きみの瞳に映るもの 〜あかね〜



あれから1年……


幸福が訪れるという花言葉の通り、すずらんの咲き乱れるこの丘には天使が幸福を運んできた。

小さな鈴の揺れる白い絨毯を、晃は陽歌を伴ってゆっくりと歩いていた。

新緑の葉が風に舞い、やさしく子守唄を奏でている。

頭上にはあの日と同じ茜色に染まる空が広がっている。

雲の切れ間から金色に細く伸びる光の筋が、徐々に赤みを増し、西の空へと姿を沈めようとしていた。


少し寒くなった風から庇うように、晃は陽歌を抱きしめる。


陽歌は幸せそうに晃の胸に頬を寄せ、腕の中の小さな存在に微笑んだ。




「ほら、朱音(あかね)お空がとっても綺麗よ」




沈みゆく太陽は、空を金から赤、朱から紫へと色を変えて染め上げる。



朱音の瞳に映るもの…




それは未来へ広がる限りない希望。








+++ Fin +++

2005/07/19 完結
2009/02/03 改稿
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ホタルシリーズ最終章『きみの瞳に映るもの』を最後まで読んで下さりありがとうございました。
この作品は2005年に作成したものを、2009年1月に改稿致しました。初期作品をご存知の方は、内容が一部複雑になった事に驚かれるかもしれません。
前作では陽歌と茜の融合について詳しい記載はなく、茜の死の理由なども一切触れてありませんでした。
この辺りに触れると、かなり物語が壮大になってしまうため、初期の段階では書くことを控えたのです。
前世の因縁については、長女沙紗の物語「紅の月」と次女蒼の物語「if…」の2作品の中で徐々に明らかにしてゆくつもりでしたが、このたび改稿するにあたり、思い切って本編で茜と晃に纏わる部分だけ、大まかに書き加えることにしました。
また、前回はあまり触れなかった、親友亜里沙の行動や、陽歌の過去も詳しく書き足しました。
幾つもの作品が絡み、背景が複雑なのですが、現在は『ETERRNAL FRIENDS』『夢幻華』『ベストフレンド』『FOUR SEASONS』など、シリーズ作品も公開しておりますので、関連を辿ってお楽しみ頂けましたら幸いです。
尚、『紅の月』と『if…』は現在調整中にて連載休止、非公開としております。
連載再開は暫く予定していませんが、気長にお待ちくださいませ。m(_ _)m

朝美音柊花
2009/02/03
この作品を読んで結末に納得がいかなくても、書き直しの強要はご遠慮下さい。