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「ひっ……も、もうええやないんかと……」
「どう、ベネッサ?」
「判りませんね……やはりここは、直接見てみませんと」
恥毛の生え具合まで確かめておいて、二人は白々しく相談する。
自分は二人の単なる遊び道具なのではないかと、それほど外れているわけでもないことを思う、
三人の中で最も常識人である葵は、朝から、
正確には朝七時半から彼女達がしようとしていることをとても受けいれられず、
必死の説得を始めた。
「ふ、二人とも……落ちついておくれやす」
「落ちついてるわよ、ねぇベネッサ」
「ええ」
日本の民族衣装である着物の脱がし方を、もうすっかり把握しているベネッサは、
葵に何も手伝わせることなく結びを解いてしまう。
砦のひとつを崩された葵は袴を押さえるが、ベネッサの力に敵うはずもなく引きずり下ろされてしまった。
「ひっ……!」
葵はベネッサの人となりを完全に把握しきっているわけではない。
人種の違いもあるし、年齢にも差があれば、これまでの人生も全く異なる。
特に今のように、要人警護のSPという職業が形成したであろう性格が表面に現れると、
平和な日本で生まれ、何一つ不自由なくこれまで過ごしてきた葵は、
わかっていても幾らかの怯えを抱いてしまう。
さらに性質が悪いのは、葵の少なくとも三倍以上は濃い人生を歩んでいるのは間違いないこの黒人女性は、
明らかに葵のそういった怯えを愉しむ傾向があるということだった。
袴を剥ぎとられてしまい、腰から下をさらけだされてしまった葵は、両手で恥部を隠す。
すると豹のようにしなやかな姿勢で葵の上に跨ったベネッサは、一瞬動きを停滞させた。
濃いグレーの瞳が葵を睨みつける。
鋭い力感に満ちた、歯向かっても無駄だという己の立場を教えこませる眼光は、
襲われる立場の獲物をも魅了する危険な美しさを有していた。
「……っ」
息を呑む葵の眼に、厚い唇の間から姿を現したピンク色の舌が映る。
獲物に見せつけるようにゆっくりと、そしてこれからすることを想像させるように淫靡に、
舌はベネッサの唇を一周した。
今日はどこから責めて欲しいのかしら──唾液でぬらりと光った口がそう訊ねているような気がして、
葵は答えかけるが、すんでのところで気づき、忙しく頭を振る。
しかし、抗うことができたのはそこまでで、両手はもう、ベネッサの命令を跳ねのけることはできなかった。
ベネッサは眼で威嚇を続けたまま、舌をだらりと垂らした顔を下げていく。
「あぁ……!」
熱い先端が肌に触れた瞬間、葵はあられもなく叫んでいた。
それが触れた瞬間ではなく、触れる寸前に発せられたとは、ベネッサだけが知る事実だった。
一方上半身を受け持つサラは、無防備な胸をあっさり陥落させていた。
「私最近ね、判ってきたのよ。この着物ってやつ、ここから手入れると凄く興奮するのよね」
サラは葵と何歳も違わないのに、妙に老成した趣味を見せる。
彼女がこうなってしまったのは、何をしても初々しい反応を見せる葵のせいであり、
むしろ葵がいなければ道を踏み外すこともなかったと言ってよい。
葵が来るまでは自身の、同性愛の嗜好さえ気づいていなかったサラは、
もう三流のポルノ小説が顔を赤らめるような情交を幾度となく交わしても、
バージンすら捨てていないティーンよりも恥じらいを失わない日本人の少女に、
今やすっかり虜となっていた。
彼女の関心が自分よりもベネッサの方により多く向けられているらしきことだけが残念であったが、
あとは富豪の娘で大学生という恵まれた立場を存分に活用して日々葵と戯れていた。
「なんだ、上は普通にブラなのね」
馴れた手つきで小ぶりな乳房を弄びはじめたサラは、
着物を盛り上げる自分の手に満足げに微笑む。
すると、袴を半分だけ脱がせるという、サラ以上にマニアックなプレイをしているベネッサが顔を上げた。
「あら? 前はさらしとかいう布じゃなかった?」
「あ、あれは……試合の時だけ……んっ、ベネッサ……は、ん……」
ベネッサは袴一杯まで足を広げさせ、その袴に足を乗せることで葵の動きを封じている。
そしてサラと協定を結んだ境界線上にある臍に舌を這わせながら、秘唇を優しく愛撫していた。
「ほんまに……二人とも……っ、ふ……やめ……」
華奢な肢体を反らせ、葵が懇願する。
敏感な部分に触れるたびに身体をひくつかせる葵の頼みなど、もちろん二人が聞き入れることはない。
それどころか葵の懇願をきっかけにして、サラは葵の上半身をより深く抱きかかえ、
ベネッサは一層姿勢を低くし、本格的に愛撫を始めた。
「硬くなってきたわよ、乳首。……ふふ、可愛いわ、葵」
まだ上着を脱がせずに乳房に触れているサラは、
ブラの上からでもわかるようになった乳首を丹念にさする。
掌で簡単に包みこめる小さな丘は、しかし、張りと感度に優れていて、
何より日本人独特のきめの細やかさは処女雪のようだ。
どんな高級なシルクを用いたよりもしっとりと吸いつく肌触りを、
丘の頂で慎ましく尖っている蕾共々堪能したくなったサラは、欲望に忠実に指先を忍ばせた。
「んっ……ぁ!」
反応は目ざましく、サラの身体に大きくもたれかかった葵は歓喜の吐息を紡ぐ。
鼻を掠める体香を、深く吸いこんだサラは、葵の首筋から耳朶にかけてキスの雨を降らせた。
「サ、ラ……は……」
聞いているだけで酔いしれてしまう音色を、サラは何度も紡がせる。
すでにサラは葵の、あらゆる部分に触れ、あらゆる音色を奏でさせていたが、
どこに触れても、そして少し場所が変わっただけで異なる音色を奏でるこの楽器は、
どれだけ弾いても飽きることなどなかった。
「なあに?」
「お、願い……朝、やから……んふぅっ」
言いかける葵の口を塞ぐ。
口の中に広がる葵が愉しくて、サラはこうやって何か言いかける途中でキスをするのが好きだった。
押さえつけ、もがく唇の感触を堪能し、興奮が収まったところで舌を侵入させる。
「はっ……ふ……!!」
温かな舌を味わう前に、下の前歯を弄ぶ。
ただそれだけのことが葵はとても恥ずかしいらしく、一瞬で動きが止まるのだ。
握った手に強い力が込められたことに薄く笑みを浮かべ、サラは歯茎から歯の裏側まで、
舌が届く場所は全てねぶり尽くす。
兄であるジャッキーが出るレースでレースクイーンを務めたこともあるほどの美貌を持つサラだが、
口の周りが唾液でべとべとになってしまうのも厭わず、日本人の少女の口腔を夢中で吸い上げた。
「んん……ぁ、はぁ……サラ、はん……」
唾液の糸を繋げたまま、葵が陶然と呟く。
サラはそのいやらしく光る唇を舌で拭き、また新たな唾液を塗りつけた。
「あっ、ふ……んぁ……っ、は……」
舌が離れるごとに、唇ごしに伝わる吐息が甘くなっていく。
硬さを残していた舌はいまやすっかりとろけ、
サラの求めに応じて突き出され、巻きつくようになっていた。
少しずつ咲いていく花のような葵は、
どれだけ蜜を滴らせるようになっても決して蕾であることを止めない。
そのくせ放つ匂いはどこまでも濃密さを増していき、花に群がる蝶を誘い、離さないのだ。
「朝やから……止めちゃう?」
上唇だけに的を絞り、深く咥え、食んでいく。
羞恥に肌を燃やし、開いたままの口から切なげな息を吐き出す葵にサラは訊ねた。
束の間正気に戻った黒い瞳は、間近にあるブルーの瞳を覗くが、すぐに隠れてしまう。
「…………いけず……」
それが意地悪を意味する言葉だと、サラは知っていた。
ベネッサと一緒に葵をいじめた時、葵は常にそう言って陥落し、甘えてくるからだ。
長い睫毛を伏せ、ほんの少しだけ咎めるような口調でそう言われては、
サラはむろん、嗜虐の気が強いベネッサでさえ折れざるを得ず、
三人は争うように身体を押しつけ、あらゆるところにキスマークを残し、
気を失うまで愛し合うのが慣例となっていた。
「それじゃ、いつもの。してくれる?」
軽くキスしたサラは、目を閉じ、舌を垂らす。
待つまでもなく、下から心地良い感触が舌をはさんだ。
親鳥が、雛に餌を与える姿にも似ている光景は、確かに愛情を感じさせはする。
しかしそれは親子の情などではなく、快楽を求めあう淫らな愛だった。
「ん……っ、は、そうよ……ね、もっと吸って」
したいようにさせるだけでなく、サラは時折舌を縮めて葵を誘う。
健気に追いかけてくる舌を、逆に捕らえ、唇の裏側で擦ると、
葵は堪えきれなくなったのか、両腕を頭に巻きつけ、甘えてきた。
「あふぅ……む、んむっ……はぁっ、あんっ」
「んっ、んっ……あぁ、んぅっ……ふ」
耳が感じてしまうような淫らな水音を、むしろ積極的に奏で、サラと葵はキスを交わす。
長く、深く。
捏ねられた唾液が染みこんでなくなってしまっても、二人はキスを止めない。
先端も裏側も、ありとあらゆる部分にまで舌先を潜りこませ、
とろとろにふやけてしまっている互いの舌を舐めていった。
結局朝からかどわかされてしまった葵が、サラと濃密なキスを始めたころ、
ベネッサはようやく袴を脱がせ、葵の下半身を剥き出しにした。
葵はキスに夢中になっており、下着を履いていない下腹部を晒されても暴れはしない。
細い、まだ女性としての成熟を迎えきってはいない足の間に陣取ったベネッサは、
まずはじっくりと葵の女の部分を観察することにした。
葵のラヴィアはどれほど弄んでも醜く形を変えたりせず、
ローティーンのような形状を保ち続けている。
違うのは快楽を覚え、わずかな刺激ですぐに愛液を染み出させるようになったヴァギナと、
やはりわずかな刺激で容易に露出するようになったクリトリスだ。
慎ましく生え揃った黒いヘアに細く息を吹きかけながら、
ベネッサは閉じ合わされたラヴィアを押し広げた。
白と黒の狭間に浮かび上がった紅桃色の園は、しかしすぐに閉ざされてしまう。
「あ……っ、ベネッサ……はん……」
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