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その雛乃は、想い焦がれていた姉の、ほっそりとした背中に吸いついている。
浮き上がっている背骨の上辺に蛭のように唇を吸わせ、
そこから自らの手がまさぐっている姉の右胸の背中側の位置へと、
片時も唇を離さないまま這わせていった。
「あ……ふ……むっ……ん……」
今日ほころび始めたばかりの花は、たちまちに咲き誇り、
濃密な果汁を吐き出す淫花となって雛乃の前に生けられた。
それは魂を分けた写し身である雛乃にはわかっていたことではあったが、
蕾のままで咲かないのではないかと言う危惧もあったのだ。
しかし今、姉は願いに応え、自分の前に艶なる姿を曝けだしている。
雛乃の悦びは、狂気に近い程深かった。
その狂気を身体に留めておけず、指の中で可愛らしく震える可憐な尖りを軽く潰し、引っ張る。
「うくっ! ぁ、ぁ……ひ……な……」
突然訪れた痛みに身体をびくりとさせてもなお健気に自分の名を呼ぶ姉に、
更に想いが荒れ狂ってしまった雛乃は、肉付きの薄い背に歯を立てた。
「痛っ……!」
噛みこそしないものの、歯型が残るよう顎に力を込める。
容易には判らない場所に刻印を残せたことで、ようやく荒ぶる心は鎮まっていった。
「はぁっ……はぁっ……」
うって変わって優しく胸を揉みしだいてやると、小蒔がキスを終える。
完全に力が抜けてしまったのか、雛乃の掌に柔らかな重みが加わった。
「えヘヘッ……結局、脱がせてくれなかったね」
からかうように雪乃にそう囁いた小蒔が、自分で下着を脱いで手を後ろに回し、互いに肘を掴ませる。
「ね、雛乃……お願い」
求めに応じた雛乃は、慣れた手付きで細い手首に紐を通した。
数分とかからないうちに、小蒔の両腕はしっかりと結わえられてしまっていた。
「きつくないですか?」
「うん……平気」
小蒔は背中を反らし、どう見ても平気では無さそうだったが、
雛乃は尋ねておきながら答えを確かめようとさえしなかった。
もっとも小蒔も窮屈そうに肩をすぼめていても、決して嫌そうにはしていない。
目の前で繰り広げられたあまりに鮮やかな変貌に、雪乃は完全に声を失ってしまっていた。
雪乃の視線を感じて、小蒔は目を伏せる。
「……ボクね、こうやって……縛ってもらうの、好きなんだ」
小蒔の言葉が、雪乃の脳裏で幾度も反響していた。
縛られることで快感を得る愉しみ方がある、ということは漠然とした知識で知ってはいたが、
それはあくまでも男性側からの女性を縛る愉しみだ、と思っていた。
もう禁じられた世界へと入りこんでいた雪乃だったが、
身近な友人がこのような、普通ではない嗜好を持っていることに計り知れない衝撃を受けていた。
しかし。
両の手首を結わえられ、小ぶりな乳房を晒けだしている小蒔の表情の、なんと美しいことか。
身体が思い通りにならないことに、はっきりと恍惚を見出している少女は、
見ているだけで疼いてしまうほど綺麗だった。
「スカートも……脱がせて」
妖精の囁きのような声が、雪乃を虜にする。
上半身は裸で、下半身はスカートを履いているというのは相当にふしだらな格好であるが、
小蒔に請われてその布地をも雪乃は剥ぎ取った。
肌に映える、飾り気のない下着。
小蒔はスカートを脱ぐのを手伝う為に体育座りのように足を前に投げ出していて、
余分なぜい肉などひとかけらもない、
すらりと伸びた腿の付け根の染みまでがはっきりと雪乃には見えた。
「すげぇ……濡れ……てる……」
小蒔の髪が垂れ下がったことで、雪乃は自分が恥ずかしい台詞を口走ってしまった事を知る。
「ごッ、ごめん、そんなつもりじゃ」
「……ボクね」
顔を上げた小蒔は、いつもは勝気に吊りあがっている眉尻を目一杯下げて陶然と告白した。
「ボクね、ずっと……雪乃や雛乃とこんな風になれたらいいな、って思ってたんだ。
それが叶ったから、ボク、もう……ずっとこんななんだよ」
「小蒔……」
「……ね、触って」
ぺたんと足を付けて膝を折り曲げた、いわゆる女の子座りをしている足が徐々に開いていく。
両足の間の、獲物を誘いこむ罠のように漏斗状に狭まっていく空間を、
雪乃の手は迷いを見せつつも着実に小蒔の身体へと近づいていった。
いやに長く感じられた数十センチほどの旅を終え、水分が溜まっている中心に触れる。
ほんの少し指が触れただけで水音がするほど、そこは潤っていた。
「んっ! ぁぁ……気持ち……いい……」
恥ずかしげもなく快楽を口走る小蒔に、指先も大胆な動きをとっていく。
炙りだしのように浮かび上がる秘裂を、何度も何度もなぞり、こすりあげると、
指先に触れるぬかるみの熱が、耳朶まで伝わってきた。
「ふっ……く……あぅ……ん、ゆ、きの……」
前かがみになった小蒔が、おでこを腕に乗せる。
二の腕にずしりと重みが加わっても、雪乃は愛撫する手を止めることは出来なかった。
指先は今や、水分を吸って薄くなった生地を小蒔の中に押しこんでいる。
はじめはひそやかな溝でしかなかった部分が、全てを呑みこむ淫口へと変貌を遂げたのだ。
下着越しにでもはっきりと判るその割れ目に、指を挿れるのはまだためらわれて、
雪乃は逃げるように指を動かす。
「はぁ……ぁ……んっ!」
それが期せずして、秘唇の上辺、敏感な肉芽がある縁を弾いてしまった。
大きく肢体を震わせた小蒔は、やや恨めしげに加害者を見る。
「ダメ……だよ……もっと、優しくしてよ」
「ご、ごめん」
「……でもね……凄い……よかった……よ」
再び腕に頭を乗せた小蒔は、明らかに続きを待っていた。
だから、雪乃は肘の辺りを小蒔の唾液が伝うのを感じながら、それに応える。
「はっ、っ……んふぅ……」
気を付けて、今度は弱すぎるほどの感触で女性の芯を撫でる。
雪乃は、姉への想いから早くに目覚めた妹と違って、性を意識することにずっと罪悪感を感じていた。
もちろん女子校であればそういう話はいつでも耳に入ってくるものだし、
経験がどうした、男がどうしたと騒ぐ友人は日毎に増えていた。
それでも雪乃は性欲の処理に困るということも特に無かったし、
やり方が良く判らないということもあって同世代の少女の中でもかなり淡白な方だった。
だから、クリトリス自体は知っていても、それがこれほどまでに敏感な箇所だとは思いもしなかったのだ。
今、小蒔は自分の指のほんのわずかな動きで感極まって身体を震わせている。
やや遅い性への好奇心を目覚めさせた雪乃は、飽くことなく女性の神秘を探っていた。
夢中になって親友の身体をまさぐる雪乃の背中に、重みが加わる。
「姉様……わたくしも……わたくしも、姉様のことを想って……」
背中全体に、温かな肌が触れる。
自分の背中で押し潰されていくものと、その先端にある小さなしこり。
妹がいつのまにか一糸纏わぬ姿になっていることを、雪乃は間違いようもなく感じとっていた。
「雛……」
「姉様……」
雛乃は想いを寄せる姉を誰にも渡すまいとするかのように、雪乃の腹部に腕を回す。
本当は折るほどに抱き締めたいのをこらえ、代わりに先ほど触れられなかった、
姉の心臓がある側の乳房を繊手で覆った。
雪乃はまだ親友の身体に対する興味を満足させてはいなかったが、
雛乃がしっかりとしがみついて身体が動かせない。
困ったように小蒔を見ると、小さく頷いた小蒔は自らバランスを崩し、後ろに倒れこんだ。
その瞳に誘われるまま、雪乃もその上にのしかかる。
短い頭髪をほつれさせたまま、小蒔は悩ましげに囁いた。
「いいよ……ボクのこと、好きに……しても」
言葉が、身体を支配する。
何をどうすれば良いのか判らないまま、雪乃は横たわる少女の小ぶりな胸を掴んだ。
「ああっ! ぅ、あ……」
「わっ、悪い。加減とか、判んなくってよ」
「ううん……いいんだ……ね、もう一回今のやって」
「で、でも」
「平気……だから」
小蒔から、求めた、ことだ──免罪符を手にした雪乃は、遠慮無く膨らみを絞る。
「あうっ……! ぁ……」
嫌がっていない。
「はっ……ん、そ、れ……」
悦んでいる。
痕が残ってしまうくらい強く掴んでも、口を淫らに綻ばせ、
肌を快楽に色付かせる小蒔を、もっと蹂躙したいと思った。
寂しそうにたたずんでいるもう片方の乳房に吸いつく。
乳を与えるための器官を、赤ん坊だった自分がそうしたように思いきり吸い、
今の自分がそうしたいように上下の歯で噛み立てた。
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