ぎをしながらようやくそれだけを言う。
「小蒔……」
龍麻はおろおろとするばかりだったが、それでも、
名前を呼んでくれたことでようやくいくらか落ちついてきた。
しかしそれも、龍麻が少し身体を動かしただけで再び、身体の内側を引掻かれ、
引き摺られるような痛みに見舞われ、振り出しに戻ってしまう。
龍麻も気を遣い、出来る限り痛がらせないよう慎重に動こうとしてくれているらしいが、
それでも抽送される度、腕に爪を立ててしまう。
龍麻には申し訳ないけれど、一秒でも早く終わってくれるよう願うしか出来なかった。



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