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中ほどまで飲み込むのが精一杯だったそれは、更に大きさを増して口内を圧迫した。
「舌を……動かして……っ、そう」
熱く、重い塊が呼吸を塞いだが、息苦しさを堪えて舌を伸ばし、ゆるゆると舐める。
浮き出ている血管や、わずかに盛りあがり、そこからすぼまっていく亀頭の形が
生々しいイメージとなって頭の中で像を結ぶ。
その像は更に龍麻の身体までもを再現し、目の前に龍麻が立っていて、
そして自分は腕を括られ、半ば強制的に咥えさせられているという陶酔感に雛乃は酔いしれた。
すると次第に口の中の剛直に愛しさがこみ上げて来て、ねっとりと舌をまとわりつかせていく。
「ん、そう……口をすぼめて、吸って…………そ、そう」
舌の上で脈打つそれに、嫌悪感はもうない。
それどころかほんの少し刺激する場所を変えるだけで
切なげな声を上げる龍麻をもっと悦ばせたいと思い、自分の意志で舌をしゃぶりつかせた。
「う……っ、ひ、ひな、の……」
龍麻が喘ぐ都度、肉欲の塊は場所を変える。
それは時に上顎を擦り、時に喉の奥まで突き入って暴れ回るために、
雛乃は口をすぼめ、動きを封じようとした。
「んっ……、雛乃、そ、れ……」
思いがけず龍麻を悦ばせて嬉しくなった雛乃は、更に吸い上げて舌をまぶす。
すると偶然、舌先が龍麻の最も弱い場所を捉えた。
べっとりとねめつく舌が腰から下の感覚を急激に奪い、爆ぜそうになった龍麻は慌てて雛乃を止める。
夢中で愛しい男のものを頬張っていた雛乃は、頭に手を置かれてようやく我にかえった。
口内を埋め尽くしていたものがずるずると抜けていくと、
少し寂しささえ覚えてしまい、自分が恥ずかしくなる。
しかし、下着はもうぐっしょりと湿っていて、雛乃は自分の本性を垣間見せられたような気もしていた。
大きく息を吐いて自分を落ちつけた龍麻は雛乃の傍らに座った。
初めてのフェラチオなのにこんなに懸命にしてくれた雛乃が愛おしくなって、
こみ上げる情動を唇越しに伝える。
「ありがとう……そのまま出しちゃいそうだったよ」
それは台詞はともかく、雛乃にとって何よりのご褒美だった。
髪を撫でてくれる龍麻の手に頭を預け、ひとときの幸せに浸る。
数度、慈愛を込めた手付きで艶やかな髪を撫でた龍麻は、雛乃の膝を割らせ、正面に回りこむと、
普段は到底見ることの出来ない距離からじっくりと顔を視姦した。
陶器の白さを持つ頬は鮮やかな朱に色づき、
きれいに揃えられた前髪も乱れて額に貼りつき、清麗な顔立ちを淫らに飾り立てている。
先ほどまでペニスを頬張っていたせいか、わずかに膨らんでいる小鼻さえ、
龍麻には愛おしく見えた。
「たくさんしてもらったからさ、今度は雛乃の番」
そう唇の端で囁かれた後に、もう幾度目か判らない、優しい口付けが訪れる。
軽く唇を押し当てられただけで、雛乃は一滴の蜜が溢れだすのを感じた。
「脱がせる……ね」
朱の袴が、衣擦れの音を立てて身体から離れていく。
残ったのは白衣と、それに劣らないくらい白い肢体。
龍麻の手が愛を込めて身体を撫でてくれるのを待ちうけていた雛乃だったが、急に気配が遠ざかった。
雛乃が不安の声を上げようとする寸前に戻ってきた龍麻は、
同じ場所に腰を下ろし、素早く胸の袷に手を滑らせる。
敏感な場所を、冷たい刺激が襲った。
「ひっ……！ な、なんですか？」
「なんだと思う？」
それが氷だと解り、答えを口にするまで、雛乃は嫌という程乳房を弄ばれてしまった。
そして答えた後も、龍麻は三本指で氷をつまみ、残った薬指と小指で乳の下側を軽くくすぐってくる。
鋭い刺激と甘い愛撫、冷たい感覚と暖かい感触が混ざり、ひとつの快感に変わっていく。
「あ……は……っ」
溶け出した氷が膨らみの表面を伝う。
それはすぐさま龍麻によって塗り広げられ、ひんやりとした刺激が乳房を包んだ。
「気持ちいい……でしょ？」
氷と小指の先がすっかり硬くなった乳首を上下から愛撫する。
頂きの、わずかに窪んだところに溜まった水滴を爪で掻き出す。
「ん、あ……っ、くぅん……っ」
冷たく、しかしじれったい感覚に雛乃は身をよじる。
するとそれをたしなめるように身体を抑えた龍麻が、ほとんど溶けた氷を乳首に乗せ、
一杯に手を広げて乳房全体を鷲掴んだ。
「やぁ……っ、ふ、ぅ……ん……」
龍麻の汗を帯びた掌が冷えた胸を暖めてくれ、
それが揉みしだかれることで熱へと変わっていく。
白衣がはだけられ、もう片方の乳房にも同じように氷があてがわれる。
違ったのは、その後に掌で愛撫されたのではなく、口で吸われたことだった。
掌よりも熱い舌が、水滴を舐め取る。
「んっっ……！ ぁ、あ……た、つま……さ、ん……っ」
乳首だけに唇を張りつかせ、やんわりと含まれると、もどかしさが胸を突き出させる。
しかし、龍麻は雛乃が動いた分だけ顔を引いて、決して強い刺激を与えようとはしなかった。
縛られているためにすぐに胸は突き出せなくなってしまい、
雛乃は仕方なく、龍麻のしたいようにさせる。
抵抗の無くなった雛乃の淡い苺色の胸の頂を、龍麻は唇だけに挟んで吸い上げた。
目を閉じ、舌に全神経を集中させて丹念に転がすと、
不規則に震える雛乃の身体が、含んでいる乳首を揺らす。
磨き上げるようにこね回し、唇を離すと見せかけて、また吸い立てる。
赤ん坊が乳を求めるよりも無心に、ひたすらに求め続ける龍麻と、
声にならない喘ぎをゆっくりと吐き出す雛乃は、いつしか一枚の静物画のようになっていた。
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