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「雪乃……好き。雪乃のこと、大好きだよ」
「あ……ぅ……」
低く抑えた小蒔の告白に、雪乃は返事が出来ない。
膨大な感情が、さほど多いとは言えない雪乃の言葉の森から果実を奪ってしまっていた。
返事が無いことに少しがっかりしたのか、小蒔は眉を曇らせている。
言葉で親友の想いに応えることを諦めた雪乃は、
羞恥で破裂しそうな心臓を無視して小蒔を抱き締めた。
「んっ……雪乃……?」
遠慮も何も無い腕力に顔をしかめる小蒔に、勢い良く唇を当てる。
驚く形に開こうとする口に向かって、さっきよりは加減して舌を伸ばした。
「ぅ……ん……」
今度は逃げず包みこむ小蒔の舌に、夢中で絡める。
すぐに何も考えられなくなるほどの快感が、口の中に広がっていった。
「はっ、むぅぅ……ぁ、ふ……ぅっ、むっ」
息継ぎをしながら、渦を描くように舌をくねらせる。
自分がどれだけ卑猥な動きをしているのか気付きもしないまま、
雪乃は底の無い淫楽の海へと身を沈めていった。
雪乃が舌に痺れを覚え始めた頃、見計らったように小蒔が顔を離した。
「ヘヘッ」
最後の最後まで舌先を触れ合わせていた小蒔は、濡れ光る唇をゆっくりと舐め回す。
肩で息をしながらそれを見ていた雪乃は、さっきまでここにあったものを求め、
ふらふらと顔を近づけていった。
「姉様……」
雪乃がやって来るのを待ち構えている小蒔を押し退けるようにして、雛乃が割って入る。
妹に、口を開いた、だらしない表情を見せてしまったことに気付いた雪乃は、
皮膚の下に沸騰した血液を流しながら顔を急停止させた。
「姉……様……」
空気に乗せた瞬間に溶けてしまいそうな声と共に、情欲に染まった瞳が近づいてくる。
長い間すぐそばで見続けてきた瞳に、こんな彩りがあると知らなかった雪乃は、
まばたきもせずに見つめ返した。
「姉様……ずっと……ずっと、お慕い申し上げておりました」
「雛……」
幼い頃にだけ呼び合った名前で、妹の名を呼ぶ。
大きく目を見開いて動きを止めた雛乃が、次の瞬間飛びついてきた。
「姉様っ!」
「わ、ちょ……んっ」
「姉様、姉様……」
スカートの裾が乱れるのも構わず姉を押し倒した雛乃は、夢中でキスを求める。
顔中に柔らかな跡を残されて、雪乃がたまらず逃れようとすると、息のつまるようなキスをされた。
「んッ……ふッ、ぅ……」
雛乃は口の中で淫蕩にさ迷う粘質の塊だけでなく、手足をも己の半身に絡めつかせている。
小蒔の身体とは違う種類の心地良さに、雪乃の筋肉は弛緩することで悦びを表わした。
雛乃の鼻息が、わずかに空気を震わせる。
小蒔よりも遥かに激しく、口内を犯し尽くすようなキス。
想いの全てをぶつけるような雛乃を、雪乃に拒む術などなかった。
両腕を雛乃の背に回し、紫がかってさえ見える黒絹の髪を撫でてやろうとする。
しかし、妹は姉のほんの少しの身じろぎでさえ許さず、重心を巧みにずらして抑えつけた。
「ふッ、うッ……む……」
手首を掴まれ、指までしっかりと握られる。
締めつけられてどくどくと脈打つ指の付け根が、何故か心地良かった。
緩みきった雪乃の口から、どろどろに濁った唾液が糸を引く。
それはかなり長い間、へその緒のように双子の姉妹を繋ぎとめていたが、やがて悔しそうに切れた。
「姉……様……」
「雛……」
焦点の合わない瞳でお互いを映していた二人は、名前を呼ぶことで小さな波を迎える。
それは気だるげに眠る為の波ではなく、更に溺れる為の波だった。
大きく息をする姉の、上下動する胸を見つめた雛乃は、
喉に塊をつっかえさせたまま制服のスカーフに手をかける。
その肩を、後ろから掴まれた。
小蒔を嫌いな訳ではもちろんないが、最も大切な姉との間に割って入られ、
雛乃がわずかな疎ましさを感じつつ振り向くと、
目の前で行なわれていた淫戯が飛び火した小蒔が太腿をよじっていた。
「雛乃……ボク……もう……」
全身から牝の臭気を立ち上らせている小蒔を、姉から遠ざけるように抱き、キスでごまかす。
しかし、親愛の情を露にして肌を擦りつけてくる彼女に、
姉との睦み事はしばらく中断せねばならなかった。
「ね……雛乃……。いつもみたいにしてくれる?」
「もちろんですわ、小蒔様」
何のことだか判らない雪乃の目の前で、小蒔は制服を脱ぎ始める。
小柄で、肉付きの薄い身体には、やはりそれ相応にしか胸の盛りあがりも無い。
それなのに、雪乃にとっては同級生の、唯一人を除いて誰よりも女性を意識させるものだった。
「ブラも……外した方がいい?」
「そうですね。縛ってしまったら、外せなくなってしまいますものね」
「うん……そうだよね。ね、雪乃……外してくれる?」
「え? あ……あぁ」
頷いてしまってから慌てても、もう小蒔は期待に満ちた瞳でこちらを見てしまっている。
他人の下着を外してやるなど、友人同士の遊びでもしたことの無い雪乃は、
自分のものなら普段散々にしているのに、失敗してしまうのではないかと奇妙な怖れを抱いた。
助けを求めて妹の方を見ても、普段通りの微笑みに戻った雛乃は動こうとはしない。
仕方なく、起きあがった雪乃は正面から──本当はこれでは意味がない──小蒔の背中に腕を回した。
なんていうことのない動作のはずだったのに、小蒔の使っているシャンプーの香りを吸いこんだ時、
ちょうど抱き締める格好になっていることに気付いてしまった。
「! ──っ」
どうしてそうするのか判らないまま、小蒔の肌に触れないように、
心持ち身体を離して下着に手をかけるものの、手が震えてしまってホックを外すことが出来ない。
それは余計に小蒔を意識することになり、幾度か二人の肌が触れ合った。
「んっ……くすぐったいよ」
「わ、悪ぃ」
「いいよ……そのかわり、ボクにも雪乃のブラ、外させてよ」
雪乃が答える前に、小蒔は制服の内側に手を潜り込ませてもぞもぞと下着をまさぐる。
「ま、待てって……」
「へへッ、もう外しちゃったもん。ね、雪乃も脱ごうよ」
「オ、オレはもうちょっと後でいいよ」
「ダメ。はい、雛乃」
小蒔が呼ぶ前に、もう雛乃は姉の背後に回りこんでばんざいの格好をさせている。
抵抗はしてみたものの、二人の放つ妖しい雰囲気に挟まれてしまって逆らえるはずもなく、
結局、小蒔のブラ一枚さえ脱がせないうちに、雪乃は制服とブラの両方を脱がされてしまっていた。
上半身裸になってしまった雪乃は、両腕で胸を隠す。
普段はどちらかというと自信ありげに胸を反らしている雪乃が背中を丸めているのは、
雛乃と小蒔をどうしようもなく興奮させた。
「あ、あんま見んなよ」
「ね、まだ脱がせてもらってないよ」
小蒔の言葉に仕方なく頷いた雪乃は、再び両腕を伸ばす。
そこにすかさず、前と後ろから二本の腕が乳房へと伸びた。
「ひっ……! や、やめ……あっ」
二つの乳房を仲良く分け合った雛乃と小蒔は、それぞれの手付きで雪乃の膨らみを撫でまわす。
「だめ……だめ、だっ……て……んぁっ、やぁっ」
小蒔は掌全体で押し潰すように、雛乃は下から持ち上げるように。
しっとりと汗ばんだ手が熱を帯びた肌を滑り、雪乃は敏感に反応してしまう。
「エヘヘッ、あったかいね、雪乃のおっぱい」
「姉様……気持ちいい……ですか?」
「はぁ……ぅ……ん……いい……きもち……いい……」
絶え間無く送りこまれる胸からの刺激に、もう限界だと心が悲鳴を上げる。
それなのに身体は、淫楽を覚えてしまった身体はもっと求めて止まないのだ。
「ふッ、ぅ……んん、んふぅ……」
指に軽やかに乳房の表面を踊らせながら、小蒔は唇を貪る。
たやすく絡めとることが出来た舌には涎があふれていて、
先に雛乃によって官能の奥深くへと導かれていた少女は音を立てて親友の体液を飲み干した。
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