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それに気付いた雪乃が、やや嫉妬めいた非難をする。
「なんだお前、雛の顔ばっかり見やがって」
「だ、だってお前の顔見てると怒るじゃないか」
「当ったり前だろ! 大体顔なんてじろじろ見るモンじゃないだろッ」
「だけどちょっとくらい見たっていいだろ?」
「そりゃ……まァ、そうだけどよ……」
雛乃に気があると誤解されるよりも──誤解ではないのだが──
今は雪乃の気を雛乃から逸らす方が大事だと思った龍麻がわざと雪乃の顔を正面から見据えると、
この、妹に較べて遥かに純情な姉は期待通りにそっぽを向いてくれる。
二人のやり取りが耳に入っているのかいないのか、雛乃はみかんを不自然に掴んで俯いたままだ。
雛乃が達しそうになっているのに感づいた龍麻は必死に雪乃の気を逸らす事にした。
「そうだ、雪乃ってさ、カラオケ好きなんだよな。今度一緒に行かないか?」
「なんだよ、急に話題変えて。まァいいけどよ。だけどお前も歌イケるのか? いいねぇ、約束したぜ!」
雪乃は話題に食いつき、それは上手くいったかに見えたが、
調子に乗った龍麻はつい余計な一言を挟んでしまった。
「そんなに餓えてたとはね。雛乃さんとは行かないのか?」
「あァ、こいつはうるさいのが嫌いみたいでね。
何度か誘ったんだけど、嫌いなのを無理にってのも……なぁ、雛」
「えっ!? えぇ……ね、姉様のお誘いを断るのは……申し訳、ないのですけど、どうしても」
「ゆ、雪乃はさ、どんな歌が好きなの?」
「最近のヤツならなんでもイケるぜ。あぁ、なんかこんな話してたら明日にも行きたくなってきたぜ」
明日どこか今この場で歌いださんばかりの雪乃に苦笑いしていると、
足を握る雛乃の手の力が強くなり、次いで肩が小さく震え、
雛乃が軽い絶頂を迎えたのを龍麻は知る。
注意深く雪乃の表情を覗って見たが、どうやら隠しとおすのに成功したようだった。
後は自分の股間の昂ぶりを鎮めて、それから──
うっかりその先を考えて更に興奮してしまった龍麻は、慌てて関係無い事を考え始めた。

「おう、それじゃぁな」
玄関まで見送りに来てくれた雪乃に軽く手を上げて挨拶すると、龍麻は織部家を後にした。
しかし鳥居の方には向かわず、辺りを見渡すと素早く本殿の陰に姿を隠す。
手を擦りながら待つ事数分、鮮やかな朱の袴が薄闇にうっすらと浮かび上がった。
「お待たせいたしました、龍麻さん」
白い息を幾度か吐き出しながら、雛乃が駆け寄ってくる。
龍麻は一直線に胸に飛びこんでくる彼女を柔らかく受け止めると、軽いキスを交わした。
「ふふっ、結構どきどきしましたね」
「全く……何も最後までしなくたっていいだろうに」
そう言いながらも、達したばかりだからか、
異様に艶かしい表情で身体を撫で回して情感を高めていく雛乃に、
龍麻は下が地面なのも構わず、本気で押し倒そうかと思ってしまった。
漂ってくる、上気した肌の香りにますます強まるその衝動を堪えつつ、
陰といってもはっきりと二人の姿が浮かび上がっているこの場所から離れようとする。
「なぁ雛乃、もうちょっと奥に行こうぜ……何もこんな所でしなくたっていいだろ?
雪乃に見つかったら殺されちまうよ」
「あら、龍麻様は案外意気地が無いのですね」
雛乃の軽く嘲るような口調にあっさりと挑発された龍麻は、彼女の華奢な身体を強く抱きしめ、
差袴の裾から手を忍びこませた。
形の良い尻を撫で回すと、雛乃は嬉しそうに腰をくねらせて龍麻にしがみつく。
「龍麻様……」
見つめあい、今度はねっとりと舌を絡めたキスをする。
さっき一度達してかえって火が点いたのか、いつにも増して積極的に求めてくる雛乃に、
龍麻はやや受身にならざるを得ない。
雛乃は龍麻の頭を掴み、引き寄せて舌を差し込みながら、制服のボタンを外してシャツをはだけさせる。
そのシャツもズボンから引っ張りだすと、硬く締まった腹に押し当てた。
生暖かい指先がもぞもぞとシャツの中を這い上がっていき、龍麻の胸をまさぐる。
まるで女性のように愛撫される事に、そしてそれに感じてしまっている事に
男のプライドを刺激された龍麻は反撃に出た。
尻を触っていた手を、足の間へと降ろしていき、
後ろからこたつの中で衣越しに触っていた場所にじかに触れる。
そこは当然のようにしっとりと湿り気を帯びながら龍麻を待っていた。
「あっ……ん……っ、ぁ……」
足の指などよりもずっと繊細で的確な責めに、さっきまで声を出せなかった鬱憤も手伝って、
雛乃はすぐに悩ましげな声をあげ、龍麻が、
ほんのわずか指を埋めただけで食いつくように挟みこんでくる淫唇に、
おあずけをするように蜜を塗って焦らすと、足をきゅっと閉じておねだりをした。
「く、ん……龍麻様……お願い……です……」
「なに?」
「やぁ……もっと………ゆび、触って……はぁ……っ!」
しがみついてふるふると震える雛乃に加虐心が芽生えた龍麻は、
話している途中の彼女の膣に、いきなり指を垂直に突き立てる。
「ふぁ…………意地悪、です……」
「でも雛乃、こういうの好きでしょ? 今だって、途端にたくさん濡れちゃったもんね」
「……っ……、はい……」
言葉責めに抗議するように肩を噛む雛乃に、龍麻はゆっくりと指を上下させて更にいじめる。
「雛乃はさ、巫女さんなのにこんなにいやらしいんだよね。恥ずかしくないの?」
「っは、恥ずかしい……です………」
雛乃の声は彼女が言うとおり羞恥に染まっていたが、龍麻には愉しんでいるようにも聞こえて、
指腹を少し強めにうねる膣壁に擦りつけた。
「! っはぁ、龍麻……さ、ま……そ、れ………いい……です……もっ、と……」
シャツを噛んで必死に喘ぎを抑えていた雛乃も、
ついに我慢しきれなくなって龍麻の肩に顎を乗せると、はっきりと恍惚を口にする。
その声が大きすぎると感じた龍麻は少したしなめようとしたが、
一度せきを切った快楽は止められるものではなかった。
「ちょっ、雛乃、声が大きいって……!」
「だって……気持ち……っ、良くて、我慢が……!!」
その時、雛乃の淫声に家の方から扉が開く音が割り込んできた。
それに続く足音がこちらに近づいてくるのを捉えた龍麻は慌てて雛乃の口を塞ぐ。
「おーい雛、どこだ?」
龍麻には雛乃が来てからまだ数分しか過ぎていないように思えたが、
実際はもう三十分程も経っていて、心配した雪乃が捜しに来たのだ。
息を押し殺して、近づいてくる気配に気付かれないよう祈る龍麻の掌を、いきなり雛乃の舌が舐めあげた。
「…………!!」
不意を衝かれて思わず口を開いてしまった龍麻は、
驚異的な精神力で声をあげるのだけは食いとめたが、
その隙にわずかに緩んだ手の感触を見逃さず、
雛乃は面白がって舌による愛撫を本格的なものにし始めた。
「……っ、ひ、雛乃……」
掌を押すように軽く唇を突き出して肉を吸い上げ、吸い上げた肉を舐め取り、
口の端から唾液が零れるのも構わず、特に指の付け根を集中的に責め、龍麻に声をあげさせようとする。
何かの生きもののように蠢く雛乃の舌に、龍麻は総毛立ってしまい、快感を口にしたくてたまらない。
雪乃に見られたら身の破滅が待っていると判っていても、
自分の中の子供っぽい部分が見せつけるのも楽しいと囁き、もうほとんど屈しそうになっていた。
あと数秒、雪乃の声が龍麻の耳に入るのが遅れていたら、何がしかの声は出してしまっていただろう。
「っかしーな、外に行ったのかな……でもあの格好だしな」
ぶつぶつ言いながら妹を捜す雪乃の声が遠ざかっていく。
それが完全に聞こえなくなってから、雛乃はようやく龍麻の指から口を離した。
「もう……バレたら只じゃ済まないのは雛乃だって同じだろう?」
「ふふふ、でも龍麻様の手、男らしくてちょっと素敵でしたわ」
べとべとになってしまった手を拭きながらぼやく龍麻だったが、
雛乃は意に介した風もなく帯をほどき、差袴を脱ぐと龍麻の前に跪いた。
「あら、もうこんなに大きくなさって……わたくしのご奉仕は必要ないですか?」
暖を取るように熱い肉棒を頬に押し当てながら、目だけを自分の方に向ける雛乃に、
龍麻はごく自然に欲望をそそられて、彼女の滑らかで、
触れているだけで感じてしまうような肌に己を擦り付ける。
雛乃は心得た表情で頬の外側から手を添えて、掌と頬とで龍麻を挟むと軽く握った。
根元から舌を軽く這わせて、先端へと向かっていく。
そのまま咥えてもらえると思った龍麻だったが、
雛乃は焦らすように横側を食むと、再び根元の方へと戻っていった。
欲望に急かされた龍麻の手が雛乃の頭を掴み、屹立の先端を彼女の淫口に押しつける。
雛乃は嫌がりもせず唇を軽く湿らせると、半分ほどをひと息に飲みこんだ。
舌の真ん中で雁首を撫で上げ、
挨拶をするようにゆっくりと回すと途端に暴れだす龍麻の分身を優しくあやしながら、
より深い恍惚を与えるべく、口の全てを使って彼を愛する。
「んふ……っむ、…………んぐ……」
雛乃の鼻から漏れる小さな声と、粘着質な液体の音が響き、
下半身を苛む愉悦と相まって、龍麻はたまらず本殿の壁に背中をもたれさせた。
目の前の震える足を雛乃は両手で抑えると、逃げ場の無くなった龍麻から一度顔を離す。
唾液が絡みついた部分が外気に触れ、一気に冷めたかと思うと、
再び呑み込んだ彼女の中で熱い息が屹立にかかり、腰が砕けるような快楽にいざなわれる。
もう一度同じ事をされたら間違いなく射精してしまったろうが、
幸いな事に雛乃はそこで一度愛撫を止めてくれた。



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