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「っ……、はぁ…ん……」
「ほら絵莉、そんな声出してたらバレちゃうよ」
彼の肩に額を押しつけて声を漏らす私に、彼が意地悪く囁く。
電車の中はまだ人も多く、他人と肩を触れ合わせなければ乗れない位だった。
彼は私を扉の隅に立たせて、自分の身体で壁を作る。
私の家はここから電車で三駅。
そこまで我慢すればこのもどかしさから解放されるのだけど、
もちろん彼に私を我慢させる気なんて無い事はすぐに判った。
電車が動き出すとすぐに彼の手がスカートの上からお尻を撫でまわし始める。
半ば覚悟はしていたけれど、だからといって快感が減らせる訳でもない。
声を上げる事も出来ず、身悶える事も叶わない、長い時間が始まった。
彼の指はスカート越しに腰の辺りから私の下着の線をなぞっていき、
内腿の付け根に辿りついたところで、そのまま内側に潜りこむ。
掌でなく、あくまで指先だけで与えてくるソフトな刺激がくすぐったくてお尻を振ると、
彼は少し食いこんでしまっている下着を引っ張って直し、指を返して爪の甲でお尻を突ついた。
その動きを想像すると私は彼の顔を見ていられなくなって胸板に顔を埋めるが、
彼はそ知らぬ顔をしたまま指先を更に身体の中央に向かわせ、お尻の谷間に飛びこませる。
そこにある、他人に見せてはいけない孔も、彼が嫌がる私の反応を楽しんで触っているうち、
少しずつだけれど感じるようになってしまっていた。
まだそこに彼自身を受け入れるのは待って貰っているけれど、いずれ、差し出す時が来るのだとは思う。
彼も強く求めては来ず、むしろ嫌だけど感じてしまっている今の状態を好んでいるようだった。
彼の指は孔の上を軽く往復した後、ぴったりと孔の真上で止まる。
押し戻そうとする弾力を楽しむように幾度か押しこんだ後、ぺたぺたと叩きはじめた。
「っ……や…………」
揺れる電車の勢いが加わって予想外に強く叩く時があって、
私の意識はどうしてもそこに集中してしまう。
胸を掴む手が小刻みに震えた事で私の快感を感じ取ったのか、
彼は調子にのって指を立て、お尻の孔に向かってぐりぐりとねじを回すように押し込んできた。
ローターのそれと共振して何倍にも膨れ上がった振動が私を襲う。
「ゃ……! ぅ…………ん……」
下唇を思いきり噛んで必死に声を押し殺そうとしても、
彼の指が角度を変える度、歯の隙間から快感が漏れていく。
我慢が限界を越え、今いる場所も、状況も忘れて淫らな声を上げそうになった寸前、
二つ目の駅への到着を告げるアナウンスが流れ、一気に現実に引き戻された。
慌てて隅に身体を寄せ、降りる人達とわずかでも触れないようにする。
乗り降りする人が結構いるから、彼も一度お尻から指を抜いて心持ち身体を離した。
束の間の中断も、もちろん私にとっては休憩でもなんでもなく、
彼の胸板に熱い息を吐きかけながら呼吸を整えるので精一杯だ。

電車が再び動き出し、彼の手も再び潜りこんでくる。
でも今度はお尻ではなく、太腿に巻かれているスイッチを弱めてから、
ローターが入っている場所をさすりはじめた。
下着が肌に触れ、足の間全体に広がる不快な感触に、
私は自分が思っているよりもずっと濡らしてしまっている事を知る。
残された時間はあと数分もないという事を知ってか、
彼は慌しく、私を達しさせるための最後のスパートに入った。
下着の上から指を突き立て、秘唇にローターを押しこむ。
私は両足に力を入れていたから身体の中でローターと膣肉が強く擦れてしまい、
振動は弱くなっていても、より身体の奥で震えるそれはたやすく私の意識を飛ばしてしまった。
「…………ぁっ……ん……!」
電車が私達が降りる駅に止まる寸前、私は絶頂を迎え、他人にもはっきりと判る声でそれを告げる。
しかし他の客には聞こえていなかったのは間違いない。
停車するブレーキの音にかき消されて声が聞こえないよう、彼がタイミングを測っていたからだ。
扉が開くと同時に、彼は私の肩を抱いて真っ先に降りる。
私が立っていた場所の床には染みが出来てしまったかも知れないけれど、
それを気にする余裕など無かった。
足元だけを見つめて歩く私に、彼がそっと耳打ちする。
「絵莉の隣で座ってたおっさん、きっと気付いてたよね。ちらちらこっち見てたもん」
私はずっと彼の胸に顔を埋めていたから彼の言葉が本当か嘘かは判らないけれど、
今、人目もはばからず学生服姿の男にしがみついて歩く奇異な女を見る視線が
何本もまとわりついているのは感じていた。
お尻の辺りを集中的に見られている気がして恥ずかしくてたまらなかったが、
同時に、私の雌の部分はそれさえも淫らな感覚に変えてしまっている。
もう一秒でも早く彼のものを挿入て欲しいと思いながら、私は辛い階段を一歩一歩登り始めた。

改札口を出てから家までは、記憶が無かった。
彼が支えてくれていたのは間違いないけれど、気が付いたらマンションの入り口に立っていた。
震える手でオートロックを開けて、エレベーターに向かう。
ようやく着いたと思って身体の力を抜こうとしたけれど、ゲームはまだ終わっていなかった。
エレベーターに乗ると同時に、彼は下着をずらしてローターを抜き取ると、
ズボンのチャックを下げて彼自身を取り出す。
彼が何をしようとしているのかは当然判ったけれど、私はそれを虚ろに眺めたまま動こうとしない。
完全に大きくなってしまっているからか、ズボンを履いたまま取り出すのに苦労したみたいだけれど、
ようやく晒け出したそれを誇らしげに私に擦りつけると、私の片足を持ち上げ、手探りで押しこんできた。
もう嫌と言う程濡れている私のそこは、いともたやすく彼の物を呑み込んでしまう。
「やだ、ここ、カメラ……っあ、くぅ……ん」
「大丈夫だよ、死角になってるから判りっこないって」
死角なんてありはしない事はお互いに解っている。
それでも、彼の嘘に私は納得したふりをして、熱い昂ぶりを受け入れた。
「やぁ……熱……い……ゃ……」
「しっかりしがみついててよ」
言われるまでもなく全身の力で彼にしがみつく。
私の腕が背中にきちんと回っているのを確かめると、彼は私を宙に浮かせた。
どこで仕入れてきたのか、アダルトビデオでしか見かけないような体位。
昔、酒のつまみでマリアと一緒にビデオで見た時は、あまりの滑稽さに二人で大笑いしたけれど、
いざ自分がされる番になってみると、確かに不思議な感覚ではある。
文字通り男性に全てを委ねるからか、肉体的な快楽よりも精神的な恍惚の方が大きいのだ。
といっても肉体的な快楽が無い訳ではもちろんなく、
彼の若茎はいつもと違う角度で私の内壁をこすりあげ、その度に私は鈍器で頭を殴られたような、
鈍いけれども激しい愉悦の波にさらわれる。
彼はわずかに顔をしかめながらも意地を見せて、声は出さずエレベーターを降りた。
エレベーターから私の家の玄関までは数歩も無い。
なのに、彼はわざと何度も立ち止まり、その都度私の身体を揺すりながら、時間をかけて歩く。
そうして私達は三分ほども家の外で繋がっていたが、
彼はようやく家に入る気になったのか、扉に私の背を押し付けた。
「絵莉、鍵開けてよ」
「っぁ、え、ええ……っん、ま、待って……ったら……」
それでなくても抱きかかえられている不安定な姿勢で、必死に鞄を開けて鍵を取り出そうとする私を、
彼は腰を突き上げて邪魔をする。
ようやく鍵を取り出した時には、もう限界だった。



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