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舌同士が触れ合った時、何もかも捨てて身を任せたくなるような、
快美な感覚が雪乃の身体を一瞬に包み込んだ。
生温かい、ぬるっとした感触が口の中を這い回る。
雪乃は自分が流されてしまう恐ろしさを感じて、懸命に逃れようとするが、
雛乃は後頭部を抱きかかえるようにして抑えつけ、いいようにされてしまった。
「んぐ……あ、ぅ……っぷ、ぁ……ぁ……」
怯えて縮こまる舌を、下から掘り起こすように持ち上げられてさんざんにねぶられると、
泡立った唾液がお互いの舌を行き来するのが
まるで見えているかのようにはっきりと思い浮かんでしまい、耳が火傷したように熱くなる。
「ん……」
雛乃の、小さく整った鼻から漏れる呼気が顔にかかる度、
ぞくぞくするような快美な衝動が内と外から雪乃を呑みこもうとする。
まだキスに慣れていない雪乃は息苦しくなってなんとか息をつこうとするが、
雛乃は容赦なく舌を責め立て、しゃぶりあげる。
抗うことさえ許されず、雪乃は膨れ上がっていく疼きをただ耐えるしか出来なかった。

雪乃がいつの間にか閉じていた目を開けると、雛乃の舌がゆっくりと離れていく所だった。
何か言おうとしたが、舌が上手く動かせない。
口だけを空しく開閉させる雪乃に、雛乃は再び顔を近づけると、唇の周りを舌でやわやわと舐める。
そこが唾液にまみれていたのを、雪乃は妹の舌が触れたことで初めて知った。
「姉様……キス、とても上手でしたわ」
「お前が……無理やりしたんだろうがッ!」
うっとりとした声でとんでもないことを言い出した妹に雪乃は大声で抗議するが、
雛乃は意に介した様子も無く答える。
「覚えていらっしゃらないのですか? あんなに積極的にわたくしを求めてくださったのに」
「う……嘘だッ!」
「ううん、ボクも見ててびっくりしちゃったもん。それに……ホラ、ここもこんなになってるよ」
小蒔は雪乃と雛乃がキスをしている間もずっと胸をまさぐり続けていた手を抜くと、
素早くスカートの内側に忍び込ませる。
下着の中心を触られて、初めてそこがおびただしい液体で濡れているのを知り、
雪乃は軽いパニックに陥ってしまった。
「こッ、これ……違う! こんなの、違うって!」
「ううん、違わないよ……だって、ボクももう、同じ位……濡れてるもの。
ね、触っていいよね? ボク、もう我慢できないよ」
しかし、そう言って下着に手をかけた小蒔だったが、急にその動きを止める。
衣擦れの音も消えた静寂の中で、かすかな嗚咽の声が小蒔の耳を打った。
「頼むよ……お願いだから、止めて……くれよ……」
自分が涙を流していることにも気付かず、雪乃は幼い頃から庇護の対象だった妹に哀願していた。
初めて見る雪乃の涙に、小蒔も雛乃もとまどいを覚えつつも、
それを上回る興奮が鼓動を早める。
小蒔は雪乃の頬を伝う滴を舌先で掬いとってやると、そのまま耳元に口を寄せて禁断の矢を放った。
「雪乃は……ボクのコト嫌い?」
「!! そッ……そんなこと……ない……けどよ……」
巧みな問いかけに、雪乃は逃げ道を塞がれてしまう。
これ以外どう答えても誰かが傷ついてしまう以上、自分が折れるしかなかった。
「ボクはね……ずっと雪乃のコト好きだったよ。多分、初めて会った時から」
頭の奥がずきずきと鳴って朦朧とした意識の中に、
小蒔の告白は甘美な囁きとなって心を侵食していく。
「だけど、だけど……そんなの……おかしいだろ? オレ達……」
「おかしくは無いですわ、姉様」
雪乃は自分を否定する為に必死に言葉を選ぶ。
そうしないと、自分が──本当の自分が現れてしまいそうだったから。
しかし雛乃に遮るようにはっきりと否定されると、
意思はあえなく潰え、それ以上続けられなかった。
「わたくしも、姉様の事を以前からお慕いしておりました。
この想いを気付かれないようにするのは、大変だったんですよ」
「だけど……だけどよ……」
いつもの、小さい頃からずっと見てきた笑顔を浮かべる雛乃に、
雪乃は力無く、おうむの様に同じ言葉を繰り返すのが精一杯だった。
「大丈夫、ボク達はお互いがいれば……なんにも怖いコトなんて無いよ」
小蒔は雪乃の頬にかかる髪を優しくかきあげ、ゆっくりと口付ける。
雛乃よりもぎこちない、しかし懸命なキス。
それは、雪乃の心に迷いという名の綻びを生じさせ、
奥底に眠る知らない自分を呼び覚まそうとするかのように何度も求めてくる。
小蒔がキスを続ける傍らで、雛乃がスカートのホックに手をかけるのが判ったが、
もう雪乃は暴れることを忘れていた。
それでも、小さな音を立ててスカートが床に落ちると、反射的に膝をすりあわせる。
程よく引き締まった、ある種の動物を思わせるようなすらりとした足に、
雛乃は思わず感歎のため息をこぼした。
「姉様……」
色気の無い下着は、しかし雪乃の蜜のせいで淫靡な色に染まり、雛乃の舌を招きよせる。
「んっ……! んむぅぅ!」
舌がへその下の下着のふちにべっとりと押し当てられ、
子猫のように何度も舐め上げながら降りていく。
熱い舌が湿った部分に触れた時、雪乃は不快感を感じたが、
それはすぐに下腹全体の昂ぶりへと変わってしまう。
もう感覚も消え、剥き出しの快感だけがそこにあった小蒔のキスが終わった。
「ぁ……」
小蒔の唇が離れると、そこでせきとめられていた唾液が雪乃の口の端からあふれ、
そのうちのいくらかが名残惜しそうに小蒔についていこうとして糸を引いた。
小蒔はそれを手の甲で拭うと、唇に押し当てて舐めとりながら雪乃の後ろに回りこむ。
「雪乃……すごい、可愛いよ……もっと、触るね」
背後から耳を咥えてそう囁き、雪乃の制服をたくし上げ胸を露にすると、
まだ乳房とは言いがたい大きさのそれを、包み込むように何度も揉み上げる。
「おっぱい……気持ちいい?」
自分の胸を覆う小蒔の手をぼんやりと見つめていた雪乃は小さく頷いてしまってから、
慌てて大きく首を横に振った。
「ち、ちが、今のは……くっ、う……うぁ……」
桃色をした乳首が小蒔の指の中で転がされ、ひねられ、痛々しく形を変える。
しかし痛々しいのはあくまでも外見だけで、そこから広がる甘痒い官能の震えは
狂おしいまでの歓喜の渦を雪乃にもたらしていた。
もう何もかも捨てて快楽に身を委ねそうになるのを、
頭上に括られている手を必死に握り締めて耐える。
だがそんな儚い抵抗も、雛乃の舌に下着越しにうっすらと透けている、
薄い繊毛に隠されている秘唇の入り口を探り当てられるとあえなく潰えてしまった。
「うぁぁあ……っ!」
全身を縦に貫いた衝撃に、雪乃のうなだれていた頭が跳ね上がる。
「姉様……ここが良いのですか?」
「ぁ……ぁあ……」
頷きとも、呻きともとれる切なげな声が雪乃の口から吐き出される。
もうひと押しで堕ちるのを確信した雛乃は、一気に下着を引き摺り下ろして秘部を曝け出した。



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