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「あなた……どうしたの?」
「さあ……わからないです。ただ、どうしようもなく、たぎってしまって……
僕は、柳生の言った通り、龍脈が活性化しているせいじゃないかと思うんですが」
そう説明した龍麻の口調に弱々しさを感じ取った時、マリアは彼を責める気を無くしていた。
それは闇の眷属である自分にも、今は随分と弱くはなったが、今日のような満月の夜などは、
無性に人の血が欲しくなるという忌まわしい本能があったからだった。
自分は数十年の時をかけて抑えこむ事が出来るようになったが、
今年の春に龍の力に覚醒したばかりの龍麻には無理な話だろう。
それに、自分はたった今自ら命を絶とうとした、生きる意味を見失った女なのだ。
それなら目の前で苦しんでいる男に躰を提供したとて、何ほどの事があるだろうか。
もうひとつ、彼は、緋勇龍麻は彼女の教え子だった。
苦しんでいる教え子を見捨てるのは、教師として出来なかった。
そう自分の心を分析したマリアは四肢の力を抜く。
しかしその中に、最も肝心な、ヴァンパイアの末裔と龍の器などではなく、
教師と生徒でもない、女として抱く、男への気持ちが入っていないのを、
彼女は心のどこかで気付いていた。
もし入っていたなら、きっと自分から抱き寄せてしまっただろうから。
龍麻が無造作に胸のファスナーを引き降ろすと、
闘いの残り香もまだ醒めやらぬうっすらと上気した胸が上下していた。
「あれ? 先生、ブラしてないんですか?」
マリアは顔をそむけるが、恥ずかしさは隠しようも無かった。
もちろん露出趣味などではなく、闘いの時はわずかでも五感を高めたいが故なのだが、
それを説明した所で無駄だろう。
「それじゃもしかして、下も……ですか?」
龍麻は活性化した龍氣と、
マリアの魅惑的な肢体に衝き動かされるまま彼女のスカートの内側を探り、
自分の推測が当たっていた事を確かめる。
「なんだ、マリア先生も意外と好きだったんですね」
下着を履いていないマリアに欲望を加速させた龍麻は、
彼女の万年雪のように白い肌を覆う金色の蔭りに手を押し当てた。
「はぁッ……!」
気合の声と共に熱を帯びていく掌から、何かが入ってくるのをマリアは感じた。
熱い、久しく抱かなかった熱情が肌を犯し、肉の疼きを目覚めさせていく。
「これ、は……?」
「チャクラを回したんですよ」
「チャク、ラ……?」
「ええ。人の躰にある、エネルギーの溜まり場……いわば、人間の龍穴みたいなものです。
そこを回すことで、様々な感覚を解き放ち、神へと近づく。
今、そのうちのひとつ、ムーラダーラというのを回しました。効果は……」
説明されるまでもなかった。
爆発的な淫欲が、マリアの意識を染め上げる。
脳の奥底まで辿りついたそれは、一度に全身の孔という孔から噴き出し、
マリアを邪欲の塊に変えていった。
「こ、こん……な……」
「ちなみにこれね、その人の中に眠る本質を引き出すだけなんです。
だから、今マリア先生が感じているのも、先生に元からそういう資質があったって事なんですよ」
「そんな、う、そ……」
「また生徒を疑う。だから薬とかと違って誰かがチャクラを回さない限り、ずっと続くんです。
ほら、もう少し開けますよ」
「いやぁァァッ……!」
途端にマリアの陰唇からおびただしい愛蜜が、まるで間欠泉のように噴き出した。
頂きに達するのではなく、尾根を縦走するように、極めて強い快感がずっと続く。
「どうですか? ちょっと回しすぎちゃったかな。普通の人なら狂っちゃうくらいだから」
確かに龍麻の言う通りだった。
今までで最も性欲が昂ぶった時でさえ比較にならないような疼きが、髪の先までマリアを支配し、
床も、衣服も、肌を撫でる風さえもが愛撫となって襲いかかってくる。
それでも、途切れ途切れになりながらも理性を失わなかったのは、彼女の強さでもあった。
身体を押し上げる熱い吐息を懸命に排出しながら、指でコンクリートの床を引っかく。
「少し回しすぎちゃったかな? でも、我慢してくださいね。
僕を置いて勝手に死のうとした、これは罰ですから」
今、龍麻は何と言った?
マリアは朦朧とする意識の中、必死に龍麻の言葉を思い出そうとするが、
胸元から襲ってきた強い愉悦に遮られてしまった。
龍麻の汗ばんだ手が一杯に表面に貼りつき、青白い線が浮かんだ、
大きさと言いまるでメロンのような乳房を下から揉み上げ、
心臓を取り出すかのような強さで蹂躙する。
しかしあらゆる刺激を快感に変えられてしまう今のマリアには、それは単に強い愛撫でしかない。
「うッ……はァ、……ッ、ぁあ……」
数秒前の会話も反芻出来ず、口はだらしなく開いて与えられた愉悦を零し続け、
心臓の鼓動に合わせて身体中を駆け巡る剥き出しの本能に身を震わせる。
マリアが顎を仰け反らせる度に揺れる双乳に誘われるまま、龍麻はそのうちの片方を口に含んだ。
「ん……いや、やめ……な……さ、んんッ!」
彼の口の中で硬さを増していく自らの胸の蕾を咎めるようにマリアは喘ぐ。
しかし生暖かい舌先に先端を転がされ、下卑た動きで弄ばれてしまうと、
どうしようもなく甘い痺れが乳房に広がり、もっと吸わせようと自分から胸を突き出してしまうのだ。
「ああッ……ッ、く…………うぁあッッ!!」
そんなマリアの情欲を見透かしたように、龍麻は一度舌を引っ込め、
もどかしくなったマリアが頭を掴んで押しつけた瞬間、思いきり噛んだ。
まず淡い乳輪の辺りから少し広めに、次いで敏感なしこりだけを、
跡が残るほど強く歯を立て、吸い上げる。
「っ、う……ッは、……ん……」
もうどれだけ乱暴に胸を嬲ってもはしたなく淫声をあげるだけのマリアに
原初的な劣情をかき立てられた龍麻は、性急に立ち上がってベルトを緩めた。
硬くなっている己の屹立を取りだし、呆然と自分を見つめているマリアを起こす。
「ほら、僕の龍です。どうぞ味わってください」
鼻をつく匂いと共に、怒張がマリアの目の前に突きつけられた。
強烈な嫌悪と、思いきり淫らに貪りつきたい興奮が脳裏でせめぎあったが、
それも短い間の事で、すぐに欲望が理性を打ち負かし、
マリアは口をうっすらと開いて大きさを測る。
引き寄せられるように顔を近づけていくとすぐに唇にぬるっとした肉の先端が触れ、
そのまま口腔に突き入れられた。
しかし龍麻は乱暴に押しこんだものの、そこから先は何もせず、マリアの動きに委ねる。
ほとんど舌の根元近くまで入ってきた怒張に、身体を貫かれる被虐の快感を覚えて、
いけないと判っていても、舌は口内を塞ぐ物を勝手に、そして愛しげに舐めてしまう。
形を確かめるようにそっと触れ、滑った先端を舌腹で転がしながらそっと押し上げる。
「そう、先生、上手……です……」
かさになっている部分を上顎に擦りつけ、舌だけで前後に揺すってやると、
たまらず龍麻から喘ぎ声が漏れた。
無理をして大人びたふりをしているようなその声に、
マリアは置かれている状況も忘れ、舌の動きを激しい物にする。
龍麻の手が後頭部に添えられると、その意図を正確に理解して顔を前後させ始めた。
雁首の所まで一気に顔を引き、歯を立てないよう気をつけながら再び呑み込み、
秘めた激情が形作っている唇を絶妙な強さで肉茎に押し当て、啜り上げる。
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