<<話選択へ
<<前のページへ 次のページへ>>

(3/5ページ)

「そっか。……ね、胸、少し大きくなった?」
身体の変化を感じ取ってくれた龍麻に、葵は嬉しそうに頷いた。
いつもの大人びたものでない、少し背伸びしているだけの少女の笑顔に、龍麻の胸がときめく。
「女の子って、やっぱり胸大きくなると嬉しいんだ」
「男の人も……そうでしょう? 龍麻だって」
「ん、まあそうだけど」
龍麻は、悪いと解っていてやっていた事を見つかった時のような、
どこか拗ねた顔をすると、ぶどうの皮を剥くように下着を押し上げる。
制服の内側に眠る美しい乳房の形を想像しながら、微妙なタッチで擦り上げた。
麓から、頂に向かって一度。
もう一度。
皮を剥かれた果実を崩れないように掴む──そんな繊細な動きを繰り返されて、
葵はたまらず龍麻の膝に手を置いて無言の催促を行うが、龍麻は聞き入れようとはしない。
それどころか更に刺激を弱め、五つの指腹だけをなぞらせながら、頂に向かって集めていく。
ようやく乳暈にかすかに指が触れ、葵が歓喜を口にしようとした瞬間、指先が離れた。
乳房の下側を下って行き、麓まで一気に戻ってしまう。
「お願……い……」
「何?」
「焦らさ……ない……で……」
葵がそう口にするのとほとんど同時に、龍麻は期待に張りつめている乳首をひねった。
「こう?」
「ひっ! ……いやぁ……ん……」
葵の頭が仰け反り、豊かな芳香が龍麻の鼻腔をくすぐる。
爽やかな髪の匂いと、まとわりつくような雌の臭い。
脳に直接訴えかけるような香りを、龍麻は思いきり吸いこみながら、敏感な突起を撫でた。
「痛かった?」
転んでしまった子供をあやすような優しい声につられて、葵はこっくりと頷く。
「気持ち良かった?」
再び頷き、今度は、背中を龍麻に密着させた。
尻に当たる膨らみを、少し意識して押し付ける。
「でも、あんまり痛いのはやめて」
「うん……気を付けるよ」
後手に腕を回し、頬を撫でてくる葵へ素直にそう答えると、
龍麻はようやく本格的に愛撫を始めた。
掌を水を掬うように形作り、乳房の下半分にあてがい、その重さを確かめようと軽く跳ねさせる。
不承不承、といった弾み方が心地良くて、つい何度か遊んでしまう。
「やだ……恥ずかしい……わ……」
葵の、嫌がりながら、どこか続きを促すような響きに、指先に自然に力が入る。
指が沈み、どこまでも沈むような錯覚の中で、指の間から柔肉がこぼれ、包み込んできた。
強くしすぎないよう注意しながら、搾るように掴み、しごきあげる。
「あ、ぁ……ぅ……ん…………龍、麻ぁ……私、だめ、もう……」
異形の者を殴り飛ばす拳と同じ物とは到底思えないほどねちっこく、
ゼリーのように吸いつく龍麻の手に、胸だけで達しそうになった葵だったが、
しかし、快感は寸前に逃げてしまった。
「どう、して……?」
葵は尋ねたが、龍麻は無言を保つ。
そうしている内に、葵の、頂上近くまで押し上げられた疼きは収まり、
龍麻に触れている場所が少しずれるだけですぐに燃え上がってしまいそうな、
くすぶった火種だけが体内に残った。
「まだ……意地悪、するの……?」
「……うん」
意地悪、という葵の言い方に、龍麻は少しだけ罪悪感を感じてしまったが、
それよりも、もう少し続けたいという欲求の方が強かった。
片方の手を制服から抜き出し、乳暈の形に指を這わせる。
服越しに浮き上がった小さな突起が、龍麻が制服を引っ張る度に左右に擦れ、
その度に弱い電流が葵の身体を流れた。
もどかしく、気持ちいい。
それでも龍麻が続けてくれれば良かったが、葵の期待はまたも裏切られ、
胸先を弄んでいた指は無情に離れてしまった。
葵は思いきり胸を握り締め、かき回したい衝動をこらえて、龍麻の次の愛撫を待ち構える。
気付いているのかいないのか、小刻みに身体を震わせている葵に小さな笑みを浮かべながら、
スカートの内側に触れようとした龍麻は心づいて、ようやく衣服を脱がせる事にした。
制服を脱がせ、申し訳程度に胸に引っかかっているブラを取り去った所で、葵の身体を横たえる。
葵は恥ずかしげに胸を覆ったが、龍麻は無防備なままのその下に手をやった。
身体の半分で別たれた境界線に沿って降りていき、
つまみあげたストッキングに爪で小さな亀裂を入れる。
不意をつかれた葵はどうする事もできず、繊維が破れる音に首をすくめるしか出来ない。
「だめ……破らないで……帰るの、恥ずかしい……」
「でも、もう太腿まで濡れちゃってるしさ、これじゃどっちみち気持ち悪いでしょ?」
龍麻はそう言いながら、返事を待たずに股の中心から、袋を左右に開くように破いてしまう。
気の赴くままに破く方向を変える手が通りすぎた後の光景は、
美しい肢体から生地がだらしなく垂れ下がり、楽園に迷いこんだ悪魔のようないびつさを放っていた。
所々から覗く真っ白な肌を、やわやわと揉み上げる。
「もう、こんなに破けちゃったら履けないよね」
勝手な事を言いながら、ボロボロになったストッキングを毟り取り、素肌を外気に晒す。
それも全てを破くのではなく、腿からふくらはぎにかけてまでを剥き、
それ以外は残すという、ひどく倒錯した破き方で。
「い、や……ひど、い……」
「でもさ、葵、興奮してるでしょ」
「! そ、そんなこと……ない……」
語勢が乱れた葵に薄い笑いを浮かべながら、片足を高々と持ち上げる。
太腿を伝っていた愛液が泉へと戻っていき、細い眉が不快そうにたわんだ。
「綺麗な足だね……キスするよ」
「え? ……やっ……はぁ、ああっ」
内腿から膝の裏側へ、普段触れない場所にキスを放つ。
ほくろの一つもない、神様の気紛れにしては完璧すぎる身体は、汚される事をこそ待っている。
少なくとも龍麻にはそう見えたから、舌を一時も離さず、
ゆらゆらと波を描きながら足先へと上らせていった。
「だめ、足……汚い……」
「そうだね、走って来たからかな? 少し蒸れてるよ。……だから、綺麗にしてあげる」
「いや、やめ……ぁふ……っん、……ぁ……」
くるぶしから内側を伝って身体の下端に辿りついた龍麻の舌は、
親指の付け根に張りついて、征服した証を残す。
「いやぁ……お願い、もう、やめ……ひぁっ」
きちんと手入れはされているものの、他の箇所ほどには他人との差が無い足の指先に口付け、
うっすらと湿り、他の何処とも違う柔らかさを持った指裏を舌に乗せた。
汗の臭いと塩っぽい味が、五感に染みこんでくる。
「あ、ぁ……ふぅっ、っくぅ……」
全てを委ね、委ねられたいと願う男が一心不乱に足先をしゃぶっている様に、
葵はたまらなく興奮してしまい、言葉では否定しながら、
隅々まで舐めさせようと足をさりげなく動かした。
龍麻が弱く吸うたび、集まった血液がそれに合わせて脈動するのが判る。
そのまま血を吸い取られてしまっても構わない──そうしたら、もっと気持ち良いかも──
そんな風に考えながら、葵は這い回る舌先に意識を集中させていった。



<<話選択へ
<<前のページへ 次のページへ>>