今日は暁が前々から行きたがっていた動物園へ連れて行った。
朝から二人でお弁当を作って持っていったんだ。
暁がやたらと手伝いたがるから、少し時間がかかっちゃったよ。
でも、とても上手に飾り付けをしてくれたよ。
電車の中でもおとなしく行儀良く座っていたし、お年寄りの方に席を譲る事も自発的に出来るようになっていて、少し驚いたんだよ。
動物園では絶対にキリンを見たいと張り切っていた暁だけど、僕の予想通り大きさにびびって固まっていた。
茜と初めてこの動物園デートしたときも、こんな風にキリンの前で固まっていた事を思い出したよ。
暁は君とそっくりだね、茜。
キリンにびびる姿も悪いけどそっくりで、へっぴり腰だって大笑いしたら、ムキになって餌をあげる所も、本当に一緒なんだ。
キリンにもそれが伝わったのかな?
君の時と同じように暁の頬にキスをしたんだよ。
いや、あれは鼻水を付けられたんだって君は譲らなかったっけ?
お弁当を食べながら、暁に君と動物園に来た時の話をしてあげたよ。
君の話をする時は、自分でも不思議だけど小声になってしまうんだ。
大切な宝箱を開けるみたいに、そっと話を取り出して、誰にも聞こえない様に暁にだけ話すんだ。
それは思い出という大切な宝物。
人に話すと、なんだかちっぽけになってしまいそうで、怖くて…。だから話す時は、やっぱり二人だけが聞こえるほうがいいなって思うんだ。
なんだか子どもみたいだね。
君の話をしたあとに、暁は僕に耳打ちしたんだよ
「晃くん、僕、お母さんがもっと好きになったよ」って。
茜 君の息子はとっても綺麗な心を持って、真っ直ぐに育ってくれているよ。
さくらの きの したで 暁視点 /
どうぶつえんへ いこう 暁視点