茜への手紙 --- 手紙3 あれから16年



―茜へ―

早いものだね。暁は4月から高校生になる
君の通っていた高校に入学するんだ。
そう、暁は今度の誕生日で16才になるよ。
つまり、君が逝ってしまってから16年になるということだよね。

僕にとっては昨日のことのようで、君との思い出は溢れるほどに色鮮やかなのに…
どうしてだろう。
君はいつまでも18才のままの笑顔で笑っている。
僕はいつの間にかおじさんになってしまったみたいだね。
君に会うとき余り年を取っているとガッカリされちゃうかな?
ああ、もちろん、まだまだ体力的にも暁に負けないし、気持ちだって若いから心配しないでね。

暁は最近生意気なんだ。
好きな娘がいるらしいんだけど、誰だか教えてくれないし、その話題になると露骨に嫌な顔をするんだよ。
なかなか素直になってくれないんだ。
君がいたなら上手く聞きだしていたかもしれないね。

晃には僕たちのように、素敵な恋をして欲しいと思う。
僕たちはとても幸せだったからね。
今も瞳を閉じれば、幸せそうに笑う君が浮かぶよ。


茜、暁は君とそっくりな笑顔で、笑うようになったよ。


+++ Fin +++


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