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キスを終えたマリアは、そのまま龍麻の膝の上に座った。
制服に手を伸ばし、早くもひとつめのボタンを外す彼女を、龍麻は慌てて止める。
「仮にも先生でしょ、何考えてんですか!」
「大丈夫よ、この時間ならもうこの階に残っている人間はいないわ」
全く根拠の無いたわ言も、しなだれかかるマリアの匂いを嗅ぎながらだとそうかもしれない、
と騙されかけてしまう龍麻だった。
身体を支えるために腰を抱くのは仕方ないとしても、
短いスカートから露出している魅惑的な足に腕を伸ばしかけて、
術中に嵌っていると気付く有様だ。
それでは、と危険であることをアピールしようとしきりに教室の外を見ようと首を動かしてみたが、
マリアの掌がそっと頬を抑えただけで途端に身体が硬直し、
自分が既に完全に魅了されていることを思い知らされただけだった。
蛇に睨まれた蛙、というのは酷すぎる例えだろうか。
龍麻がそんなことを考えている間にも、
マリアは制服の隙間から忍びこませた手で胸板をまさぐりながら囁く。
「フフッ、興奮しない? 教師と生徒の秘められた情事なんて」
「先生……日本に来て変な影響受けたんじゃないですか」
「アラ、禁断の関係というのは古今東西を問わず人気のある題材なのよ」
軽くいなされて龍麻は黙る。
何しろ彼女との間には数百年の時の大河が横たわっていて、
それを持ち出されるとどうしようもなかった。
特に龍麻は、世界史が苦手なのだ。
龍麻が憮然とする、あるいは憮然とするふりをしている間に、マリアは彼のズボンを脱がせる。
さすがに場所が場所であるから全部を脱がせはしないものの、
ホックを外し、ファスナーを下ろしただけで盛りあがっている下着が現れた。
キス、それもマリアにとっては食前酒にもなっていないキスで、
もうこんなになってしまっている屹立を愛しみを込めて撫でる。
苦しそうに脈打つそれは、マリアの手によって下着から取り出されると、
窮屈な場所から解き放たれた喜びを全身で示した。
「本当に……するんですか」
龍麻は最後に一応そう尋ねてみたが、返ってきたのは屹立への熱い吐息だった。
足の間に傅(き、マリアは口淫を開始する。
まだ完全には勃起していなかったそれは、口の中で大きさと硬さを増した。
予想以上の膨張に、マリアは一度含んでいた屹立を離し、改めて頬張った。
舌先で転がしやすいように、浅いところまでを咥え、先端に這わせた舌をぐるりと一周させる。
「ふッ……うンッ……」
窮屈になった口の中で巧みに舌を動かし、少しずつ含んでいく。
塩気のある味と共に鼻に流れこんでくる臭いは、女を疼かせるものだ。
涌き出る唾液をなすりつけ、裏側にあたる部分から舐めあげると、龍麻の腰が小さく跳ねた。
「ぐッ……むうっ」
思わぬ動きにマリアはくぐもった声を漏らしてしまう。
喉につっかえてしまった訳でもなく、それ自体は別にどうということもない出来事だったが、
マリアはふと思いついて下から龍麻を見上げた。
謝罪の念を宿した顔が、たちまち真っ赤に染まる。
膨らんだ小鼻と、それにかかる金色の波。
そしてそり返った屹立を半ばから呑みこんでいる、深い紅。
それだけでも充分に視覚的な責めとなるのに、
決して冷たいだけではない氷の色をした瞳にまで覗かれたら、龍麻はもう降参するしかなかった。
白旗を上げた龍麻に、小さく笑ったマリアは口淫を再開させる。
より扇情的に、より愛情を込めて。
一度マリアが顔を離すと、龍麻が髪を撫でる。
フェラチオを好まない龍麻が、促すようなこんな仕種をするはずがなく、
おそらく無意識に置かれたものだろう。
どうやら一方的にさせる(ことに罪悪感と恥ずかしさを感じているらしいのだが、
したい(と思っているマリアは止めるつもりは全くなかった。
口を一杯に開いても苦しいほどのペニスからは彼の受けている快感を微細に感じとることが出来たし、
快楽に耐えかねて漏らす喘ぎはそれだけで充分な刺激となった。
だからマリアは喉の奥まで彼を咥えこみ、シャフトの芯にまで快感を覚えこませる。
「あっ……く……っ」
押し殺した声が頭上から聞こえてくる。
龍麻が自分達のために我慢していると解っていても、いや、
むしろそれだからこそマリアは彼に更に声を上げさせようと逞しいペニスをしゃぶりあげた。
「あ……ぁ……」
彼の敏感な先端を集中的に舐めあげ、同時に吸引する。
先端から滲む粘液を掬い、自分の口内から生み出された粘液と混ぜて擦りこむ。
腹からの息を吐きかけてやると、いかにも気持ち良さそうに龍麻が震えた。
その時が近いと感じたマリアは、彼の根元に手を添え、とどめとばかりに鈴口を舌でなぞる。
脈動と爆発はほぼ同時に来た。
マリアの舌技に、龍麻は我慢することさえ許されず爆ぜてしまったのだ。
恐らく龍麻自身よりもその瞬間を正確に測っていたマリアは、
余裕を持って吐き出された精液を受けとめることが出来た。
本人の意思とは関係無く、毎回濃く、多量に吐き出される精液は、
いきなり全てを飲むにはさすがに辛く、一度舌に乗せてから飲み下す。
ブランデーの一滴にも劣らない熱い塊が喉を滑り落ち、胃に溜まる。
口の中で暴れるペニスは顎を砕こうとするかのように激しく暴れたが、やがて力を失っていった。
「はぁ……。! ちょ……っ」
射精の快感に放心していた龍麻は、敏感になっている屹立を再び吸われ、たまらず腰を引いてしまった。
しかしマリアがそれを許すはずもなく、すぐに追いかけて再び咥えられ、じっくりと吸引される。
力を根こそぎ奪われるような愉悦に肩まで沈みこんだ龍麻は、
中に溜まった分まで残らず飲み干したマリアが妖艶に微笑んで立ちあがるのをぼんやりと見ていた。
あれほどの激しい行為にも関わらず、マリアの着衣は全く乱れていない。
対照的に龍麻は、ズボンは脱がされ、上着もいつのまにかボタンは全て外され、
挙句シャツもしわくちゃになっていて、
どうにも教師を襲おうとしてこてんぱんに返り討ちにあった不良生徒といった趣だった。
事実はほとんど正反対であることを、当事者だけが知っている。
「フフ……ッ」
机の上に腰掛けたマリアは、龍麻の目の前で少しずつ足を開いていった。
黒いミニのタイトスカートは肩幅を超えただけで耐えかねて少しずつずり上がり、
白日の許に下着を晒す。
今日のマリアの下着は、赤と黒が激しく自己主張をしあっている、なんとも派手なものだった。
そんな、日の光の下で見るには少し刺激が強すぎる下着も、
マリアが履くと良く似合っている──学校に履いてくるのが相応しいかどうかは別にして。
マリアは開いた足の間……つまり、下着の前に両手をついている。
それは男を誘う術を心得ている娼婦のようにも、
まだ性も知らない子供のようにも見える仕種であったが、
少なくとも今の龍麻には前者にしか見えなかった。
二本の白い柱の向こうに見える魅惑的な空間に目を凝らした龍麻は、
そこから視線を上に向け、じっと自分を見ていた蒼氷の瞳に気付く。
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